連銀による財政政策6

日本の財政政策を見ても、バブル発生とその収束過程を見ても日銀の果たすべき役割が20年以上も前から如何に大きかったかが分ります。
アメリカや欧州危機だけのことではなく(日本に関係がないのではなく)日本の方こそ財政赤字が半端ではないことと、ほぼゼロ金利に張り付いてしまっていることから、経済政策を実行するには、日銀の役割が大きくなって来つつあります。
しかし日銀にはバブル発生防止に対する妥当な政策実行が出来なかったし、その収束過程でも本来果たすべきであった役割を充分に果たせないで来たことも確かです。
ただし、我が国の場合欧州危機やアメリカ連銀と違い、国内資本蓄積が大きくて(国内消化率が高いので)まだ日銀による無制限紙幣発行に頼る必要がありません。
それでもこのまま財政赤字が進んで行き、もしも国際収支赤字になって来るとアメリカ並みに紙幣発行増加で辻褄合わせをするしかなくなる時期が来るのを官僚が恐れているのです。
しかし、日本の中央銀行はそんな重責・役割を果たすだけの準備(心構え)も能力も今のところ全くないことが明らかですから、これが原因でここ20年ほど日銀批判が絶えない状態です。
他方で行政官僚の序列としては旧大蔵省入省組がエリートであって、日銀マンは亜流であったことから、財政赤字による日銀への権力集中・権力の逆転現象(官僚間の序列逆転)を何としても阻止したい気持ちが、旧大蔵省系列の官僚には根強くあってもおかしくありません。
バブル崩壊後日銀の独立性を法律上強化したものの、日銀には独立に堪える能力がないという内々の批判が喧しいのはこうした原因によるでしょう。
財政赤字が続くと行く行くはアメリカみたいに中央銀行が最終決定権を持って行くようになる危険(財務省系官僚から見れば・・)があることから、形勢逆転の危険な芽になる財政赤字累積だけは何とかして解消しておきたいのが旧大蔵省系官僚の悲願と言うべきでしょうか。
国際収支黒字か赤字かによって増税の必要性が決まるべきであって、国際収支が黒字である限り財政赤字がいくら溜まろうが増税の必要性は全くないと言う意見を連載してきました。
にも拘らず官僚組織挙げてマスコミを動員して財政赤字を理由とする増税の必要性にすり替えて猛烈に頑張る理由がここにあると言えます。
少しでも組織存続に害のある芽は早めに摘み取っておきたいのが官僚の本性です。
官僚の思惑は措くとしても、マイナス金利時代が来ると金利政策の意味がなくなり、ひいては財政出動の有無・程度が経済政策の中心にならざるを得ませんが、財政出動に必要な資金となるべき税は簡単に増税出来ないのが普通ですのでいきおい財政赤字が累積する一方です。
加えて通貨安競争時代に入ると、中央銀行が政府の意向に沿って紙幣を大量発行して国債等の引き受けをしてくれないとどうにもならなくなることは明らかです。
今回の欧州危機の解決についても独仏政府首脳はいろいろと発言しているだけで、その実、何らの直接的決定権もなく、その発言を受けて、欧州中央銀行総裁・理事会がどのような決定をするかにかかっている点はアメリカ連銀と同じです。
欧州危機の解決はECB総裁らの決定に頼っているから、マスコミも彼らの動静ばかり報じているのです。
連銀あるいは各国中央銀行の権限がここまで強くなっているのだから、中央銀行の役割がなくなったと私が主張しているのは逆じゃないかと思う方がいるでしょうが、ここまで来れば銀行の役割ではなく政治そのものです。
中央銀行の役割縮小については、2012/08/15「中央銀行の存在意義3」まで書いたことありますので、今回はその4となります。
欧州危機解決の必要性・・どのように解決の処方箋を書くかはまさに重要な政治テーマそのもので、世界中に影響を及ぼす重要決定ですが、これが政治家ではなくECB理事会が決めることになっています。
民主的洗礼を受けない専門家が政治の最重要課題である財政政策の最終決定をするようになると、政府から独立した中央銀行という独立部門である必要があるのか・逆にそんなことが許されるのかの疑問が生じます。

連銀による財政政策5

資本引き上げ競争の始まり・・逆グローバリズムの話題から、中韓両政府批判に発展してしまいました。
私は人種差別を煽ることに目的があるのではなく、歴代日本政府の行動を批判しているだけです。
日本政府やマスコミの対応が悪いから、味を占めてしまった中韓の政府は度し難いような行動形態になってしまったのであって、彼らが人種的に劣るとか人品骨柄が卑しいと言っているのではありません。
彼らも日本にきて一緒に生活していれば同じような行動形態になるのですから、(身近に見る中韓の人は普通の日本人と行動パターン変わりません)現在の中韓政府の周辺環境が悪いからその影響を受けて悪い行動形態を取っているに過ぎません。
その周辺環境・経験・・その結果形作られて来た現在の両政府の行動形態に寄与して来たのは、日本政府自身ではないかという意見です。
中韓両国は日本以外の国に対してこのような失礼な行動をとっていないのですから、日本のこれまでの対応が悪かったことが明らかです
子供が親に小遣いをせびる状態になっていてこれを断った親に暴行を働くようになった事件では、そこまで甘やかしてしまった親に何らかの責任があることが結構多いのですが、親に小遣いをせびる出来の悪い子供でも赤の他人に同じことをすることは滅多にありません。
相手を選んでいること・・選ばれる方にそれまでの生活態度に大きな問題があることが分ります。
(いじめられっ子になってしまったのかな?)
日本政府が今後「ないことはない」「応じられないことは断固拒否する」と誰でも分るような毅然とした対応を取ることによって、中韓両国の道議意識もしゃんとする切っ掛けになり、ひいては末永く仲良くやって行くために必要なことです。
アメリカ中央銀行の役割に話題を戻しますと、政府の発行する国債等を引き受けていたQE1〜QE2まででも、結局は政府の財政政策の事後承認をすることになるので、中央銀行の役割は単なる追認機関になっていました。
(政府が赤字国債を発行して景気浮揚に努めている場合で、その国債の引き受けをする資本が国内で不足する場合、連銀が引き受けないと政府には政策実行用の資金が入りません)
日本の国会で言えば、政治家・政党が赤字国債発行を前提とした予算案に同意しながら、予算実行前提たる赤字国債発行法案多各種支出法案に反対するのは矛盾行為です。
赤字国債を発行しても民間で買い手がつかない経済状態で、連銀が国債を買わないと断ったときには政治・議会で決めた赤字予算・国債発行権限を決めた法律が成立しても、買い手がないと結果的に実行出来なくなってしまいます。
こうなると連銀が政府・議会の政策判断より優越してしまう・・最終決定者になってしまいます。
中央銀行も政府の一機関とすれば、民主的選任を経ていない連銀が政府の政策に反対するのは無理があるので、追認しかなくなります。
QE3では政府系証券買い取り・・事実上の追認機関になったに留まらず民間の住宅ローン債権まで買ってやる(報道では無制限らしい)となりました。
特定業界の債券を買ってやるようになれば、財政政策(特定分野への補助金支給)そのものですが、民主的手続きによらない専門家が実施するようなことことになります。
実際には、民主的選任を経た政権と内々擦り合わせをしているでしょうが、最終決定権が政治家になく連銀にある点をここでは問題にしています。
一般的住宅ローンだけではなく、将来特定企業の研究費用・実験装置を賄うための社債を買ってやるなどとなって来る・・国際入札事業向けの出資金まで出してやるなどとなって来ると、その企業に対する補助金・援助そのものです。
しかも無制限ということは、連銀が景気状況を見てどの段階・規模で買い付け(実質補助金)停止するかも連銀の自由裁量で決められるということです。
QE2までは政府が既に発行すると決めた赤字国債等の事後引き受けなので一種の事後承認ですが、それでさえもここまで政府と一体化して来ると独立機関であると言えるのかの疑問が生じると言うのが私の意見です。
QE3でどの分野に補助金を出すか、どの程度にするか、どこで止めるかまで中央銀行の1存で決めるとなれば、経済政策自体の決定権まで民主的選出手続きを経ない銀行が始めたことになります。
中央銀行がここまで政策決定権を嚆矢するようになると、民主主義制度そのもの信用性に関わる問題になります。
実際に南欧危機では、政治家でない専門家が危機管理政権として政権を担当するようになったことは記憶に新しいところです。
QE3まで来ると、これは銀行の仕事なのか政治の分野なのかの議論を避けて通れなくなる筈です。
マスコミも学者も(QE3がいつ実施されるかの関心とその経済効果がどこまであるかという議論ばかりで、)論じていませんので、敢えて私が書いているところです。
衆愚政治化している現状とも絡んで、今後数十年単位で政治家の分野と専門家の分野の線引きが問題になって来るべき論点でしょう。
アメリカの経済政策に対する市場の関心は連銀の動きばかり注視していて政府の動きには殆ど関心がないのは、実際の政策決定権者が連銀に移行している実態を表しています。

通貨安競争2(国民疲弊政策)

韓国が急激なウオン安政策で貿易黒字を稼いでいますが、その代わり韓国の支払に関しては他所の国はウオン建てでは輸出に応じなくなります。
輸出入が均衡していれば、ドルまたは円代金を1割下がったウオンに両替して1割多くのウオンを受け取っても、その代わり輸入代金を上がった円やドルで支払うために国内ウオンを1割多く使って両替すればトントンですが、輸入物価上昇の結果輸入が減る・・国民はその分消費抑制=耐乏生活を強いられます。
戦後ずっと続いたイギリスポンド下落によるイギリスの耐乏生活を想起しても良いでしょう。
通貨安政策は結果的に国民に我慢を強いる政策だと言うことです。
アメリカは国民生活を豊かにするため・消費の活発化のために住宅ローン債権の買い取りを始めたのですが、この政策が時間の経過でドル安になって来るので、結果的に輸入価格の上昇・・ひいては輸入品購入減少・・生活を圧迫し始めるジレンマに陥ります。
国民は自分の働き以上の生活は出来ない・・目くらましの政策でうまいことは出来ません。
1割の貿易赤字国で1割の通貨安になるとどうなるでしょうか?
例えば輸入代金の両替が1億円で輸出代金の両替が9000万円・・1割赤字の国とした場合で考えてみましょう。
輸出入数量が同じと仮定した場合、円が1割安くなると輸入代金の両替入金は1億1000万円必要になり、輸出代金の両替は8100万円しか入金しません。
赤字額が上下約1割ずつ膨らんでしまいます。
国際収支赤字国にとっては通貨安は損なことになりますが、苦しいならば通貨安を受入れれば良いだろうという意見が多いのは、この機会に競争上有利になって輸出数量がそれ以上伸びることを期待していることと、対外債務支払に行き詰まった場合通貨下落を強制されて輸入物価上昇の結果国民消費が減退する・・耐乏生活を強いられても仕方がないと言うことになるからです。
韓国のように輸出の方が仮に多い場合に、自国通貨が1割下落するとどうなるでしょうか?
輸出代金ドルの両替によって得る資金が1億ウオンであった場合、1割の下落で1000万ウオン手取りが増えることになります。
輸入代金の支払い債務が下落前には9000万ウオンであった場合、(通貨下落前に1000万ウオンの貿易黒字であった場合)ウオンが1割下落すると外貨に両替する分が1割増えても900万しか要りませんから、100万ウオン分だけ得する勘定になります。
(輸入代金が1億1000万ウオン入って、輸出代金が9900万ウオンで足りるので下落前に比べて100万ウオンの儲けです。)
これに加えて通貨安による競争力アップで輸出数量が伸びるのでその分の手取りが増える外に、輸入物価上昇による輸入量の減少の結果支払債務が減る3重の利益になります。
ただウオンが1割下落すれば、国内輸入物価も時間の経過で同率で上がるので、国際競争力としては結果的には同じことになる筈です。
円高の場合還元セールがありますが、円安やウオン安の場合企業の儲けが増える分直ぐには従業員給与に還元しないでしょうから、通貨安政策はどこの国でも国民・労働者が割を食う関係です。
通貨安によって輸入物価上昇→輸入が減るということは、国民の消費レベルを下げて国民に我慢を強いる政策です。

連銀による財政政策2(通貨安競争1)   

アメリカ国債等の大口購入者が日本だけのトキはアメリカの政策には何でもOKですから問題がなかったのですが、中国が巨額保有者になって来ると中国の意向に国債発行額・・国内財政政策が左右される・・政治が左右されるリスクが出て来ました。
中国に大きな顔をさせないために、アメリカはQE1政策採用以降国際収支の赤字をそのままにしておいて、資金不足分は(無制限)自国紙幣発行で賄う方式に切り替えたことになります。
国際収支赤字分を黒字国からファイナンスしないで国際収支赤字分をそっくり自国紙幣の増発で穴埋めすれば紙幣価値が国際収支赤字分下がるのは必然ですから、通商政策的には、この時点からアメリカはドル安政策に切り替えたことになります。
QE1〜QE2政策は、政治的には中国に大きな顔をさせないためであり、内政的には内需拡大→物価上昇目的ですが、貿易競争面から見れば、貿易競争を有利にするためのドル安政策に転換した合わせ技になっているのではないでしょうか?
住宅ローン債権を連銀が買い取ってくれれば銀行は焦げ付きリスクがないので、顧客の支払能力を心配しないでいくらでも貸せます。
これが焦げ付いたときに、これまでのような銀行の不良債権問題も起きないし、公社の不良政権問題も起きませんが、連銀のバランスがどうなるかは別に機会があれば書きます。
連銀による債権買い取りによって住宅建設が進み内需拡大が進むのですが、それによっては消費が増加するのみで輸出が増えるどころか輸入が増えるので貿易赤字が増えて行くのが普通です。
貿易赤字はいくら増えても今後は黒字国からファイナンスしない・・自国紙幣増発で賄うとなれば、開き直って・ドル下落を容認するどころか積極的ドル安政策に転じたとみるべきです。
・・その結果行く行くは貿易競争上有利な地位を得て赤字も解消して行けるという遠大な政策変更であることを我が国は注意しておくことが重要です。
ドルが安くなって来た結果、中国で物を作ってアメリカに運搬するよりは、アメリカ国内で作る方が採算が良くなったという報道も散見されるようになっています。
QE3を好感して直ぐに株式相場が上がりましたが、国際収支アンバランスのファイナンスのために紙幣を1割多く刷れば、アメリカドルの価値も1割下がります。(国内的には1割の物価上昇)
仮にドル紙幣を1割増刷して内需拡大(今回で言えば住宅建設)してその分そっくり赤字が増えても、増刷したドルで支払うとした場合、ドル価値が1割下がっていれば実質支払負担が1割減るので、いくら紙幣増刷によって貿易赤字を増やしても何のリスクもないというのがアメリカ流解釈でしょう。
例えば日本はアメリカ国債を巨額保有していますが、1ドル230円台のときに買ったアメリカ国債が、今では70円台ですから、支払負担は3分の1以下に下がっています。
我が国でいえば、インフレ期待論・・国債残高が1割増えても2割のインフレになれば、実質負担が1割減ってしまうから万々歳という意見(日本の学者の意見はアメリカ経済学の受け売りだから当りまえです)と同じです。
まして、ドル安政策によって将来的には貿易競争力が回復する面があるのでうまい話です。
こんなうまい話が永久に続くのかということですが、それが出来るならば世界中の国が自国紙幣発行増競争・自国通貨安競争でぼろ儲け出来ます。
アメリカは基軸通貨国だから紙幣増発出来るというもっともらしい解説が多いのですが、基軸通貨とは通貨下落の心配がない・・信用があるというだけのことですから、信用がなくなったらどうするかの議論の解説になっていません。
EU域内以外の国々は自分の通貨発行権があるので、イザとなれば自国紙幣の増発で凌げることはどこの国だって同じです。
ドル紙幣増刷に合わせて日々値下がりを続けるとすれば、USドルでの決済を敬遠する方向になる・・基軸国の地位・名誉を捨てることになります。
通貨切り下げに関しては、April 15, 2012基軸通貨とは6(通貨安競争1)」前後で連載していますが、ここで別途考察して行きます。
自国通貨安競争とは言い換えれば、自国通貨の信用毀損・国民能力の安売り行為ですから、自国通貨安政策をどこの国でも滅多に採用しません。
戦後イギリスの地位低下に連動したポンド防衛に必死だったことを想起しても良いでしょう。

アメリカ連銀による財政政策1(QE1〜3政策の意味)

安定成長時代になると資金需要の主役は投資用から消費用に切り変わりますから、無利息〜マイナス金利が中心になって行くべきでしょう。
まして金貨時代とは違って中央銀行が好きなだけ紙幣発行出来る時代では、紙幣需要があれば直ぐ供給出来るので、(国際収支が黒字である限り)資金不足によって金利が上がる理由がありません。
言わば資金過剰(印刷能力の範囲でいくらでも印刷出来る)時代が到来しているのです。
現在では金利政策の効用がなくなっていて中央銀行の役割が低下していると何回も書いてきましたが、過剰供給の(生産余力が大き過ぎて困っている)飽食時代には金利下げ程度では需要を喚起することはないし、仮にあっても微々たるものに過ぎません。
しかも先進国では画期的発明がない限り、改良投資しかない投資効率の悪い社会になっているので、いくら金利を下げても景気対策としては何の効果もない(本来マイナス金利時代に突入しているのではないかという意見を前回まで書いてきました)時代が来ています。
このため今やアメリカでも、金利政策の意味がなくなったので所謂Q1(量的的緩和)、QE2が行われ、ついには日本時間の昨日待望の?QE3が実施されたようです。
Q3の内容を見ると、QE2までと違って言わば無制限に住宅ローン債権等の買い取りが出来るようです。
従来の国債等の買い入れから住宅ローン債権の買い取り枠を無制限に広げたことで住宅市場の底入れを目指しているのでしょうが、政府公認の住宅バブルの再来を目指していると言えます。
サブプライムローン・・支払能力のない低所得層に対してもローンを供与してこれを世界中にバラまいていた咎めがついに出てサブプラムローン問題・2公社の破綻となり、ひいてはリーマンショックでとどめを刺されたのがアメリカ経済不振・・現在の欧州危機の根源ですが、これを今度は2公社というクッションを置かずに連銀自体が直接引き受ける荒療治になります。
紙幣発行権のある連銀が住宅ローン債権を買い取ってやることになれば(買い取り基準に該当する必要がるでしょうが・・・)銀行は支払能力に疑問符のつく低所得者に対しても安心して貸せますので、サブプライムローンによってドンドン家が建設されてアメリカが見せかけの活況を呈していたサブプライムローン全盛時代の再来を狙っていることになります。
2公社が世界中に向けて債券発行して住宅ローン向けの資金調達していた(2公社が破綻するとこれを買っていた中国や日本が大損する関係でした)のとは違い、紙幣発行権のある連銀自体が無制限に住宅ローン債権を買い取るとその資金は自分の刷った紙幣で賄うので、これを得るために世界に公社債を販売してバラまく必要がありません。
2公社のように債券を再販売しない代わりに紙幣をバラまく・・紙幣価値は日々帳尻を外為市場で合わして行くので、イキナリのショックにはなりませんから、2公社のようにデフォルトの心配がない点が違います。
(実はアメリカ国債の最大保有者は中国ではなく、今やアメリカ連銀になっているとの報道を見たこともあります・・今後新規発行(借換債が殆どです)分をアメリカ連銀が買い受けて外国人保有と入れ替えて行けば、外国人保有による外国の発言権を心配しなくて良いことになります。)
アメリカは従来ずっと貿易赤字国ですから、政府資金や住宅建設資金を賄うために国債や公社債を発行して回収・還流していました。
紙幣に変えて債権を海外に垂れ流して来たのです。
その引き受け資金が国内にないことから、そのファイナンスとして貿易黒字国に自国国債等を買って貰って資金還流させていました。
(我が国は黒字国だから財政赤字資金を国内民間資金で賄ってきましたし、ギリシャなどは国内で賄えなかったので外資に頼った結果ついに危機になっています)
今後ドル紙幣を回収・還流させないまま同額の紙幣を垂れ流すと、国際収支の赤字分だけドルの価値が下がってインフレになります。
今後国際収支赤字分と財政赤字分の過剰支出分を自国紙幣増刷で賄うのみならず、過去のマイナス分も借換債発行の都度自国紙幣発行で連銀が仮に全額購入して行くとすれば、過去何十年分の倍速で押し寄せて来ることになります。
(過去に仮に年に100億ドルずつの赤字であって今後も同じ額の赤字とすれば、全額連銀引き受けの場合、毎年100億ドルずつの償還があって新規赤字の100億ドルと合計すると200億ドルずつの紙幣垂れ流しになります。)
こんな極端なことは出来ないですから、既発行債の買い替えの一部を連銀が引き受ける形で徐々に海外に出回っている国債・公債残高を減らして行くことになるのかも知れません。

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