事前準備4(移転1)

今回の避難住民総数が約14万人と言うことですから、第一第二原発立地の4町住民だけではなく今回の避難者数全員でこの元金9000億円+モデル計算終了後の交付金・前回紹介した2860億円の元金だけを(4町以外の周辺にも一定額を配ったとしても、正しく風向きなど予測して配られていたとすればその範囲はまさに今回の避難住民と重なるべきですから全額での計算となります)分配しても、一人当たりが約840万円になります。
(赤ちゃんまで含めてと言う意味ですから一所帯単位(懐がある程度1つのぷらす60代のおじいちゃん夫婦まで入れれば、)一家では3〜4000万円です)
別の報道を見ると避難地域に該当する8町村の合計人口が7万人とも出ていますが、どうもそちらの方が正しそうな印象です。
そうとすれば一人当たり分配金は2倍・1680万円になります。
きちんと運用していれば(貸付信託でも)わずか10年で2倍になる計算ですから、立地後10年経過時点で配布すれば国から貰った資金と同額がまだ自治体に残る計算です。
まして立地4町・人口4万人だけならば、とてつもない巨額・・一人あたりでなく所帯単位ですと億を越える家もあり得ます。
上記のような巨額資金の前払いを受けて来た地元自治体・4町とその周辺でいくらかおこぼれを貰っていた市町村を含めた自治体がどのような準備をしておくべきだったか、どうすれば不安感を解消出来て実際に左程の損害を受けないで済んだかを考えて行きましょう。
放射能汚染による避難の場合は、集中豪雨のように崖下の危険な家だけが避難すると言う個別事情がなく、全村全町一斉避難ですし、集中豪雨のように一過性でもありません。
集落全体・・生活利便施設を含めて長期間の移転生活が予定されるのですから、ばらばらに避難するよりはまとまった用地を用意しておいて、生活必需品(医療・介護や美容・教育その他関係者も一緒に避難)の供給も視野に入れたある程度長期生活できるような設計・・まとまって移住する設計であるべきです。
そのためには、ある程度の施設が整うような大規模な用地取得が必要ですので、具体的には、各市町村ごとに放射飛散の心配がないほど遠く離れた山間僻地にゴルフ場程度の規模の丘陵地帯+サッカー場みたいなものを(人口1万人足らずの村でも一カ所に集めて仮設住宅を造るのは難しいかも知れませんので)何カ所か確保しておいて一定の基礎的整備だけしておくことが必要です。
取得した用地の整備については、リゾート地として町民に対して別荘地分譲をしておくならば別ですが、そうでない場合、用地だけ手当しておいて・・別荘地の管理センター的な建物と体育館みたいなものと自治体経営の林間荘・山の家・海の家みたいものを建設して小中学校の林間学校や臨海学校などに普段から利用しておくのが合理的です。
何しろ原発立地後5年や10年、それどころか20年や30年でも放射能漏れ事故・・長距離避難が必要な事故が発生すると誰も考えていない筈です。
・・もしも短期想定なら誰も原発立地に賛成しないでしょうから、用地取得も住民の希望を聞く擦り合わせも超長期で準備していれば良いのです。
長期間の住民個々人の希望擦り合わせで、住民の要望する土地・区画形状の好みに合わせて宅地や事業用地(コンビニその他)を分譲予約して行き、(基本区画の大きさまでは無償で、それ以上の大きさは自己資金追加形式)その内町民が希望すれば自分の貰う予定の分配金で、予定分譲地に自前で別荘を建てるのを拒む理由はないでしょう。
こうして長期的には徐々に別荘建築・半定住が進んで行きます。
場合によってはこの際住民への分配資金で都会に出てしまい別の職業に就く選択も可能です。
言わば立退料みたいなもので、その資金で自分たち一家全員で東京等に出てその地で就職したり(完全離村)、子供だけを遠くの大学や企業に就職させるなど(次世代以降完全離村)もあり得るでしょう。
政府から貰った資金は住民の不安感解消のための資金と解すれば、(今は住民のためではなく村や町と言う抽象的な団体のために貰ってる感じです・・しかし放射能被害を受けるのは組織よりは生身の住民そのものです)自治体一丸で移転する必要がないのであって、住民一人一人の不安解消策で良いことです。
集団避難は個人的に解決出来ない人(弱者)のために自治体が後見的に関与すべきことであって、自分で解決出来る人を妨害する・・・自治体一丸で避難しなければならないと考えるのは本末転倒です。
要は放射能の来ない場所へ避難するための先行用地取得であって、自分で避難・移転出来る人の分まで用地取得は必要がないしお任せでいいのです。

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