中国の過去の新車販売台数の伸び率については、以下の記事にはいればグラフになっていますので、(ただし14年2月の論文ですから14年からは予想数字ですが15年の2500万台など予想数字は概ね当たっています。)ご関心のある方は直接ご覧ください。
https://www.shinnihon.or.jp/shinnihon-library/publications/issue/info-sensor/pdf/info-sensor-2014-02-07.pdf
JBS 情報センサー Vol.90 February 2014
グラフをコピペできないの木になる部分だけ紹介しますと、これによると2002年には37.4%増で、2003年には40.5%増の後04年は11、1%、05年は13、5%増に減速し、6年25.3%、7年21.8%の後リーマンショックの08年には6.7%増にまで低下します。
09年には何と45.5%増になって、翌10年には2.3%11年には2.5%に急減します。
その後12年4.3%13年10%と一言で特徴を書けば、乱高下の連続ですが、一応プラス成長が続いていました。
14年以降は予想伸び率ですが、この1〜2ヶ月の間にこのコラムで15年以降の日系独韓系等の国別販売伸び率で紹介して来たとおり実際にも毎年二桁増程度の伸びが続いていました。
これが昨日紹介した通り17年5月にはわずかですが、ついにマイナスになったのです。
以下文字部分の一部も引用しておきます・・ドイツのフォルクスァーゲンは85年から進出していた老舗であったことがわかります。
「乗用車販売でも世界一となった中国自動車市場 広州駐在員長内幸浩•
Yukihiro Osanai
2007年からEY広州事務所に駐在し、中国華南に進出する日経企業のサポートに従事している。日系自動車メーカーが集中する広州エリアを中心に武漢、重慶、長沙等完成品メーカーや部品メーカーに対する監査、税務、アドバイザリー等、豊富な経験を有する。
2013年12月3日ドイツ自動車工業会は、中国乗用車販売台数は1,600万台を上回り、初めて世界最大の乗用車市場となり、今後も、その地位を維持することが見込まれるとしています。
一方、外資規制など課題の大きさも、その規模を反映しています。2000年以前の創設期では、国営関連企業の下、少数の熟練工が組織的な品質管理なしにローエンドモデルの商業車生産を行っていました。
1985年にはフォルクスワーゲンが外資活用の下に参入し、86年から始まった中国第7次5カ年計画から自動車産業は基幹産業となりました。
2000年代は発展期となり、世界貿易機関に加入した01年ごろから所得水準向上や道路インフラ整備が進み、モータリゼーションが急速に進みました。
熟練工の増大、品質管理の向上、海外部品メーカーの参入により、顧客ニーズに応じた生産が可能となりました。
09年に自動車生産台数および販売台数で世界一となった中国は、13年に乗用車の販売台数でも、世界一になりました。中国汽車工業協会(CAAM)は中国の自動車販売台数が15年には2,500万台、20年には約3,000万台に達すると予想しています(<図1>参照)。
今後の中国自動車市場の成長の根拠は、主に米国や世界平均に比べ低い自動車保有率GDP成長率、一人当たりGDPおよび都市化率にあるとされています。」
上記は2014年2月の記事ですが、最近の意見では以下の通りです。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/page-3.html
2017-06-29 05:00:00
中国、「サブプライムローン」住宅・自動車ローン急増で再現?
中国では、企業の新規借り入れは下火だが、代って若者の住宅と自動車のローンが急増。金融機関の安易な貸出姿勢が、ローンを増やしたのだ。肝心の所得は、製造業中心に頭打ちから減少に向かっている。跳ね上がった高値の住宅をローンで購入したものの、果たしてローン支払いができるのか、危ぶまれてきた。
(1)「AFP通信は5月、中国の若年層がローンを容易に組めることについての問題を報じた。記事によると、30代の夫婦が自家用車をマツダからベンツに乗り換えようとした際、銀行から20万元(約360万円)のローンを受けるのに、わずか数分で審査を通ったという。『いとも簡単にローンを組めるため、多くの若者が借金して車や住宅を買っている。」
・・(5)「ムーディーズは中国の債務規模の急増に懸念し、5月下旬に中国国債の格付けを30年ぶりに『Aa3』から『A1』に引き下げた。市場調査会社『龍洲経訊』エコノミストの陳龍氏は、家計債務は2011年以降、毎年平均で19%増のペースで拡大しており、その増加は中国債務拡大の主要な原因となったとの見解を示した。『そのペースで増えていくと、20年に家計債務の規模は、現在の倍となる約66兆元(約1056兆円)まで達し、GDPの70%を占める。13年にはGDPの30%だった。他の国ではこの高水準になるまで数十年かかったのに』とした」
韓国の家計膨張の危機ばかり報道されていましたが、中国の個人債務もしっかりと膨張していたことがわかります。
中国新車販売が今年に入ってこれまでの前年比2桁増どころか、減速傾向が鮮明になってきたのは、上記記事と合わせると如何にも債務膨張が飽和状態に近づいてきたようですが、昨日紹介した2004年の報告でもすでに限界がきたような書き方でしたが、その後上記のように伸び率こそ下がっても世界に迷惑をかけずに今までやってこられました。
今回とどの辺が違うのかをプロが書く以上は解説してほしいものです。
素人の私なりに推測すると、当時は中国の経済規模が小さくて当時の中国にとって負債規模が限界に来ていたとしても、その後経済規模の急拡大の結果から見れば絶体量が少なかった・・この結果政策の巧拙と関係なく危機回避が自動的にできていた可能性があります。
日本で財政赤字は成長路線で解消できるという主張は過去の成功体験をいうのと同じです。
1億の売り上げ企業で10億の負債は返済不能でも、売りげを2〜30億に増やせば負債比率が相対的に下がって難なく返済できてしまうパターンです。
当時の中国はWTO加盟を追い風にこれから世界中に打って出る勢いがあったが、(GDP伸び率も10%台が普通でした)今回は中国が世界の工場としての役割が縮小過程に入っている・逆風下・低成長経済に移行していく(自裁に低成長に入っているのは間違いないでしょう)時に増えていく負債はどういう効果があるかなどといろんな言い方ができるでしょうが・・。
公共工事などのインフラは政府の思う通りに投資してGDPをあげられますが、車のような末端商品は政府がいくら売ろうとしても消費者にお金が回らないと売れません。
上記冒頭紹介の車販売の乱高下はそのまま中国経済が荒っぽい動きをしていたことを表していると言うべきでしょう。
株が急上昇していたと思えば、約1年半で大暴落させるようなことのくり返し・・(株暴落は目立っただけ?)危なっかしくて見てられないような粗暴運転をいろんな場面でやって来たのではないでしょうか?
一定率で毎年のように高成長しているとしてきた中国政府公表GDP伸び率はまやかしであって、車販売伸び率変化に比例した乱高下経済であった可能性があります。