資源+生産力から消費力アップへ2

タックスヘイブン・マネーロンダリング禁遏策が世界的テーマになって来た背景は、徳川幕府財政が米中心課税で行き詰まった結果・・時々豪商に対して理不尽な冥加金取り立てや身代限り・・取りつぶし・没収に頼ったのと同じです。
アメリカが懲罰と称してフランスの(バリバだったか?)銀行に1兆円規模の罰金を取り、イギリスのライバー不正で巨額罰金を取り立てているのは同じ発想ですが、狙い撃ち的徴収は恨みを買います。
中国の場合、国民が困っていても「共産党政府赤字は大したことがないから・・」と豪語していますが・・・。
共産党政府は中国地域民族のための政府ではない・・共産党の個人経営・・(国民が苦しいかどうかは気にしない)民族を乗っ取ったギャング集団としては、懐にはまだ余裕があると言う開き直り(中国贔屓のエコノミストがそのように紹介しているだけ?)ですが、そうは言ってもギャング集団に対する抵抗を緩めるために治安警察強化ばかりではなく少しはお金を支配下民族に配って不満緩和を図るしかないのが現実です。
支配民族に金を配ってうまく行くならばもう少し餌を配るのも良いが、いくらつぎ込んでも駄目と分ればこれまで搾取して得た資金を持って海外逃亡した方が良いか!とギャング特有の気持ちの現れが(海外に巨額資金と家族を逃がす)裸官と言われる支配層の行動です。
M&Aで買収した企業で何年間でかなり儲けたが最近ジリ貧・・赤字傾向となった場合、親会社としては売り逃げるか、もう少し資本注入するかの判断基準と同じです。
日本の場合に当てはめると、徳川幕府の財政赤字は民間資本の発達に徴税システムが追いつかなかった結果、赤字になって行ったのと同様で、現在日本の場合も国民・社会が経済的に困窮しているのではなく、民間資本は健在です。
※ 日本の場合単年度金銭収支の国家財政が赤字になっているだけ・・取得した固定資産価値を乗せない変な計算です・・これを上回る巨額の経常収支黒字が何十年も続いているうえに、個人金融資産が増える一方です。
個人が豊かですからこの辺がアメリカや諸外国とは基本的に違う・・江戸時代に庶民が芸術を楽しみ豊かな生活をしていたのに武士だけが困窮していたのと同じです・・エコノミストは海外の議論を紹介するのがやっとで目の前の現実を見る能力がないのか現実無視した議論をしているようです。
熊本地震でも明らかになっていますが、大切な子供のいる場所の安全・・小中学校を耐震化工事していても役所の建物まで手が回らなかった・・これが日本と諸外国との基礎的違いです。
日本では、危機が来ると先ず自腹を切ってでも地元民の救済に動くのが有力者の本来的行動です。
アメリカは消費拡大のために双子の赤字が続いても、ドルの切り下げで対応すれば良いと言う基軸通貨国の地位を悪用して来たことになりますが、「大き過ぎて潰せない」と言う論理と同様でいつかは無理が来ることを大分前から書いてきました。
移民受け入れ政策は「労働力不足の穴埋め」と言うのは格好付けであって、本音は人口増による総購買力増→発言力強化です・・1昨日の夕刊にメルケル首相の本音・・難民が来た結果、消費が増えているメリットがあるという発言が紹介されています。
移民に対する教育・治安コストその他消費能力を誰が負担するかの議論・財政赤字の拡大が隠されています。
移民=人口増で国全体の消費が増えますが、移民=言語能力不足=未熟練労働力が普通ですから底辺増=格差社会になり治安も悪化します。
アメリカは大量消費市場を武器に競争する限り、中国、インドに負けないように?移民増加を図って人口増加して行くしか国力維持策がないようですが、その結果移民=非熟練化=低賃金化・・格差拡大が進みますので痛し痒しです。
格差・財政負担増がイヤならば日本のように移民増を防ぐしかありません。
人口増による発言力強化を求める政策の場合、移民禁止すれば人口増=消費・購買力拡大が止まる→国際的影響力が縮小します。
移民受入れ反対・・日韓等の海外駐留軍を廃止→その分発言力縮小を容認するならば、次期大統領候補トランプ氏の主張は一貫しています。
世の中は2項対立ばかりですっきり行かないのが現実ですから、余計な発言もしたいけれども費用負担はイヤとなるのが普通です。
結局は、「もっと費用負担しないならば言うことを聞け!」・・「移民受け入れる代わりに◯◯を聞け」と言う開き直りのスタンスになるのでしょうか?
トランプ氏はどーんと強烈なことを言って面食らった相手に妥協させる商売のやり方らしいですが、実は幕末ペリー提督以来の強引な砲艦外交そのままです。
トランプ氏は、国民のストレスに対する迎合から国際費用負担や移民問題を2択的に持ち出していますが、結局は元の議論・・中東、欧州その他アメリカ軍駐留地域のアメリカの負担に応じた発言力はどの程度であるべきかの地道な議論に戻るしかないでしょう。
鳩山政権がすっきり分りよく「少なくも県外へ・・」と言うスローガンの実現に政権獲得後困ってしまい、結局は地道な交渉に戻るしかなくなったのと同じです。

資源+生産力から消費力アップへ1

世界が無視出来ない購買力は人口×一人当たり消費力ですが、アメリカの一人当たり消費力がジリ貧になって来ると、アメリカの発言力が中国並みに人口数で勝負するしかなくなります・・そうなると中国、インドとどう違うかです。
コクミンのための政府であるならば、コクミン一人当たり購買力を増やす・・基礎的能力・所得アップが本来ですが、それが困難なので安直に出来る移民受入れ=逆に基礎的能力低下政策・人口増で対応して来たのが欧米諸国政府です。
日本はニッポン民族のためにあるのですから、移民・貧しいコクミンを増やして基礎的能力低下を見ないことにして購買力を武器に海外で威張る・・中国や欧米の真似をするのに私は一貫して批判してきました。
西欧諸国は移民受け入れによる消費人口を増やす政策→所得不足分を貸し付ける・金融政策でやってきましたが、その咎めが出て来たのが昨今のテロ増加現象ですし、アメリカの格差拡大現象もその根っこは共通です。
アメリカが資源+工業力ミックスの成果を享受出来たのは第二次世界大戦前後がピークで、その後は勢いだけで戦後70年も持ちこたえて来たのは、消費人人口増加政策=移民受入れ政策によるところが大きかったと思います。
私が世界情勢に関心を持った中学時代(1950年代初頭)の記憶ではアメリカの人口は約1億5000万人でしたから、約3億の最近の人口は約2倍です。
1980年以降しか出ていませんが、以下はhttp://ecodb.net/country/US/imf_persons.html世界経済ネタ帳からの引用です。

年 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989
    227.62 229.92 232.13 234.25 236.31 238.42 240.59 242.75 244.97 247.29
年 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999
    250.05 253.39 256.78 260.15 263.33 266.46 269.58 272.82 276.02 279.20
年 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
     282.30 285.22 288.02 290.73 293.39 296.12 298.93 301.90 304.72 307.37
年 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
     309.76 312.07 314.39 316.70 319.13 321.60 324.33
単位: 100万人
※数値はIMFによる2016年4月時点の推計

先進国に限らず韓国や中国上海でも、中所得以上になると出生率低下に悩むのが共通ですから、アメリカに限って人口が減るどころか増えているのは若者で且つ低所得層中心の移民によるものと考えられます。(いわゆるワスプの人口比率は急減している筈です)
この間、一人当たり国民所得がそれほど下がった訳ではありません・・国家全体では石油メジャーや金融資本家の所得が多いのですが、資本所得は一般コクミンに還元されないから中国など底賃金国との競争で、工場労働者等の賃金が下がる一方で多数を占める庶民の購買力が下がる一方になります。
一人当たり購買力が半分になっても人口倍増になれば合計が同じですから、アメリカは工業力の空洞化(中産層の没落)所得減→購買力減の穴埋めに貧乏人でも・・人口増で対応して来たことが分ります。
この場合格差拡大→庶民の購買力が下がり続けるので、福祉(失業保険やフードスタンプ等)社会保障関連の財政支出増+消費者金融による購買力下支えシステムが併用されます。
社会保障政策だけでは財政が持たないので、消費者金融による穴埋めが盛んになり・・この頂点が(我が国ではサラ金地獄が社会問題になりました)サブプライムローンでした。
サラ金問題最盛期の03/24/09「消費者信用と社会福祉1」以下でサラ金問題は社会保障不備の問題であると書いたことがあります。
他方財政赤字に関して言えば、クロヨンと言われるようにサラリーマンに対する徴税は簡単ですが、資本所得の徴税はタックスヘイブンなどがあって難しいので、財政支出増加に直面しているのに逆に主な徴税対象であった中間層の激減は国家財政には脅威です。
これが国家経済的にはアメリカでは1980年代以降長年、双子の赤字が議論されて来た基礎状況でしょう。

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