最先端社会に生きる2

アメリカ流単細胞的政治学・経済学で単純運営すればどうなるか・・今のメキシコの例を見ても分ります。
経済成長の数値だけは目覚ましいものの、警察そのものが犯罪組織に狙われるような・・いくら命があっても足りないような最低治安生活に陥っているのがメキシコです。
アメリカ流儀の政治経済運営が戦後中南米諸国を最貧国・・何回もデフォルトして治安最低国に陥れて来たのですが、これをアジアにも及ぼした結果が今の韓国経済・社会になります。
韓国もサムスンなどの大手財閥系企業だけがうまい汁を吸っている一方で、国民は疲弊の一途・・犯罪率も半端ではありません。
そして大手企業の大株主は主に欧米資本になっていて、実質は19世紀型の植民地支配を受けているのと殆ど変わりません。
世界中で日本だけがアメリカ流儀の経済運営に従わないばかりか、この流儀の輸出を東南アジア諸国にしているので、東南アジアの民生は豊かになっています。
米英系マスコミの息のかかった学者が、日本は外資に魅力がないのは問題だと言って必死になって外資導入の必要性を宣伝しています。
如何に日本経済は外資に魅力がないか・・国債・日本企業の買収・・その他をもっと外資に買って貰った方が良いということの繰り返しです。
しかし国民の福利・・最大多数の最大幸福を目指すのが政治の目標であって、外見的なGDPばかりカサ上げしても国外に利益が流出する仕組みでは、何のために政治があるのかと言う根本からの問い直しが必要です。
アメリカの言いなりで、欧米資本の支配下で国内企業を大きくして行っても・・まさに植民地支配下の現地王族が豪華な屋敷を建てて贅沢しているのと同じで国民には関係がありません。
欧米資本企業がいくら繁盛していても植民支配当時の現地の王族が宗主国・アメリカ政府や学者の受けは良かった・・・みたいな役割に堕してしまいます。
民主政治を主張するミャンマーのスーチー氏は欧米の信頼が極めて厚いですが、実質的植民地的支配復活を目指す欧米の息がかかっているように見えるところに、せっかく独立を果たしたばかりの政権にとっては民族的に大きなリスクを感じたことは周知のとおりです。
欧米の言うままに政権運営して来た結果が、戦後何十年に亘る中南米諸国の疲弊進行の根源です。
ところで我が国庶民レベルが何故高いのかということですが、世界で日本が最初に庶民文化・・大衆文化が花開いていたことに先ず着目すべき(庶民レベルが高いから開いたとも言えますし・・)です。
西洋文化は19世紀に至っても王侯貴族やその周辺で彼らに奉仕するべき文化でしかありませんでしたが、我が国では、既に江戸時代初期ころから浄瑠璃や歌舞伎が発達し中期以降浮世絵・錦絵あるいは音楽(都々逸・三味線・端唄小唄・踊り等々)、俳句などの文芸も庶民が楽しむ大衆相手のものでした。
中世(鎌倉〜室町)以降発達した田楽や薪能その他神社仏閣で催すものには、庶民も人だかりして楽しんでいました。
もっと古代には、万葉集にも地方庶民の歌がいくらも取り上げられています。
ねぶた絵の例で分るように、我が国では江戸時代以前から文芸・絵を描くことは宮廷と結びついた特定芸術家の独占物ではなく、地方でも誰でも参加出来る性質のものでした。
ジョン万次郎のように普通の漁師の子供が、漂流してアメリカに渡ると直ぐにその社会の制度文物を理解したように、庶民レベルの識字率・理解度は他所の国に比べて半端なものではありません。
ロシアに渡ってエカテリーナ女帝に謁見した大黒屋光太夫(松平定信の時代に帰ってきました)もいます。
庶民レベルが高いからこそ、世界中でも稀なように政権が天皇家から大貴族(蘇我氏物部の争い〜摂関家)〜高級武家(源平政権)〜中級武家(織豊〜徳川)〜最下層武士(薩長土肥下級武士)による明治維新へと順序よく行われて来ました。

最先端社会に生きる1

この辺から正月元旦〜2日のコラム続きに戻ります。
日本はキャッチアップ社会ではないので、他所の技術を導入して簡単に成長して行く過去の成功モデルは最早通用しません。
「輝かしい未来」が待っているような正月元旦の目出たいイメージ新聞がなくなって久しいですが、これからも最先端で苦闘しながら(外形上モタモタするしかない)やって行くのは(他所の技術導入で高成長するよりは)日本にとって名誉なことです。
円高・・ハンデイが大きくなればなるほど国際競争は苦しいですが、ハンデイが高いのは本来名誉なことです。
数日前に置き碁の例を書きましたが、置き石をドンドン減らして勝っていても実質的実力が下がっているのに、表面上勝っていて、景気が良さそうに見えるので気がつかないだけです。
円安で楽をしようとするのでは、企業体力がなまってしまいます。
円安時に甘やかされて基礎的競争力が弱っているところで、投機筋の標的になって円高になると日本経済がひとたまりもなく参ってしまいます。
ここ4〜5年破格のウオン安で良い思いをして来た韓国経済が、今回は投機筋の標的になってウオン高になって来るとひとたまりもない状態が懸念されているのが参考になるでしょう。
日本も囲碁の例で言えば、置き石を4個から3に減らす程度で良いのに調子に乗って5から1に減らすと実力以上の円安ですから、企業は楽して儲けられますが、その代わり筋肉質でなくなったころに投機の対象になって急激な円高(本来の実力相応レベル)に戻るとメタメタになってしまいます。
相撲で言えば大関がまだ関脇の実力があるのに、あえて幕尻〜十両に下がって相撲を取れば(大関の待遇を受けられない代わりに)連続勝ち星を挙げられて景気の良い話になりますが、弱いものばかり相手では実力が却って下がってまうでしょう。
苦闘の将来が待っているのは誰のせいでもない・・課長〜部長〜役員と昇進すればランクアップに応じて大変なのは当然ですが、そのうちに新たな地位に適応出来るのが普通です。
円高=ランクアップに応じてその直後は適応に苦しむのは当たり前で(政治家の責任にしても始まりません)最先端水準に到達した日本民族みんなの試練・宿命です。
前を行く選手を追うのは楽ですが、先頭ランナーが辛いのはどこの世界・分野でも同じです。
日本は栄誉ある地位を得た以上は、その苦労を苦労と思わずに輝かしい1歩の始まりと思って民族みんなで背負って新たな地位に挑戦して行くべきです。
他人の後を追って高度成長したい人が今でもいますが、そう言う人は新興国に引っ越せば(高速道や鉄道も港湾も何もかもそろっていない社会では、毎日のようにインフラの充足劇を見られて)高度成長が実感出来ます。
円安期待とは、せっかく部長に昇進したのに「課長に戻れば楽で良いなあ!と言っている負け組の発想です。
(課長の実力しかないのに官打ちにあったと言うなら別です・・安倍政権の円安政策は日本の実力はもっと低い・・荷が勝ち過ぎるという意思表示になります)
我が国は経済だけではなく道徳的にも最先端社会を構築した以上は、簡単に先が見えないのは当然ですから、成長率だけを基準にこれを「失われた20年」などと閉塞感を強調して批判するのは誤りです。
前人未到の領域に入った以上は、傑出した指導者など滅多に出る訳がないので何をするにも暗中模索・モタモタするしかないのは当然です。
モタモタが20年続いているのは誰の責任でもない・・政治家の責任ではないので、政治家を非難しても始まりません。
政治家や誰かに安直に解決してもらおうとしても、誰も経験のないことですから日本の歩む方向は試行錯誤しかないのは当然です。
これを従来の高度成長期のように、どこか先進国の経験の真似をしたら良いとい安直な期待で政治家に期待すると、どこにも真似をする事例がないのでどの政党が政権をとっても国民が期待したようにはうまく行かず、政権が安定しないことになります。
日本の政権が短期で交代する・・国民の期待はずれに終わるのは、過去の高成長期待を煽るマスコミ(ネットを含めた)・学者の姿勢に問題があります。
欧米の過去の事例を学ぶのに秀でた学者の意見で政治をすれば楽ですが、そんな社会・・低レベルな二番手〜三番手社会にわざわざ落伍して生活する必要はありません。
前向きに一歩でも二歩でも進もうとすれば、モタモタするしかないのですから、これまでの日本の愚直とも言える歩み方は正しい選択であったように思います。
マスコミの煽動に応じる・・ポピュリズム的政治を志すには一旦大関・関脇クラスから、幕尻クラスにランクを落とすのが早道です。
安倍政権は円安にする=一旦ランクを落として高度成長のような気分に国民を踊らせようとしていますが(ランクを落とすのは誰でも出来るし実現可能です)、長期的な体力・国力を弱めることにならないかを心配しています。
アニメの普及を通して日本庶民の生き方が世界に浸透し始めていることをDecember 20, 2012「米英系マスコミ支配2とマスコミの限界」のコラムで書いたことがありますが、我が国の国民生活レベル全般(信義を守るなど道徳意識を含めて)が今や世界の模範になりつつあります。
鼓腹撃壌の故事を持ち出すまでもなく、政治の要諦・・目標は国民の福利にあります。
世界で一番犯罪率が低い・財布など落とし物をすれば直ぐに交番に届けられている・・こんな理想社会が日本以外にありますか?
街にゴミが散らかっておらず隅々まで清潔・・町並みも綺麗な状態で騒音も少ない・川には澄み切った水が流れている・・子供や動物など弱者に対するまなざしが暖かいし、みんなお互いにいがみ合っていない・・信頼性の高い理想郷を実現しているのが現在日本社会です。
スラム街がないのも日本の特徴です。
日本にも一見貧しそうな木密住宅街がありますが、そこでも路地の隅々まで綺麗に掃除が行き届き、狭い空間に草花を育てるなど暖かい風情があって、諸外国の荒れ果て・荒んだスラム街とは全く違います。

社会安定期の政権担当能力1

安定成長=本来政治安定期になる筈の我が国が、逆に政治混迷期に陥っているように見えるのは何故でしょうか?
政治の基礎になるべき社会生活の安定性はこの約20年で際立って良くなっています。
交通事故死、犯罪率その他全ての基礎的指標が良くなる一方です。
(昔なら病死していた人が生きながらえることによる介護疲れによる虐待や殺人事件がありますが、それでも殺人罪や暴力の絶対数は減っています)
自殺者の増加・高位安定が問題視されていますが、これは生活基礎の安定に反する指標というよりは、病気になっても簡単に死ねない面が大きい・・医療の充実による療養長期化による面が無視出来ません。
我が国のバブル崩壊後の政治低迷は、我が国政治の舵取りの難しさにあります。
少子高齢化で世界トップを走っていることその他世界最先端生活水準に突入している我が国の場合、お手本になる先進国がありませんから、お手本を勉強するのに優れている秀才の言うとおりやれば良い簡単な国ではありません。
我が国政治決断には学者・評論家のような単純回路ではなく複雑回路が必要ですので、何事も単純回路で考えて明確な結論を出したがる学者・評論家の言うとおり実行する方が、誤りが大きいと思われます。
(学者の論文は、「その他の与件が一定とした場合こうなる」という単純な論法ですが、実際社会では与件が決まっていることは何一つありません)
中国のように我勝ちに電車に乗り込む社会では、日本のように並んで待ちましょうとか道路につばを吐かないようにしましょう、街を綺麗にしましょうという教育が簡単ですが、日本では現在社会で守るべき理想的道徳が自然に守られている社会ですから、これをこう変えたら社会が抜本的に良くなるという指導の余地が滅多にありません。
こう言う状態下では目覚ましい成果を得る政治家を求めるマスコミ風潮では誰が政治家になっても、無い物ねだりとなりますから、「誰がなっても同じだ」「投票したい人がいない」と言う政治家に対する不満(本当は当たり前のことです)が生じ易くなります。
この結果政策批判よりはマスコミが政治家のあら探しに終始して国民に不満を起こさせるようにしむけていて、これに国民が引っかかって来た・・政治不信を醸成されて来たのがこの約20〜30年であったように思います。
中国の改革解放化以降、ともすれば中国傾斜する日本の心理をアメリカが必死に引き止めるために、マスコミを利用して腹の太い有力政治家が出てきそうになると政策に関係のないあら探しで引きずりおろすことの繰り返しで、日本の政治は低迷を続けて来ました。
この間唯一小泉政権は、日米基軸で反中韓政策一本槍で分り良かったので(アメリカ支配の)マスコミからも喝采を浴びましたが、小泉氏の指名で政権を引き継いだ安倍氏は、就任直後先ず中国に飛んで日中修復に動きました。
郵政民営化もうやむやにする方向になって民営化に反対した議員の復党も認める方向になって行くなど全て小泉改革の逆方向へ舵を切ったのが安倍政権でした。
強気一点張りの政治は長く続かないので、ある程度修復の必要性があるのは仕方がない面もありますが、安倍氏の政策は表向きの意見とは違う逆方向・・うやむや政治になるのが安倍政権の特徴だったと言えるでしょうか?
今回の竹島や尖閣諸島騒動の沈静化に関しても、選挙戦での威勢のいい主張とは真逆で安倍政権になると日本側から関係修復のために先に特使派遣というのでは「?」と思う人が多いと思います。
これ以上日本側からこじらせる必要はない・・大人の対応は良いことだと思います。
ただ、今回は(・・これまでもいつも中韓からの仕掛けで始まったことが多いのですが・・)韓国や中国の仕掛けて来たことに日本人が腹を立てていることであって、日本から何もしていないのですから、向こうから「やり過ぎたとか、言い過ぎた」とかの陳謝なり何なりの沈静化特使を送って来て、日本がそれ以上追及しないでうやむやに終わらせるのは分りますが、相手が言いたい放題言っておいて知らんぷりなのに、何故日本が先に謝りに行くのでしょうか?
相手から特使が来るまでは、そんな失礼なことを言ったり、する国とは距離をおいて交際して行く・辛抱の継続で良いのではないでしょうか?
日本の体力では距離をおいて交際して行くことが出来なくなったから謝りに行くのでしょうか?
この辺の実態が素人には見えませんので政治家に委ねるしかないですが、もしも突っ張り合いしていると日本の方が参ってしまうという国力差があるのでしたら、始めっから喧嘩しなければ良いのです。
(実際対アメリカではこのスタンスでやってきました)
個人の場合も弱い方は喧嘩しないで始めっから尻尾を巻いて逃げるのが普通です。
しかし、自民党政権は何十年もこう言うやり方でうやむやにして来た前科があるので、日本の方が体力的に参ったから・・という推測が出来ません。
ホンの少し前まで中国は日本のGDPの4分の1程度だったのですが、それでも今までやられ放題でしたし、今でも対韓国では日本と大きな国力差があります。
自民党政権はこんなことの繰り返しばかりして来たから、中韓は何かやればその都度既成事実となって行く・・・味を占めて図々しくなる一方だとして国民が怒ってしまったのではないでしょうか。
話題を日米関係に戻しますと、どちらかと言うと小泉政権の日米蜜月から日中修復トレンド・・アジア寄り(アメリカ軽視)に舵を切ったのが、第一次安倍政権だったと言えます。
ネットで見ていると安倍氏支持層に重なる右翼による小泉経済政策批判・新自由主義経済路線・構造改革路線はアメリカに日本を売り渡すものだという論法・・現在のTPP批判論と共通する言い方ですから、安倍政権は日米同盟強化を標榜して、しかも真っ先にアメリカ訪問を言っている割に内容実質は安倍政権支持層の経済・思想観は反米親中国政権の実質を持っています。
左翼系グループ言論人も(もともと反米思想グループですから異とするにはあたりませんが)非正規雇用増加・格差批判論としてアメリカ渡来の新自由主義批判論を展開していることについては September 7, 2012「マイナス利回り2(消費信用1)」で紹介しました。
ナチスやファシストあるいは戦時中の右翼は極左と根は同じ思想であったと10/08/09「右翼と左翼4(市場経済の重要性1)」その他で書いたことがありますが、今でも同じです。

全否定社会3と処世術1

人間関係が僅か数年あるいは10数年で真逆になることの多い社会では、半永久的関係を大事にしても始まりません。
長期関係を前提とする信義など何の基準にもならないし、物造りも地味に努力するよりは手法を盗むことに道徳的ブレーキもかかり難くなります。
日本語も話せない中国人が、日本で運転免許取得に超小型マイクを耳に装着しての不正受験が見つかったりしていますが、そこまでやる民族性です。
今、目の前にあることについて、明白に虚偽であっても言い通した方が勝ち・・強いものに合わせて「鹿を馬」と言い張ることが処世術として賞賛される社会になります。
過去にあったこと(13日に書いた統計の嘘だけではなく歴史事実など、知っているひとがいなくなるのででっち上げた歴史を数十年教育し続ければどうにでもなるという意識でしょう)嘘で塗り固めてもその場を言い募れば良い・・声さえ大きければ勝ち・・と言う価値観の人が多くなります。
中国人がどこへ行ってもけたたましいのは、声が大きい方が有利とする処世術が何千年も基礎にあるからでしょう。
自分一代の長期交友さえ見通せないのですから、次世代どころか孫や子の代のために耕地の土を良くしたり、植林するなどの自己を犠牲にする努力などは論外となるのは当然です。
このために中国の所在する地域の緑は消滅して行き、環境は破壊される一方です。
長期的視点で水を綺麗にする努力など全く関心がないと言うか関心を持つ人の比率がもの凄く低いでしょう。
信頼関係がないので次世代までかけて収穫を待つどころか自分自身のためにさえも、長いスパーんでは考えられずに、手っ取り早く目先の金儲けに励むしかないと言う生き方になります。
公務員が役職についている間に巨利を貪る習慣・・信頼関係よりも目先の利害ばかりの生き方が定着して行きます。
こう言う意識社会では、公務員だけが汚職に走っているのではなく民間ホワイトカラーでも似たような意識で行動している筈(取引先からのキックバックの横行)ですし、公務員は見つかれば即犯罪行為ですが民間の場合、経営者が訴えない限り事件にならないし、訴えても警察に賄賂をつかませないとやってくれないので公務員以上に野放しになっていると見るべきでしょう。
使い込みや背任行為が中国人同士でも横行している場合、日本など外国投資企業の場合は、言葉の壁があって発覚し難いのともめ事を起こし難い立場から、何倍もの帳簿の誤摩化し等の不正リスクがあります。
異民族入れ替わりの経験、変転常なき真逆の価値観に遭遇して来た経験が、そこに住む現在中国人の価値観・・道徳観(こう言うのって道徳と言えないでしょうが、民族気質とは言えます)である目先の利害中心主義の人格を形成して来たのではないでしょうか。
改革解放直後には、日本礼賛だったのが技術移転や資本導入がちょっと進めば不要になったとして、今では追い出し対象・・最大の攻撃標的になるのは中国の歴史から言えば必然現象です。
春秋戦国の昔から、大事にされるのは役に立つ間のことで用済みになれば大変なことになるという意味の「 飛鳥尽きて良弓蔵され、狡兎死して走狗烹らる」と言う范蠡の名句が愛用されています。
確かに役割が終われば日本でもどこでも隠退するべきですが、中国の場合昔から隠退どころか「煮られてしまう」ところが怖いのです。
こう言う社会では、数十年単位の信頼関係を作ろうとしても意味がないので、(最近で言えば薄煕来に近づいていた人は大変危険な立場になります)極端に言えば数年単位の利害打算によって近づいたり敵視したり極端に振れる民族性となります・・。
中国は日本人が長年の信義を重んじるのを知っているので、都合の良いときには、「井戸を掘った恩人を忘れない」などと歯の浮くようなお世辞を言って近づいて来たのですが、日本に頼る必要がなくなれば、真っ先に現在中国発展の基礎を作った最大の恩人である松下の工場を標的に攻撃する始末です。
ちなみに今回の襲撃は公安関係者が誘導しただけではなく、自ら焼き討ちを実行していたことがその行動ルートの効率性や焼き討ちの手際の良さなどから今や明らかになっています。

構造変化と格差21(結果拡大社会4)

明治維新以降の近代化の構造変化において、農業から都会人になった人でも経営層あるいはこれに準ずるホワイトカラー層(公務員)に食い込めた人材と底辺労働に組み込まれて行った人材がありました。
これまで書いているように、能力相応の格差は何時の時代にも(古代から)当然存在していたのです。
グローバル化までは、底辺労働でもそれなり生活が安定していた(今でも韓国や中国に比べて何倍という賃金格差があります)のと、我が国では元々上層部と労働者の所得格差が低い社会ですので能力相応に細かく分かれた格差は、大した問題ではありませんでした。
高度成長期に急拡大したホワイトカラーや工場労働者層(中間層)が、今回のグローバル化によって分解されて、本社に残れる5〜10%のエリート以外は中年になると関連会社に出されたり、割り増し退職金をもらって社外に出てしまう・・結果的に非正規雇用の職場しかなくなる不安定な身分に落ち込みました。
(これに連動して幹部候補生としてのホワイトカラーの新卒採用自体が激減です)
高度成長期にこれも拡大した現場労働者(・建設現場労務者・工場労働者)層の多くが、国内製造業の海外進出による職場喪失によって期間工や派遣・フリーター等になってしまいました。
こういう時代にこそ,新たなことに挑戦して新たな仕事を見つけて行くしか国の活路が開けません。
新たなことに挑戦して成功する人と成功しない人がいてこそ、(成功しない人が負け組です)社会変化に国が適応して行けるので、挑戦自体を否定していては民族の将来がありません。
とは言え、全員が変革の旗手になる・・成功するのは無理でしょうし、高度技術者になるのも無理ですから、負ける人の方が多く出るのは当然です。
負ける人がいなければ勝つ人がいない・・「負け組を造るな」の主張は、勝つことを許さない響きがあって、誰も新しいことに挑戦して成功してはいけない社会を理想にしていることになるとすれば、亡国の議論になります。
リクルートの江副氏に始まりホリエモン、村上ファンドなど新しく出て来た人材が直ぐに逮捕されたのは、それなりに指弾される理由はあるのでしょうが、ここ20年ばかりの検察の動きを見ると我が国では「結果として何か新しいことで成功すると、直ぐに摘発されてしまうような印象をもたれる社会」になっています。
昨年末頃に最高裁で無罪になった、ウイニーとか言うファイル交換ソフトを開発した元東京大学助手金子勇さんの例もありますが、新しいことをやると直ぐに逮捕・摘発が続くのでは、(後で無罪になっても)時代の進展に先駆けた能力を発揮しづらい社会になっています。
「負け組を造るな」・・あるいは「格差反対」のキャッチフレーズが流行っていると、本来防止しなければならない大きすぎる格差是正の問題としてではなく、庶民的には、「努力しなくっていいのか」と言う響きで受け入れられ易い危険があります。
(庶民の味方である・・庶民で構成されている警察が、そのように誤解して新規産業に敵意を抱いているのでしょうか)
優勝劣敗があって、その結果をどうするか・・セーフテイーネットの構築は別問題であって、競争→結果の差が生じること自体を否定していては、世界の発展に遅れてしまい、日本の将来はありません。
格差は変化に対する適応競争の結果生じることであって、逆にどんなに努力しても結果が同じでは困るでしょう。
国民全員が社会変化に同じ比率で適応出来ることはあり得ませんから、(個々人の適応力に凹凸があるのは当然です)その結果ウマく適応した人と出来なかった人の差が生じるのは当然です。
問題点・・修正すべき点は中間層が分裂してしまい、(比喩的に50〜60点の人が10〜20点の人と同じ扱いなってしまう)格差が大きくなり過ぎることではないでしょうか?
アメリカンドリームは、結果の格差が巨大であることを賞賛する社会ですが、我が国民性には馴染みません。

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