前回紹介したような人たちは巷に一杯いるのですが、求職活動をしていませんので失業者にも労働力にもカウントされていませんので、失業率や労働力人口等の統計に頼ると実態が見えません。
求職しているか否かを基準とする現在の方式では、求職を諦めた人などが漏れてしまい、実際の労働需給関係が分らないままです。
統計に頼るならば、その地域の15歳以上70歳までの総人口(いわゆる生産年齢人口は何故か65歳までですが、実際には70歳くらいまで仕事さえあれば働きたい人の比率が高いので、70歳まで引き上げるべきです)のうち病気・障害・進学等による物理的非労働人口の統計を取って数値化して、他方でその地域の就業者数(これの集計は簡単でしょう)とその差がどれだけあるかを決めて行くべきです。
働く意欲がある(職安に出向いて求職活動している)か否かの現在基準は、失業保険や生活保護の基準としては妥当でしょうが・・・ここでは意欲の問題ではなく、物理的に働ける人が働かないでいる人がどれだけいるのか・客観的な逆の数字が必要です。
年金があるから働かなくて良い人や夫の収入で何とかやって行ける主婦でも職安に並びたくないだけで、適職があれば働きたい人が結構いるものです。
こういう中間的人材は労働需要次第ですので、本人の意向・意欲調査と言う主観的方法ではなく、この中間的人口数を客観的に調査する必要があるし、調査しているならばその公表すべきです。
20年ほど前から労働者過剰状態が始まりつつあって、この状態を糊塗するために政府は非正規雇用や介護現場の受け皿造りに汲々としているのです。
介護の必要性自体を否定しませんが、これは何回も書いているように結局は税又はその変形の保険料増額で賄うしかないのですから、それと経済政策とは別問題であって、労働需要減の穴埋めとして(実質的な失業対策事業として)介護・医療関係労働者を増やして行くと財政赤字が膨らむ一方になります。
これが現在の財政赤字の原因ですが、日経新聞1月10日記載の労働需要700万人減分を前提にして考えるとこの穴を賄うために、介護や公園の掃除などサービス分野で吸収しても、一家で言えば失業したお父さんが家の掃除や買い物や親の病院への送り迎えをするようになっただけでしかなく、一家(日本国)の収入自体が増えるものではなく、その間過去の蓄積を食いつぶす家計・・・国家の場合財政赤字に陥るしかありません。
今のところ財政赤字は国際収支の黒字で補えますが、黒字蓄積のあるうちに人口ギャップを解消しておく必要がある・・急いでも結果が出るのに30〜50年かかるので早く取りかかる必要があります。
労働需給に関しては、ここ20年ばかりあるいはこれからも減少方向が続くと見ておく必要があります。
長寿化・滞在時間の延長にあわせて少子化・・出生率減少が始まっても効果が出るのには、30〜50年以上かかるので、その間、間に合わない分は、飲食店で言えばテーブルを10卓から11〜12〜13と増やせた(輸出志向の生産拡大)ので、高度成長期以降昭和末頃までは対応出来ていたのです。
平成に入って、滞在延長だけではなく輸出拡大に無理が出て雇用減も始まったのに人口縮小策を採らなかったので、しわ寄せの行く若者に閉塞感が強まっているのです。