経済不振国の高金利(緊縮政策)

ブラジル(インドネシア)などは、もの凄い景気減速→急激な通貨安に見舞われてしまい、景気減速下での金利引き揚げしかないジレンマに襲われています。
8日に紹介したようにブラジルは景気減速下で11、75%〜12、25%に引き揚げるしかないのですから無茶苦茶・・経済活動が窒息しそうな金利です。
通貨安は貿易上有利ですが、一定限度を超えると純債務国では、ドル建て負債の支払が膨らみ過ぎて支払不能になるリスクがあります。
経済弱小国では、大幅景気悪化になると、金利を下げるどころか逆に金利を上げて通貨防衛するしかない状態です。
(一般商取引では、資金繰りが苦しくなれば、金利を下げて欲しいのですが、逆に金融機関の提示する高利でも借りるしかありません。
国単位になると通貨主権があるとは言うものの、弱小国では不景気になっても低金利にして国民を助けるどころか、自主的に高利を設定して外資を呼び込むしかない点は経営不振に陥った商人と同じです。
この辺は伝統的な経済セオリー・・不景気になれば金利を下げて過熱すれば金利を上げると言う金融政策はグローバル化時代には、時代遅れになっていることが分ります。
日本の場合、純債権国であり所得収支黒字国ですから、円安になると貿易収支が有利になる外に収益金や返済される金額が増える仕組みです。
・・・例えばアメリカに投資したり貸した収益が100億ドルで同じ状態でも、円換算の日本での受取金額が1ドル80円台のときと120円では大きな差がでます。
(800万円の返済予定額が1200万円になります)
債務国で通貨が半値になると輸出には有利ですが、同じ1億ドルの借金返済で言えば自国通貨では2倍の負担になってしまいますが、輸出がイキナリ2倍に増えないのでデフォルトになってしまいます。
純債権国では円高になると貿易収支が悪化する外に、海外資産の円評価減や海外収益の円換算手取りが減るので3重苦になりますが、円安は3重の恩恵です。
純債務国ではこの逆回転になります・・1〜2%ずつ通貨安になると貿易収支の有利さが上回りますが、急激な通貨安だと付いて行けなくなるのが普通です。
人事で言えば、徐々に地位が上がれば対応出来ますがイキナリ何段階も飛び越して地位が上がると準備・適応能力不足で大失敗してしまう・・政敵になりそうな有望若手を早めに潰すために行なういわゆる「官打ち」効果と同じです。
財務省と学者の主張する「財政赤字のままだと大変なことになる」と言う意見は、純債務国に通用する議論を純債権国の日本に当てはめているので、多くの人が感覚的にピントと来ないのです。
貿易赤字が続くと通貨変動による競争力修正作用によって徐々に物価高になって購買行動が手控えられて行くと輸入が減って輸出が増えるので貿易収支が均衡しますが、南欧諸国はユーロ域内にあって独自通貨を持たないので通貨安による国際競争力修正機能が働かない以上は、際限ない赤字を溜め込んで行きこの赤字穴埋めに国債発行・財政赤字を続けて行くと結果的に国債の信用性がなくなってデフォルト危機に陥ってしまいました。(一種の固定相場制の無理が出たのです)
この解決のために緊縮政策の実行をECBから求められていますが、為替変動による事実上の修正作用と違って権力的緊縮政策は政治的には無理があります。
この辺については、日本の地方交付金のような再分配政治が必要であることをJuly 10, 2014「国内生産過剰9(人口縮小策3)」に書きました。
ドイツ等北部諸国は南欧等の弱い国をバスケットにすることで、自国の競争力からすれば(マルクのトキにはマルク高になっている筈のところ)ユーロが割安通貨になって、輸出好調でも通貨が上がらないで得をしているのですから、その分域内で再分配をするのが公平です。
この辺の配慮が足りないドイツ等の言い分ばかりでは、本当の解決にはならないでしょう。
ブラジルは独立国ですから、ギリシャのように外国から強制されませんが、通貨暴落→国民生活大混乱を避けるためには、結果的に金利を上げて国民に痛みを強いるしかない状態に陥っています。
為替の急落が大騒ぎになる・・急激過ぎる変化が危険・・コマメな変化・・早めの修正適応が重要なことが分ります。
健康管理を怠ると大病するようなものです。
政権に不都合だからとコマメな変化対応を怠っていると、あるときにダムが決壊するような大打撃を受けるしかありません。

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