中国の国力・・経済力のトレンドを見るべきデータの話題に戻ります。
株式市場と言っても中国の場合、A株(国内投資家と政府の認可を受けた外国機関投資家だけで参加出来る)B株などに分けた参入規制がありますが、それでも株式市場と言うからには認可された参加者間での自由な売り買い・相応の相場形成力があります。
人民元相場のようにその時々の相場形成まで直接規制したら株式市場とは言えなくなるので、参入規制があってもその範囲で相場自体は一応市場原理で形成されています。
上海総合株価指数の推移を見れば、中国経済の瞬間風速としてのプラスマイナスの傾向(どちらに向いているのか)が大方判明します。
中国の株式市場の場合、なおいろんな参入規制があるので、その結果経済実態そのものを株式市場がズバリ反映出来ないとしても、経済実態の動きに併せて一定比率で株式相場が変動する・・実際の動きに最も敏感に比例する傾向があります。
統計や帳簿が信用性の低い現在中国の体温・トレンドを知るには、明治まで漢方医が玉体を触診出来ないことから、糸脈で間接的診察に当たっていたと言われていたのと同様の事態・・曲がりなりにも存在する株式市場の値動きをウオッチして動向・変調を推測するのが合理的です。
ただ、中国経済の減速からマイナス傾向が株式指数で見られるようになると、海外からの投資が減少するのを恐れて、市場取引のデータ自体の改ざんがその内行なわれるようになるでしょうから、今のうちだけ有用という意味です。
竹のカーテンと言われていた開放前に比べて、現在では膨大な数の企業が進出しているので、個別の現場情報がドンドン入って来る点が違います。
ただ街角景気のような体感調査は個々の企業が自衛のためにやっているに過ぎず、これを大手マスコミが採用することは出来ません。
エコノミストも、権威のない憶測的意見・個人の体験に基づく意見を元に論文を書けませんので、(街角景気でも統計と言う名の資料が必要です・・自分が上海で見て来た雰囲気やタクシー運転手に聞いた意見というのでは根拠ない意見となります。)中国政府発表のデータを元にした分析意見、あるいはそれを引用した意見を発表するしかないのでしょう。
こうして嘘でも何でも、公式発表を続けていればそれを前提にした論文が公式意見として世界に流布して行きます。
中国景気の動向は公式発表/公式統計に頼るしかないので、大手マスコミや学者は(政治的に中韓寄りに偏っているという批判が多いのですがそれだけではなく)中韓が繰り返す虚偽公式発表を前提にした意見しか報道出来ないという意味でも、最近信用力が大幅に落ちています。
企業家は公式データやエコノミストの分析が信用出来ないので、自衛のために中国での実際の自社製品の売れ行き・商談の進み具合等の体感・・狭い範囲のデータで経営判断するしかないのでは、リスクが大きくなります。
中国進出した日本企業同士でのデータ交換、あるいは欧米進出企業との(売上高)データ交換等範囲を広げることによって客観化に努める必要があるでしょう。
何年か前ころに連続する中国のGDP上昇統計にかかわらず、電力使用量が下がっているのはおかしいと言う矛盾を誰かに指摘されてからは、中国政府は電力使用量発表を取りやめてしまったと言われています。
最近では電力使用量自体もGDP上昇に整合するように粉飾出来るようになったからか?昨年〜1昨年あたりから再び発表するように変更されました。
そこでエコノミストはここ数年前から物流業界の物流量の推移に注目するようになっています。
(子どもの健康状態を見るのに健康診断があてにならないので動き回る元気な子どもがどのくらいいるかで判断するようなものです)
物流量に注目するようになると中国政府はその数字もいじることになるので、極く最近では人工衛星で見る夜間の光の量の変化で推測するようになりつつあるとも言われています。
尖閣諸島が日本領として中国政府発行の過去の地図に載っていると指摘されると、急いで回収しているような国です。
あるデータとの矛盾を指摘する論文が出ると、そのデータ自体を一定期間発表せずにその内改竄して発表する・・こう言うことの繰り返し・イタチごっこで真実はまるで分らない・・あえて分らなくしているのが中国の経済政策です。