税収2と国債1

自分勝手な主張に振り回されてバブル崩壊後20年あまりもやって来て、我が国は財政赤字・・国債発行残高が極限近くまで来てしまったとして、(ギリシャ危機を他山の石として)ここ数年問題になっています。
国債発行で所得再分配資金を賄うのはマスコミが言っているように本当に極限かどうか・・税と国債の問題について、この際考えて行きましょう。
本来海外で2〜3万円の賃金で作れる工業製品を国内で40万円以上も給与を払って作り続ける事自体・米や麦の高額買い取り制度・あるいは高率関税で輸入阻止しているのと同様の実質的な社会保障・生産補助金と言えます。
補助金は緊急避難的なものである限り有効ですが、構造改革を伴わない単なる痛みの先送りであれば、その産業にとっては有害でこそあれ何の解決にもならないことはアメリカの製鉄業やビッグスリーの凋落や日本の農業の長期衰退を見れば明らかです。
ただし、同質・同胞意識で成り立っている我が国では、高度成長期には地域間格差是正政策・あるいは近代工業社会に適応出来ない人に対する緩和策としての補助金としてこれを見れば、激変緩和・・社会保障政策としては有効だったことについては論を俟たないでしょう。
今度は地域間格差是正ではなく各地に散らばっている労働者間格差の是正ですから分り難いのですが、職業訓練に精出しても高度化対応人材に変身出来る人は限られています。
ですから、職業訓練をいくらやっても過疎地の農地改良や農道整備資金として高度成長期に過疎地に何十年も投入し続けた巨額資金同様に大した効果は出ないことになりそうです。
産業補助金ではなく社会保障としてみれば当然です。
80歳以上の高齢者向け医療費をいくら出しても、高齢者がもう一度働けるようにはなりません。
・・・生活保護・子供手当・身体障害者向け施設などが充実すれば不良少年になる人が減って国際競争力が出るなどという論法もありますが、こうした効果があるのはホンの0、00何%ですから、投資効率としてみればこじつけ・無理筋であり、リターンを求めない社会保障としてみるべきです。
そこでここからは、国際競争力維持の観点ではなく別の視点で考えてみたいと思います。
せっかく長年貿易で儲け過ぎて巨額資金を溜め込みながら国民が質素な生活をし続けるのは、バランスが崩れると考える人がいてもいいでしょう。
この際生活水準を引き上げる視点・・高度成長期以来寝食を忘れて頑張って来た国民あるいはその子孫にご褒美を上げる視点も必要です。
国債発行で市中から資金を引き上げて国民に配る・・預貯金等余裕のある人の資金を預貯金のない一般国民に回すこと自体は、ここら辺で国民の生活水準を上げるための観点(国際競争力の回復ではなく)から意味があったと言えます。
赤字国債で資金調達して社会保障資金・生活水準嵩上げ資金に回すのは、国内の金持ちから貧乏人に対する資金分配の一態様・・税徴収による回収と経済効果は同じです。
01/17/07「国債発行と税収(建設国債)」その他で国債で紙幣を回収するのと増税で回収するのとでは、国富の利用を国民に委ねずに政府が使うという点ではその効果は同じであることを書いたことがあります。
寄付金で恵まれない子供達・障害者の受入れ施設を作るなども同じ発想です。
家の回りの掃除など公的なことは何でも税でやるしかないと今では思っている人が多いでしょうが、つい、私の育ったころまではある程度みんなで出て行って地域のいろんなことを無償で負担する時代でした。

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