集団自衛権3(自衛力1)

スポーツでも夫婦喧嘩でも(昔から腕力のない女性集団に取り囲まれると乱暴な男がスゴスゴと引き下がるように)外野の応援団が多いほうが良いに決まっていますので、共闘してくれないまでも、応援団を増やす努力が重要です。
外野応援団のうち一人でも止めに入ってくれたらありがたいのが現実です。
日露戦争では、英国による武器弾薬の供給などの応援(共闘してくれた訳ではありません)が効き、しかも講和条約の設定までしてくれたものですし、日米戦争では東南アジアに破竹の進撃をしている「いいときに」止め役がいなかったので、最後まで行って完敗に追い込まれてしまった違いです。
ただし、日露戦争の場合、日英同盟のみによって講和条約になったのではなく、ロシア自体の内訌・第1次ロシア革命・・「戦艦ポチョムキンの乱」など総合的なものも大きかったので、緒戦で有利に展開し同盟していれば講和ができるとは一概に言えません。
http://www.y-history.net/appendix/wh1401-114.html

第1次ロシア革命
1905年1月、日露戦争の最中、ペテルブルクの王宮に労働条件の改善、国民議会の開催、戦争中止などを請願した労働者・民衆に対し、軍隊が発砲したことから起こった「血の日曜日」事件をきっかけに、その政府側に国会の開設などの改革を実行させた革命。
1905年、血の日曜日事件で民衆を弾圧し、日露戦争を継続するツァーリ政府に対する不満は兵士の間にも広まった。5月には日本海海戦でバルチック艦隊が全滅し、大きなショックとなった。

日米戦争ではアメリカは圧倒的戦力を有していたので、もともと緒戦で負けておいてから報復と称して国民の反日感情を煽ってから巻き返す予定であったことが知られており、仮に日英同盟が残っていても英国は仲裁役にはなれなかったでしょう。
対中防衛戦では同盟や応援団の役割はどうなるでしょうか?
これが現在日本での最高関心事です。
中国が、内政矛盾を誤魔化すため冒険主義・対日侵略戦争に走る場合、短期間の攻撃で日本が屈服してしまい交渉にすらならない場合は別として、一定期間日本が自力で奪回できれば、日本の応援団の力で交渉開始になります。
すぐに奪回されれば、中国がもともと内政矛盾を解決できずにに対外博打に討って出るのですから、・・・ロシア革命時同様に中国内政矛盾が吹き出して大混乱に陥るリスクがあります。
フィリッピンの場合国際応援団の力が及ばない内に中国に屈服してしまった・・応援が遅過ぎたということでしょう。
中国として侵略行動を突然開始→無防備の離島をいくつか占拠できますが、その後日本の反撃を何日間〜何週間、何ヶ月妨害して「占領の既成事実の構築ができるか?」が勝負になります。
逆に日本が何ヶ月も奪回できない・ジリジリと日本が押されて逆に占拠される離島が増える状態で(これ以上占領地域が増えないように)国際仲裁が入ると、「現状停戦」が仲裁の普通パターンですから中国の作戦は成功になります。
現在ロシアによるクリミヤ完全併合〜ウクライナ戦線がこの状態です。
数年経過して次の離島占拠のパターンを繰り返して中国領海・制海区域をじりじり広げていくやり方になると、日本は台湾方面を経たアジア航路を利用できなくなりジリ貧どころか急激な国力低下になり、中国に全面屈服するしかなくなるでしょう。
中国は、日本攻略のためには日本の短期的な抵抗力/奪回能力減殺に必死ですし、この意を受けた日本国内呼応勢力は、如何にして米軍の行動を縛り、自衛隊の抵抗力強化を妨害するかに知恵を絞り精出している傾向が窺えます。
長期的には兵器水準は模倣の結果国力比例していくでしょうから、戦力比は同レベル性能兵器・練度とした場合、優劣は航続時間・戦場との距離に反比例しますから、出撃基地をいかに近くに置くかで決まります。
日本の場合南北に領土が散らばっているので、専守防衛・・離島防衛には遠くから行くしかないので不向きになっています。
尖閣諸島でいえば沖縄本島からでも片道400キロ前後もあるので、単純往復だけで約800キロの燃料消費ですから、現地滞空時間がその分短くなる・これをいかに減らすかが重要です。

現在でも日々の不法侵入漁船?対策に海上保安庁の巡視船が出動し、自衛隊のスクランブル発進が増えていますが、400キロも彼方なので往復に長期間要している不都合(財政的にも巨大出費)があります。
東京都のホームぺージです。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/senkaku/gaiyou.html

尖閣諸島は、南西諸島西端に位置する魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖ノ北岩、沖ノ南岩、飛瀬などから成る島々の総称です。沖縄本島から最も大きな魚釣島まで410kmの距離があります。

https://matome.naver.jp/odai/2140592031414042501によれば中国空軍基地との距離は以下の通りです。

台湾・尖閣諸島有事で最前線基地になる水門飛行場とは【中国・東シナ海】
更新日: 2015年03月08日
台湾国防部は、中国が場所的に適さない山間部に飛行場を建設した理由について、東シナ海に出現する米国と日本の戦闘機、軍艦などに効果的な攻撃作戦を展開するためと分析している。水門飛行場は、中国が日本と領有権を争っている尖閣諸島(中国名・釣魚島)、ガス田「白樺(しらかば)」(同・春暁)までそれぞれ380キロ、200キロの距離にあり、7-12分で紛争地域まで戦闘機が到達できる。同時に配備されたS-300防空ミサイルは、日本の自衛隊の主力戦闘機F15、F18などに対処するためとみられている。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1035102995によれば自衛隊戦闘機の航続距離は以下の通りです。

F-15DJ:2,800km(内部燃料タンクのみ)、4,600km(増槽3本)、5,820km(増槽3本+CFT装備)
F-22:2,775km(内部燃料タンクのみ)、2,963km(増槽2本)

そこで日本は少しでも近くに基地を設置して往復時間の消耗を減らすために、尖閣諸島まで170キロに位置する石垣島への自衛隊基地配備計画を政府か進めています。
距離が2分の1になれば現地往復時間が2分の1→同じ航空戦力でも現地滞空時間が伸びる他に発着基地が近づけば緊急時現地到着時間がその分早くなる計算ですから、親中韓派にとっては何が何でも石垣島基地建設に反対したくなる理由がわかるでしょう。
https://www.yaeyama-nippo.com/特集/自衛隊問題

石垣島への陸上自衛隊配備問題で、石垣市議会一般質問では20日、与野党3人が賛成、反対の立場から中山義隆市長の見解をただした。野党と市長は、自衛隊が抑止力かどうかをめぐって激論を交わした。
野党の小底嗣洋氏は「中国を仮想敵国として防衛体制を取って、下手に相手を刺激することは得策ではない」と配備反対を明言。「石垣島に地対空、地対艦ミサイルを配備しても、中国はそれ以上の弾道ミサイルを持っているから、抑止力にはならない。(石垣島への配備は)むしろ火に油を注ぐ」と持論を展開した。

上記反対論は、自衛力強化に反対してきた勢力が、いざとなれば自衛隊が弱くて抑止力にならないから戦わずして負けてしまった方が良いと言わんかのような論法ですから、いわゆる非武装平和論の底の浅さを表明したもので、具体的危機が迫っている現在、どうやって国土を守るかについての真面目な議論になっていません。

集団自衛権2

海賊を操っていると見え見えの背後の特定国に抗議する・あるいは、共同取り締まり強化を求めると「海賊行為に我が国は全く関与していませんが、取り締まり強化には検討しましょう」と言いながら、「そんなことよりも我が国が1ヶ月前に要求したことに対する回答はどうなっているか?」の質問をぶっつけてくる→その要求を日本が飲むとすぐに海賊行動が2〜3割減る・・・数ヶ月後にまた新たな要求が来る→日本が応じない→海賊行為がまた増えてくるの繰り返しになるとどうなるかです。
ソマリア沖の海賊のように世界中の船舶が標的になると世界が海賊対策に協力するでしょうが、日本だけイジメにあうような状態にされると中国が怖いので他国は関わりたくないとなって日本だけがイジメられ放題になります。
学校のいじめ事件でいじめられっ子が孤立する仕組みの国際版です。
現在でも南シナ海での中国軍事基地化で本当に困る(死活的利害がある)のは日本と台湾だけです。
(アメリカが国力低下で警官役を十分に果たせなくなれば、韓国は航路妨害以前に中国の軍門に下っているでしょうから、問題ではありません)
南シナ海で領海問題で対立するフィリッピン自身は、実害としては国家安全保証の問題でなく漁業権の問題にすぎませんから、その損害を上回る補償や各種優遇措置(対フィリピン嫌がらせの緩和)さえしてくれれば、有利な取引材料になる程度に考えているでしょう。
だから、中国の硬軟両用の「脅し、スカし」(バナナ輸入妨害緩和)にすぐに応じてしまったのです。
まして利害のない諸国が時の覇者中国の機嫌を損ねてまで、日本の応援をするとは到底思えません。
リーマンショック以降西欧諸国は中国市場の巨大さに引き寄せられている・・アメリカも中国市場に吸い寄せられている点は同じですが、母体の規模が大きい分抵抗力が西欧より大きいので航行の自由作戦実施で日本を応援してくれている状態です。
1月21日の日経新聞朝刊1pにはシンガポール大物外交官が小国には小国の立場があると提言して中国になびく姿勢を示して大き問題になっていると書いています。
背景には台湾での演習に参加したシンガポールの装甲車が帰りに立ち寄ったか?香港で中国に捕獲されてしまった事件があるとのことです。
中国は間接的嫌がらせにとどまらずで直接の実力行使する露骨な姿勢を明らかにしていて、小国はナスすべもない状態が始まっています。
公海に軍事基地用の埋め立て工事を始めた時にその工事差し止めの実力行使ならば、運搬船の通行妨害程度は容易(ケネデイーのキューバ危機事件同様)ですが、埋め立てが終わってからの上陸・破壊作戦では、本格「戦闘行為になるのでとても無理」と言われていたのに、工事進行を黙認しておいてほぼ完成後に航行の自由作戦とやらを始めたのですから、もともと(中国を含めて)どこの国もアメリカの本気度を信用しなくなっていたのです。
アメリカは断固として埋め立て作業を中止させるのかという国際世論の期待を裏切ってやったことは現地を遠く離れた海域の「航行の自由作戦」というだけで大したことがない状態・・既成事実化が進む一方です。
やっていることは、肝心の海域の遠くを航行するだけでいかにも及び腰程度なので、これではアメリカは頼りにならないとアジア諸国は思ったでしょう。
この結果を見て「アメリカ頼りにせず」とばかりにフィリピンは中国になびくし東南アジア諸国が中国を名指ししない航海の安全を求める程度の決議さえ出来ない状態になっています。
1週間ほど前のニュースでは埋立地を中国領土とすれば12海里内の海域を初めてかな?米軍イージス艦が航行したと出ています。
アメリカがあまりにも中国への遠慮が過ぎると信用がなくなってしまうと思い直したのでしょうか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25953070Q8A120C1EA3000/

【北京=永井央紀】中国外務省の陸慷報道局長は20日、南シナ海で中国が主権を主張するスカボロー礁(中国語名・黄岩島)から12カイリ以内の海域を米軍艦が17日に航行したと談話で明らかにし、「強烈な不満」を表明した。米側は公表していないが、南シナ海で中国の軍事拠点化に対抗する「航行の自由作戦」を実施したとみられる。トランプ政権下では2017年10月以来5回目となる。
1昨年だったかニッポン訪問の英空軍機が南シナ海上空を飛行してくれましたが・・。
どこの国も付き合い程度の行動をするのがやっとというところでしょう。
かつての世界帝国・・英仏両国の動きです。
https://jp.reuters.com/article/britain-southchinasea-fighters-idJPKBN13R0MQ
2016年12月2日 / 17:01 / 1年前
英、南シナ海で戦闘機飛行へ 20年に空母も太平洋派遣
ワシントン 1日 ロイター] – 英国のキム・ダロク駐米大使は1日、日本に派遣している英空軍のタイフーン戦闘機に南シナ海上空を飛行させ、2020年に就役する空母2隻を太平洋に派遣する見通しだと述べた。南シナ海での航行の自由を守るのが目的だという。
南シナ海や東シナ海における中国の動きをめぐって緊張が高まる中、英国は10月、自衛隊との演習に参加させるため戦闘機4機を日本に派遣していた。

1月26日日経新聞朝刊4pには、日経新聞の取材に対する応答としてフランスも南シナ海の自由航行のために「軍艦の航行を18年も続行する」の発言が報道されていました。
取材ですから政治家特有のいろんな意味に読める表現を取材記者+録音を分析したバックの編集部が総合情勢を勘案してどのようなニュアンスに受け止めたかによるので、必ずしも正確ではありません・・。
このような憶測報道を出回らせておいて中国がどのように反応するかを読み切った上で、仏政府が帰路の直前に最終判断するので物事は誤報だったかどうかは一概に言えません。
従来あまり報道されていませんでしたが「続行する」ということは、今までも日仏共同演習をやっていたようです。
これまで小規模な日仏の共同軍事訓練を継続してきたが、今年は離島上陸演習まで踏み込んだ本格的なものに格上げされるような(これも期待先行?)報道です。
尖閣諸島等の離島防衛(無人の島全部に守備隊を事前配置・維持できません)は困難なので、先制的上陸されるのは防げない・・一時的に占拠されることを前提にした離島奪回作戦が日本の基本方針ですから、上陸戦の共同演習=奪回作戦を共同で行ってくれるのは心強い限りですが、いざ本番になると本当に共同戦闘までしてくれるかは別問題です。
あてにならないとしても、いざとなったら応援してもらえるように受け皿としての共同演習を繰り返しておく必要はあるでしょう。
安保条約のあるアメリカでさえ、イザとなったらあてになるのか?(せいぜい「後方支援するだけ」と言うのが本音でしょうか?)という心配で、日本はヤキモキしている状態ですから・・。

憲法学とは?3(集団自衛権1)

自衛のための軍事力を持つと相互にヒートアップする一方になるから軍拡競争になって危険だという古典的主張が普通ですが、北朝鮮の事例を見ると前からこのコラムで書いている私の小規模核武装論の正しさが証明されていると思われます。
自衛目的の核武装であれば軍拡競争する必要がなく、超大国が数百発の核弾頭を持とうが、数千発持とうが、弱小国が自国を守るための抑止力としてはちょっとした反撃に必要な数十発程度持っていれば十分です。
本来1〜2発大国へ打ち返せば十分ですが、大国による先制攻撃で発射装置が使用不能にされるリスクがあるので隠密裏(対米抑止力でいえば太平洋中幅広く)に逃げ回っておく予備弾頭保有が必要ですから今の段階では数十発以上となります。
相手が数百〜数千倍の量を誇ってもあまり意味がありません。
このように自衛オンリーであれば軍事予算も最小ですみ、他方超大国の大量兵器保有維持は無用になるので、保有兵器縮小に向かうはずです。
もともと、一定の抑止力保持が攻撃を抑止することは昔から常識的に知られていました。
大して強くなくとも男が一緒にいれば夜道でのかっぱらいや強盗行為を事前に思いとどまらせる抑止効果があります。
路上ひったくり等の被害者に無抵抗が予想される女性が多いのは、この原理を表しています。
夜道では女性一人でなく集団で歩いたり、弱くても母親が子供を迎えに行くことが多い理由です。
非武装論は塾から暗い夜道を歩いて帰る子供を母親やお父さんが迎えに行く必要がないという意見と同じでしょうか?
ドアーや鍵をいかに厳重にしても時間をかければこじ開けられない鍵やドアはありませんが、時間をかけさせることで泥棒は嫌がって寄り付きませんし、お城の場合時間を稼げば応援部隊の到着を期待できるから守りを厳重にしているのです。
正しい方は危害に直面すれば助けを呼べるのが普通ですから、子供の場合助けを呼ぶ能力もないので母親が一緒にいることが必要なのであり、呼ぶ力を含めた一定の抵抗力さえあれば間に合うし、襲う方はリスクが大きいのでよほどのことがないと手を出しません。
このように自衛力とは多くの場合抑止力保持の問題であり、相手の戦力の何割以下で間に合う筈ですから、相手が何割減しか持っていなければ強い方も侵略意図さえなければ、ほんのちょっと多く持てば体面を保てる?ことになり、必要以上持つ意味がなくなるので軍拡どころか縮小競争になる筈です。
思想の自由に戻します。
国家転覆まで言わなくとも、対日テロ組織を応援するために「どうしたら日本でテロを成功させるか」「テロ要員養成方法」などの研究発表の自由がある・処罰法がない以上、いくら研究発表しても良いという人がいるのでしょうか。
思想の自由・国家が思想を差別すべきでないという理由で国税で賄う国立大学教授が、「人殺しを巧妙にやる方法」などの研究に精出していて良い・研究費の助成をすべきでしょうか?
生命の危機にあっても「自衛する権利がない」というような思想ってどういう論理があるのか私には理解不能です。
憲法学者には(私のように理解力の低い弁護士を含めた)一般人に理解不能な高尚な理屈があるのでしょうが、一般人には高尚すぎて理解出来ない・国民の生存本能として「襲われて殺されそうになれば、叶わぬまでも相手の手首や指に噛み付いたり抵抗したい」ものです。
(オーム真理教によって殺害された坂本一家殺害事件では坂本弁護士の奥さんが殺される寸前に相手の指を噛み切っていたと言われます)
危険が迫れば、警察に相談し、巡回を増やしてもらい自宅の施錠を厳重にするのが普通です。
この基本的精神・国民の信念こそが、憲法条文に仮に明記していなくとも政府・国民の守るべき「実質的意味の憲法」と言うべきでしょう。
条文上も生命身体の自由を守るのは国家が「最大の尊重」と書いています。

憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法学者とこれを応援する人権派弁護士は我々一般人の理解不能な高尚な屁理屈をこね回して、人として犯してはならない「実質的憲法」違反行為を誘発する論理展開しているように見えます。
憲法学者の7割もの人が、日本民族約97%が支持している「実質的意味の憲法観」を共有していないのでしょうか?
日本がミサイル迎撃システム強化を発表すると、すかさず中国が日本の軍国主義化を批判するのですが、日本の憲法学者は日本人の多くとは価値観が合わないが中国とでは価値観が一致しているということでしょうか?
ところでこれまでの自衛論は、大声で助けを呼べば誰か来てくれる・自宅のドアーを頑丈にして守る程度ですが、この自衛論は、すぐに警官が救出に来てくれる前提の自衛論です。
アメリカが世界の警察官をやめた場合、いつまでも自宅に長期間篭ってばかりいられないので、必要な外出をどうするかの問題が起きてきます。
一歩外に出れば一定の危険がある・・個人生活で見ても暖房がないし雨も降るので、コートを着たり傘を持つように外部環境に備えるのが普通です。
自衛隊違憲論者や平和憲法死守運動家や護憲運動家の意見によれば、軍備保有=侵略国家になるようですから、この伝によれば日本周辺は日本を侵略したい国々ばかりひしめいていることなります。
ところで自衛隊合憲論者でありながら、領海外での集団自衛権否定論は首尾一貫しないように見えます。
領海外での自衛行動が出来ないとすれば、自宅の戸締りができても一歩も外に出られないほど危険な社会になっても、家の外では自衛することも許されないという論理でしょうが、そうなれば日々の買い物にも仕事にも学校にも行けないので1〜2週間でまいってしまいます。
国家単位で見れば、これまで米国が世界の運輸・航路安全を保障してくれていたのですが、今後インド洋や東南アジアや南シナ海のシーレーンで航行の自由を阻害されるようになると日本経済が存続できるかの瀬戸際に直面します。
特定国が、この航路で日本向け貨物だけ止めた上で日本に無理難題を要求してきても、これを受け入れるしか無くなる事態になればどうするかです。
全面的に航路を止めなくても、国籍を不明の海賊船を多数送り込んでしょっちゅう日本向け船舶のみ狙って略奪や乗務員殺害を繰り返すようになった場合どうなるでしょうか?
日本向け輸送だけ護衛船団が必要となれば、コスト増になり他方で諸外国にとっては日本向け用船料アップ要求になり、交易条件が非常に不利になります。
今の尖閣諸島近辺の状況を見ればわかるように、中国は公船や漁船と称して日本の海上保安庁の船の何十倍?もの船を海上保安庁の周りに動員して群がっています。
これを海賊と称して武装化して南シナ海やインド洋などで日常的に輸送船の周囲に群がり襲撃を繰り返すようになると、日本の海上自衛隊独力では守り切れない事態が起きてきます。

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

ところで、17日に見た通り朝日新聞調査回答者中自衛隊合憲論者だけで見れば、集団自衛権は違憲という意見が19人中8人で過半数に足りないのですが、朝日新聞はもともとの違憲論(違憲運動している者の回答率が高くなるのは当然です)を合わせて7割が集団自衛権を違憲と言っていると発表していたことが17日の紹介記事でわかりました。
このカラクリを知られたくないから?朝日新聞は基礎になる自衛隊合憲違憲のデータを第三者に指摘されるまで公開しなかった疑いが持たれます。
アンケートの一般的方式/ルールで言えば、「前問で『自衛隊合憲』と答えた人のみ次の問い(こういう場合にも合憲ですか、違憲ですか?という問い)に答えてください」とするのが普通の方式です。
朝日の調査では、前問で「自衛隊違憲」と答えた人にも、次の問い(集団自衛権の合憲違憲)に答えさせていることになります。
前問で違憲回答した人に、次問で集団自衛権の合憲違憲を聞けば違憲の回答になるのが論理的帰結です。
虚偽報道ではないとしても国民を誤解させかねない調査報道の仕方ではないでしょうか?
正確には自衛隊合憲論者の半分近くが違憲と言っているという発表であるべきですし、自衛隊を合憲と考えている8割の国民は自衛隊合憲論者がどう考えているかを知りたがっているのです。
元々の自衛隊違憲論者が集団自衛権になおさら反対しているのは当然すぎますから、彼らが(違憲論者が)違憲と考えているか知りたい国民は滅多にいません。
学者相手ではない集団自衛権賛否の一般的調査では以下の通りです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39362によれば以下の通りです。

2014、5、26 髙橋 洋一
5月19日の産経新聞「7割が集団的自衛権を容認」、12日の読売新聞「集団的自衛権、行使容認71%」、19日の毎日新聞「集団的自衛権 憲法解釈変更…反対56%」、4月22日の朝日新聞「今国会で憲法解釈変更『不要』68%」
集団的自衛権行使に積極な二紙では賛成が多く、消極的な二紙では逆に反対が多いという、絵に描いたような世論調査結果だ。
もっとも、その理由は明快だ。
世論調査の際、集団的自衛権の定義の違いと答えに「最小必要限度」を入れるか、どうかである。
まず、集団的自衛権の定義では、産経・読売では「密接な関係」「反撃」となっているが、毎日・朝日では「同盟」「戦う」と表現が違っている。
ただし、「日本への攻撃とみなして」は共通だ。答えに「最小必要限度」を入れるかについては、産経・読売は、「最小必要限度」の限定的な行使を含めているが、毎日・朝日は含めず二者択一だ。
必要最小限度」を入れるか否かで結果は変わる
集団的自衛権については、そもそも論から考えたほうがいい。4月28日付(→こちら)と先週の本コラム(→こちら)において、国際法では、国家間の個別的・集団的自衛権は国内の個人間の正当防衛と同じで、英語では自衛も正当防衛もともに self defenseということを紹介した。
日本の刑法36条をみれば、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」(第1項)と、他人を守ることも含まれており、これは世界共通だ。この「他人」を「他国」と置き換えれば集団的自衛権である。もちろん、個別的・集団的を問わず自衛でも、正当防衛で過剰防衛になっていけなのと同じように、いろいろな制約がある。この意味で、集団的自衛権(もちろん個別的自衛権も)は、「必要最小限度」で限定的なものだ。
こうした国際法の観点から見ると、産経・読売のほうがまともにみえる。毎日・朝日の集団的自衛権は、戦争そのものととらえているのではないか。正当防衛を認めず、人に反撃を加えるだけで、傷害罪・殺人罪を適用するといっているのに等しい。」

上記によると、一般国民は、集団自衛権であっても質問方法によっては7割も必要としているというのです。
もしも自衛隊そのものの合憲・違憲の世論調査をすれば、合憲意見がその上を行くことは明らかです。
このように調査設問するには、具体的条件設定の重要性がわかります。
自衛隊違憲合憲の意識調査では、周辺状態の危険性は常識ですからメデイアが設問方法でごまかせないから、実態に合わせた常識的意見になっているのではないでしょうか?
朝日新聞や憲法学者は(無制限に戦争参加できるかのような質問形式)前提なしの違憲論を宣伝しているように見えます。
ところで、国民の8割が自衛隊合憲と一般化されていますが、ネット検索する限り(検索能力が低いから)メデイアの世論調査結果がなかなか出てきません。
内閣府による自衛隊に関する意識調査の変遷です。
https://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-bouei/gairyaku.pdf

(2) 日本の安全を守るための方法
問13 では,あなたは日本の安全を守るためにはどのような方法をとるべきだと思いますか。
この中から1つだけお答えください。
現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る
平成24 年1月     平成27 年1月
82.3%   →   84.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊だけで日本の安全を守る
7.8 →      6.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊も縮小または廃止する
2.2% →      2.6%

ようやく内閣府の調査が出てきましたが、(ちょっと古いですが)これによれば上記の通り国民の97%以上が自衛隊存在を前提に回答していることからも自衛隊違憲論は少数であることが推測されます。
一般的に国民の自衛隊支持率は8割以上と言われていますが、どこにデータがあるか世論調査がネットには簡単に出てきません。
政党では共産党しか違憲主張がないのに国民の2割も違憲論があると言う一般化自体おかしいように思っていましたが、上記調査では自衛隊縮小論が2、6%となっており、この中には自衛隊違憲論者多数と見るべきでしょうが、国民の2割もいません。
以下に紹介する共産等プラス社民党支持率とほぼ一致しています。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics-support-politicalparty

政党支持率、自民は28.1%=時事世論調査※記事などの内容は2018年1月19日掲載時のものです

集団自衛権違憲論2(学者意見とは?)

昨日書いたように法律にはABCなどのいろんな解釈が成立するのが普通です。
いろんな説が成り立ち得るのに、特定立場でD説しか成立しない・・これを前提に「憲法学者がこう言っている」という宣伝をした上での抽象的世論調査は、言わば不当誘導的な調査になります。
そもそも真面目な学者が具体的条件不明の段階で根拠のあるA〜B〜C〜D説などの内、D説しかないと断定的学説を定立できるとは思えません。
関連法機整備の仕方によっては違憲になり得るから危険だ!だと言う場合には、違憲法案だと断定意見を言うのは行き過ぎです。
「車は事故が起きることがあるから禁止せよ」と言うのと同じ論法です。
法律文言で「他国侵略せよ」という書き方はあり得ないので、結局は「防衛目的といっても運用でどうにでもなるのが危険だ」という程度とすれば、昨日書いた通り公務員が違法行為をする前提意見ですから、代議制民主主義や司法制度によるチェック機能を無視した意見になります。
正当防衛の例で言えば、事件ごとに事情が違うのに前もって「こういう場合には正当防衛に当たらない」と確定的に言える人がいるのでしょうか?
我々弁護士でいえば受任当初に事件の概要を聞いて、「もしかしたら正当防衛の主張でイケそう」と言う場合でも、相手方や目撃者の主張や客観事実を総合しない段階では正当防衛を主張して良いかどうかすら判断できません。
公判前整理手続きを重ねて検察官の手持ち証拠開示を求めるなどして、弁護側主張を固めていくのに半年単位の時間がかかる事件はざらにあります。
以下は公判前整理手続に要している平均月数です。https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2016/2-6-3_tokei_2016.pdf

資料2-1-6-3
平均審理期間及び平均公判前整理手続期間-自白否認別・裁判員制度導入前後別p-

94弁護士白書 2016 年版

(2)自白・否認別の平均審理期間・平均公判前整理手続期間等
裁判員裁判の審理に要する期間は、犯罪の成立が争われる否認事件か、犯罪の成立に争いのない自白事件かによって大きく異なる。次の表は、2015 年(1月~ 12 月)の裁判員裁判対象事件の自白・否認別の平均審理期間・平均公判前整理手続期間(過去比較)及び審理期間・実審理期間についてまとめたものである。
必要的弁護事件数と国選弁護人選任率の推移(簡易裁判所)
資料2-1-2-5
裁判官裁判(2006年~2008 年)裁判員裁判
   中略
   平均審理期間
        2006~08平均     累計     2009年   2010年     2011年       2012年       2013年        2014年      2015年
                 8.3          10.9             5.6           9.8         10.9          11.7           10.9            10.6             11.2
  うち公判前整理手続期間の平均(月)
  否認事件
     3.7         8.4               3.1             6.8           8.3           9.1        8.5                   8.5              9.1
  うち公判前整理手続以外に要した期間の平均(月)
     4.6       2.5               2.5              3.0             2.6          2.6           2.4                    2.1              2.1
 このように公判前準備だけで平均8ヶ月もかかっている・・事実というものはやって見ないと分からないのが普通ですからちょっとした条件を挙げて「こういう場合どうですか」と聞かれても、もうちょっと前後の事情を聞かないとなります。
あらかじめ、こう言う場合という「一言で言える程度の事情・簡略な例示だけ」で正当防衛になるとかならないとか、「一概に」言えないのが、一般的です。
日本国憲法下においても自衛権・自衛のための闘争権限があるというのが8割以上の国民意見であるとした場合、その基礎にある法理論は、自衛権→個人の正当防衛の思想です。
「どんな不法なことをされても反撃できない・自分の命すら守ってはいけない国家ってあるの?」という素朴な国民意見に自衛隊は支えられています。
「集団自衛権」が違憲か?と言う疑問があるとしたら、解決すべき論点・国民の知りたいことは、その法律によって自衛の範囲・個人でいえば正当防衛の範囲を超えた軍事行動をする権限を与える事になるかどうかこそが本来国民が知りたい争点です。
「もしかしたら権限外の行為をするかも知れない」「こういう心配がある、ああいう心配がある」と言う可能性を聞きたいのではありません。
不当、違法行為を前提に違憲の可能性を言い出したら、警察官が好き勝手に拳銃を発砲したり逮捕したら困るからという理由で、警察制度自体が憲法違反になるかのような議論になります。
この種の危険性を宣伝しているのが自衛隊違憲論です。
従業員にお金の管理も任せられません。
不当逮捕が心配であっても、警察制度を廃止するのではなく公務員の法令遵守教育の他に令状主義や裁判手続きなどのチェックシステム整備をすれば良いことです。
企業も経理システムの整備などで不正経理を防ぐべきであって、他人に経理を任せない方が良いと言う意見は飛躍があります。
非武装論者と運動体がダブル傾向がありますが、公害反対その他何でも短絡的に飛行停止や操業禁止を求める傾向がありますが、車事故が多くても交通ルールや環境整備によって事故を減らして行けば良いように、公害問題も防除システム整備の問題であったことが結果的に証明されています。
なんでも新しい道具やシステムには、相応の不具合があること多いのですが、その不具合を「だましだまし」というか、実用していく中で副作用を減らして行くのが、人間の知恵です。
私自身法案をきっちり見る暇もないので、文字通り素人ですが、常識的に考えて一見明白に「自衛以上の戦争行為ができる」と法案に書くことはありえないでしょうから、その法案を(A~Dの中で最悪曲解すれば)「違憲行為ができそう」という程度では、 昨日書いたように公務員が現場で、意見にならないABCの選択しかできない・合憲解釈の範囲しか行動できないとすれば違憲法案とは言えません。
憲法学者が何が起きるか不明の状態で自分の好きな限定条件・一言で言えるような極端な事例設定して?あたかも正しいかのような意見を述べているとすれば、職分を超えた振る舞いです。
ただし、元々自衛権行使(殺されそうになって相手の手を払いのけてもいけない?)自体が憲法違反という立場の憲法学者にとっては集団自衛権が自衛の範囲であっても憲法違反になるのは当然ですから具体的条文チェックの必要すらないといえばその通りです。
>こういう学者の意見など国民の多くが相手にしていないのに、集団自衛権行使が憲法違反かどうかの質問をして報道する事自体国民を愚弄する茶番劇・報道の歪みを表しています。

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