シェルター収容と公営住宅主義1

どんどん公営住宅が新設され日々ホームレスが吸収されて行けば、全米でこんなに大量にシェルターが設置され、ホームレス人口が増え続けないでしょう。
アメリカのホームレに関する記事は多いのですが、年度別人口推移の表が出てきませんが、最新日付では以下の意見が出ました。
いつの調査データか不明ですが、アップした日付けが一番新しいという程度の最新性です。
http://news.livedoor.com/article/detail/15781067/
2018年12月23日 8時0分 Forbes JAPAN

・・・2016年から増加に転じ2年連続で増えている。
米住宅都市開発省のデータでは米国のホームレス人口は、約55万3000名に達しており、そのうち65%はシェルターに居住している
非シェルターのホームレスの割合が最も低いのはニューヨークで、5%だ。一方でロサンゼルスのホームレスの非シェルター率は75%に及んでいる。

アメリカでは路上生活者の調査をしていないと言われていますが、非シェルター人口をどうやって割り出したか不明ですが・・。
米国では日本の国民皆保険制度がないように、公営住宅で保護する仕組みがうまく回っていないのではない・運用能力がないのでしょうか?
日本の場合大災害があっても、体育館で寝泊まりするのはほんの短期間で、避難が長引くようだと急ピッチで仮設住宅建設が始まり短期間で供給されるのが普通です。
アメリカも変化に合わせて公営住宅が急ピッチで作られているが、急激な需要増に供給部門が間に合わないとすれば、そのうちシェルター利用者が減っていくのでその間は仕方のないことです。
アメリカは日本やドイツのように戦災による究極的住宅不足に見舞われた経験がないので、政府が介入しなくとも必要に応じて住宅が供給されるはず・・市場原理の妥当する領域の意識でこれまでやってきたしそれで不都合がなかったのかもしれません。
その結果、政府率先して低廉住宅供給の必要がなかったし(ゼロという意味ではなく日本やドイツに比べて住宅政策に占める公営住宅の占める比率がごく小さいという比率の問題です)経験がないのでしょうか。
日本も豊かになって久しく、公営住宅や公団住宅供給政策が早くから曲がり角になっているし、新たな市営県営住宅新設がほぼなくなっていますが、(既存のものは空き家だらけ)たまたま東北大震災の時に首都圏の公営空き家に移住してもらうことにして、埼玉や千葉の公営住宅に福島県等の避難者を受け入れています。
たまたま首都圏に多くの空き家があって良かったのですが、現在では中国人や外国人の住居として団地が利用されています。
川口市の古い団地で中国人が集まっている?というところが出始めたようです。
首都圏で時代遅れになった団地が大震災の避難民の受け皿として対応できました。
民間アパートでは外国人への賃貸に忌避感が強く外国人が住む場所に困る・・これを放置すると移民一世の住居不安・治安悪化に連動するリスクが生じます。
住居の安定は移民2世・子供の教育環境や貧困の連鎖を防ぐなど共同体意識のゆりかご・治安安定の基礎です。
都市部では外国人を空き家の多い公団住宅等で受け入れるようになって社会不安回避になっている・・など日本の住宅政策は偶然うまく回っている印象です。
千葉市でも京葉線沿線沿いに大規模な公団住宅分譲地があり、これが老朽化してきたのでいつの間にか外国人を多く見かけるようになりました。
日本人所有者が賃貸に出して外国人が住み着いている場合がほとんどでしょうが、売買価格が数百万円程度に下がるとちょっと収入のある外国人なら買えそうですし公団ですから一定水準が保証され家族持ちには住みやすいでしょう。
アメリカの場合、政治が一生懸命対応しているが、いきなりの情勢変化に供給体制が追いつけないだけならば、一定期間経過で供給が追いついてシェルター利用者が急減するのでしょうか?
準備不足とはいえ、シェルター利用急増が国際ニュースになってから10年近く経ってもシェルター利用者が減るどころか増える一方のような印象を受けるのは、政府・政策部門には本気で公営住宅を供給して彼らを吸収する意欲がないからではないか?とも見えます。
日本のように定住を前提とした歴史がないので、家賃が高すぎて住みにくければ市場原理に合わせてどこか家賃の安い街に流れて行くべきで、政府が下支えする必要がないという思想が根底にあるかもしれません。
次の移住先を見つけるまでのほんの一時的「シェルターで十分」という思想です。
ところが、どこへ行っても高家賃で低賃金層にとっては移住先もないとすれば、低賃金層でも借りられる住居の供給が必要なはずです。
シリア難民やロヒンギャ難民等の流入に対して受け入れ各国が避難民を収容所を設置して対応していますが、これらは全てその場所で難民を仲間として受け入れる姿勢ではなくどこかへ移動してくれるまで一時的に雨ツユを凌ぐ施設としての位置付けです。
アメリカの場合同一市内のアパートを追い出された「難民」なのに、これをもともと彼らのいた共同体で受け入れる予定がなくどこかへ出て行くまでの1時保護的思想・・居住空間とはいえない「シェルター」「収容所」で保護する発想が日本人には異常に見えるのです。
日本では遠くの福島からの臨時難民でも、「千葉に住み着いてくれるならどうぞ!」という歓迎姿勢で「早く故郷の福島へ帰りたいでしょう」という心配りをするけれども千葉に定住するなという拒絶的姿勢ではありません。
外国人も日本に必要というならば、仲間として受け入れる国民合意が先に必要です。
この合意がないまま受け入れると、日々接する一般庶民が外国人に白い目を向けている状況下での受け入れとなり良い結果になりません。
多くの国民意識の現状・・・・アパートの「外国人お断り」がその端的な現れですが・・日本に期待して日本を就職や移住先に選んだ外国人・この多くは親日性の強い人と思われますが、共同体から日頃仲間外れされたままであれば、共同体意識を持てなくなる・逆に反感を持つのが普通でしょう。
私は労働人口減少対策としての外国人受け入れ反対を長年主張してきましたが、受け入れる以上は仲間として仲良くすべきです。

米国ホームレスの実態3

帰るところのない人が中長期的に住むしかない?住処として、シェルターに収容する妥当性に関する疑問です。
以下アメリカホームレスの現状を写真で紹介しましょう。
https://www.businessinsider.jp/post-179433
写真で見る、現代アメリカの貧困
Ellen Cranley
Nov. 20, 2018, 10:30 AM Life
13,975

シェルター

オレゴン州ポートランドでオープンしたホームレス・シェルター(2017年1月)

寝床を準備する女性

飼い犬が見守る中、ホームレス向けの新たな仮設シェルターで自身の寝床を準備する女性(サンディエゴ、2017年12月)。
Gregory Bull/AP

子どもに服を着せる父親

ホノルルにあるホームレス向けのシェルターで、1歳の息子に服を着せる父親。
Jae C. Hong/AP
Source: National Center on Family Homelessness

以上の写真で見る限り、シェルターでは文字通りプライバシーもなければ家族持ち向けのホームシェルターでさえも親子だけでの団欒の場もなさそうです。
私物はどこかのロッカーで保管しているのでしょうが、身の回りに私物を一切置けない生活・・共産主義社会の実験でもしているような風景です。
もしかしたらこれは共産社会の実験ではなく、アメリカの黒人奴隷生活歴史の現代的再現かもしれません。
なんとなく牛豚飼育センターやブロイラー施設を人間向けに応用したような印象を受けます。
これでは寒くとも車中や路上で気ままに寝起きしたい人が増えるでしょうが、その統計はとっていないようです。
一旦こういう境遇に落ちてしまった人が・・こういう施設で育った子供が、生きて行く夢を持てるのでしょうか?
ただし、シェルター収容しているのは公営住宅の空きを待つほんの数週間か1〜2ヶ月というならば、この程度の設備でも理解可能です。
どんどん公営住宅が新設され日々ホームレスが吸収されていれば、全米でこんなに大量にシェルターが設置され、ホームレス人口がこんなに増えないでしょう。
日本の国民皆保険制度がないのと同様に、公営住宅で保護する仕組みがうまく回っていないのではないでしょうか?
遅ればせながら変化に合わせて公営住宅が急ピッチで作られているが、急激な需要増に供給部門が間に合わないとすれば、仕方のないことです。
もともと(住宅事情の良さがアメリカの特徴として長年日本では報道されてきました)公営住宅不要の国柄であったので、いきなりの情勢変化に供給体制が追いつけないだけならば一定期間経過でシェルター利用者が急減するのでしょうか?
シェルター利用急増が国際ニュースになってから、10年近く経っても利用者が減るどろか増える一方なのは、政府・政策部門には公営住宅供給で彼らを吸収する意欲がないようにも見えます。

米国ホームレスの実態2(路上生活者だけでない1)

日本は路上生活者の目視カウントですがアメリカの場合路上生活者の他にシェルター保護者も含まれるので統計の意味が違うようです。
アメリカで子供のホームレスが多いと聞くとびっくりしますが、そこが日本との違いです。
日本の場合どんどん生活保護に誘導しているので、路上生活者は急減していますが、その代わり生活費保護者が、急増しています。
一方で日本の場合障害者病人等が生活保護対象になるのに対して、アメリカでは働いているのに住む家がない人(家族持ち・/子供のホームレスがいっぱいいる統計になる)が出てきます。
http://www.thutmosev.com/archives/48748375.htmlによると以下の通りです。

国は「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」 をホームレスと定義しています。
外国では違っていて、自分の金で契約した住居を持たない人をホームレスと呼ぶ事が多く、アメリカでは施設入居者もホームレスと呼んでいます。
日本で言うホームレスをアメリカでは路上生活者と呼び区別しているが、逆に路上生活者だけの人数は正確には把握していません。
というのは欧米では「支援センターで食料支援等を受けている人数」を数えているからで、数取器を持って公園に出かけたりはしていない。
日米統計手法の違いで片付けるのではなく、日本の生活保護保護〜囲い込み政策と米国シェルターとの違いは何かが問題です。

日本の生活保護政策は、普通の民間アパートを借りて一般人と混在した生活ですから日常的に普通の家庭生活と変わりません。
米国のシェルターの実態を見ると、いわゆる雑魚寝・天災等で緊急避難している姿を恒久化して一応寝具が用意されている・・・少し整理した程度のようです。
嵐が過ぎるまでの一晩あるいは、復旧の進むまでの1〜2週間という短期間ではなく、ここで将来のあてもなく暮らすとすれば、精神荒廃が進むでしょう。
シェルターという場合の日本語翻訳語感にもあっています。
以下はシェルターに関するウイキペデイアの記事です。

シェルター(英: shelter)は、避難所。
以下のように幾つかのレベルで異なる意味を含む。

 戦術レベル(戦闘員保護に力点が置かれる)では、バンカートーチカ)など簡易の防衛拠点で、塹壕に併設される。

サバイバルの分野では、天候などから身を守るための「雨風をしのげる場所」。

交通分野では、交通機関において旅客や貨物を雨風から守る施設。

福祉分野では、DVシェルターホームレス緊急一時宿泊施設など、緊急一時宿泊施設など。


日本では避難生活が長期化する見通しの場合、近隣公共空き家住宅斡旋のほか不足分に充てるために仮設住宅が大量に建設されます。
中長期化すると家族単位の生活が必須であることを、国民が前提としているのです。
アメリカのホームレスは家賃を払えないのが原因であれば、交通機関途絶や水害等との一時避難ではないのですから、日本の体育館で一晩寝泊まりして台風が通り過ぎたり「翌朝電車が動いたら帰ってください」という緊急施設とは目的・機能が違います。
一泊程度を予定する日本の体育館の雑魚寝と違い長期宿泊用に冷暖房やトイレ、ベッド等が揃っているようですが臨時施設である「シェルター」で中長期的に?保護しているように見える点が異様です。
生活保護と違い本質は臨時施設ですから、本人確認等をしないか確認しても要件チェック簡略でしょうから、利用者は朝出て行けば、次は別の空いていそうなところに向かうなど流動性が高いかもしれませんが、住む家がない以上「シェルター」を転々しているだけで中長期的に「シェルター」に住み続けることになります。

近代産業革命とIT革命の違い1

近代産業革命前に100人必要だった生産や輸送が産業革命による効率化で10人で生産し輸送できるようになれば、90人の職場が失われるはずが、余剰生産分を国外輸出によって失業しないで済めば、生産その他すべてが10倍になれば、国力10倍となり民生も10倍豊かになります。
その輸出を受け入れる国は受けれた分元々の生産従事人口が失業します。
いわゆる「失業の輸出」ですから、一旦受け入れ国になると失業が増える一方・・貧しくなる一方で先進国と後進国の格差が開く一方になっていた・・この市場構造固定化・・相手に生産力をつけさせない半永久的市場支配の権力構造が植民地支配体制です。
英国の紡績業発達がインドの綿産業を壊滅的に滅ぼし「白骨街道」になったことを以前紹介しました。
ラッダイト運動で主張していた矛盾を海外に押しつけることで自国内矛盾を回避し、先進国の優位性の固定化装置だったことになります。
それまでの植民地とは文字通り「植民する」ことだったのですが、産業革命以降は市場支配の枠組み固定化装置に変わったのです。
この枠組み変更に異議を唱えたのがアメリカ独立でした。
西欧諸国は植民地現地人台頭(・・・人種差別して威張るのが目的ではなく現地生産が始まると市場を失うの)を阻止するために人種の違いを強調し「アジア人は劣っているので何をしてもかなわない」という諦め精神を植え付ける人種差別政策に邁進することになります。
オリンピックも欧米人が身体能力がいかにすぐれているかの宣伝目的で始めたというのが私の偏見です。
フランスなどの西欧文化芸術宣伝もアメリカの好きなミスワールドなども同じです。
日本人はミスワールドなどハナから相手にしていませんし、文化芸術分野でも日本画に始まり独自文化を主張できたので自立できてきました。
販路である植民地で自前の産業育成・挑戦意欲を持たせないよう自信喪失政治をしていたのですが、同族出身者で構成されている北米では人種の優越論理が通じなかったから単なる市場扱い・搾取されるままでは納得しなくなり独立革命が起きたのです。
この支配構造に唯一の穴を開けたのが日本で、その日本が逆に工場生産品の輸出国になってアジアの市場を荒らされるどころかアメリカ市場に逆輸出が始まり、坐視できなくなった始まりが米国の排日差別法の成立であり市場争奪(欧米植民地に輸出させないブロック経済化→決定戦が第二次世界大戦です。
日本軍のシンガポール占領時に目の前で英軍が追い散らされ捕虜になっていくの見たシンガポールのリークアンユー氏が「絶対叶わないと思っていたアジア人が勝てる」と自信を持ったという原体験につながったのです。
戦争でこそ欧米は勝ちましたが、その後現地人の自信回復によって次々と独立運動が始まり戦後秩序が始まります。
日植民地民族もやればできるという自信がうまれた下地の上で、プラザ合意以降の日本叩き→日本企業の韓国台湾〜アジア諸国への工場移転による迂回輸出の成功→中国参入以降の低賃金国の攻勢です。
賃金格差が市品競争力低下になり、市場経済的に修正されていく・賃金の低い方に生産地が動いていくべきですが、市場経済的反映を上記の通り植民地支配により力づくでダムのように堰き止めてきた分、巨大な賃金格差・欧米とアジア・アフリカ諸国との途方もない生活水準・教育格差が生じていたのです。
旧植民地諸国・・低賃金国が生産に参入するとダム決壊による怒涛のごとき低賃金国からの工場製品の流入が始まると先進国(国内生産縮小→低賃金サービス業への転換)労賃がつられて下がらざる得ません。
(賃金平準化作用が終わるまで恒常的デフレ発生です)
世界の工場の地位が中国から東南アジア諸国等へ順次伝播していき、最後は世界の人件費の平準化が始まる・本来人皆平等論でいえば、公平な世界になる動きであると「世界平準化」というテーマで10年ほど前に書いたとおりです。
アメリカは、戦前排日法で日本人を鉄条網の収容所に収容して対日開戦を急いだように、今次の挑戦者中国に牙をむいたところですが、戦前の日本はいじめられているのをアジア人が内心で応援していても力がなかったので孤立したのですが、いまの中国は戦前日本よりはもっと乱暴ですが、その代わり周辺アジア諸国の地位があがっている点が大きな違いです。
話題が逸れましたが、今回のホームレス化の動きは英国産業革命後の囲い込み運動で、小作人を農地から追い出した運動の焼き直しのように見えます。
第二次産業革命?の寵児IT覇者も、世界規模で市場を席巻できる点は19世紀の産業革命と同じとしても、覇権国で新たに生み出すIT関連者数は微々たるものです。
この結果・・富分配に参加できる人はごく少数=格差が広がる宿命です。
IT産業で覇権国になっても、アップルの生産が中国で行われているように世界の工場として大量の中間層を生み出せません。
近代産業革命の恩恵を受ける国と受けない国が国単位(一定の社会規模・結局は民族単位)で分かれていたのが、IT革命では国単位〜民族単位ではなくITに適した能力の有無によって、砂粒的に分化し始めたと言うことでしょう。
今後民族出身地域差→奥深い文化力能力差は問題にならない時代が来ると言えば、現実の目の前の若手弁護士層を見ていると民族精神の精華である文化に関心のない人が増えてきた印象です。
IT化・デジタル化で気がつくことは、・・実務世界ではデジタル的処理能力が目先重要な印象・・これが文化の比重低下=出身民族差が背景に退く時代の予兆を感じるのは私だけでしょうか。
シリコンバレーでの活躍者は噂によれば出身民族差にこだわらないような印象を受けます。
今回は領主様が地域からまとめて小作人を追い出すのではなく、家賃引き上げに対応できない個別の住人をアパートから追い出すので、(地震による液状化現象のように)水が地面から染み出すようにあちこちに滲み出てきた印象です。
これが先端産業で成功している都市に限って一流ホテルやマンション周辺にホームレスが大量発生し群がり住み着いて?いる状況になっている原因と思われます。

米国の高家賃5とホームレス(IT化)1

ここでいよいよホームレス問題に入ります。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/6755によれば以下の通りです。

ホームレス大国アメリカ」の現実 世界覇権どころではない国内の疲弊
国際2018年1月20日
賃金は減り 住宅価格は暴騰

㊤路上で寝るホームレス(ニューヨーク)、㊦行政が設置したシェルターベッド。入居待ちが続いている(2017年、ロサンゼルス)

・・・西海岸を代表する都市ロサンゼルスは・・・前年比で20%増加した(支援機関「LAHSA」調査)。18歳から24歳までの若年層ホームレスは64%も上昇しており、「ロサンゼルス短大地区の学生の5人に1人はホームレス」という調査結果(ウィスコンシン大学)もある。
・・・昨年11月、シカゴ大学が発表した報告書では、ホームレス状態にある学生が全米で少なくとも420万人にのぼり、そのうち13~17歳は70万人、18~25歳が350万人という衝撃的な数値が物議を醸した。
また、約46万人の学生を擁するカリフォルニア州立大学(全米最大)が委託した調査によると、同大学では10人に1人にあたる約5万人の学生が特定の住所を持たないホームレス状態にあり、さらに5~4人に1人にあたる10万人が食べ物の確保ができていない。

1大学だけで学生5万人もホームレスとは、日本では想像もつかない現状です。
ハングリー精神から新規イノベーションが生まれるとは言われますが・・・???。

・・・ホームレス増加の主な理由は、工業の機械化による解雇や病気による失業の増加、実質賃金は増えず家計収入は減っているのに進む物価上昇、とくにリーマン・ショック以来続く住宅価格と賃貸料の異常な高騰である。
・・・(金融大規模緩和・・稲垣注)それによって住宅金利は下がり、住宅への投資を促進したが、余剰マネーがふたたび不動産市場に投機する流れをつくり、不動産価格はリーマン・ショック以前をしのぐ天井知らずの高騰を見せている。
・・・矛盾が集中したのがIT産業で急成長を遂げたシリコンバレーを抱える西海岸で、全米で進む不動産市場のバブル化に、企業進出や労働人口増加による需要増大という条件が加わり、住宅価格は高いところで年平均20%も上昇。高級住宅に暮らす人人がいる一方で、低価格帯でもワンルームの家賃が3000㌦(約33万円)にもはね上がったため、多くの人人が住居での生活を諦め、路上生活をしながら働いている。
「更新手続きでいきなり家賃が500㌦(5万5000円)も上がった」「年収700万円稼いでも家族を養うのが難しい」というほど異常な高騰が家計を襲い、空き地や川縁にはテント村ができ、道路に連なる宿泊用の車両が急増した。時給15㌦(1650円)程度の所得ではフルタイムで働いても、とても2000~3000㌦もの家賃は支払うことはできない。いまや「ホームレス=失業者」という概念は過去のものとなり、工員やショップ店員、技師、教員までが路上や車上生活をしながら職場に働きに出て、シャワーを浴びるためだけにスポーツジムの会員になっている(AP通信)。

19日にアマゾン第二本社誘致運動を取り上げましたが、以下に続く文章によれば、アマゾンの本拠地では全米最高のホームレス発生という実態が背景にあることが分かり分かります。

グーグルやアップルなどハイテク企業の本社が集中し、国内でもっとも平均収入の高いシリコンバレーの大都市が、米国最大のホームレス地帯となっている。
・・・アマゾンやマイクロソフトが本拠地を置くワシントン州シアトル(人口70万人)では、ホームレスが1万人をこえて過去最大を更新し、ホームレス人口が全米ワースト2位になった2015年には緊急事態宣言を発令した。人口が増えた反面、住宅価格が年平均10%上昇し、賃貸価格も六年間で57%も上昇しており、多くの一般家庭が家を失った。「好景気」によって富が集まり、経済活動が盛んになったのは数%の上流層だけであり、多くの人人は低賃金労働のもとで住む家すら失って社会の枠組みからはじき出されている。

以上によれば、ピッツバーグ等製造工場の盛んであった地域衰退・・ラストベルト地帯ばかりメデイアが取り上げていますが、もっと問題なのは高度成長している成功地域でホームレスがどんどん生み出されている状況です。
昔のラッダイト運動の場合、製造業の発展で農奴に近い小作人が中間層に脱皮できて収束できたのは、先進国がこの技術を囲い込み世界の工場として世界中から富を収奪できていたからです。
先進国がマルクスの御託宣のとおり矛盾激化しないで後発国ロシアや中国で矛盾劇化して共産革命や動乱が起きたのは輸出受け入れ国の地位になっていたからであって偶然ではありません。
先進工業国は、先進技術独占による高賃金・中間層の厚み構築・社会の安定・未来への希望社会を作り上げていたのですが、これが後進国を市場とのみ位置付けてきた収奪の仕組みによっていたにすぎません。

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