中国では過去数十年に渡って継続的に流入した潤沢な資金によって(労せずして入って来る金ですから・・)無茶苦茶な採算度外視の投資がはびこっているし、国策遂行のためには実態に反した対外宣伝工作資金として潤沢な資金をドンドン使える構図になっていました。
中国への外資流入と言うとそのお金は外資系企業等外国企業だけが自分で自由に使う・・中国人が自由に使えない資金ではないかと誤解し勝ちです。
また、直ぐ引き上げられそうなイメージですが、日本の都市近郊農家が土地成金になったイメージで考えれば分りよいと思います。
外資が工場用地等を買ったらその資金は売り主・・中国の場合地方政府に入ります。
その資金は借りたものではなく、売った代金ですから、売り主・日本で言えば工場用地等として農地を売った近郊農家が自由に使える資金です。
所謂長期投資した外資が資金を中国から引き上げるには購入した工場用地や工場設備・・スーパー等の店舗を売り払うしかありませんが、もとの農家が買い戻すことはあり得ない・・採算が取れない状態になって売ろうとすると二束三文になるのは当然です。
外資流入の比喩として日本近郊農家の例を書いてきましたが、奇しくも中国の場合地方政府が土地から農民を追い出すことによる錬金術で得た資金で無駄な支出を繰り返し、共産党幹部がその過程で私腹を肥やすのが一般的であると報道されていることが参考になるでしょう。
日本の場合個々の近郊農家に土地代金として巨額資金が入り近郊農家の生活水準嵩上げに繋がりましたが、中国の場合、農家を(都市戸籍のない流民扱いの)農民工として都会へ追い出して地方政府=共産党地方幹部の私腹を肥やす方向へ走ってしまいました。
勿論これの上納システムが働く結果、中央の大幹部一人当たり何千億というヤミの私財蓄積が可能になる仕組みが出来上がっています。
戦後日本では都市に職場があってその需要に引っ張られて、金の卵と言われて中卒、高卒の人材が都会に出たのですが、イギリスも中国も職場の有無にかかわらずその前に貴族や地方政府の金儲けのために、先ずは農民の追い出しから始まった点がすごい違いです。
エンクロージャーで農民を追い出して都市労働者の供給源を作った点ではイギリスの動きと同じですが、イギリスはこれで羊毛の大量生産に繋がりましたが、中国では土地を売るのが目的ですから、裏金(賄賂)の蓄積と海外資金逃避になっただけで今のところ終わりそうです。
羊毛産地になる代わり日本等の工場進出・・工場用地になっているとも言えますが・・・。
日本では高度成長による労働者不足が先にあって、集団就職列車が仕立てられた結果金の卵と大事にされましたが、中国では先に貧困者の都市放出があってのことですから、順序の違いが末端労働者の実質的地位に与える影響は大きかったでしょう。
ネズミ族と言われる貧困状態にある多数労働者と一人当たり何千億円という目もくらむような巨額裏金をアメリカ等へ逃避預金していてイザというときの逃走資金にしているエリート層に大きく分裂しているのが、中国の実像です。
勿論お金だけ海外に逃がしているのではなく、高官の子女も例外なく海外に逃がしているので所謂「裸官」という熟語さえ生まれて来ました。
外国からの資金流入が細ると従来の錬金術が使えなくなり、ゴーストタウンを作ったり乗客がいるかいないかにお構いなしに鉄道網拡大等をする無駄な内需拡大や後進国援助は難しくなります。
中国の対外威圧用に年々ふくれあがる巨額軍事費や後進国援助資金の内実は、実は日本等の外資の化けたものです。
これが出来なくなると、名目上のGDP上昇も急落するでしょう。