米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃3

ところで、今や中国人民の多くが国際経済に深く大きく組込まれていますので、国際物流〜金融取引その他が全面ストップする緊急事態に於いて、その対策を放置して対日戦争などにかまけてしている場合か!と言う非難の方が大きくなるリスクが高まります。
12月15日の日経新聞朝刊12pでは、延滞カードローンが1兆4000億円になっていると紹介されています。
上記記事ではカードローンを使ってスマホ決済しているというイメージ解説ですが、住宅ローン延滞を先送りするためにカードローンに手を出す人が多かった日本でのサラ金事件全盛時の経験によると、住宅ローン延滞予備軍(不動産バブル破裂の兆候)でもあるかもしれません。
その他企業債務や、地方政府債務など大口は(統計が信用できないので)闇の中ですが、車の販売台数(これは以前書いたように外資との合弁が多い販売統計なので、誤魔化しが利かない)が今年は販売減少になっています。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_2018

2018年11月 販売台数速報
11月の中国新車販売は前年同月比13.9%減の254.8万台
・中国汽車工業協会は11日、11月の中国の自動車生産・販売データを発表した。
・2018年11月、自動車生産・販売の前月比はいずれもやや増加し、前年同月比の減少幅は依然として顕著であった。1-11月の自動車生産・販売の前年同期比は引き続き減少し、減少幅は1-10月に比べて拡大している。

数日前の日経新聞には、トランプ氏による対中高関税により、衣料品製造注文がバングラデシュの工場に集中したので特需に沸いているという記事が出ています。
専門家?の意見の多くは、「関税を25%あげるとアメリカ人が高いものを買うことになり国民が損をするだけ」というのですが、ユニクロ等の世界企業は、アメリカ向け製品の縫製をバングラ等へ振り向けるのでアメリカ国民は25%高い製品を買うことにはなりません。
中国が困れば部品等輸出の日本企業が困るという宣伝がしきりに行われていますが、組立工場立地が新興国に流れるだけのことでそれほどのことはありません。
サプライチェーンが変わるまでの移行期間の問題ですが、25%にあげるのはだいぶ前から宣伝しているので消費者の駆け込み需要対応だけでなく、企業の生産地変更対応が進みます。
13日の日経新聞15pではサムスンの中国でのスマホの売れ行き不振で天津工場閉鎖の報道が出ていますが、内容を見るとサムスンの18年の世界生産の4割前後をすでにベトナムで製造していると書いています。
対中関税が高くなるという動きが出てから慌てて他国の土地買収や許認可交渉→進出するのではなく、すでに東南アジア等にある工場敷地内の増産余力内の増産(残業をふやすなど)やラインの追加投資すればいいだけですから、意外に素早く対応できる時代です。
サムスンの工場閉鎖報道を見ると反日暴動以来チャイナプラスワンの動きが、日本企業だけでなく世界規模で進んでいる実態がサムスン関連報道でもわかります。
東南アジアへシフトした分中国の衣料品工場に限らずアップル等組み立ての生産が減っているはず→そうした総合結果が、車等の国内消費減に現れているのです。
GDP統計だけ増えていると言っても、誰も信用しないでしょう。
以下の通り、勝又氏は卸売物価指数は信用性があると言うのですが、同氏https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/page-3.htmlによると以下の通りです

2018-12-11 05:00:00

中国、「景気変調」11月卸売物価上昇率はほぼ「2年前の水準」

『日本経済新聞 電子版』(12月9日付)は、「中国の卸売物価、11月2.7%上昇」と題する記事を掲載した。
(1)「中国国家統計局が9日発表した2018年11月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比2.7%上昇した。上昇幅は前月(3.3%)より0.6ポイント縮小し、16年10月以来2年1カ月ぶり低水準になった。前月比でも0.2%下落と7カ月ぶりに下落に転じた。国際的な商品相場の下落が波及したほか、販売不振の自動車なども下落した」
(2)「PPIを業種別にみると、石油・天然ガス採掘や石油加工で上昇幅が大きく鈍った。原油の国際相場の下落を映した。自動車、製紙や非鉄金属は前年比で下落した。個人消費の低迷が物価にも及び始めた公算がある。中国のPPIは過剰生産能力が原因で12~16年まで前年比で下落しつづけた。中国政府が16年初めから、鉄鋼や石炭を中心に生産設備を強制的に廃棄したことで16年9月に前年比で上昇に転じ、それ以降はプラスを維持している」
PPIの値下がりは、企業の売上に反映してくる。輸出需要の低下が、PPIを押し下げている面もあろう。したがって、米中貿易戦争の激化が、与えている影響は広範囲にわたっている。ファーウェイ副会長逮捕で、中国が激昂して対抗する余力はないと見るべきだろう。

カード債務増加問題も重要ですが、ここでは反日暴動以来の日本企業の中国脱出・チャイナプラスワンの始まりで深圳などで大規模工場閉鎖の嵐が吹き荒れていたのに失業者がどうしたかのニュースはさっぱり流れてきませんが、労働者・消費者の懐が限界にきているのではないかの関心を書いています。
改革開放後の中国の急激な躍進は、低賃金労働者供給が無尽蔵にあるという点が強みでしたが、自信を持った?中国が急激に人件費引き上げたことと、反日暴動の結果政治リスクが高いこともわかったので、低賃金労働ならば政治リスクのないバングラ、ベトナムその他の新興国でも同じ・・という流れが反日暴動で勢いがついたので、中国が人海戦術による世界の工場を維持するのは無理になりました。
新興国東南アジアと競争するためには、中国政府は高付加価値化とロボット導入に切り替えるしかなくなり、この数年では日本製ロボット輸入が高水準で推移してきました。
バングラなどへのシフトで数万人単位で働く縫製工場などの閉鎖→失業増加にとどまらず、チャイナプラスワンの影響を受けないその他工場でも、(無人コンビニに象徴されるようにサービス業でも)ロボット化による労働者削減が急激に始まっています。
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp180926.pdf

中国の「爆買い」で増加する日本の産業用ロボット輸出
1018年9月26日
2017年以降、日本の資本財出荷は輸出向けで大幅に増加している。品目別にみると、中国向けを中心に産業用ロボットの輸出が急増していることが主因

以上の記事に入るとグラフ等で詳細説明されていますが引用しませんので、関心のある方は直接お読みください。
こうなると反日暴動前の現場労働者の仕事先がどうなったかの関心です。
政府統計はあてにならないにしても(懐が苦しくなれば)現場の消費は落ち込むでしょう。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃2

日本政府はオーストラリアなどのように名指しして禁止しないが、事実上この5社製品が採用されない方針のようですが、これでは法的効果が不明瞭になりますし、(契約に〇〇製部品限定」と書いているのに、中国製部品を組み込んでいても民事契約違反でしかなく、)規制違反でないので刑事処罰対象にはなりません。
こうして企業から調達する製品に中国5社製品が紛れ込んで(今の電子技術では、機器にこっそりと組み込んでおくと自動的に情報を抜き取れる仕組みのようですから、)国防情報や企業秘密が事実上筒抜けになっても違法ではないことになります。
時あたかも12月15日の日経新聞第1面には、フェイスブックでスマホに掲載する手続きする前の原稿段階の多数の写真を外部関係者が閲覧できる仕組みになっていたことが判明し、大ニュースになっています。
フェイスブックは意図的に特定政治的グループに見せたのではないでしょうが、こういうことが政治的に利用されていてもわからないのでは困ります。
スマホ利用者は、相手に見せて良いと思う写真や動画だけ送信しているつもりですが、現地で撮影した時点で実はフェイスブックに(もしかして送信予定原稿も)全部届いていて、その中で指定した写真等(完成稿)だけが送信されているのではなく、撮影や原稿下書き段階で全部フェイスブックに届いていて、その中の指定原稿や写真だけが、指定した相手に送信される仕組みのようです。
前提として全部の情報が事前にフェイスブックに届いていて、そのうちの指定情報だけを指定された人にフェイスブックが送信する役割のようですが、電話で言えば混信して別の人に電話がかかるようなミスが起きる場合もあれば、事前に送信されている膨大な情報(その他下書きや送りたくない写真等)がヘフェイスブックにそのまま残っている・・誰かが見られることになっている現実を多くの人は知らないか、気にしていない(私だけかな)でしょう。
このように企業側で(特定の者しか見られない)遮断装置がちょっとしたミスで特定外のものに解除になると世界中に拡散する脆弱なものですから、この装置に侵入したり解除機器を極秘に仕組んでおけば企業機密・最新技術情報や、国防機密、政府首脳の会話記録など筒抜けです。
例えばこのコラムの原稿もグーグルサービスを使っていて、自分で独自に保存していませんからアップデート前の原稿がグーグルの「気分次第で?」誰が見る資格があるかが決まっているのは当たり前です。
気分次第ではなく、普通は機器の管理補修等のため以外に開くのは許されないルールがあるはずですが、ミスであろうと意図的であろうと、無制約に個人情報が外部に流れたりあるいはいつでも特定政治勢力が秘密裏に収集できるのでは困ります。
中国政府による世界的機密情報抜き取り・・サイバーテロ行為が疑われるようになったのは、中国にとって大打撃です。
いわば泥棒するような人を仲間に入れたくないような心境が世界に広がっています。
日本では直接的採用禁止をしないようですから、せいぜいアメリカの逆鱗に触れて日本国内企業はファーウエイみたいにアメリカに行った時に検挙されるのが怖いので事実上自粛するのを期待するしかないことになります。
(日本国内法違反で日本自身が規制できない)
このように事実上の規制と法的規制とでは、強力さがまるで違いますので産経の主張は日本も直接禁止すべきと言うのでしょう。
確かに法的効果は劇的な違いがありますが、日本の社会は何でも刑事罰で脅すのではなく、モラルの定着によって、国民が皆で守る社会です。
中韓のように不買運動などしなくと慰安婦騒動や尖閣諸島問題以降国民は黙って、中韓への旅行が激減し韓国製品と聞いただけでそっぽを向く習慣になっています。
国民あげて中国は怖いという印象が定着していますので、ファーウエイ製をコッソリ使っていたとバレたらその企業の国内販売が危うくなるでしょう。
(もともとソフトバンクは何となく中韓贔屓で怪しい!というわさがそれとなく広まっていましたが、)ファーウエイ事件をきっかけに日本の通信業界では、ソフトバンクのみが中国製を組み込んでいると言うネット上の噂が広まると、次期企画の5Gのみならず4Gの既存設備も急遽北欧製に取り替えると発表せざるをなくなったのは、国民意識を無視できないからです。
https://www.sankei.com/economy/news/181212/ecn1812120026-n1.html

日本でもソフトバンクが携帯大手で唯一、現行の4Gでファーウェイ製の基地局を、同じ中国の中興通訊(ZTE)製とともに採用。5Gでも共同開発を行う。
調査会社のMCA(東京都千代田区)によると、ソフトバンク向けの出荷は年々増え、17年度はソフトバンクの調達額の6割弱を占めたとみられる。ソフトバンクはファーウェイ製品を排除する方針で、MCAの天野浩徳代表は「ソフトバンクにとっても打撃だ」としている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38878170T11C18A2MM8000/

ソフトバンク、既存基地局もファーウェイ製排除
2018/12/13 14:00
日本経済新聞 電子版
ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(ファーウェイ)など中国製の基地局をなくす方針を固めた。北欧の通信機器大手エリクソンとノキアの製品に順次置き換える。次世代通信「5G」でも中国製を排除し、北欧2社に発注する。世界で広がる中国製通信機器排除の動きが、日本企業の設備投資に影響を及ぼし始めた。

中国贔屓とみられていたソフトバンクも正面切って、違法行為をしているという証拠もない以上は、「アクまで中国製を使う」と開き直れないと判断したのでしょう・・。
世界中が中国製締め出しに走るようになると中国経済はガタガタです。
習近平政府としては反米で国民を煽ることもできず、困り切っている状態でしょう。
今になると中国が米国と親密な安倍政権に助け(打開策のアドバイスや仲介)を求めることはあっても対日攻撃の戦端をみづから開くなどの冒険は不可能な状態でしょう。
このシリーズ原稿は15〜6年頃に書いておいたものですが、まさに安倍政権はこのための布石を打ってきた成果が今になって明白に出てきた事になります。
安易な攻撃を誘発するような無防備・・ウクライナのように即日占領されるような弱さでは困りますが、一定の守りをするとともにその先は国際政治力学を構築しておくことが重要です。
中国にとって日本には近代の歴史上1回も勝ったことのない強国ですから、日本が一定の守りさえ固めた上で、国際的応援団を用意しておけばロシアによるクリミヤ併合のように短期間で決着が着きません・・。
中国が機会を見て日本侵略をしたい時に世界から少しでも悪く見られている方が良いので、そのための反日宣伝を陰に陽に日頃から国際的に進め、いざという時には日本の守りが弱い方が良いので、この下準備として反日活動家を日本国内に潜伏させておく「草」として利用しているのでしょうか。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃1

12月1日には中国最大の国際企業ファーウエー創業者の娘の副会長がカナダ空港で突然逮捕されたことで、米中関係は緊張状態です。
なぜカナダで逮捕されたかの疑問について18年12月9日日経朝刊では、約1年前から米国の捜索を感知した同女は米国へ入国しないようにしてきたことが報道されています。
だからこそ、米国の要請で犯罪人引き渡し条約のある第三国での検挙になったようです。
https://www.asahi.com/articles/ASLD83VL2LD8UHBI01F.html
米ニューヨークの裁判所が8月にはすでに孟氏の逮捕状を出していたことも明らかになった。孟氏は以前、米国をよく訪れていたが、米当局が華為の捜査を始めたと17年春に気づいて以降、華為幹部は米国訪問を避けるようになったという。

ここまでやられると中国は必死です。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/

中国、華為幹部逮捕で米大使呼び出し 逮捕状撤回求める
2018/12/10 08:42
[北京/オタワ 9日 ロイター] – 中国外務省は9日、米国のブランスタッド駐中国大使を呼び出し、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕されたことに「強く抗議」するとともに、孟容疑者の逮捕状を撤回するよう求めた。
「米国の行為は中国国民の合法的かつ正当な権益を著しく侵害しており、極めて悪質だ」とした上で、中国の厳正かつ正当な立場に留意し、逮捕状を撤回するよう求めると述べた。
さらに「米国の行動次第で中国はさらなる対応をする」とも述べた。

よその国の司法手続き無視で自国民を容疑の有無に関わらず釈放要求するのでは、相手国の主権無視も甚だしい主張です。
こんな馬鹿げたことをこともあろうに世界最強国の米国相手に身の程わきまえず主張して公表するしかないほど中国政府は追い詰められているのでしょう。
ファーウエアー副会長逮捕で興奮した中国ではアップル不運動を呼びかける動きも出ていますが、全面ドロ試合になると困るのは中国の方です。
副会長の保釈決定が出たようですが、この騒動を機に米国政府機関の中国5大企業の採用禁止が決まったようですし、ニュージーランドやオーストラリアなどでもこれに追随するようです。
日本は中国製を名指し禁止こそしないものの、事実上不採用方針が報道されていてファーウエイ製品を2割ほど採用しているソフトバンクも順次北欧製に入れ替える予定と昨日あたりの新聞で報道されていました。
目前に迫っている5Gシステムに一旦組み込んでから、米国による制裁(イラン制裁同様で米国指定禁止企業と取引すると 米国法違反→米国内で企業活動できなくなるだけではなく、国外行為でも刑事処罰の対象になる・・)が発動されると大変な損失が生じるので、今から組み込むべき機器の発注先を変えておく必要に迫られているという動きです。
こ事件は「逮捕された中国人個人が釈放されて解決」という意味ではなく、中国経済に甚大な影響を及ぼす事件の始まりです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120700251&g=pol

中国・華為製品の使用中止を=米、日本など同盟国に要請-報道
政府は7日、米国が政府機関などとの取引を禁止している中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を、各府省庁や自衛隊が使う情報通信機器の調達から排除する方針を固めた。2社の製品に関しては、中国政府の不正な情報収集などに用いられているとの指摘が絶えず、安全保障上の観点から判断した。
米国で8月に成立した国防権限法は、全ての米政府機関や米政府と取引する企業を対象に、ファーウェイなど中国政府と関係のある企業の商品を使うことを禁じている。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で「政府機関のサイバーセキュリティーの確保はますます重要になっている」と述べるにとどめ、中国2社の排除を明言しなかった。一方、政府高官は「名指しはしないが、危ないところからは買わない」と明言した。
岩屋毅防衛相は、2社の製品が防衛省で使われていないと記者団に明らかにした上で、「万全を期すことは当然だ」と語った。

https://www.sankei.com/world/news/181208/wor1812080003-n1.html

ファーウェイ排除 同盟国として共同歩調を
2018.12.8 05:00
政府が安全保障上の観点から、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の2社を、政府調達の対象から事実上排除する方針を固めた。
中国製通信機器、部品を通じて、政府や軍事、産業、研究機関の機密情報が盗まれたり、マルウエア(不正プログラム)を送り込まれたりする懸念が米国など各国で広がっている。
米国は8月成立の国防権限法で、今回の2社を含む中国ハイテク企業5社の製品や部品の政府調達を禁じた。2020年8月には5社の製品、部品を使用する企業が、米政府と取引すること自体が禁止される。
オーストラリアやニュージーランドは、国内の5G整備への華為製品の使用を禁じた。英国では政府がZTEの製品不使用を民間に呼びかけ、秘密情報部のヤンガー長官は最近、華為の5G参入を排除すべきだとの考えを示した。同盟国として米国と問題意識を共有している。
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日本は明確に足並みを揃(そろ)える必要がある。政府調達では、対象社名を示さなければわかりにくい。さらに、5G整備や企業による製品、部品の使用から中国5社を排除するよう促すべきだ。
日本が中国からのサイバー攻撃に脆弱(ぜいじゃく)であれば日米同盟は弱体化する。中国は尖閣諸島(沖縄県)を奪おうとしている国でもある。中国通信機器大手の排除は、日本自身の守りに欠かせない。

ヘイトスピーチ10(米国憲法論の推移2)

https://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/pdf/review_2014-03.pdf
アメリカにおけるヘイトスピーチ規制論の歴史的文脈
昨日引用の続きです。

こうした中で、大学でのスピーチコードを支持する立場を明確にしていたのが、「批判的人種理論」と呼ばれる立場に立つ法学者たちである。
・・・・彼らの主張はアメリカの法学界ではあくまでも少数派であり、連邦あるいは州レベルの議論に目に見える影響を与えるには至らなかった・・
ローレンスの議論は、言論と行為の区分を安易に前提にすることの問題点を示すことで、ヘイトスピーチ規制を否定する一方でヘイトクライム法については認めるアメリカの法制度を批判するものである。

※「言論と行為の区別」批判論の前提とするヘイトクライム法は、既存の刑事罰行為をヘイトに基づく場合に刑を加重する仕組み・客観「行為」を必須要件とするものらしいです・・。
本日現在のヘイトクライムで検索するとでるウイキペデイアによると以下の通りです。
ヘイトクライム判決強化法(1994年)[34] — 1994年暴力犯罪制御法執行法の一部として成立しており、差別犯罪をした場合は通常の犯罪の刑罰より反則レベルを3段階厳しくし重い刑を適用するよう米国判決委員会の判決ガイドラインを修正するもの[35][36]。マシュー・シェパード法(英語版)

、殺人罪でいえば、アメリカの場合、1級殺人2級殺人が当てそのほか謀殺とか故殺など細かく分かれているので、これに殺人動機によって刑を重くするように足していくのは比較的簡単です。
ヘイト批判が起きるとヘイト自体を罰するかではなくヘイトに基づく犯罪の場合には、加重要件に加えるかどうかというだけのあんちょこな議論に収束していき易い制度と思われます。
日本の場合、例えば殺人で言えば死刑〜無期懲役〜有期懲役〜執行猶予までの範囲で裁判所が介護疲れなどの動機原因や行為態様や計画性〜被害感情などすべての事情を総合判断して量刑を決められます。
ですから議論としては、ヘイト犯罪の刑を何年にするかの議論よりは、そういう犯罪類型を認めるかの議論が先になりがちです。
ヘイト犯罪が認められれば、千差万別の態様に応じて裁判所が法定刑の範囲内で量刑をを決めれば良いことになります。
この結果ヘイトスピーチが犯罪にするかどうかが、先決的大きな議論になります。
法定刑の幅が広い日本では、日本で罰則を伴わないまでも「ヘイト取り組み法」(私の勝手な略称)ができたことによる価値観的影響・・国家意思としてヘイトを許さないことが公認される(予定でも先取り可)と、量刑に当たって裁判所が犯情に自動的に組み込む仕組みですので、その実務的影響は甚大なものがあります。
不法行為慰謝料も同様で、何をしたらいくらと言う機械的基準がなく裁判所の総合判断で決める仕組みですから、「ヘイトが許されない」という社会的合意が出来ると裁判所は自信を持って高額慰謝料を認定しやすくなります。
実際に京都朝鮮人学校事件ではまだ法制定前ですすが、世論の後押しがあって?1000万円以上だったか?巨額認定があったという報道があった記憶だけで正確ではありません。
川崎の公的施設使用不許可事件もそのような文脈で読み取るべきでしょう。

② 憲法学者のロバート・ポスト
「表現の自由」を擁護する観点から規制反対論を打ち出している。その際にポストが提示するのは、表現の自由の意義は民主主義の維持発展のために不可欠だという議論であり、表現の自由の規制は、仮にそれがヘイトスピーチに対するものであっても、民主主義にとって不可欠な自己決定の概念を掘り崩すものだと主張する(48)。

③ ACLU)(自由人権協会)前会長の(36)ナディーン・ストロッセン
(1)ヘイトスピーチを規制することはレイシズムの抑止にとって必ずしも効果的ではないこと、またさらに進んで、(2)ヘイトスピーチを規制することはレイシズムをむしろ悪化させうること、である。ストロッセンがこの2つのテーゼを示すに(1)についてはイギリスにはヘイトスピーチに対する法的規制があるにもかかわらず、それが効果を上げているという証拠が必ずしもないこと、(2)についてはイギリスで1965年に人種関係法がはじめて制定された後、最初にこれが適用されたのがブラック・パワーの指導者であり、その後も黒人や労働組合員、あるいは反原発の活動家に適用されていると述べている(49)
。また別の箇所では、先に触れたミシガン大のスピーチコードについて、白人が黒人を訴えたケースが20件以上あったこと、また実際に罰則が適用されたのは黒人の学生の2例だけであったことを指摘し、やはり規制がむしろレイシズムを悪化させうることを指摘している(50)

3-3 90年代アメリカにおける公民権運動の「継承」
表現の自由の原理は、公民権運動との文脈で強調されたにすぎないという視点の強調?
4 日本の文脈への含意──結びに代えて
・・・2章で言及した政治学者のエリック・ブライシュは、ヘイトスピーチ規制を考える際には、その国ごとの歴史的な文脈性を考慮することが重要になるとしている(57)。また日本の著名な憲法学者である奥平康弘も、アメリカの表現の自由の歴史をまとめた大著のむすびで、次のように書いている。
「ぼくが言いたいのは、従来の問題の局面、すなわち、人びとがそのために犠牲を払いながら挑戦し獲得してきた表現の自由の文脈とはかなり異なるところで、同じ表現の自由を主張するばあいには、それを念仏みたいに唱えるのではなく、その歴史的な正確に適切な形で再構成して語る工夫が必要だろう、ということである。」(58)
・・・日本においてヘイトスピーチをめぐる議論を成立させている歴史的な文脈とは、どのようなものなのだろうか。
日本には一方でアメリカと同様に規制に対してきわめて抵抗が強い土壌があるが、その背景にあるのは、やはり第二次世界大戦の経験ということになるだろう。
ドイツの場合は同様の経験からヘイトスピーチに対して他国よりも強い態度をとることになったわけだが、日本の場合はむしろ言論統制こそが戦争への道を開いたという意識から、逆に「表現の自由」が支持されることが多いように思われる

以上紹介した論文は、アメリカには公民権運動があってそれを保護するためのの表現の自由の強調であったが、(公民權運動が規制されない・昨日引用した通りユダヤ人知識層でも「集団誹謗規制は却って不利」と考えていたことが紹介されています)ためにはヘイト規制を求めると自分たちの運動にもその規制が及ぶマイナスを考慮したと言うようですが、日本にはそういう歴史がないと強調したいようです。
しかし、日本でも米国理論の「相手批判が自分たちにも及ぶ考慮→朝鮮人の過激な日本批判・・天皇や総理の顔写真に竹槍を突き刺すような過激な表現が許されるかの非難がブーメランのように起きてくるのを無視できないでしょう。
「双方ともに行儀良くしてください」というのが、今の国民世論ではないでしょうか?
怒声や罵声を浴びせるような下品な言動は嫌われる筈・放っておけば、市場原理で淘汰されるのではないでしょうか?
実際に在特会に対するカウンター的組織であったしばき隊も、粗暴イメージが浸透した結果、事実上消滅してしまったようにに見えます。
在特会も高額賠償命令に懲りて粗暴な言動を慎むようになったように見えます。

沖縄米軍基地移転の本質1(中国の台頭と米国のためらい)

そのころの報道では、沖縄の負担軽減のための移転だからそのための日本が経費負担をするという報道が出ていた程度の記憶です。
米軍人と家族のグアムでの宿舎設営経費負担の話だったか?
日本が出て行ってくれと言うのはなく、米軍の世界戦略の都合でグアムに機能を移転するのであればその移転費用を日本が負担するのか不思議でしたが?
その表向き理由は沖縄県民が出て行ってくれと運動している・・そのための移転だからというものでした。
その頃は、まだ中国は例の晦光養晦中で、軍拡〜膨張主義が表面化していなかったこともあって、日本の負担金額の報道ばかりに目が行っていましたが、グアム移転ニュースがその後パッタリなくなったのですっかり忘れていました。
しかし現実は着々と進んでいるはずです。
辺野古移転とグアム移転とどういう関係があるのか、あったのか?が今になると気になってきました。
沖縄の反基地運動は昔からありましたが、何分の1以下に利用縮小が始まってから、反基地闘争がかえって激しくなったのは不思議だからです。
基地機能で考えれば、大規模な沖縄米軍をいきなりゼロにできないとすれば、(グアムへ順次移転による基地機能縮小・空洞化・・普天間基地の機能縮小に伴い一定期間残す機能だけ辺野古に新設する縮小移転の二分割案だったように想像できます。
沖縄県民が基地騒音や犯罪で苦しんでいるとすれば、少しずつ(どころか大規模返還)返還されていくのに反対し、イキナリの全面撤退でないとなぜ何故いけないかの疑問です。
被害を受けているというのが本当であれば?移転→縮小計画が出ると喜ぶべきなのに、逆になぜ移転拒否運動が激しくなったのか素人には意味不明です。
軍事基地・・特に空軍基地は概ね僻地に立地するものですから、普天間基地が元々民家がびっしり集まった場所を押しのけてできた・民家ギリギリに鉄条網を張るような基地新設があるのか?かの素朴な疑問ですが、(一般論による疑問・推測であって、事実不明です)基地に生活手段を求める人が増えて通勤や納品あるいは基地勤務者相手との商売には基地に近い方が便利なので基地境界ギリギリに民家が増えて行ったのではないでしょうか?
基地関連業者やその周辺需要に頼っている人たちにとっては、反基地運動の結果出て行かれると困る実態が背景にある・・企業城下町で公害反対運動しながら大規模工場縮小反対に心理と似ているイメージです。
おおざっぱな数字でいえば、日本政府が基地維持経費の何割かを負担していますが、(維持経費以外のコストを米軍は支出しているので)その何倍ものお金がいろんな形で地元雇用や物品納入その他の需要に回っているはずです。
本日現在のウイキペデイアの記事からです。

各国の駐留米軍経費負担率(2002年)は以下の通りである。
国家          経費負担率   金額
日本          74.5% 44億1134万ドル
サウジアラビア     64.8% 5,338万ドル
カタール 61.2% 8,126万ドル
ルクセンブルク   60.3% 1,925万ドル
クウェート 58.0% 2億5,298万ドル
イタリア        41.0% 3億6,655万ドル
韓国          40.0% 8億4,311万ドル
ドイツ 32.6% 15億6,392万ドル

最新版では以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H64_W7A120C1PP8000/在日米軍駐留経費、日本負担は86%

防衛省試算
防衛省は2015年度の在日米軍駐留経費について日本側の負担割合は86.4%と試算した。民進党の後藤祐一衆院議員の請求に応じたもので、後藤氏が26日の衆院予算委員会で提示した。総額は約2210億円で、そのうち日本が約1910億円を支出している。
ただ稲田朋美防衛相は「必ずしも(米側の負担項目が)全て入っているわけではない」と説明した。米国防総省が04年に発表した米軍駐留費の各国別の負担割合では日本は約75%となっていた。
在日米軍駐留経費は米軍基地で働く日本人従業員の労務費や光熱費など日米地位協定上は米側が負担すべき項目が大半。これに周辺対策や施設の賃料なども含めた「在日米軍駐留関連経費」は防衛省資料によると日本側負担は約3736億円。割合は92.6%に上る。

ただし、上記は日本全体の負担であって、沖縄・普天間基地に限定した経費ではありません。
経済問題を離れた現在の基地反対騒動を支える思想的立場で分類すれば、米軍基地縮小ではなく完全撤退を求める「沖縄に軍機能が一切必要がない」という勢力と、国防のために一定の米軍抑止力が必要とする勢力との争いになったように見えます。
交渉態度で言えば、一歩譲ると2歩譲れと言い、2歩譲ると3歩譲れ〜10歩ゆずれというので、誠意を示して20歩譲ると全部ゆずれと言う・・全部譲ると過去の償いをせよという交渉態度でしょうか?
なんとなく韓国相手の交渉のような印象です。
そもそも日米安保に反対して周辺戦争に巻きこまれるといい、「平和憲法を守れ!」という非武装平和論者にとっては、自衛隊さえいらない(集団自衛権反対論は「自国は自国だけで守れ」→自衛強化論ですから実は矛盾しています)のですから、米軍の必要を一切認める余地がないから、首尾一貫していることになるのでしょうか。
沖縄の基地縮小移設反対運動がそういう運動の決戦場との位置付けであれば、基地騒音などの迷惑を受けている県民と関係ない・・県外運動家中心になっていくのは自然の流れです。
成田空港反対運動のときに、土地を取り上げられる地元民応援より、本音は成田空港による日本の近代化〜高度社会への離陸反対運動だったので、社会党の一坪地主運動に代表されるように、運動家が反対のために地主になって、地元民の資格で本来の農家そっちのけで運動するようになっていました。
一坪地主運動は、地元との連帯という名目だったでしょうが、運動の結果から見れば人権救済運動や各種訴訟は政策実施妨害名目だったと国民の多くが理解したでしょう。
成田空港反対の場合、東京近郊で働きながらデモ参加できたので表に出るような資金援助はいらなかったでしょうが、沖縄の場合遠くて仕事がないので住み着くには無理があるし、土地買収反対事件ではないので一坪地主になるわけにいかない・・交通費支払い名目の資金援助方向を公表するしかなくなったように見えます。
評論家等が講演料程度の収入でスポンサーになるっているというのは経済力からして、無理があるという一般論を書いた後で、「のりこえネット」という組織を知り、ウイキペデイアで見たら、生協がスポンサーになっているという記事が見つかり意見の訂正したばかりですが、NGOやいろんな組織が政治活動する以上は資金源を明らかにする必要があるでしょう。
本日現在のウイキキペデイアの記事からの引用です。

のりこえねっとは、2013年に設立された日本の任意団体である[1]。正式名称は「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」[2]。「在日外国人・留学生、国際交流、行政への改策提言」を活動分野として公表する[1]。のりこえネットと表記されることもあるが、「ねっと」は正式にはひらがなである。パルシステム生協連合会専務理事の若森資朗を代表者として登録しており[3]、パルシステム生協連合会の助成団体として資金提供を受けている。[4]

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