トランプ氏がアメリカの貿易赤字を問題視していますが、特定の対米黒字国を叩いてもアメリカ人の消費を減らさない限り・モグラ叩きゲームと同じで赤字は減らないというのが経済学の帰結と言われています。
ただし上記は、いわゆるネット上の評論であって、日露戦争時の7博士意見書同様で部分的な現象を拡大して論じている無責任・一方的意見のようにも見えますが、本当のところ素人の私にはよくわかりません。
素人の私の疑問をここに書けば、内需を減らさない限り赤字は減らないという意見はわかったようでわからない・・一面から言えば国内生産以上の内需があるから赤字になるというのはその通りでしょうが、これを逆から見れば内需に見合った国内総生産・職場を増やして行き国際収支均衡に持って行く政策もあるという事です。
米の生産量が100トン足りない時に100トン輸入している時に、みんな少しずつ食べる量を減らして生産量と均衡させるか、国内の休耕田の売り100トンに匹敵する面積の作付けを許可して100トン分の生産を増やして、100トンの輸入を減らすかの2パターンが単純でわかり良いでしょう。
上記は需要見通しの誤り(天候不順による凶作)によって不足が生じて臨時に輸入をふやした場合には翌年増産すれば良いことで簡単な話です。
各種産業のトータル輸入超過の場合には、単なる見通しミスではなく国際競争力がないことによって、輸入品に国産品が押されて、いろんな分野で徐々に輸入が増えた結果赤字になっている場合に、簡単に国内増産をすれば良いと言っても(輸入品に負けていて)売れなければ、増産できません。
国内生産品の国内消費を(輸入品に負けないように)どうすべきか?、あるいは輸入額をそのままにして、輸出商品(得意分野)をもっと増やすにはどうすべきかの問題解決・処方箋は産業別に違ってきます。
この種実務的・・地に着いた議論は難しいので、この種議論を端折って「消費を減らせばいいんだよ!」と大雑把で大胆な!意見をネット上で吐いているものと思われます。
ネット上議論とかバラエテイー番組等では、何でも単純化して一刀両断「ずばっ!」が売りです。
専門外のことでよくわからない視聴者には、ああでもなくこうでもないとこねくり回す議論を聞いていても訳が分からなくなり聞いてられません・・素人や高齢者は(途中の議論はいいから・・と)すぐに結論を知りたがる傾向があります。
単純意見は分かり良くていいでしょうが、単純結論だけ求める議論展開になると、フラストレーションのあるテーマの場合、つい、「そんなの無視すればいいんだ!」「黒字国からの輸入を制限すればいいんだ式の「スカッとする結論」・対外強硬論を煽る意見に飛びつき易い傾向があります。
これが日露戦争以来、世論という名の単純・乱暴な意見が政局を煽りその都度政治を対外強硬論へと暴走させてきた原因です。
雨が降ってきたときに「傘を持っていくべきか雨合羽が良いか」の議論しているときに、「出かけなれば濡れないよ!と言うのは卓見のようでいて、出かけねばならない時の現実解決解決力のない道家的発想です。
平和論争も同じでどうやって平和を維持するかの難しい問題を端折って、「争わなければいいんだよ!」というのに似ています。
為政者としては内需を減らして貿易赤字を減らしていくのでは、国力の縮小再生産に陥るので、内需に見合った国内生産力維持ないし復活を図るのが合理的です。
「内需を減らせば良い」という縮小再生産的対応では、長期的に国力低下が免れない・・国民が不安にならないか?が素朴な疑問ではないでしょうか?
例えば1000億円分の超過内需=赤字の場合、赤字分の内需を減らせば収支均衡するに違いない・・例えば収入減に合わせて支出を切り詰める家計と同じで・均衡だけを求めるならば、それも一つの意見ですが、個人家計でも立ちすくんで食事の量を減らすだけでは将来がありません。
扶持米では生活に足りなくなった幕府御家人が傘張り等の内職に努めたように、一時帰休などで賃金カットになれば転職したり、副業を探すとか奥さんが働きに出るなど打開策を講じるのが普通ですが、国家の場合なおさら並行して収入をふやすために努力する方が健全です。
国家の場合、内需を単純に1000億円仮に減らすと同額規模の内需関連産業も縮小し内需関連業者や従業員の収入も減少する縮小スパイラルに陥りますが、内需をそのままにして輸入を減らしてその分国内生産に置き換えられれば、国内生産関連拡大の内需拡大誘発効果と相まって健全な展開になります。
貿易赤字を減らすには、内需をそのままにして国内総生産を増やす方が長期的に見て合理的ですが、そのためにはどうするかの処方箋の問題です。
国内技術者養成→国内産業の自力勃興ないし復興を待つか、後進国の国内産業保護政策のような強権発動に頼るかの違いでしかありません。
後進国の場合キャッチアップするまでの保護期間で離陸できる・・「中進国の罠」と言われるように中進国まで這い上がるにはかなりの国に可能性があることが多いので一定の国内産業保護が合理的なのでWTOルールでも認められています。
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/wto/wto_agreements/kyoutei-gaiyou.pdf
(2)基本原則に対する例外
第一に・・・・・・
第二に、各国の経済の発展段階に応じて考慮する措置を設ける必要があることである。
この観点からWTO協定では、前述のとおり関税による国内産業保護を許容するだけでなく、規律に対する様々な途上国例外も設けている。
発展途上を個人に当てはめれば、将来のある若者に対して学業を修める期間や就職後も(すぐ一人前に働かせないで)新人教育が必要なように小学生や中学生〜新入社員の頃から、経験豊富な中堅社員と対等な競争をさせると潰れてしまいますので研修チャンスを与えたり実務経験を積ませていくのが必要です。
これを発展途上国にも与えるのは公平であり合理的です。
高齢者が新技術や新思想・・例えばセクハラパワハラ等の基準が変化して行くのに適応出来ない場合、新技術や新基準習得を応援するのは良いことですが、その再教育期間中堅若手の採用や抜てき(適材適所配置)を先送りすべきではありません。
保護政策は、時間があれば追いつく能力のある国や青少年のために学習チャンスを与えるものであって、能力の落ちてきた高齢者が若手中堅が追いつくのを妨害するために・自己保身に使うと老害そのものであってマイナス効果しかないでしょう。
成熟国〜衰退の始まった国の場合、保護貿易・輸入制限政策は問題の先送りに終わるのが普通と思われます。
高関税その他輸入制限はまだ元気で競争力のある(輸出している)国内産業まで適正コストの部品等の利用制限・・割高部品利用強制になってしまいます。
トランプ氏の発動した鉄鋼・アルミ製品一律25%の高関税は、日本得意の高張力鋼板は米国内で生産できない為に輸入価格が25%高くなっても仕入れるしかなく、結果的に米国民は割高な車その他製品を買うしかなくなると言われています。
代替品を国内でも作っている場合・・国内市場占有率輸入品4〜5割の場合でも、それまで輸入品に5〜6割食われていた=食われていた分国際競争力がない→国内製品は高いのか性能的に劣るのか?ということですから、これが25%の価格下駄履きの結果国内品比率が上がる場合、ユーザーにとって言わば一種の不良品購入を強制されるような結果になります。