不満・ストレス社会化のテーマから余談に逸れましたが、製造業の自動化→非正規化の急進展、事務作業のIT化の進行によるホワイトカラーの早期切り捨てなどが日本より急速に進んでいるのが韓国です。
何ごともこれが良いとなれば、後先見ずに?ラデイカルに変えていく韓国社会ではこの変化に適応できない人のストレス蓄積が半端ではない・・いつでも発火点にありそうな雰囲気が伝わってきます。
いつも私が批判しているところですが、韓国では学歴エリート・秀才が国政を牛耳り過ぎている・・日本の政治家のように国民の草の根の声を聞く歴史経験がなく欧米の聞きかじり・観念論で政治をするからではないでしょうか。
4月6日日経新聞朝刊10pではサムスン電子の60%減益発表関連の記事・・・減益に関しては単なる一過性のものか将来的にダメになっていくかを論じるメデイアが多いのですが、日経もその一環で「機能偏重・コスト高・カリスマ不在」の副題・将来性も暗いと言いたいようです。
この中で、「韓国経済低迷で安定志向が高まり10年に7、8年だった平均勤続年数は18年に11、8年まで伸びた」と紹介されています。
最近リストラ年齢が切り上がってきた結果平均年齢が上がって来た=人件費の切り上がり・日本より大幅に安い人件費が競争力の源泉だったのに今ではトヨタよりも高くなっている・高コストになっている点が不安という解説です。
上記日経新聞記事によれば「30歳で肩たたき」という従来一般的だった評判・噂?は過去のものになっているようです。
肩たたきで退職してもその後の悲惨な状況(あんちょこな個人商店開業が多いようですが、多くはすぐに倒産する悲惨さが日本に伝わってくるほどですから)を学習しているので肩叩きに応じないで必死にしがみつく人が増えてきたようです。
30歳が34〜5歳に切り上がっても、その不安に耐えている人たちの不安ストレスは並大抵ではありません。
以下は2年ほど前の日経ネット記事です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO15321100U7A410C1X17000/
韓国サムスン電子、勤続年数が6年連続増加 2017/4/17 6:30
「サムスン電子の平均勤続年数が伸びている。2016年は10.8年と6年連続で伸長。00年以降で最も短かった05年の6.0年に比べて1.8倍になった。
厳しい環境に耐えて長く働く社員が増える裏には、韓国で広がる経済格差と若者の安定志向がある。
最近は入社4~5年での退職が珍しくなかったサムスンにも変化がみられる。同社が公表した事業報告書によると、15年に平均勤続年数は10年を超え、16年も約半年伸びて10.8年になった。
この何年も肩叩きに耐えて(退職を1年でも2年でも先送りして)やめない社員が増えたのは、低迷する経済にあるようです。
https://japanese.joins.com/article/562/243562.html
韓経:韓国自営業者の「悲鳴」…今年は100万カ所廃業
2018年07月30日10時06分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
国家経済の毛細血管であり庶民経済の根幹である自営業が奈落に落ちている。無給家族従事者118万人を含めた関連従事者688万人で韓国の全就業者の25%を占める自営業がつまずき、所得主導成長を掲げた文在寅(ムン・ジェイン)政権になり雇用と所得分配はむしろ悪化の一途だ。
国税庁の国税統計と小商工人連合会などによると、今年廃業する自営業者は過去初めて100万人を超えると予想される。年間開業数比の廃業数で示す自営業廃業率は2016年の77.8%から昨年は87.9%に高まった。今年は90%に迫るだろうというのが業界の推定だ。自営業者10人が店を開く間に9人近くが店を閉めるという話だ。
https://japanese.joins.com/article/485/238485.html
韓国に自営業者が多い理由(1) 2018年02月09日15時29分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
韓国は自営業者が特に多い。2017年現在、韓国全体就業者2656万人のうち25%の675万人が自営業者や無給家族従事者である非賃金労働者だ。賃金労働者は全体就業者の75%だ。
無給家族従事者は18時間以上にわたり家族が経営する事業体で報酬を受けずに仕事をする人を指し、約110万人となっている。無給家族従事者は広義の自営業者と見ることができるため、自営業者の数は600万人を超えるとみてもよいだろう。
ギリシャ、トルコ、メキシコ、イタリア、ポルトガル、ポーランドなどが韓国とあわせて自営業者の比重が先進国平均の2倍ないしそれ以上の水準を示している。
・・・・自営業者はさまざまな理由と形態で存在するため、国別の自営業者比率の違いを一律に説明することはなかなか難しい。
にもかかわらず、既存の研究は▼産業化の程度が不十分▼労働市場が柔軟ではない▼個人所得税や社会保障分担金が多い▼失業給与水準が低い▼租税回避の可能性が高い--などの場合、自営業者の比率が高いと報告している。
・・・所得税を納める人の比率が少なく、所得税率と社会保険料率が高くない韓国に上記のような一般論の適用は難しそうだ。
・・・・韓国に最も適用可能な要因は、租税回避の可能性が高いということだ。あわせて低い失業給与水準も関連のあるほころびだらけの社会セーフティネットに伴う生計型自営業の起業だ。
私の関心は上記意見の関心とは違い、日本の中小零細企業との本質的違いに関心があります。
日本の場合、家内制手工業から工場生産へ以降していく順次経過の歴史があり、いわゆる大田区等下町に残る手工業的町工場に世界のバイヤーが群がるイメージ・・・すなわち日本の将来の芽が凝縮するプラスイメージです。
韓国の場合家内制手工業の経験がなく、いきなり財閥系への先進国技術導入で高度成長を図ったので、効率が良かったものの大手工場に納品すべき下請け町工場は存在しない・日本からの部品輸入に頼ってきました。
いわゆる圧縮経済の問題点です。