衰退産業保護2(官と臣1)

時事問題から離れて産業助成・振興策に戻します。
太陽光発電も元は日本が先発組だったはずだったのに、いつの間にか中国メーカーに負けるようになっていたのには驚きましたが、衰退が始まる・・負け組になってから巨額補助金政策を行なっても中国企業がそれで大儲けする結果で終わったようです。
表向き国内メーカーのシェアー9割?といっても海外生産品を国内企業のOEM生産や膨大な部品組立なので、最後の部品だけ国内生産で、国内企業製という名称になっているようです。
詳細は以下の解説データをお読み下さいhttp://standard-project.net/solar/maker/country.html

生産工程のすべてを国内の工場で行っているメーカー/ブランドの一覧です。国産にこだわる傾向が強い日本の太陽光発電市場ですが、中国メーカーの安価なパネルが流通する中でもシリコン系パネルでいうとセルの生産から国内工場で一貫して行うメーカーは減ってきている状況です。

https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/article/NEWS/20140904/374263/

太陽光パネルの世界出荷、中国系メーカーが上位20社を独占する勢い、シャープは大幅減、米調査会社が公表

上記は14年のデータですが、世界規模で見れば中国企業の生産が独占状態になっているのに、国産といっても最後の組み立て設置をするのみ?という詐欺まがい・(農産物で言えば最後の袋詰めだけ日本でやれば国産?というのと同じ)の商法の実態が上記データから見えます。
中国が先進国から輸入する部品組立で輸出するので中国の輸出が急激に伸びた逆バージョンです。
中国韓国や後進国の場合、これを繰り返すうちに国内製造できる部品レベルが徐々にアップしていくメリットがあるのですが、先進国が自国生産がコスト競争力を失って国外生産移転する場合、自国内部品製造が減る一方で最後は受託生産・一括丸投げになります。
この状態で購入者に補助金を出して高額購入をさせれば、その資金は実際の生産国が対日高値輸出できるようになるだけです。
太陽光発電s東夷設置者に対する多額補助金の大部分が中国企業に実質流れていたように見えます。
民主党政権が始めたことなので安倍政権になって補助金を急激に絞り始めましたが・・・.。
ところで官と臣はほぼ語源が同根ではないでしょうか?
官の漢字源(藤堂明保ほか編集)をみると官とは宀=家の中に大勢の人が集まったサマを表すとあり、「垣根で囲まれた家屋に集まった役人のこと」とも書いてあり、元は宦とも書いたが、その後「宦官」の特殊用例が一般化した以降は、官と宦官の間とは別の役目になったと書いています。
宦官の「宦」のほうが、家にある臣・後世の家臣・直臣の意味に合って用法にぴったりの感じですが、王家に仕える役人(宦官・官)が増えてくると側近が幅を利かすようになります。
側近の私欲に繋がりやすい世襲性を防げば政権壟断がなくなるとの思惑から断種した官僚・元は宦官のみを側近に登用するようになり、以降は断種した男性官僚のみを側近中の側近の資格にしたので、これだけを宦官というようになったために、宦官と区別するためにその他役人を官というようになったのでしょうか?
臣民であろうと官民であろうと、皇族以外は全員「民」である上に、明治政府による四民平等政策以降は臣と民を分類する意味がなくなっていたはずです。
言葉の意味では単純な「たみ」でいいのですが、日本人は漢字にした時に二字熟語にしないと落ち着かない国民性ですので「民」に何をくっつけるかの違いでしょう。
皇族以外は臣民というのは一応当たり前過ぎですが、臣民を合わせた二字熟語をなんというかの問題で抵抗権に魅力を感じるグループは人民といい、その他の人は「日本国の民なのだから国民」千葉県の人は千葉県民というようにこれが普通になってきたのでしょう。
県民の中で、県の役人・公務員とその他職業をあえて分ける必要を感じない・単なる職業の一つでしかないのが現実社会です。
明治以降の一君万民思想で天皇(皇族)以外は全部平等な民になった以上は、公務員も多種多様な職業の一つにすぎなくなったのですから、公務員とそれ以外2種類に分類する必要性がなくなったはずです。
単に日本国の民=日本国民とすれば単純だったと思いますし、明治憲法で「臣民の権利義務」などと書く必要がなかったのです。
民の中には大工も官僚も商人も漁民もいますが、あらゆる職種を憲法に羅列する必要がなくまとめて「民の権利義務」で良かったのです。
臣民・天皇直属の役人とその他の権利義務と書いても、臣と民で権利義務が変わるものではない・・どちらも日本国民であり同一の刑法民法税法等の適用があります。
高級官僚も庶民も皆家族法の対象ですし、買い物代金を支払う義務=民法の適用があり、殺人傷害等すれば同じく刑法対象です。
臣民を今風の言語で言えば、国家公務員も総理大臣も皆国民であり、国民(国内に居住する人全員?形式的には国籍取得者)の中から、国家公務員や民間人に分かれるなど「国民」は大元の上位概念です。
明治憲法下においても国家公務員・官僚を辞職すれば在野ですし、在野から官僚にもなれる、「臣と在野」は互換性をもっていました。
法の適用は国民に対する法の下の平等であって、官僚と一般国民との違いによって適用される刑法や民法に違いがありません。
明治憲法下でも高級官僚も一般の人も(家族法分野で言えば、婚姻や親子関係など)皆同じ法の適用がありましたので、明治憲法で臣民の権利義務とわざわざ分類したのは無用な分類だったと12月29日に書きましたが、明治憲法は「臣民」と表示することによって臣と民を分けたのではなく一体化を図った・・領民全員が権力機構の一員・手先になるべきであり「権力対象になる民は存在しない」とのフィクションを構成したのでしょうか?

衰退産業延命1(ゴーン逃亡)

官民ファンドなどと表現するのは臣民用語を焼き直したに過ぎず、メデイアがこのように表現するようになったのは、政府が経営内容にまで介入どころか決定権まで持つようになった事に対する「これでは第三セクターどころではない国営でないか?」という婉曲的、遠慮がち批判かもしれません。
戦後「臣民」表示が国民主権の精神に反するようになって都合悪いとなれば「臣民」意識そのままで言葉だけ「官民」にすり替えるなんておかしいと思っていましたが、この10年ほど政府介入が大きくなりすぎている点に対してメデイア界が、これでは戦前の国策事業とどこが違うの?という抵抗精神で官民協働・半官半民と揶揄する高度表現するようになったのでしょうか?
そもそも昨日書いたように、これから伸びるなら応援するのは意味がありますが、実力が落ちてきた事業の延命のために税を投入する発想自体がおかしいのです。
野球や相撲スケート等の名アスリート、企業の敏腕営業マン、社長その他全ての分野で現役としての実力低下が始まればコーチ〜監督〜営業現場から管理職へ、社長から会長、相談役〜業界活動等に転身を進めるべきです。
今世界を騒がせてレバノン政府等を困惑させているゴーン氏を例にすれば、日産立て直しに成功した数年で役目を終えたとして潔く転身していれば華麗な経歴だけ残ったのでしょう。
大改革に向いた才能と改革後の維持とは能力発揮場面が違うのに、(「創業と守成いずれが難きか?」の故事の通りで)地位にしがみつき金銭欲?にこだわったばかりか、恥の上塗り?的な国外逃亡という悪手に頼ったためみっともない連鎖になりました。
国外違法出国は関係者多数に違法行為による訴追される負担を負わせる外、関係政府等に困惑を引き起こすのは目に見えた筈です。
我々弁護士こういう相談を受ければ、自身が新たに違法行為を行うだけでなく、本来無関係な多くの人を違法行為に引きずり込み、迷惑をかけることが目に見えているのでこれをやると
「この人はもともとこういう他人を巻き込んでも違法行為を犯すことをものともしない人だという評価が定着してしまい総合的なマイナス効果の方が大きい」
ことを説明して同意せず実行を思いとどまらせる努力をする・説得に応じなければ辞任することになるのが基本セオリーです。
ゴーン氏は起訴事実の有無という客観的事実で争うより国際世論を味方につけたいという戦略とすれば、このような違法行為を行うことが、国際世論の支持につながると判断したのでしょうか?
国際世論は時間が経たないと結果が出ませんが、稀代の成功者イメージが違法行為の積み重ね・・周りを巻き添えにしてきた・汚れ役には相応の巨額対価を払ってきたので彼らは検挙されるのを覚悟の上だから迷惑をかけていない・・としても「闇の金によって何でもやる」イメージが出来上がっては逆効果でしょう。
国によって受け止め方が違うでしょうが、ゴーン氏が期待するはずのフランスやレバノンでは富裕層との格差に対する不満が盛り上がっている最中です。
こういう国では富裕層実力者が裏でゴーン氏に甘い約束をしたかもしれませんが、巨額資金で違法行為を実行するゴーン氏を英雄扱いどころか、表立って彼を擁護すれば政治リスクが大き過ぎます。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13354_2.php

激動のレバノン、大規模デモと経済危機の背景とは
2019年11月10日(日)13時22分
レバノンは10月半ばから、首都ベイルートその他の都市で反政府デモによる混乱が広がり、サード・ハリリ首相が辞意を表明する事態となった。既に危機に陥っていた経済への信頼感は揺らいでいる。
反政府デモの参加者らは、政治エリート層が商売と政治を結ぶ恩顧主義の網を通じ、国家資源を使って私腹を肥やしていると批判している。

私服を肥やしている政治家に対する不満が高じて政権崩壊・その後新政権構想がまとまらないまま漂流している政治状況下ノレバンで、私腹を肥やす象徴的事件のゴーン氏を政治家が公然と庇える状況ではなさそうです。
フランスも格差に不満を抱く反政府デモが昨年から下火にならず続いていることから、マクロン政権はゴーン氏逮捕当初同情的ニュアンスでしたが、国民反発が強かったのですぐに引っ込めて今やゴーン抜きのルノー日産関係再構築に必死です。
レバノンでもフランスでもゴーンが日本で検挙されて帰国できないことを理由に、事実上眠っていた彼に対する疑惑の捜査再開に動き出しそうな雰囲気です。
https://bunshun.jp/articles/-/23607

ゴーン被告、帰国後も雲隠れ 市民から怒りの声も―レバノン
ゴーン氏をめぐり、治安当局は「合法的に入国した」と見なし、法的措置を取らない姿勢。主に富裕層の間で歓迎ムードもあるようだ。しかし、日本で汚職の罪に問われ、司法手続きに従わずに国外逃亡したことについて、怒りの声も聞かれる。
自宅近くで商店を営むハリル・イシュライムさん(65)は「レバノンでは不正がはびこっていて、違法にお金を得た人間が戻ってくるのは当たり前のことだ」と現状を嘆いた。日本では難しくても「レバノンで法の裁きが必要だ」と訴えた。

フランスの状況は以下の通りですが長くなり過ぎるので一部しか引用しません・興味のある方はご自分でどうぞ。https://news.yahoo.co.jp/byline/puradonatsuki/20200102-00157408/

ルノー社労働組合、怒りのコミュニケ発表
フランスの庶民は?
昨晩、筆者はフランス人5人と食事をしたが、ゴーン氏逃亡の話を「おもしろい!やったね!」と言う人は一人だけだった。その他の5人は、「金にあかせてなんでもする人というイメージが再確認されただけじゃない?」と。
Twitter上でゴーン氏逃亡劇を面白がる人もいるが、どちらかと言うと「卑怯」というコメントが多いように感じた。左派「不服従のフランス党」マノン・オブリー氏は「税金逃れをしたあとは、日本の司法から逃れてレバノンへ。富裕層がいかに法から逃れ、国を分断していることか。
いったい彼らはいつまで罰を受けない状態がいつまで続くのだろうか?」と投稿。

フランスの庶民の意見は日本人の期待に合うような意見だけ拾ったかもしれませんが、常識的というか私の意見同様です。
フランスでもゴ-ン氏の旧悪に対する捜査が再開しそうな雰囲気です。
MSNニュース記事からです。

ゴーン被告は法の裁きを受けなければならない-ルメール仏財務相
Tara Patel 2020/01/06 17:48
(ブルームバーグ): 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告は同様の状況にある他の人と同じように法の裁きを受けるべきだと、フランスのルメール経済・財務相が6日述べた。
ルノーは仏当局に情報を伝え、当局は同社の要請に基づき調査を開始したと同相がラジオ局フランス・アンテルの番組で明らかにした。
同相によれば、ルノーはアムステルダムに拠点を置くルノーと日産自動車の統括会社「ルノー日産BV(RNBV)」に関連する1100万ユーロ(約13億3000万円)についても調査を求める準備ができているという。

GM破産2(遅れた不採算事業切り離し)

会社側の再建案は新会社設立案を基本にしたものでしたが労組優遇で、一般投資家(米国は個人投資家が多い・子供の入学資金用の株式投資など)に対して大きな負担を求めるものでしたので債権者の同意が得られず破産に突入しました。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1176

切り捨てられた「普通の人々」
GM倒産劇の裏側 2009.6.9(火) 小浜 希

GMが発行した無担保社債など約270億ドル分の債券保有者には、新生GMの10%の株式と引き換えに100%の債権放棄を要求。その一方で、GMに約200億ドルの医療費関係債権を抱える労働組合の債権放棄比率は50%とし、新生GMの株式39%を与える内容だった。
米国では労働者個々人も銀行預金より小口投資する投資社会なので、投資家と言っても一般の労働者が多い社会ですから、GM労組優遇の提案で合意できるはずもない・・世論も応援しないので合意不成立で破産に突入します。
日本や韓国では、労組=弱者→優遇という図式化した運動・市民代表を僭称する運動が多いのですが・・アメリカの場合、労働者切り捨て投資家保護反対!という図式的スローガンが成り立たなかったようです。
ウイキペデイアのGM破産解説に戻ります。

2009年6月1日、GMは連邦倒産法第11章(日本の民事再生手続きに相当する制度)の適用を申請した。負債総額は1,728億ドル(約16兆4100億円)。この額は製造業としては史上最大である[9]。同時にアメリカ政府が60%、カナダ政府が12%の株式を保有する、事実上の国有企業として再建を目指す事になった。
・・・しかし、子どもの教育資金や、老後の生活の備えとして、なけ無しの金を注ぎ込んだ個人投資家が、労組偏重の再建計画を甘受できるはずもなかった。

従業員の新時代適応拒否症?が、部分的とは言え企業活性化を妨げる効果を上げ、現在米国の国際的地位低下が目立ってきた基礎構造でしょう。
アメリカの活力は、スクラップアンドビルド・あるいは用済みの都市を捨て去り(ゴーストタウン化して)別の街を作る・効率性重視社会と言われていましたが、一定の歴史を経ると古い産業構造を残しながら前に進めるしかなくなった分、非効率社会になったのでしょう。
破産により不採算部門を切り離し、新会社移行(国有化後国保有株の市場売却で民営に戻っています)により新生を目指すGMですが、破産後10年経過で先祖帰りしたらしく今年に入って以下通りのストらしいです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49865800X10C19A9000000/

GM工場のスト続く、労使合意なお時間 株価は急落
2019/9/17 5:20
ただ、米国内に業界平均より3割多い77日分の完成車在庫があるため「すぐに販売面に影響が出る可能性は低い」という。

業績不振のおかげで在庫が77日分も溜まっているので企業はストが続いても余裕らしいですが、こう言うのってめでたいのかな?
アメリカの製造業は低賃金国への脱出盛んですが、今でも製造業大国らしいです。
製造業草創期から蓄積した技術があって世界に進出した各種工場のマザー工場機能を果たせる仕事があるからのようです。
ただしマザー工場的役割は従来の内需を満たし輸出までしていた工場群の数%(雇用も同率)で足りるものですから、国外脱出の穴埋めには力不足でしょう。
別の側面から見ると、日本の自動車産業が輸出の限界を悟り現地生産を増やして成功していることを見ると、この限度で日系企業が米国内製造業生き残りに貢献していることが分かります。
米国の外資による国内生産受け入れ政策は、後進国が輸入規制によって、自国産業育成のために高関税などの権利を留保できている役割の逆張りです。
米国の日系企業の米国内誘致政策は、先進国製造業が新興国の追い上げを受けて雇用が急速縮小する激痛緩和の役割を果たして来たようです。
後進国のこれから育つ産業育成を待つのは、少年期に成長期待して見守ってやるのに似ていて成長確率が高いですが、新興国に追い上げられる先進国社会保護のために時間猶予を与えるのは高齢者を大事にするようなものでいわゆる延命策です。
ここでいきなり話題がそれますが、いわゆるM&Aに関する関心を書いていきます。
日本企業の株価収益率の低さが長年問題視されて来ましたが、その裏側の米国企業の目線で考えると企業のあり方に関する基礎的考え方の違いがわかります。
時代遅れになる分野→ローエンド〜セコンドエンド生産にこだわり、同業他社との競り合いを続けてさらに20〜30年生き残れるとしても、これをやっているとその間収益率が徐々に低下していきます。
米国的価値観では、自国産業は利益率の高い高度化転身を目指して不採算見込み事業をどんどん切り離し(M&Aでこれを処分し)て行くべきというもののようです。
比喩的事例で言えば、現在15%の高収益事業が5年サイクルで13%〜11〜8〜7〜3%〜0〜マイナスと変化していくパターンの場合、その事業を今売れば1千億円で売れるが11%に下がってからだと5百億円で、3%に下がってからだと30億円でしか売れない見込みの時に、どの時点で処分するのが合理的かの判断が重視される社会です。
処分金で再投資すべき事業の存在との兼ね合いで合理性が決まるのですが、処分金を年利数%で預金する予定の場合と現在5%の収益率があり、3年後に8%、5年後に1%8年後には15%に成長可能な企業があった場合どの段階で自社事業を切り離して売却するかの複合判断です。
ちなみに雇用を守るために簡単にリストラクチャリングできないとも言われますが、倒産と違って企業を買う方は事業に慣れた従業員が継続してくれることこそ購入価値ですので、原則全従業員が引き続き雇用継続される前提・雇用確保の社会的責任への考慮はこの場合不要です。
マイナスになるまでリストラを先送りし、大混乱の倒産を引き起こす方が無責任経営の評価を受けるのではないでしょうか?

韓国と中進国の罠(半導体産業の内実)2

韓国を追いかける中国現地企業も製造装置や部材が韓国系同様に手に入れば地元の強みで韓国系は押されていく流れでしたが、米中対決激化で思わぬ応援というか、ファーウエイ・騰訊をはじめとする中国民族企業への高度部材や技術移転がストップになりましたので、競合する韓国系はチャンスと見ていたでしょう。
ところが韓国内の反日運動煽りすぎで、日本のホワイト国除外決定となり韓国の出方によってサムスンやSKハイニクスに対する高度部材供給がストップする可能性が出てきました。
韓国勢に漁夫の利を得られたくない中国は日本の対韓輸出規制強化は大喜びでしょう。
半導体設備業界のランキング見ておきます。
https://news.mynavi.jp/article/20190319-791516/

2018年の半導体製造装置メーカーランキング – 日本企業はトップ15社中7社
地域別では、米国メーカーが4社、欧州メーカーが2社、韓国、中国が各1社ずつという構成になっていることから、半導体製造装置業界における日本企業の健闘が目立つ結果となったといえる。

世界半導体製造装置産業に中韓が15社中各1社入ってるのには驚きましたが、統計だけ見れば中韓が自分で製造装置も作れるようになったということでしょうが、その実態を見ると中国で言えば、現地進出条件が合弁形態になっている関係で現地工場使用向けの低レベル品から現地化・技術移転が進むのが普通です。
・・中韓にとっては中高度技術をできるだけ現地化したいのですが、先進国が簡単に移転しないので中国が強制移転に乗り出したことが米中摩擦の究極の原因です。
売上高で見ると下流製品ほど量が出るので、売上高ランキングで見ていると実際の国際競争力がわかりません。
メデイアは売り上げで比較して中韓はすごい!と賞賛していますが、最終製品汎用品を大量生産を担当すれば売り上げ高では裾野に行けば行くほど大きくなるのは当然です。
半導体分野も製造装置では概ね日本からの製造装を輸入して部品組み立て・最下流で量産を担当している状態を脱却しきれていないようです。
https://japanese.joins.com/JArticle/255209?servcode=300§code=300

半導体素材の国産化率50%…その裏には韓日ノーベル化学賞0:8
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.07.05 08:20

半導体の製造は300余りの工程があり、工程別に専用の素材と装備が必要となる。サムスン電子やSKハイニックスはその全体工程の製造競争力が世界最高水準だ。
しかし300の工程に必須の素材と装備はそれぞれ日本と米国が世界最高の技術力を持つ。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、2017年基準の韓国の半導体素材国産化率は50.3%。国内の分析もほぼ同じだ。韓国半導体協会は「国産化率が素材は48%、装備は18%程度」と分析している。
国産化率50%は集積回路(IC)など低価格製品を含む半導体全般の国産化率であり、サムスン電子やSKハイニックスのDRAMやNAND型フラッシュメモリー超微細工程に必要な素材の国産化率はさらに落ちるということだ。
IBK経済研究所のチャン・ウエ研究委員は「サムスン電子やSKハイニックスの高仕様半導体に必要な素材と装備の国産化率はさらに低く、日本や米国に大きく依存している」と説明した。

しかも組み立て工程を中韓に移転しても、そこで使う高度薬品・フッ化水素などは世界生産の90何%を握る日本からの供給に頼っているのが、今年夏のホワイト国除外騒動で(部外者にも)白日のもとに晒されたばかりです。
製造装置を日本から購入して設置し(設置作業も日本のプラント業者が担当するのかな?)運転が始まれば必須部材を日本や米国から買う・・鵜飼の鵜みたいな役割です。
必須の高度製品の場合、末端商品価格から見れば大したことがないので、内実を知らない一般国民はサムスンや中国は生産量で日本を追い越したと増長していたようです。
産業構造とすれば、中核部品に特化してきた日本の構図と汎用品で数量を稼いできた中韓等の違いが今年夏のホワイト国除外騒動で一般の目にもはっきりしたばかりです。
ローエンド製品ばかりでは後を追う次順位国にすぐ追いつかれます。
自動車業界は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50477070R01C19A0FFJ000/

韓国車生産400万台割れも ルノー・GM系が減産
産業維持の限界ライン ストや内需低迷 現代自も
2019/10/1 23:00 日本経済新聞 電子版

韓国自動車産業の地盤沈下が鮮明になってきた。国内生産台数は5年で1割以上減って部品産業などの維持に必要な400万台割れが目前に迫り、世界順位は5位から7位に転落した。内需の伸び悩みに加え、外資系が世界戦略の見直しに伴って生産を減らしたためだ。
「部品産業などの維持に必要な400万台割れが」目前という日経新聞記事がそのころにありました。
400万台が部品産業の生存ラインか不明ですが?
素人考えでは国内300万で国外進出自国企業への部品供給100万台分で合計400台分の需要があればいいように思いますが?
素人には理解不能な複雑な理屈があるのでしょうか?
国内関連業維持できなくなるとどうなるかが迫っているらしいのに!局面打開のためにインドに進出すると言うのですが・・本国を見捨てて国外逃亡100年の計ということでしょうか?
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_prod/productionfig_japan_2018

日本の乗用車メーカー 生産台数 (2018年1-12月累計)

合計 9,236,859 100.0% 0.5%

出典: 各社ニュースリリース

17日紹介したようにサムスンも需要地中国での半導体工場投資を増やすしかない状態です。

韓国と中進国の罠1(半導体産業の内実)

新興国市場の定義を14日紹介しましたが、振幅の激しいのが特徴・・人間で言えば若者の心や挙動・国で言えば新興市場の特徴です。
国民感情も若者気質丸出し・感情の起伏の激しさ・それをそのまま実行してしまう民族性は文字通り新興国の気風です。
韓国民の誇りとするサムスン電子は国民性そのまま体現して商品相場の中でも起伏の激しい半導体生産で、不況時の沈んだ時に次の好況期を睨む積極投資の賭けを繰り返して頭角をを現してきたものです。
サムスンの場合・・市況型産業の申し子なので、当面半導体不況で落ち込んで56%減益でも、今後の市況回復期待感で株は上がっているようです・・。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50727750Y9A001C1FFE000/

サムスン、減益でも半導体先手投資 底入れ感で攻め
中国工場スマホ向け増強 2019/10/8 12:06
2019年7~9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4~6月期と比べると17%増え、急速に悪化した業績に底入れ感が出てきたためだ。
2019年7~9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4~6月期と比べると17%増え、急速に悪化した業績に底入れ感が出てきたためだ。
サムスンは市況の反転を見越して、中国西安市の既存工場向けにスマートフォンなどに搭載する最先端NAND型フラッシュメモリーの生産設備を導入する。新生産ラインは20年春にも稼働し、主に華為技術(ファーウェイ)など現地のスマホ工場に出荷する見通しだ。装置発注の金額は数千億円規模とみられる。
ソウル近郊の平沢(ピョンテク)工場でも増設を続ける。18年に着工した第2製造棟を建設中で、来春以降に製造装置を発注する見通しだ。

とはいえ、ヒタヒタと追いついてくる中国という相手がいるので、従来のような市況の波の見通しによる増産一本やりでは躓きかねない状態です。
先手投資といっても中国での新工場投資中心のようですから、中国による技術移転の標的になっているでしょうから将来的には骨抜きにされるリスクが高まります。
サムスンが中国におけるスマートフォンの生産を停止

サムスンが中国におけるスマートフォンの生産を停止
2019年10月03日 by Brian Heater
ロイターが確認しているところによると、Samsung(サムスン)は米国時間10月2日、中国におけるハンドセットの生産を停止したという。このところ、世界最大のスマートフォン市場で同社の苦戦が続いたことの結果だ。
・・・最近のサムスンはインドやベトナムなど、ほかの国に目を向けて、生産コストを中国におけるよりも下げようとしている。スマートフォンの販売は中国でも続けているが、製造はもっと安い場所に移したいのだ。

日本の部品業界から見たサムスンの実力https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00055/

サムスンのマーケティングを支援したことがあるコンサル会社、コムセルの飯塚幹雄社長は「家電で中国勢にシェアを奪われ、日本メーカーが韓国勢に駆逐されたのと同じ道をたどっている」とみる。サムスンを知る関係者が向ける視線はかつてないほど厳しい。
けん引役はファーウェイ
国内の部品・素材大手にとってサムスン、アップルの「2強」は、最優先顧客と呼べる存在だった。端末の競争力を引き上げるため、最先端の日本製部材を「誰よりも早く採用してきた」(前出の国内メーカー幹部)からだ。
しかし現在、国内部品・素材大手がサムスンに代わる大口顧客として見据えるのがファーウェイだ。スマホ開発では心臓部であるCPU(中央演算処理装置)の設計を自ら手掛け、5Gでは基地局を含めて他社の追随を許さない。

サムスンやSKなど韓国系がこの先半導体専業でしか生き残れないとした場合、10年先にも10年先にもトップグループでいられるか?
中国の製造強国25とかの実現性は低いようですが、それでも自国生産比率アップが急激です。
韓国の産業業界は韓国より20年遅れで近代工業設備導入が始まった中国に各種業態で追い上げられ、石化事業の場合湾岸産油国やサウジ等原油生産国が自国にプラント設置して自国生産を始めると追い上げられている構図に韓国は対応できない状態が見えます。
サウジ等産油国自身の石化事業育成が続いている結果、ケミカル業界が石化事業に頼ったままでは、生産地との競争に負けていく構造不況業種化しているのではないでしょうか?
半導体産業は、中進国の罠を掻い潜れた例外ですが、(これは日米半導体協定によって日本が輸出規制を受けた結果です)化学業界の動きを見ると日本の先端技術工場を国内導入して、低賃金で日本を追い上げた成功物語・・・プラントさえできればどこの国でも生産できる環境に韓国が頼っていたような印象です。
中国の低賃金・人海戦術に頼る縫製工場等が早期にバングラデシュに移転し、さらに近代的生産工場もベトナム等に転出する状態に入っていますが、中国の競争力が行き詰まってさらなる高度化の必要に迫られているのと同じ状況になっているようです。
日本が汎用品から撤退していく過程で、比喩的に言えば日本が最新設備として100億円かけた設備を廃棄するときに5〜10億円で中古設備を購入するなどして設備投資コストを超安値に抑えて韓国や中国がその穴埋め生産してきたので、見かけ上急速にGDP大躍進しますが、この方法だと次の新興国の台頭に負けていきます。
大躍進による資金をバックに最先端設備導入→2〜3流品から1流品生産へとなりますが例えば日米から設備や素材の大部分を仕入れる場合、設備コストが先進国とほぼ同じになります。
競争条件としては、人件費と消費地に近いかどうかが重要となり、韓国勢の中国民族企業との競争では自国内消費が弱く中国市場に頼る分と人件費の違いから中国現地生産を増やしていくしかなくなっていくでしょう。
同じように製造装置や部材が手に入れば地元の強みで韓国系は押されていく流れでしたが、米中対決激化で思わぬ応援というか、ファーウエイをはじめととする中国民族企業への高度部材や技術移転がストップになりましたので、競合する韓国系はチャンスと見ていたでしょう。
ところが韓国内の反日運動煽りすぎで、日本のホワイト国除外決定となりサムスンやSKに対する高度部材供給がストップする可能性が出てきました。
中国は日本の対韓輸出規制強化は大喜びでしょうから、日韓紛争激化・韓国の肩を持つことはあり得ません。

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