以下に日韓を比較した統計を紹介しますが、これを見ると証拠や学問的知見が出そろった後に合理的説得を受入れる和解成立率が、日本では何十年も前から(多分戦前からそんなに変わっていないでしょう)約5割前後で安定しているのに対して、韓国では1990年の10%から始まって1%〜4%〜5〜6〜2%と続き、多くても11%に過ぎない・・圧倒的に低いことが分ります。
一旦被害感情を持つと被害意識で凝り固まってしまい、合理的説得を受入れ難い国民性がココに現れています。
日本の場合基本が話し合い社会ですから、訴訟上のルールがそれぞれの専門分野で決まって来ると、この判例ルールを利用して訴訟前に訴訟で出す予定の同じような証拠資料を集めた上で提起までに事前の弁護士間交渉が始まります。
これによって、裁判をした場合と同様に双方手持ちの証拠検討によって、一定の結果が見えることから、訴訟前の合意が成立する率の高い社会になっています。
私の事務所でも医療過誤や労働事件その他多くが事前の弁護士間交渉によって解決しています。
事前和解成立率こそが本当の民度を見るバロメーターですが、これはなかなか統計に現れません。
ただ、一定の医療水準で治療している場合、医療事故率にそんなに差があるとは思えない(ある国の医療水準が低いとしてもその水準で国民は満足していることになるので、不満は同じ比率しか起きない)ことから、医療ミスの不満率・紛争率は医療技術水準に関係がないでしょう。
紛争発生数の母数になる医療利用率については、豊かさや保険制度の普及度に比例する傾向がありますから、現在でも賃金水準が日本の約半分(20年前ころには人件費が約10分の1とも言われていました)以下の韓国の方が受診率が低いので・紛争発生率も低い筈です。
まして高齢化も日本の方が早く進んでいます。
人口比受診率の高い日本の場合,本来は受診率の低い韓国より人口比多くの紛争・不満が発生している筈です。
上記のように考えると日本は韓国に比べて訴訟提起前の話し合い解決率(権威による裁定がなくとも、合理的話し合いによる)が高くて、提起率が(17日に書いたように人口比で)韓国の半分以下になっていることになります。
医療ミス率が同じとした場合、訴訟提起率が人口比で半分以下で、しかも和解成立率が高いのが我が国の特徴・・これこそが具体的な民度格差の例証でしょう。
http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/bitstream/10519/438/1/r-ho_041_04_006.pdf