間にいろいろ書いてしまいましたが、7月2日に書いた北海油田による西欧復権との関係のデータを紹介します。
北海油田に関する7月2日現在のウイキペデイアの記事によれば以下のとおりです。
「原油推定埋蔵量は130億バレル。日産約600万バレル。1960年にイギリスが開発開始。次いでノルウェーが開発に乗り出す。ノルウェー南西沿岸のスタヴァンゲルとイギリスのアバディーンは石油産業で発展し、イギリスは1980年代から石油輸出国となった。イギリスは2014年現在でもEU加盟国最大の原油生産国ならびに原油輸出国であり[1]、ノルウェーはロシアを除く欧州最大の原油生産国・輸出国で、原油生産量は2013年現在で世界第16位[2]、石油輸出量は2010年現在で世界9位である[3]。」
「イギリスの鉱区では、石油生産量が1990年代後半にピークを迎え、その後は既存油田の成熟化に新油田の発見が追いつかず徐々に減少している。 1981年~2005年の間、原油の純輸出国であったが、2005年以降は純輸入国となっている」
上記のとおり、イギリスは約25年間資源輸出国として潤ったことが復権に繋がったのですが、北海油田の枯渇(2005年以降イギリスが原油輸入国に転落・・輸入代金を払う立場に変化)が始まりこのボーナス効果が徐々に減ってきました。
資源特需による場合製造業等の一般産業の実力以上に国際収支が良くなるためにポンドが割高になり却ってその他産業が蝕まれて行き・・若者の職場が奪われて行きます。
まして同時期に中国の改革開放・市場参加が進み始めた頃です。
上記原油輸出最盛期にあたる1992〜3年頃に1週間ほど家族でロンドンへ行ったときの光景では、日本とはまるで違う活気のない都会・日本で言えば地方都市レベルのイメ−ジでした。
他方で中国の改革開放以来始まった超低賃金競争(原油輸出でポンド相場が上がるとイギリスの賃銀が国際的に割高になります)対応(その他高齢化対策その他)のために移民導入策が続きました。
移民導入+ポーランド等の低賃金国のEU取り込み政策(EU東方拡大)は、アメリカの移民導入による絶え間ない労働者供給策とも一致しています。
アメリカが物量作戦で2度の大戦で存在感を発揮したことから、戦後ずうっと農地に始まって・資源力+大量生産大量消費(人口大国化)・・「大きいことは良いことだ」と言う間違った思想が世界中ではびこっていたことが分ります。
この辺の意見は、この後で日本の対応として書いて行く予定の
「アメリカ式資源+大量生産の挑戦に同じ土俵で競争するのではなく逆に量が少なくともおいしいトマトや果物、牛肉・その他を作るのが良い」
と言う基礎的意見を前提に書いています。
安物の絵を1000枚積み上げておくよりは、心に響く一枚の絵を飾った方が良いと言えば分りよいでしょうか?
以前書きましたが、中学生の頃のアメリカの人口は2億以下の人口でしたが今では三億3500万人(以下のデータとちょっとあいませんがどかでこう書いていましたが・・)にも増えているのは、アメリカ自身も中国に負けない大規模市場を維持するために移民導入で対応して来たことが分ります。
世界ネタ帳http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LP&c1=US&c2=JP
によると1980年には227.62(日本116.77)→2016年には324.33(日本126.54)となっていますので、対日本比の増加率の差は半端ではありません・・この差は移民流入によるものです。
日本のように60歳前後でなくなっていた人が90代まで生きるようになって・死ぬ人が減って人口が増えているだけですと、せいぜい1割くらいしか増えませんので、同期間に約1、5倍になっているアメリカの場合には社会増によることが明らかです。
日本の高齢化進行が世界一早いと一般に言われていますが、高齢化は社会の豊かさの進行に比例するのがふつうですから、欧米の方が日本よりも早くから少子高齢化が進行して来た筈です。
グリンスパーン元議長やキッシンジャーあるいはジョージソロス氏などみんな超高齢者であって高齢化は日本の専売特許ではありません。
実際私の中学生の頃には、フランスが人口減に悩まされていると言う報道が頻りにされていました。
アメリカでも早くからフロリダあたりに高齢者が移住する現象が知られていました。
西欧の少子高齢化がマスコミで言われなくなったのは,主に旧植民地であるアフリカや中東からの移民を受入れるようになってからです。
欧米に比べて日本の長寿が目立つのは、日本の食生活・公衆衛生環境が良いだけではなく、健康管理能力が低く先進国に住むようになっても1世代目には長寿社会の恩恵を受けられない若年移民の比率が少ない面も大きいでしょう。
アメリカの場合以前から移民受入れ大国だったので移民が増えていることが目立たなかっただけで、実際にはベトナム戦争以来アジアから移民を大量に受入れてきたので、急速にアジア系移民が増えています。
以下https://ja.wikipedia.org/国勢調査の結果からアジア系移民比率部分だけコピーします
人種 2010年 2000年 増減
人口 割合 人口 割合 人口 率
アジアン 14.7 4.8% 10.2 3.6% 4.4 43.3%
僅か10年間でアジア系比率が4、5%も上がっていることが分ります。
欧米では、賃銀の国際平準化に対抗するために移民を入れて低賃金競争をしたのと同様に、少子高齢化問題にも日本のように正面から向き合うことなく、移民=若年層中心ですし、しかも出生率の高い移民流入で人口減を補う政策で誤摩化して来たことが分ります。