母親は何かと夫をおだてて子育てに参加させようとして来たのですが、まだ父親の責任感は当てにならないので母親としては、母子一体感をおいそれとは捨てられません。
他方で男性の方は、コンビニや中食(ケータリング)の発達あるいは電子レンジを始めとする家庭調理機器のめざましい発達で、自炊生活が苦にならなくなって来たので、あえてリスキーな結婚して苦労する気にならなくなって来ています。
とりわけ最近出現している草食系男子は、この傾向が顕著でしょう。
家庭のない心細さ・孤独感をどうするかは別問題ですが、婚姻制度を重たくしすぎると婚姻を回避しようとする男性が増え独り立ち出来るように進化して行くでしょうし、女性も一人で生きて行けるように回避する方向(中性化傾向)に変化し始めています。
セックス需要が直ぐにはなくならないとしても男女関係は婚姻しなくとも成り立つし、経済面や食事の準備等で相棒が要らなくなれば生涯独身(で必要な限度で付き合うパターン)を選択するのを非合理とは言えません。
子を産むための男女・雌雄関係から発生した筈の異性関係ですが、種の継承に関係ない関係(セックスだけ・あるいは寂しいから心が通え合えるだけ)に転化して行くことになりそうです。
種の保存維持・子を産むための関係で始まった異性関係を前提にしたカトリックでは伝統的に避妊や中絶に否定的ですが、子育ての長期化の結果子孫をもうけるためのセックスから、子供は充分に生まれた後も子を育てるためのセックスとなり、中高年からはセックススレスも珍しくなくなくなり、老後の助け合い期間になれば100%セックスレスです。
子供の成長後も大学院を出てしっかりするまでの夫婦関係は、子を産み育てる一連の行為としてなお理解可能です。
子供が一人前になって出て行った後の定年後の夫婦関係(更には75〜80代になってお互い介護が必要)になると、古代から連綿と続いて来た「子孫」を造るためのカップルとは最早言えません。
高齢者夫婦関係が社会の大きな部分を占めるようになって来ると、子を産むことを予定しない男女関係を若者も真似して形成するようになっても違和感がなくなって行きます。
(異性の若者が子を産む気もなく一緒になっていいのならば、同性愛者・あるいは女性同士のグループホームもこの範疇に入るでしょう)
社会のあり方として子を産む予定のない男女関係・・共同生活を受け入れて行くとすれば、それでも女性は(女性が自分で一生食って行ける時代が来れば・・)男性を必要とする時代が続くのでしょうか?
男子の変化・・・いわゆる草食系化と女性自身も職業意識の高まりで子供さえ生まなければ自分で生きて行ける経済力を付け、更に治安その他のシステムの進化(特にマンション暮らしの場合)で、女性一人あるいは女性同士だけで生活するのにさして困らない社会になって来ました。
男女双方から結婚への意欲が弱まって来たのが最近の風潮で、これがここ10〜20年以上の結婚率や出産率の低下に大きな影響を与えている筈です。
給与が安いから子を産めないと言う俗論が支配的ですが、厚労省の賃金統計(好不況の波)と出生率比較によると実際には給与所得の向上と出生率は反比例関係にあるのは厳然たる事実です。
韓国台湾その他のアジア諸国でも、豊かになる(高学歴化の影響もありますが・・)と出生率が下がる傾向があるのはどこの国でも同じです。
(フランスなど西洋先進国で出生率持ち直しに成功しているように見えるのは、低賃金外国人労働者の大量流入にあることは明らかですし、アメリカも平均寿命が低いことや肥満など後進国性があるのは絶えざる底辺労働者の流入によるものです)
我が国の統計(どこの国でも同じでしょうが・・)では不景気で給与所得が落ち込むと出生率が上がる傾向ですから、出生率を上げるには国民の多くを貧困層にしてしまい、その上で子供手当の増額をすれば、最低賃金層の子沢山を下支えする意味があります。
我が国では貧富の格差が少なく殆が中流意識ですから、結果的に出生率が下がっているのは当然の結果で、目出たい・・国家運営が長期間成功している証(あかし)です。