フリーランサー社会3(韓国6)

https://www.decn.co.jp/?p=103846
韓国の建築設計界/フリーランサー急増/52時間労働制導入で、正規職員に代わり残業 [2018年11月14日10面]
労働時間の上限を週52時間とする改正勤労基準法が7月1日に施行となった韓国の建築設計界で、フリーランサーの雇用が急増している。正規職員の勤務時間が52時間に達した時点で、代わりに夜勤を通じて残った業務を行うケースが増えているという。
フリーランサーは、プロジェクトごとに会社を転々と渡り歩き、正規職員らと共に作る数人単位のチームに混じって、仕事の手伝いをする。
これまでは納期を控えた時期に緊急雇用するケースが多かったが、現在はプロジェクト開始時点から構成員として使われることが多い。チーム単位で雇用するフリーランサーはこれまで1~2人だったというが、今は2~4人にまで増えている。

日本の一級建築士のフリーランサー化の事例を紹介してきましたが、上記によれば韓国でも同じようです。
韓国では空前の不況ですので、政府は景気対策としてあんちょこな(根気のいる産業構造転換よりはすぐに効果の出るインフラ整備や不動産景気を煽っている状態です。
この結果建築業界では人手不足になっているのですが・このようなあんちょこなバブルが続くわけがないのを見越した企業は雇用を増やさずに臨時職・フリーランサーにシフトしている構図です。
フリーランサー向け仕事は、業務内容が定型化している業種・IT技術者等一定スキルを身につけた業種向けですが、上記引用の通り正規社員のいやがる仕事?の穴埋め的・深夜・休日勤務などを引き受ける傾向があります。
数十年前の仕事上での経験ですが、富士通等の大手を退職したばかりの新人?人材が起業した場合、当初数年間は最先端技術に通じているということで引き合いが多い・元勤務先関連企業からも引き合いが多いのですが、年を経るごとに日進月歩の技術から遅れていくことと勤務先企業との人脈が薄れるなどから次第に仕事が減って・・発注先はその後大手を退職したばかり「イキの良い」人材を好みますので債務整理に追い込まれた事件でした。
債務整理になるのは企業化していた場合ですが、個人職人として非正規受注している場合にもフリー化してからの年数経過でオファーが低レベル化・単純作業化していくのが普通です。
今朝の日経新聞9p「働くママ」「待遇改善へ声届ける」「フリーランス不安払拭へ」には、フリーランスの生き方が格好いいような紹介記事ですが、内容は所属企業がないので継続的社内訓練を受けられないことや、育児休業補償などがないなど)主張が出ていました。
カタカナ名称を使ってもフリー=休めば収入がないのは当たり前ですし、日進月歩の技術進歩についていくのも自己負担は当然です。
看護師さんも退職後数十年経過した人の場合、「資格のある人何人」という数合わせが普通で多忙な大病院などの戦力としての期待はないでしょう。
今はフリーランサー(と言う名の使い捨て労働者?)の需要急増ですが、前提として正規社員絞り込みが激しくなっている・正規雇用減少の先行があります。
結局は雇用絞り込み→失業増→フリーランサーへの入れ替えが進んでいるということでしょう。
3分の1の大卒未就職者が、毎年のように送り出される社会って?累積していけば社会がどうなる?と思うのが普通でしょう。
韓国ではフリーランサーが3割の社会になっていると言われますが、就職難長期化と相関関係があるのでしょうか?
22日紹介した高率未就職は17年だけではなく前年も67、5%しか就職できていないというのですから・・ほぼ3分の1レベルの未就職者が恒常的に発生していたことがわかります。
毎年約3割もの大卒失業者が積み上がってくる韓国社会って?30歳まで失業積み上がり(内何割かは日雇い労務でもフリーランサーでもするでしょうが・・)だけでも大変な失業者数です。
18年末大卒統計は22日発表の例によれば19年末まで出ないでしょうが、昨年から日本へ就職を求めて大量に押しよせているなど厳しい就職状況・・劇的悪化の報道ですから16〜17年2月卒業生よりもっと悪化しているのでしょう。
https://jp.reuters.com/article/southkorea-economy-unemployment-idJPL3N2076JK

2019年2月13日 / 08:53 / 2ヶ月前

1月の韓国失業率は4.4%、9年ぶりの水準に悪化
ソウル 13日 ロイター] – 韓国統計庁が発表した1月の失業率(季節調整済み)は4.4%と昨年12月の3.8%から上昇し、9年ぶりの水準に悪化した。最低賃金が上昇する中、製造業セクターや建設セクターで雇用が減少した。
1月の失業率は、経済が世界的な金融危機の影響を受けていた2010年1月に記録した4.7%以来の最悪なパフォーマンスとなった。

https://www.recordchina.co.jp/b668339-s0-c20-d0127.html

韓国20代の失業率が日本の2倍に、原因は?

2018年12月5日、韓国・聯合ニュースは「韓国20代の失業率が日本の2倍以上になった」と報じた。
記事によると、韓国の昨年25~29歳の失業率は9.5%で、日本(4.1%)の2倍以上を記録した。20~24歳の失業率も韓国が10.9%、日本が4.7%だったという。
早稲田大学の朴相俊(パク・サンジュン)教授と韓国銀行(BOK)のキム・ナムジュ副研究委員は5日に発表したBOK経済研究の報告書「韓国と日本の青年失業比較分析および示唆点」で「韓国の若者の失業率が日本より大幅に高いのは、良質の雇用が不足している上に大企業と中小企業間の賃金格差が大きいことに起因しているとみられる」と指摘。大・中小企業の賃金格差拡大といった労働市場の二重構造化が若者の失業率増加につながるものとの分析だ。
統計庁の調査から、韓国の50人未満の中小企業の平均賃金は大企業の55%にすぎないことが分かっている。一方、日本は過去20年間、中小企業の賃金が大手企業の賃金の80%水準を維持しており、大卒初任給の場合は90%を上回っているという。

日本の中小企業は江戸時代以来の家内工業の系譜を引き大量生産工程化に馴染みにくい分野を専門にしていた結果、大量生産方式に脱皮できなかっただけで、技術レベルが高いから生き残ってきたのですから、零細でも利益率が高い企業が多く大企業との給与格差が大きくありません。
https://japanese.joins.com/article/383/249383.html

韓国、「今年大卒予定者の10人に1人だけが卒業前に正社員内定」
2019年01月22日08時00分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

大卒就業者のうちで正社員になれた人の割合を見るには、正規非正規の定義自体いろんな定義があるので断定的に書けませんが、大卒時の就職決定率で常識的な印象を見るのには合理的でしょう。

フリーランサー社会2(韓国5)

日本で言えば、卒業時就職未定が33%もいると大変な騒ぎですが、韓国の場合には16年8月から17年2月までの卒業生で17年年末が来ても・・・卒業生の33%もどこにもまだ決まっていない、しかも就職者67%の内約10%が健康保険に加入していないということは、就職者の10%は日雇い程度の仕事しかないのでしょうか?
ただし、文政権の週52時間労働制度導入による取り締まる強化を逃れるために正規雇用をどんどん解雇して、フリーランサー・・・外注化が進み今やフリーランサー需要がうなぎ登りと紹介されています。
一級建築士がフリーター的に特定工事現場のプロジェクト(トンネルや橋梁等の劣化チェック限定で契約している人の事件を受任したことをApril 15, 2019,に紹介したことがありますが、日本でも専門職のフリーター化(フリーランサーというかな?)が進んでいます。
企業が外注の方を選ぶのは、・・検査要員として資格さえあれば良い?
単純作業は外注の方が割安だからで、同じ一級建築士であれば大手企業社内で資格者よりトータル年収ではもともと低い前提です。
(臨時の場合時間単価が一見高そうでも、社員の場合退職金・年金や保険の負担/業務量が減ってもすぐに解雇できないなど比較にならないほどの格差があるでしょう)
オファーに応じないで半年間海外旅行するのも自由ですが、半年遊んで半年働いてそれで十分な生活(疾病等や老後資金の蓄積を含め)ができればいいのですが、いまでは一級建築士という程度のスキルではそんな贅沢はできませんので、仕事があればゴールデンウィークの仕事でもすぐ応募(受注)するのが普通です。
デイズニー等の登録者も同じです。
ことわる自由があるといっても、あんちょこに断れば次のオファーがなくなるか発注順位が下がるリスクがあるので、オファーがあれば喜んで受けるのが普通です。
この結果、普通のひと(正社員)が嫌がる場所や(休みたい)日や時間帯の仕事を喜んで受けるしかないのが現実でしょう?
大手企業社員は公休日や有給病欠等の基準が決まっているので、それ以外の日には企業のルールに縛られる代わりに、公休日や有給休暇を取れれば仕事しない完全な自由が保証されています。
このルーを守るのが煩わしい・集団生活に必要なルールを守る能力が低い・・長期休暇取得には事前の業務引き継ぎなど根回し必要ですがそのノウハウが低い場合、ルール社会から逸脱したい人も一定率いるでしょう。
気配り社会からの脱出・・居場所を無くせば野良犬同様に飼い主がいないので、主人や上司にペコペコする必要がない代わりに餌をくれるひとがいれば、誰彼なしに擦り寄るしかなくなります。
特定の飼い主と仲良くするかわりにその他一般に気を配ったり警戒の必要がない・飼い主や会社が守ってくれるのと、フリーになれば特定の庇護者がいないので人間関係維持のためのルールを守る必要がないかわりに、猫で言えばまわり全部が敵・いつ蹴飛ばされるかわからないので、周囲全部に寸分の隙なく気を配るかの選択です。
いつ蹴飛ばされるか警戒しながら目を皿にして餌を探し回っていて、ちょっとでも食べられそうなものが見つかれば仲間より早く飛び出して餌に食らいつく野良猫のような生活をしながら、主人がいないといつでも昼寝できると飼い猫をバカにしてるのと似ています。
ただし、先進国では医療に始まりフードスタンプなど最低生活保障が充実してきたので、生命維持面のリスクが大幅軽減されている点が大きな違いになっています。
野良猫でさえも有志が餌をやり、他方で避妊手術をする取り組みが進んできましたので、近隣の野良猫は餌を争う必要もなく、蹴飛ばされる心配もなく・・・原則として安心して寝そべっています。
人間の場合、時々路上生活者が少年に襲われる事件が報道されますが・・減る一方でしょう。
こうなると「飢える自由」蹴飛ばされる心配がないので、社会のセーフテイネットにただ乗りしたい人が増えるのでしょうか。
猫の場合は避妊と引き換えですが・・・。
日雇い労働・職業不定・非正規〜フリーター〜フリーランスと次々名前を「おしゃれ」に?変えても、恒産(今で言えば安定収入)があって余暇で公益活動をするとか、自己の価値観に従って注文を選べてこそ、本来の自由業というべきです。
http://manapedia.jp/text/3870

孟子曰、
「無恒産而有恒心者、惟士為能。
若民則無恒産、因無恒心。
苟無恒心、放辟邪侈、無不為已。
「恒産無くして恒心有る者は、惟(た)だ士のみ能(よ)くするを為(な)す。
民のごときは則ち恒産無ければ、因(よ)りて恒心無し。
苟(いや)しくも恒心無ければ、放辟(ほうへき)邪侈(じゃし)、為さざる無きのみ。

孟子によれば恒産なくとも 恒心を貫けるのは、「士」のみであり、一般人・民にそれを求めるのは無理であるという教えです。
これが伝統的に小売店その他の日雇い作業員や各種自営と医師・弁護士を分けて自由業と一般に言い習わしてきた違いでしょう。
生活費を稼ぐのに必死の人が多数を占める職種・・個々人の志に頼るだけの場合には、その業種を自由業とはいえないとすれば、弁護士大量増員以降の弁護士は経済保障面で自由業としての足元が崩れ始めている・恒産をなくしていっても本当に「士」としての正義を貫ける者がどれだけいるかの試練を突きつけられているといえます。
謡曲「鉢の木」が古典になっているのは「痩せても枯れても武士は武士」という美談が必要な段階になったからでしょう。
イギリスでも乞食王子とトムだったかで、似たような逸話が入っています。
フリーになれば「好き勝手に受注をしない自由がある」というのは、日曜日でも深夜でもオファーがあれば即時対応が要求される最も弱い立場・・実は絵に書いた餅です。
企業の方は危険な仕事その他汚れ役をやらせる要員として(何かあっても保証しなくて良い)「便利」(トータル安上がり)だから利用しているのが普通です。
戦場等危険な取材の多くはフリージャーナリストの仕事であり、正社員の派遣を聞いたことがありません・ISに捕まれば自己責任の大合唱です。
正社員が現場で生涯寝たきりなるような事故にあえば労災給付だけですまず、企業として全面保障するのが普通でしょうが・・下請けの下請けのそのまた契約社員であれば、お見舞いにも行く必要がない・・現場労災程度であとは放置でしょうか?

フリーランサー社会1(韓国4)

日本のフリーランサーの多くが一定の職業経験を活かした副業型や弁護士のような独立自営のイメージですが、大卒と同時のフリーでは何ができるのか?モラトリアム人間・失業との境がはっきりしません。
フリーランスとは何か?ですが、語源由来からしても特定雇用主を持たないフリーの専門職・外形上できる職務がはっきりしているだけではなく、専門職と言える程度のレベルが予定されるべきでしょう。
フリーという点だけ着目の名称つけは、いつも書く名称のインフレ現象の一つでしょう。
誰でもできるビルの清掃夫・工事現場付近に配置される警備員まで言い出したら、単なるフリーターと変わりません。
韓国では就業人口の3割、米国でも25%と言われるようになると、専門職とは普通の労働者以上んスキルを持っている人のことでしょうから、3割もいたら特別な能力とは言わないでしょう。
正規社員になれない落ちこぼれ階層の表現にインフレが起きているのではないかの疑いがあります。
韓国の場合、大卒同時の就職が少ないのでやむなく、フリーランサーの多くがこれといったスキルもなく自営化している・・・失業周辺のおしゃれな呼称と見れば18年末就業者の6、4%のフリーランサーを未就業者の分類に入れる方が実態に合っているでしょう。
そうすると大卒の実に4割もの多くが年末が来ても不安定な状態であることになります。
韓国では人口の3割がフリーランサーと言われますが、その実態は?

韓国のフリーランス・副業者の実態。新しい考え方と国内労働力の3割に達する副業者フリーランス

2017.07.28
韓国のフリーランス・副業者の実態。新しい考え方と国内労働力の3割に達する副業者フリーランス
お隣の国「韓国」では現在フリーランスの数が国内労働力の3割にものぼると言われています。この状況を盛り上げているのは、ここ数年突如として現れた「YOLO族」、そして新しい考え方を持つ若者世代です。彼らは超就職難といわれるこの時代をどう生き抜こうとしているのか、模索しながらもパワフルに生きる、韓国フリーランスの現状を韓国で7年間在住しフリーランスとして活動しているライターが紹介します。
LA中央日報が2017年6月19日に載せた記事によると、韓国のフリーランス人口は今や国内労働力の約30%に達しているといいます。2016年韓国の人口は5,125万人、外国人労働者は約2.1%で54万人というところもあり、韓国の総労働人口とフリーランス人口を比較するといかに韓国内でフリーランス人口が多いことが分かります。

上記によればいいことづくめ!・綺麗事を言えばそう言えないことはないでしょうが・・。
以下引用続きです。
一応動機が就職難に始まっていることを書いていますが・・。

働きやすさに夢がある、「YOLO族」と呼ばれる生き方
韓国のフリーランス人口は、これほどまでに増加の一途を辿ってきたのでしょうか。それはここ数年、韓国社会で問題となっていた「学歴重視社会」や「勉強ばかりを強いられる学生時代」に反発する若者たちが「社会にでても再び就職難という壁にぶち当たるだけ」という、現実を見て「フリーランス」という働き方を選択し始めたからです。
現在韓国にはYOLO族(=You Only Live Once)という、人生は一度切りだから好きなように生きようという考え方が注目され始めています。「YOLO族」たちは貯金をせず、将来のこともあまり考えないというのがモットーで、今あるお金を自由に使いながら生きようとする生き方を選択しています。

韓国の親世代ではまだフリーランスという働き方に対し「収入が不安定」「年金等、国の制度に加入できない」などネガティブな印象を持つ人がたくさんいます。
しかし、フリーランスで成功すれば「働きやすさに夢がある」「好きなことをしながら生きることができる」と、若者たちや「YOLO」という考えを持つ人たちに夢を与えている環境もあります。
第4次産業革命に突入した韓国社会で台頭し始めるIT企業
民泊として人気のAirbnbなどのプラットフォーム企業が勢力を増す韓国の市場では今、ほとんどの企業が内製する業務を削減しており、その多くは戦略や企画のような業務は各企業の正社員が受け持ちますが、プログラムを改修したり、資料を作成するといった事務的な業務はフリーランスに業務委託されるようになってきているのです。
この影響により、韓国のフリーランスの人たちにとっては大きなチャンスを迎えており、「一部業務のアウトソーシング化」というスタイルでフリーランスの需要は年々増加の一途を辿っています
「YOLO」と英語にい変えれば格好いいということでしょうが、内職の発展か内職への転落か?不明ですが・何年努力してもまともな就職先がないから開きなおって、今を刹那的に楽しく生きようとなっただけのように見えますが・・。
成功すれば・・・と書いていますが、就職で挫折した人が一攫千金を目指しても奇跡的にうまくいく人は万に一人というところでしょう。
「好きなことをしながら生きることができる」っていうけど、何のスキルもなくそう思っただけでそんなことが実際に出来れば苦労がありません。
就職難で苦し紛れの言い換えか?という勘ぐりをする人が多いでしょう。
失業者がシリコンバレー発展の原動力になったこともあり、結果的に人口の3割のフリーランサーから0、01%でもアップルのジョブズ氏のような人がでないとも限りませんので、国家的実験としての意味があるとは思いますが、貧困層に取り残される残り99、99%の人たちのストレスは大変です。
アメリカンドリームと同様の社会を理想としているのでしょうが、この種の原始的自由競争社って、成功者が出ないと国を挙げての貧困社会ですし、仮に0、0何%の成功者が巨万の富を得ても、途方も無い格差社会化になるしかない政策です。
今や人と人の格差だけではなく、アップルとその他製造業の時価総額の巨大な差を見ればわかるように企業間格差の巨大化が始待っています。
世界的にストレス蔓延の原因が、まさに、一攫千金的成功者の出現とその他大勢の超貧困社会の出現にあり、その解決こそがいま世界的テーマになっているのではないでしょうか?
反グローバル化の声が高いですが、要は格差拡大反対ということであってグローバル化=格差という短絡的思考がおかしいという人が増えるでしょう。
日本で言えば、卒業時就職未定が33%もいると大変ですが、韓国の場合、16年8月から17年2月までの卒業生で17年年末が来ても・・・卒業生の33%がどこにも決まっていない、しかも就職者67%の内約10%が健康保険に加入していないということは、就職者の10%は日雇い程度の仕事しかないのでしょうか?

不満社会?11(韓国3)

韓国自営業の場合は大企業失業者の吸収装置であったことが、以下の論文でわかります。
https://www.surugadai.ac.jp/sogo/media/bulletin/Hougaku26-02/Hougaku.26-2.77.pdf
韓国の自営業労働市場に関する一考察朴昌明

・・・一方,自営業部門はリストラされた労働者の「雇用吸収弁」の役割を行った。1998 年の非賃金労働者の割合は38.3 %と1997年(36.8%)より1.5ポイント増加した(図表1)。図表1を見ると,1999 年から雇用員がいない自営業者数が,2000 年から雇用員がいる自営業者数が,それぞれ増加していることがわかる。
IMF経済危機以降,失職者,特に男性が生計維持を目的とする創業が大幅に増加した(イ・ビョンヒ,2012 ,p.1 93) 。従来韓国では自営業が農民やブルーカラーからの移動先であったが,IMF経済危機以降,中壮年ホワイトカラーが自営業に参入するようになった(李莎梨,2009)。経済危機直後に急上昇した失業率は急速に低下し2002 年には3.1 %にまで回復したが(韓国労働研究院,2012 ,p.1 6) ,その要因の一つとして自営業部門の高い雇用吸収力が考えられる(有田,2007 ,p.2 5 駿河台法学 第26巻第2号(2013)

解雇の受け皿・・生計維持のための開業が多い前提の場合、昨日紹介した通り自営業の危機が続く現況では、狭き門を突破してせっかく就職できたサラリーマンは肩叩きにあっても必死にしがみつくしかないでしょう。
メデイアでは自営業の苦境ばかり大々的に報道していますが、自営業へ雪崩込めないで大企業で肩叩きに耐えている人たちの鬱屈は半端でないはずです。
リーマンショック以降の韓国の成長率は急減ですし、少子化率の進行率も半端ではありません。
https://www.recordchina.co.jp/b681232-s0-c20-d0058.html

韓国の経済成長率がここ6年で最低に、原因は「投資の萎縮と輸出の不振」=韓国ネットから不安の声
2019年1月23日、韓国・ソウル新聞は、昨年の韓国の経済成長率が過去6年で最低となる2.7%を記録したことについて「内需を支える投資の急激な萎縮と、経済を支えていた輸出の不振が成長の足を引っ張った結果だ」と伝えた。
https://ecodb.net/country/KR/imf_growth.html

成長率だけ見れば日本より良いのですが、完全雇用状態の日本が成長率をこれ以上げられない・ゴムが伸びきっている状態と違い、韓国の場合、若者の25〜30%前後の失業・・公式統計と違い実際安定就職のない状態・大卒で就職できないでバイトしても失業にカウントとしない)では成長がない(日本のようにほぼ現状維持)・低成長に陥ると、職にあぶれたママの人がそのままジリジリと高齢化していく社会になります。
https://japanese.joins.com/article/580/248580.html

韓国の大卒3人に1人は未就業者…2011年以降最悪
2018年12月28日09時27分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
韓国の大学・大学院卒業生3人に1人は未就業者であることが分かった。特に、しばらくの間上昇傾向にあった就職率が文在寅(ムン・ジェイン)政府発足以降、再び減少傾向に転じた。若者が体験している最悪の雇用難が政府の公式統計で確認された。
教育部と韓国教育開発院は27日、このような内容が盛り込まれた「2017年高等教育機関卒業者の就職統計調査」の結果を発表した。この調査は2016年8月~2017年2月、全国の大学・大学院を卒業した57万4009人を対象に2017年12月31日現在の就職状況を把握した。国民健康保険公団や国税庁、雇用労働部など公共データベース(DB)を活用して全数調査した。
2011年以降就職率が67%以下に落ちたのは今回が初めてだ。特に、2014年(67%)から2015年67.5%など上昇傾向にあった就職率が今回再び減少傾向に転じた。就業者の中で健康保険の職場加入者の割合は前年(91.1%)より低い90.3%である一方、フリーランサーは前年(5.8%)より上がった6.4%となった。

3人に一人・・・33%が17年12月末で就職できていない・・卒業時(韓国では2月が卒業で3月が入学です)でなく、年末時点でもこんなに大量に未就職だとその後彼らはどうなるのか?
就業者のうち6、4%がフリーランサーになっている点も韓国の特徴でしょうか?

不満社会?10(韓国2)

旧ソ連はスパイ網を利用してロケットや軍事技術を模倣できても、民生品を窃取するにはコスト的に合わないので乗用車ひとつまともに作れないままであったことを紹介しタコとがあります。
韓国が日韓条約以降日本に吸い着いて民生技術を移転する戦略で成功してきました。
大手企業の大規模製造技術であれば日本の技術者数十名を高給で招いても、それによって何十億単位の生産が軌道に乗れば採算が取れましたが、町工場レベルの小規模部品製造技術(金型その他すり合わせ技術・最先端技術・新幹線の先頭部のラインは手作業の叩き出し・板金?技術で叩き出されるとどこかで読んだ記憶です)は窃取するにはコストが合わなかったし、そもそも当時手作業の熟練工の技術をデータ化する技術がなかったので窃取・技術移転対象にならなかったのです。
千葉で時々表彰される中小企業の表彰内容を見ると、技術工程に工夫を凝らしたなどの内容です。
日本の旧来型中小企業は単なる大手の下請けではなく工場生産に馴染みにくい人手の必要な部分で生き残ってきたのですが、韓国の工業化は外国技術導入の可能な大量生産・様式化された部分から始まっているので親の代から受け継いだファジーな技術を持っている零細企業が皆無に近い点がおお違いです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjams/29/2/29_325/_pdfで日本の自営業が失業の受け皿になっているかの検討をしていますので、このブログのテーマに関係ある限度で一部引用しておきます。
日本の自営業に関しての上記論文意見はこのシリーズのテーマと関心方向が違うので、論文からの引用は、論者の思考する意見方向とずれているかもしれないのでその点はご容赦ください。

(受稿 2013年12月25日/掲載決定 2014年9月10日)

   仲 修平(日本学術振興会・関西学院大学)前田 豊(立教大学)

要旨
・・・分析の結果,失業率の上昇と自営ブルーカラーへの参入には関連が見られない一方で,失業率の上昇が自営ホワイトカラーへの参入を抑制する傾向が確認された.さらに,中小企業における就業経験は,自営業への参入を促進させると先行研究で指摘されてきたが,今回の分析結果では失業率が上昇すると中小企業からの移動が抑制される傾向が示された
(325p)2014, Vol.29, No.2:325-344

最終結論部分では以下の通りです。

第一に,日本における失業率の変動は,自営業への参入を促進しなかった.ただし,失業率は,自営業の職種によって異なる影響の仕方であることがわかった.具体的には,失業率は自営Bへの移動に対しては有意な影響が見られない一方で,自営Wへの移動に対してのみ有意な負の影響が明らかとなった.・・・日本では,他国におけるインフォーマルセクターが想定しているような参入障壁が低く,誰でも容易に参入できる類いの自営業ではないことが考えられる.その結果,たとえ失業率が上昇したとしても,自営業への参入が促進されないのだろう.(337p)

・・・韓国や台湾では自営業や家族従業者の比率が日本に比べて高く,日本の自営業とは逆にあまり熟練を必要としない自営業が多い(竹ノ下2011).加えて,韓国や台湾ではパートやアルバイトの規模が依然として小さいことを鑑みれば,自営業や家族従業者がインフォーマルセクターとしての役割を担っていると考えられる(太郎丸2013).一方,日本の労働市場では自営業は減少しているのに対して,制度の変更に伴ってパートやアルバイトなどの非正規雇用が急激に増加している.この現象はインフォーマルセクターの規模がますます小さくなっているとも読み取れる.つまり,日本の自営業が失業層を救う役割を果たさない理由は,他国が想定するような自営業ではないという根本的な理由に加えて,昨今の日本の労働市場では,「参入障壁が低く,参入しやすい就業先」は,インフォーマルセクターとしての自営業ではなく,非正規雇用がその役割を担っていると考えられる(339p)

日本が失業率増減と自営業増減の関連性が多くの国と違い、逆の関係性が多く見られるのは、「日本では,他国におけるインフォーマルセクターが想定しているような参入障壁が低く,誰でも容易に参入できる類いの自営業ではないことが考えられる.その結果,たとえ失業率が上昇したとしても,自営業への参入が促進されないのだろう」と説明されています。
技術伝承型自営業が多いので失業者があんちょこに開業できないということです。
これに加えて日本で非正規雇用・パートアルバイトが新たな受け皿になっている点を検討する必要があることが示唆されているのは、私にとっては新たな視点です。
韓国のいわゆる生活維持型自営業とは・・・日本でイメージする創業何代目の事業継承・・子供の頃から訓練された技術の裏付けもない元工場労働者やサラリーマンの中途退職者などが、一定のお金さえあれば簡単に参入できる飲食業などに参入する姿です。
このために誰かがメニュー等工夫しても、あっという間に真似されてしまうパターン・・あるいは価格競争による貧困競争が紹介されています。
フランチャイズシステムが発達してくると、本部が開業前訓練をしてくれるし本部の支給してくれる商品を棚に並べマニュアル通りに運営すれば済むので、以前よりも増して素人の新規参入・開業が容易になっていたようです。
アルバイトに最低賃金を払えないために家族が無給で働くようになっているので、結果的に自営業者の収入を時間給計算をすると最低賃金以下になっていると報道も出ています。
大手企業中途退職後の退職金元手に逃げ道としての自営開業ですから、自営業をやっていけなくなって廃業した場合その先の生活方法がありませんので、家族総出で最低賃金以下の収入を得るために店番をして食いつないでいるようです。
昨日紹介したように、年間の開業と廃業の度数では廃業率が89%に迫っていて、年間廃業が百万件というのですから、それでも年間約110万件の新規参入があるということです。
年間百万件の廃業と言えばその一家の収入源が、廃業後どうなっているか気になるところです。
失業保険がないので失業保険受給統計から漏れているのでしょうが、廃業前にすでに貯蓄を食いつぶしているでしょうから、生活費に苦しむ点では(10〜20年働いてリストラ失業の場合割増退職金ももらえるし、その間一定の貯蓄をしているのが普通です)者以上でしょう。
倒産・・仕入れ代金等は踏み倒せば終わり・・破産すれば債務の方は解決でしょうが、その後の収入をどうするかでしょう。
廃業目前の人も含めてこの苦しみ・・中高年リストラ後の自営開始が多いので廃業者の多くが中高年でしょう・・高齢者の自殺比率が半端でないし娘が売春婦等国外での稼ぎに出る原因になっているし、何か暴れても良いような不祥事をメデイアが煽ると枯葉に火のつくような大騒ぎになり易いのでしょう。

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