資源下落とロシア経済3

ロシアの輸出額。GDP。原油生産量、外貨準備額の推移を順に引用しておきます。
発行体体・著者が不明ですが、以下にグラフが出ていますので、引用しておきます。 https://jp.tradingeconomics.com/russia/foreign-exchange-reserves”>

ロシア 輸出額

Russia Exports
ロシア – 国内総生産

Russia GDP

ロシア – 原油生産

Russia Crude Oil Production

外貨準備額

Russia Foreign Exchange Reserves

上記グラフによれば、2015〜6年ころを比較するとGDPが原油等資源価格急減に比例して約半減していることがわかり、18〜19日に書いてきたロシア人学者や東京三菱の海外駐在員情報の意見等と傾向がほぼ合致していることが分かります。
一方で外貨準備が逆に上がっているのは、18日紹介したロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が言う通り、国民(内需)にしわ寄せがいっていることを表しているのでしょう。
ロシアルーブル急落・半値になれば輸入品価格は2倍になりますので生活必需品・消費財の輸入が出来ない→貿易黒字→外貨準備増加です。

資源下落とロシア経済2

昨日見た久保庭眞彰氏論文では、ロシアの対外強硬姿勢は苦し紛れの真逆で2000年代に入ってからの油価高騰によって、ソ連時代の債務を返し国内再構築や軍の近代化(サイバー攻撃能力が飛躍的にアップしているのはその象徴?)が進み余力が出たことによるという趣旨のようです。
そう言われれば、その間のGDPが約2倍になっているということは国力2倍ですから、ソ連崩壊後失っていた自身を取り戻したい気持ちもわかります。
もともと西欧と仲良くやる予定ならば、ウクライナ侵攻もクリミヤ併合などを起こす必要がなかった・・もともと関係悪化を承知の行動だったという意見のようです。
ロシアはソ連崩壊後の混乱を収拾しようやく体力がついたので、民主化や人権重視方向にかじを切るのではなくその自信が強権支配や周辺侵攻.旧ソ連圏諸侯の盟主としての地位復活方向へとなったという解釈のようです。
言われてみると、中国も同様で豊かになれば欧米型人道主義・穏健な話し合い解決社会になるという期待が外れ、逆に中華の栄光復活を唱え内政的には強権支配補強・対外的には膨張主義満足のために豊かさを餌・・周辺国への開発資金の大判振る舞いをして浸透していく方向へ突き進んでいます。
豊かになった分を国民配分しないでで国民が納得するのか?いうことですが、10の儲けのうち1〜2割しか国民分配しなくとも解放前に比べれば国民は豊かになったことを実感できるのでしょうし、残り資金を権力周辺支持基盤に手厚く配り、国民監視のためや周辺国威嚇の軍事費に使っても国威発揚・・ロシアがソ連崩壊の惨めな記憶払拭に必死なのと同様に中国はアヘン戦争以来の屈辱の歴史を挽回するためにお金を使う事には国民同意があると言えます。
先進自由主義諸国では、分配が足りないという絶えざる批判にさらされているので労働分配率が上がる一方で、メデイアの煽る要求に応えるための各種施策・保育所増設・職業訓練など資金需要が増える一方ですが、他方で増税拒否キャンペインですから、概ね財政赤字に困る社会ですが、強権支配社会ではそのような不満を煽る仕組みがないので分配の不公平について権力者は気にする必要がほとんどありません。
民主国家でメデイアが国民不満を煽るのを前提に、メデイアの自由がない中露も同じ結果になると考えるのは間違っています。
全体成長を引き下げても、平等が主眼である筈の共産主義国家で極端な内部格差が当然視されているのは、パラドックスですが、そんな事は気にしない掛け声だけの主義主張の象徴です。
「共産主義・計画経済→国家意思貫徹=独裁政治必須社会のように見えますが、ロシア革命後約100年の歴史を結果から見れば、「共産主義だから自由のない強権政治になる」というよりは「強権政治をしたいがために共産主義が便利だからイデオロギーを借用して来た」だけのように見えます。
上記久保庭論文の意見は一般と違った角度からの分析で個別事象については傾聴に値しますが、グラフを見るとGDP成長率も少ししか下がっていませんが、原油価格が半分になってGDP・すなわち国力も半分になったというのが、一般的理解ではないでしょうか?
こうなると専門家の作ったグラフなのに昨日まで紹介した意見や明日紹介するグラフと違いすぎてどちらを信用して良いのか分からなくなります。
そこで上記著者が何となく偏ったロシアひいき専門家の疑いがありそうなので経歴を見ておきました。
久保庭氏の論説がネット評論家の元外交官馬淵氏のように何があっても「ロシア良い式」の意見開陳者の経済学者版かな?と見えるので、その故郷・出自を探ってみました。
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~kuboniwa/about.html

久保庭 眞彰自己紹介
1972年
横浜国立大学経済学部卒
博士(経済学,第166号) 一橋大学
名誉博士(Dr.h.c.) ロシア科学アカデミー中央数理経済研究所
1987年
ソ連科学アカデミー中央数理経済研究所客員研究員
1990-91年
カリフォルニア大学バークレー校・ハーバード大学客員研究員
2005-2006年
レオンチェフセンター客員研究員
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~kuboniwa/about.htmlによる自己紹介です。
研究歴
大学院時代は、ソビエト数理経済学の理論的調査や分権的最適計画メカニズムに関する数理経済学的研究を行いました。
一橋大学着任後は、時代の変化と研究リソース環境の変化に対応して、理論的最適化モデルの性能を計算機シミュレーションによって確かめる作業や、産業連関表を利用したソ連・東欧の静学的・動学的多部門実証分析を行うことに重点を移しました。
ソ連崩壊後から現在にいたるまで、市場経済への移行に直目して、
(1) ロシアや新興国諸国の経済成長と国際石油価格・交易条件・交易利得・エネルギー効率の変動の関係についての現代的時系列解析、
(2) 産業連関表等を利用した新生ロシアや中央アジアの経済・産業構造分析、
(3) 新興国とBRICsの比較経済研究、
(4) ロシアの財政連邦主義や金融・証券制度に関する統計的・制度的分析、
(5) EU・アジア・BRICs国際産業連関表を利用した各国間経済リンケージの分析、
(6) ロシア・中国・中央アジアの鉱工業生産、GDPの歴史的遡及統計推計、
(7) 環境経済
に関する教育・研究を試みております。

その他海外歴がありますが、レオンチェフセンターレオンチェフセンター自体が、「レオンチェフが幼少期から大学卒業まで(1906~1925年)を過ごした故郷サンクト・ペテルスブルグ(旧ペトログラード・レニングラード)に,改革派の拠点の1つとして1991年に設立された研究機関・・)学問の故郷・郷愁が旧ソ連圏にあるような印象です。

資源下落とロシア経済1

資源輸出に頼るロシア経済の現状を見ておきましょう。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-06-01-23

ロシアの国情およびエネルギー資源 (14-06-01-23)
2016年01月
・・・ロシアは鉱物、森林、水産など豊富な天然資源を有する国家で、特に石油と天然ガスの生産・輸出に関しては世界トップレベルのエネルギー大国である。
ロシアはこれらのエネルギー資源を背景にエネルギー輸出大国に成長、エネルギー産業はロシア総輸出額の6割以上、連邦予算歳入の4割以上を占める同国最大の産業である。
しかし、国際経済市況に左右されるなど不安定要素も多く、エネルギー資源輸出依存から脱却する経済姿勢が問われている。

http://www.bk.mufg.jp/report/ecostl2014/20140901_ldnreport.pdf
Economic Research

海外駐在情報 BTMU Focus, London Naoko Ishihara
September 1, 2014
The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd.
Economic Research Office (London)
ロシア経済にみられる資源エネルギー収入依存の功罪
ロシア経済と資源エネルギーの関係をみると、ロシアの実質GDP成長率は、原油価格の伸びにほぼ沿う形で推移しており、資源エネルギー市況がロシア経済へ与える影響の大きさが端的にみてとれる(第1図)。
また、資エネルギーの存在感が最も明確に現れているのは輸出で、輸出総額の7割近くを占める(第3表)。2000年から2013年にかけて、ロシアの資源エネルギー輸出は6.6倍増加し、輸出全体を大きく押し上げた。
この間の輸出数量と価格の変化をみると、数量では1.0~2.4倍であったのに対し、価格は4倍以上に上昇し、輸出額の大幅な増加をもたらしたことがわかる。
また、2005年以降の変化をみると、原油と天然ガスの輸出数量が頭打ちとなっており、近年になるにしたがい、価格の変動が輸出額を左右しやすくなってきたことがみてとれる。

資源がロシア経済に占める比率・・先ずは輸出に占める資源比率を見ておきましょう。
世界ネタ帳によるロシア輸出内訳表です
http://ecodb.net/country/RU/trade/

基本情報
輸出品目
燃料・エネルギー製品 70.6%、金属および同製品 7.7%、化学品 5.8%
輸出相手国
オランダ 13.3%、イタリア 7.5%、ドイツ 7.0%
輸入品目
機械・設備・輸送機器 48.5%、化学品 15.9%、食料品・農産品 13.7%
輸入相手国
中国 16.9%、ドイツ 12.0%、アメリカ 5.2%
出典: JETRO (%)は金額の構成比を表す。

資源輸出が総輸出の7割ということでしたが、上記のとおり資源関連製品(現地加工の石油半製品など)を含めるとほぼ100%になっています。
同じ量を輸出しても手取りが(資源価格下落とルーブル価格下落によって)約半分になると国家財政だけでなく、国民総所得自体も半分・生活レベルが半分になります。
昨日紹介した元ロシア人学者のいう通り、同じお金で「以前2袋買えたのに今(14年頃)では1袋しか買えない」実態・・生活水準が半分に下がっているのですから、いくら言論統制しても(国内的には不満表明できないだけで)国民不満の蓄積は大変なものでしょう。
GDPが半分になっても国民等しく半分になるのではなく、強権政治下では必然的に政権に近い順に良い思いをする傾向が強まりますし、軍や治安関係予算配分が多くなる傾向があると、その分民生分野の配分が平均以下になります。
まして対外威嚇を始めると軍事関係への予算配分が多くなり、そのアンバランスが極まっていきます。
この結果?ロシア国内の老人や弱者の生活苦の実態が時々報道されています。
なぜか2014年の記事ばかりで最近のネット記事がすぐには出てきませんが、以来約4年経過で原油価格はバレル当たり50ドル前後で停滞したままですし、その間にウクライナ侵攻等があって、経済制裁が強化される一方ですから、国内不満はもっと深刻化しているはずです。
他方で、原油下落効果や経済制裁効果も兵器輸出が伸びているので大したことがないという以下の論文もあります。
以下のグラフを見るとGDPはそれほど下がっていないように見えます。

対ロシア経済制裁は効いたのか?-久保庭 眞彰

2017年12月16日 ロシア
対ロシア経済制裁は効いたのか?-久保庭眞彰
経済制裁のロシア経済へのマクロ的影響
図1に見られるように、経済制裁の効果の観測を難しくしている要因は、経済制裁開始のすぐ後の2014年の第4四半期から、油価の大幅下落が生じたことに大きく起因している。ロシア経済成長は、油価の動向に大きく依存する。油価下落により、2014年末から成長率大幅減速が生じたのであり、経済制裁の影響とはいえない。ロシアでは長期的に見て、10%の油価上昇(下落)は約2%の国内総生産(GDP)成長率上昇(下落)をもたらす。
ところが、図1の直近期間については10%の油価下落は約0.5%のGDP成長率下落をもたらすにすぎない。製造業生産についても同様である。従って、経済制裁と油価下落の下で何らかの要因が成長率の一層の下落に歯止めをかけているのではないかという疑問が生じる。

図1 ロシアのGDP成長率と原油価格

図1 ロシアのGDP成長率と原油価格

出所:ロシア国家統計局、国際通貨基金(IMF)、筆者によるGDP季節調整を基に筆者作成
ロシアの企業と消費者への影響の大きい、ルーブルの対ドル為替レートと油価の動向についてはどうであろうか。
直近の2014年から2017年までをサンプルとする回帰分析によると、ルーブル価値(対ドル為替レートの逆数:ドル/ルーブル)は油価10%下落により6.8%下落する。回帰の当てはまりも優れている(自由度修正済み決定係数は0.96)。従って、為替レート下落に影響したのは、油価下落がほとんどで、経済制裁の影響は見られない。為替レートについては、油価変動を相殺するような対抗要因は観察されない。
3.結び
以上に見たように、今のところロシアに対する経済制裁は目に見える形では作用していない。もともと超優良銀行・企業とそれら主導の優良プロジェクトに関する経済制裁なので、特定の個人を狙った制裁はともかくとして、経済分野別の経済制裁は有効性が初めから疑わしいものがあった。欧州がロシアからの石油・ガス輸入禁止措置を取れば経済制裁は実効性を持つが、それはEUなどの自殺行為ともなるので、冷戦時代にもなかったことである。返済の確実な超優良企業へのファイナンス禁止措置は、米欧日の政府系ならびに民間の金融機関・企業(特に国際協力銀行(JBIC))にとっても利益はない。
2000年代に入って油価の持続的上昇という天恵と域内引き締めの影響によって、対外債務削減・軍事生産近代化・域内統一という一連の難題をクリアすることができた。
遅れていたサイバー戦の備えもでき上がりつつある。ここで、プーチン大統領は一層の民主化・開放化ではなく、NATOと対峙するロシア核大国の軍事的プレゼンスの確保に走った。NATOと対峙しなければ、ウクライナのEUへの接近の妨害やクリミア黒海艦隊へのてこ入れも不必要であろう。
近隣外国の同胞支援を訴えれば、ロシア民族主義が一挙に盛り上がることはプーチン大統領によって明確に自覚されている。第2次世界大戦の対ドイツ苦境下で最後にスターリンがロシア国民に懇願したのも「ロシア死守」ということで「社会主義死守」ではなかったのである。
この強固な解き難いロシア民族主義の伝統にプーチン大統領は守られていると同時に縛られている。
[執筆者]久保庭 眞彰(一橋大学名誉教授)

ロシアの台頭と資源(民族文化の有無)2

資金力だけでも、美術品のまとめ買いやスパイを使って最先端軍事科学や技術を真似出来るし買えますが、自前の文化を一挙に育むには無理があります。
似た水準にあれば勉強になりますが、全く素地のないところで他国文化財をまとめ買いして持ち帰って真似しても?焼き直しでしかなく、自国文化が生まれませんし、産業分野でも巨費を投じてスパイするほどのメリットのない民生分野ではスパイに馴染みません。
中国やロシアが宇宙にロケットを飛ばせてもマトモな電気釜やウオッシュレット・化粧品1つ作れない・・これが訪日中国人の爆買いの原因です。
中国は重工業あるいは代表的家電製造技術を充分学んだので最早日本に用がないと誤解して反日暴動を仕掛けたのですが、人民の生活水準が上がって来るともっと裾野の技術が必要と漸く分って来たようです。
そこで、もう一度日本へのすり寄りが始まったのですが、工場誘致して現場で学ばない限り作れないのを理解していることは、中国は工場誘致に必死になっているのを見れば分ります・・民生分野の底上げをするにはまさに民度レベルにかかっています。
軽工業から重工業へと言う産業進化を学校では習いましたが、スパイ国家では重工業や宇宙産業が先に開発され、民生用軽工業は後回しになります。
中国の場合、国がロケットなどの超高度技術をスパイが入手している関係で、民間も知財や産業秘密剽窃になんら罪の意識が育たないようになっている様子ですが、具体的現場技術は、民生用工場や環境保護用の工場誘致によって、実地で学ばない限り身に付きません・・そこで工場誘致に必死になって自国民がどの程度まで作れるようになるかの挑戦に今や必死です。
ところで、技術だけはある程度のものを作れても最後は文化発進力の有無が決め手になりますから、中国が現在的な独自文化発信国になれるかどうかが重要です。
その点はどうか疑問がありますが、中国はアメリカと違い正面から挑戦・努力する意欲があるだけマシでしょう。
22日の日経新聞朝刊3pで工作機械大手ヤマザキマザック社長のインタビューが記事になっていて、中国向け工作機械は省力化投資に躍起の状態で受注が伸びているが、アメリカではこの2年工作機械受注が低迷していると出ていましたし、今朝の日経朝刊15pでは、日本の工作機械の中国からの受注は今年4月には前年同月比2、4倍と言う猛烈拡大になっているようです。
両記事を読んでいると中国は省力化投資について行けず淘汰される旧式設備企業や人材が余ってもそれはそれとして、兎も角近代化出来る工場から近代化させたい・・深圳特区同様に「やれるところからやって行く」前向き姿勢・・意欲が高い印象を受けます。
人口が多いから成功する企業が少しでも出れば、長期的に社会全体のレベルを引き上げられると言う姿勢のようです。
つぶれたり、失業するのは自己責任・・そんなことにお構いなし・・気にしていると国際競争に負けてしまう・・勝てる産業を1つでも二つでも先ず育てるのが先決と言う姿勢が垣間見えます。
これが中国産業のバイタリティーでしょう。
この結果国が分裂して別の国になるかどうなるかには全く関心がない・・元々国家・社会・「公」・の意識が育っていない宗族・血族意識が基礎になっている中国人には元々関心のないことです。

ロシアの台頭と資源(民族文化の有無)1

話題がズレますが、もう少しロシアの(独自文化のない)民族意識・・とは何か?という疑問について書いて行きます。
エルミタージュ美術館はドイツ諸候の娘であったエカテリーナ2世が(1700年代後半から、ナポレン戦争終わりまでの治世)ころにドイツ〜フランス、イギリスその他の収集家の持っていた「所蔵品をまとめ買い」する方法で蒐集を始めたことに始まります。
映画を見ていると成金になって文化も身につけようとしても自分で選別する能力がないので?、自慢の作品の多くは西欧の有名所蔵家の所蔵品を金にアカしてまとめ買いした印象です。自国文化の紹介でないのはもしかしたらイギリスまたはアメリカ系映画だったからかも知れません。
何を見に行くかを知らないまま、妻に連れて行かれる習慣なのでどこの映画会社だったかを見損なってしまいましたが・・字幕に頼ってみていますが、聞こえてくる発音は英語だったようでした。
エカテリーナ2世はトルコと戦いクリミヤを奪いウクライナの大半を領有し、スウエーデンと戦いバルト三国を吸収したり・ポーランド分割を主導するなど大活躍です。
シベリアでいつから金が産出されるようになったかネット検索には出て来ませんので根拠がありませんが、その資金背景を想像すると、約100年前のピョートル大帝がシベリアに版図を拡大した効果が現れている・資源獲得・・金産出によるバブルがあったからではないでしょうか。
金回りの良さが相次ぐ対外戦争を可能にし地位相応の立派な宮殿やこれを飾る絵画・彫刻などの文化導入の欲求となり、国内改革も進めていわゆる啓蒙的専制君主・トキのリーダーの一人に数えられるようなりましたが、アレクサンダー大王や漢の武帝など外征を積極化した王朝はその後兵役に徴用される庶民の発言力の高まりや不満が蓄積し財政的にも負の遺産を受けつぐのが普通です。
エカテリーナ2世は、「どうせ先のこと」だという気安さから、啓蒙的人気取り・・人民に期待をいd化せるなどキレイごとを言い過ぎたので、農奴たちも期待してしまい後継者が苦しんだと原因を作ったのではないでしょうか?
贅沢するとその後が大変なように、お金だけはなく人民を兵士等として贅沢に使い過ぎた・負の遺産を残したことになります。
イギリスが対日戦に協力させる為インドのグルカ兵に独立させるような甘言を弄して期待させたことが大戦終了後の独立運動の元になり、ユダヤ人に建国を約束したことが戦後アラブ対イスラエルの紛争の原因になったのと同じです。
上皇や藤原氏が武士をいいように使っている内に武士の発言力が高まって行ったのと同じで、人をタダでは使えないと言う当たり前の結果です。
ロシアもその後長期的に農奴らの地位向上慾をかき立てて・・欲求不満が高まるし・他方戦争ばかりで財政危機に見舞われるようになった・・エカテリーナ2世死亡後の19世紀後半以降は国内不満が渦巻きその矛盾解決(農奴解放しようとすると大貴族が反対するなど)に苦しんだ挙げ句に解決能力がないまま、ロシア革命に突入してしまいます。
政治と言うモノは矛盾した主張をどうするかの調整能力次第ですが、これがない民度だと暴発になります。
ロシア革命が一朝にして起きたのではなく、長期間の矛盾蓄積によるもの・・その十数年前の日露戦争当時にもその前兆の反乱があって(第一次ロシア革命とも言います)、止むなくロシアが対日講和に応じざるを得なかった経緯を見れば明らかです。
http://www.y-history.net/appendix/wh1401-114.htmlによれば、戦艦ポチョムキンの乱は以下のとおりです。
「1905年、血の日曜日事件で民衆を弾圧し、日露戦争を継続するツァーリ政府に対する不満は兵士の間にも広まった。5月には日本海海戦でバルチック艦隊が全滅し、大きなショックとなった。そのような中で6月、ロシア海軍の黒海艦隊の戦艦ポチョムキンの乗組員が反乱を起こして艦を乗っ取るという事件が起こった。」
日露戦争では初戦では連勝していましたが、既に継戦能力のなかった日本はこれで救われたのです。
日米戦争は途中で終わるために・・仲介してくれる国が想定出来なかったので、無理を言われても隠忍自重して来たのですが、最後に自重し切れずに開戦に踏み切った結果、最後まで戦うしかなくなったので完敗してしまいました。
戦を始めるときは双方ににらみの利く大国・上位機関がタオルを投げてくれる準備が必要です。
信長も都合が悪くなると、足利義昭や朝廷を動かして和議を成立させて時間を稼ぐのが普通でした。
話題がズレましたが、ロシアを見ると独自文化のない国が資源収入による成金→軍事力を持ったと同時に世界中から美術品を買い集めただけのような民族では先がありません。
現在もロシアは原油が安くなると途端に苦しくなる資源頼みの国です。
以下15年と16年で見ておきましょう。
(1)・・15年分では前年比35/7%減の速報ですhttps://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_russia_2015
販売台数速報 2015年
ロシア新車販売、12月は45.7%減、通年は35.7%減の160万台
・欧州ビジネス協会(AEB)が14日に発表した2015年12月のロシア国内新車販売台数(小型商用車を含む)は、前年同月比45.7%減の14万6,963台となった。通年では前年比35.7%減の160万1,216台となり、3年連続でマイナスとなった。
(2)16年分では11%減の速報です。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_russia_2016
ロシア新車販売、12月は1.0%減の14.6万台、2016年通年は11.0%減の142.6万台
・欧州ビジネス協会(AEB)が12日に発表した12月のロシア国内新車販売台数(小型商用車を含む)は、前年同月比1.0%減の14万5,668台となった。2016年通年の累計販売台数は前年比11.0%減の142万5,791台                       
中国が苦しいと言っても昨日紹介したように昨年は14%増以上ですし、アメリカも3%増(日本は飽和状態ですから更新需要しかありません)です。
ロシアは農業国家ですから、資源が下がってもベネズエラのように食うに困ることはないにしてもクルマの更新需要ほど庶民生活を正確に表す指標がないと思われます。
ロシアは日本の2倍以上の人口を抱えて年間需要が140万台規模で日本の年間販売台数の3分の1でしかなく、これから新規需要が増える途上国であるにも関わらず、15年は前年比35%も減り、原油相場が持ち直した16年でもなお11%も減少するとは異常です。
食品は10日も食わずに先送り出来ませんが、クルマの買い替え需要は、生活が苦しくなれば、6年に1回買い替えていた人が1〜2年先送りすることは平気ですし、この先自分も欲しいな・・と思っていた人が新規購入をためらう・・・・この結果売れ行きが落ちる・・新規需要による前年比増どころか、更新需要の多くが先送りされることほど景況感を良く表す指標はありません。
ベネズエラほどではないにしても、原油価格の上下に連動してロシアのクルマ販売の落ち込みが激しい・・ロシアは資源国家経済の比重が高い点に注意すべきでしょう。
独自文化のない国の将来は限られます。

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