腐敗政治と最低賃金引き上げ1 

中国深圳あたりの労働者の平均賃金が月額2〜3万円で(こうした大企業に勤められるのは恵まれた方です)他方で共産党幹部の蓄財が数千億から兆単位というのでは、国民が怒り出すのは当然です。
格差拡大の酷さ・・裸官の実態がネットで暴露されるようになって、政権の正当性を揺るがす事態になって来たので、ここ数年共産党政府は労働者手取りの底上げのために強制的な最低賃金引き上げに動き出しています。
そうなると低賃金を当てにして成り立っている産業(外資に限らず国内資本も)はやって行けないのでベトナム等に逃げて行きます。
日本マスコミでは、低賃金では人が集まり難くなっていると如何にも自然現象のごとく最低賃金の強制引き揚げ政策を擁護していますが、膨大な失業者がいるし農村部にはその何分の1の収入もない人が億単位でいる・・・もっと低賃金でも働きたい予備軍が無限にいるのですから、そんな経済現象はまだまだ先の話し筈です。
元々最低賃金制は市場原理に委ねると最低生活も出来ない人が出て来るから、制度上最低賃金を強制する制度ですから市場の需給で決まるものではありません。
実際深圳周辺のどこかの市では中央で決められた最低賃金の方針を実施しない市(地方政府)もあるようですから、経済原理に反した強制は地域経済に深刻なダメージを与えているようです。
日本でも解雇規制が強過ぎたり、非正規雇用を法で規制すると却って失業者が増えるのと同じで、経済を権力で規制すると無理が出ます。
中国では失業率等の統計自体あてにならないですが、幹部の汚職に対する不満解消のために最低低賃金引き上げに動いた結果、国外移転の加速→工場閉鎖の頻発→大量失業発生によって、大変な事態に陥り始めている筈です。
深圳等で閉鎖された大規模工場の報道が以前には結構ありましたが、尖閣諸島問題で日中紛争が始まると、その後日本のマスコミでは中国に都合の悪いこの種の現場報道が何故か全くなくなりました。
大卒の就職率・失業率(ネズミ族等)その他、中韓の不利な情報・・社会の暗部に関するテーマの情報でも、(データが当てにならないまでも)以前一杯あったのに、最近では何故か大手マスコミから全く姿を消しています。
中国の暗部をテーマ化して報道しないまでも単発的報道・・例えばシャープへの出資交渉で有名になった受託製造大手の台湾の鴻海グループが中国で経営する受託製造工場を縮小・閉鎖する方向になっているなど、同社や個別企業動向として結果的にマスコミにパラパラと出て来ています。
中国の場合、人海戦術の国ですから1つの受託製造工場に5〜6000人もいるのはざらですから、これが1〜2つ閉鎖するだけでも日本では想像のつかないほどの大規模失業が発生します。
賃上げが経済現象として起きるならば、それだけの生産性が挙がっている証拠ですから無理がないのですが、生産性の上昇がないのに賄賂・腐敗政治に対する不満解消のために最低賃金を権力的に引き上げて誤摩化そうとすると、却って職場が減るなど経済的に無理が出るし国民の納得性も低いでしょう。
格差社会になっている点はアメリカと似ていますが、プレスリーやジョブスなどは、自力で稼いだものですが・・、激しい腐敗による超格差社会になっている中国とはその成り立ちが違います。
共産党幹部の腐敗に対する国内不満をなくすには、日本が近郊農民を土地成金として豊かにし、過疎地に何十年も国費を投入して来たように、地方政府や幹部の収賄・・・これこそ共産主義者の好きな「搾取」そのものです・・をやめて、外資が入れば地元民に恩恵がそのまま行き渡るようにするのが先ず第一の王道です。
外資が入って来て地元のただみたいな土地が高額で売れた場合、タマタマ地元で原油が沸いて採掘料金を取れるようになったのと同じで、外資による資金取得は一種の不労所得です。
中国の最低賃金引き上げ命令は、原油利権料をアラブ王族が独り占めしていることによって民衆の不満がたまってきたからと言う理由で、(石油掘削会社に勤める現地人は国民の一部でしかないのに)国際石油資本の現場労働者の賃金引き揚げを求めているようなものです。
共産党幹部の得ている利権料収入・・中国への外資流入は年間1000億ドル=約10兆円・・を国民に分配することこそが国民不満解消の王道です。

民主主義と正義12(政治資金3)

アメリカの場合、12月3日に紹介したジャーナリスト 堀田佳男=文の意見によれば日本よりも個人献金の限度額が少額なのですが、他方でスーパーPACという束ね屋(フィクサー)の団体が公認されていて、集める資金は無制限になっているので一人(団体)で億単位の金を集めて来るようです。
これがくせ者です。
億単位の資金を集めて来る人物やグループの意見を、当選した大統領は無視出来なくなってきます。
「何事もお金次第」というアメリカの特徴を良く表していませんか?
お金次第と言う点は、拝金主義と言われる中国ともどこか似ています。
アメリカでは弁護士も日本のように「・・士」ではなく・・「er・・屋」ですし、医療も金次第という訳で何事もビジネス・・お金になるかどうかが基準の国です。
中国の拝金主義とどこが違うのか気になる人が多いでしょう。
何でもビジネスにしてしまうアメリカ風とは違い、中国人に言われる拝金主義とは、違法であろうとなかろうとお金になりさえすればいいという意味合が強い印象です。
何でもビジネスになるか否かが基準の国では、違法でも何でもお金儲けに走る意味ではなく、(商道徳・・会計基準・スポーツその他すべての分野で)ルールを守りながらも採算が取れるかどうかの視点を重視するものであって、金儲けと言ってもビジネスとしてのルールを先ず重視している点が重要です。
英米法の精神は「ルール・オブ・ロー」と言われる所以です。
これに対して中国の拝金主義とは、金儲けのためにはルール無視でも何でもやる・・中国で粉ミルクにメラミンを故意に混入している事件が相次いで大問題になりましたが・・(金儲けのためには乳幼児の命など問題にしない)こうした傾向をさしていることが多いようです。
日本では何でも士業にすれば、格式が上がるので、◯◯屋◯◯師から◯◯士になりたがる傾向がありますが、この価値観では、採算度外視してでも義に感じれば粉骨砕身して全力を尽くすべしという意味合いが強まります。
採算度外視と言えば聞こえは良いしその精神は尊いですが、何百に1件ならば可能としても採算度外視では資金的に長続きしない=継続化出来ない(スキルアップしない)し、物事が恩恵的になり過ぎる傾向があり、他方で受益者もこれに馴れると労働意欲の減退が起きるなど問題が生じます。
物事はキチンとルールを守った行為である以上は、一定の採算重視を基本とすべきでしょう。
採算が取れてこそ、継続化してスキルアップが期待出来るしコスト削減努力が実を結び、社会の発展が期待されます。
たとえば、消費者問題・・数千円〜数万円の化粧品の不良を訴えるために弁護士費用を掛けられない・・だから弁護士は無償でこれをやるべきだ・・あるいは税で消費者センターを作って応援・化粧品の品質検査などすべきだという方式・価値観が我が国ですが、アメリカの場合、懲罰的賠償やクラスアクション制度があることを何回か紹介してきました。
仮に自分が千円しか損をしていなくとも、全消費者のために裁判をしているという考え方ですから、裁判に勝てば何十億〜何百億円も貰える仕組みです。
巨額報酬が予定されれば、弁護士も慈善事業ではなくビジネスとして十分ペイしますので同種事件を繰り返し受任する方向になって専門技術化が進み、他方で税金を投入しろという運動をしなくとも、裁判に必要な多額の調査研究費用をその報酬から回収出来ます。
うっかりすると巨額賠償になる心配があれば、企業も細心の注意を払うようになってお互いによい社会になります。
慈善事業・手弁当でやって上げていると威張っていると(費用持ち出しでは繰り返すのは経済的に無理ですから、専門化し難いだけではなく)工夫もオザナリになり易いし(無償でも良くやる弁護士が一杯いますが・・正義感だけに頼っていると)スキルの進歩・ノウハウの蓄積が緩慢になり、社会の進歩が遅れてしまいます。
弁護士と企業からの受注に頼る調査研究業者の場合、顧客獲得競争によって需要に応じた施設・要員が絶え間なくリニューアルして行きますが、具体的需要のない所に予め想定して税で多目的な調査機関を作ると需要とのミスマッチが起き易くなります。
何ごとでも税金に頼るばかりの傾向になると、無駄が多くなって国民や企業の税負担が重くなる弊害が無視出来ません。
アメリカのようにビジネス重視社会では税で負担しなくとも、社会に必要なものはそれをビジネスとする者が必ず現れて、原則としてビジネスとして成り立って行く傾向があります。
ただし、人権侵害の場合、相手が個人であることが多いので、懲罰賠償を認めても侵害者には支払能力のない所から、ビジネスロイヤーばかりではどうにもなりません。
アメリカ型ビジネス社会は、こうした分野のみ税で対応して行く精神なのでしょう。
大方の人にとってどうにもならないように見えても、ビジネス的に開拓してく人材が現れますので、どうにもならないとして税負担に安易に切り替えるのは考えものです。
これまでの社会の進歩は、誰も思いつかないような新機軸の創意工夫でビジネスモデルを作った人が大もうけして来たし、社会も進歩して来たのです。
たとえば、最近流行のセクハラやパワハラになると企業相手に出来る場合がありますので、人権侵害もビジネス化の工夫次第とも言えます。
水俣病その他石綿訴訟でも何でも我が国は安易に国の事前規制責任を求め過ぎます。
裁判所も国の責任を認めるのに急で、企業責任の方が従になり勝ちです。
これでは国の関与・事前規制ばかり重視する国になって、役人ばかり増えてしまい活力が殺がれてしまいます。

民主主義と正義11(政治資金2)

我が国の場合、12月1日の日経朝刊4面に11月30日付け官報からの情報としての記事によれば、2011年1年間の政治資金収支報告によれば全政党の収入合計が115億円前後でした。
これに比較して(民主党共和党両党の1年間の政治資金収入とは別に特定の選挙資金用としてだけで)アメリカ大統領選ではオバマ陣営だけで10億ドル・約800億円も集める予定というのですから、如何に巨額資金が動くかが分るでしょう。
我が国の場合、総理公選制ではなく、議院内閣制ですから各政党の消長・・誰が総理になれるかは議員一人一人の当落の総計で決まります。
その上小選挙区という狭い地域内の選挙ですし、選挙期間が短いこともあって資金力の差がアメリカほどの影響力を持ちません。
今回の維新の会の公認候補者資格は自前で選挙資金を用意出来ることが条件となっているようですし、この前の選挙では民主党のかなりの人が自己資金での出馬でした。
立候補するのに、アメリカの大統領選挙のような巨額資金を必要としていません。
政党全体での広報宣伝の効果がないとは言いませんし、そのためには一定の資金(これが巨額ではないと言うかは価値観次第ですが・・)が必要ですが、個々人の小選挙区(小さな千葉市だけでも周辺と併せて3選挙区ほどあります)では、マスコミやネットキャンペインによる大規模な宣伝には適していませんので、資金力の差はアメリカ大統領選ほど大きな差になりません。
今日偶然、石原慎太郎氏と新幹線で乗り合わせましたが・・乗車直前に振り向いたら彼が私の少し後ろに並んで立っていたのです・・報道で知っている顔だったので、知り合いと間違って粗忽な私はうっかり「やあ!」と片手を上げて挨拶してしまう所でした。・・・彼は今日から始まった衆議院選挙戦に際して維新の会の党首として、新幹線で移動しながら演説して回っているのでしょうが、大勢での移動だけでも大きなお金がかかります。
議院内閣制では、個々人の当選者数の合計で勝敗が決まるので、アメリカのように全国規模の党首討論やネガテイブキャンペインは、アメリカほどの威力を持たないのが幸いしています。
上記のように狭い千葉市と周辺を併せて3分割したような小さな選挙区では、候補者の具体的な顔が見えますので、草の根の日々の活動が大幅な意味を持っています。
アメリカの現状を見ていると総理公選制にすると、資金力の差で勝敗が決まる弊害が出て来る点に留意する必要があります。
日本でも軍資金・お金を出してくれる人が多い方が良いでしょうが、顔の見える小選挙区では個々人のパーソナリテイーの占める比率が大きいのが特徴になります。
資金力が追々重要になるとしても、個人からの一定額までの寄付しか認めなければ大量の寄付者が必要ですので、特定の大金持の資金に頼れません。
鳩山氏のように架空名義を利用した場合は違法として、厳しく処罰するようにすれば良いのです。
(ただし、親子兄弟の場合は元々関係が深いし特定の利害関係者による金銭による影響以上の関係ですから例外にすべきでしょう・・そうすると兄弟に一旦寄付する名義利用行為が起きますが、それは脱法行為の規制をすれば良いことです。)
以下に現行の政治資金規正法を紹介しますが、個人が2000万円も寄付出来るのでは影響力が大き過ぎます。
こう言う資金力のある人は会社経営者であることが多いでしょうから、この他に会社名義寄付、配偶者や子供、兄弟や従業員名義を借りることもあり得る・・これを禁止し取り締まるとしても、かなり潜脱出来ることを考えれば、一人2000万円では簡単に億単位になってしまうので、個人は一人100万円くらいに制限すべきだと思います。
法人や労働組合の寄付も一応制限されていますが、制限がゆる過ぎる感じです。

政治資金規正法(昭和二十三年七月二十九日法律第百九十四号)
(寄附の総額の制限)
第二十一条の三  政党及び政治資金団体に対してされる政治活動に関する寄附は、各年中において、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる額を超えることができない。
一  個人のする寄附     二千万円
二  会社のする寄附 別表省略
三  労働組合又は職員団体のする寄附         
          別表省略

選出母体の支持獲得3と政治資金1

我が国古来からの価値観による政治よりは、民主化進展の結果却って選挙資金次第で正義の基準が動くことになってしまった政治家が多くなっているのではないでしょうか?
我が国の場合元々「民のための政治」という・・日本教とも言うべき宗教的意識が古来からあるので、この辺の価値観はいくらお金が重要になっても表層は別として深層意識では動いていない筈です。
我が国では古代から宗教自体が、五穀豊穣・民の平安(蒙古退散)を祈るばかりでした。
小沢元民主党代表が嫌われるのは、(何でも陰謀説によれば・・・)アメリカによる陰の動きがあったかも知れないとは言え、「お金次第」と言う価値観が露骨に出過ぎること・・我が国古来からの価値観に合わないからではないでしょうか?
小沢氏が自民党を飛び出した若い頃にはそれなりの意見があって、期待している人が多かったのですが、残念なことです。
彼は自分の意見・信念を通すには、数の力が必要・・そのためには軍資金が必要という論理になったのでしょうが、残念なことにお金の論理が全面に出過ぎてしまった面が否定出来ないでしょ。
野田政権は選挙すれば負けるので、消費税に関して民意を問うべきときに問えずに解散をジリジリと先延ばししてきましたが、ついに11月16日に解散決意表明になりました。
これは、自己保身・民主党の命運よりは解散表明によって赤字国債関連法案を通さないと日本のためにならないという古来からの日本教・・最後の最後で日本的正義を無視出来なかったと見るべきでしょう。
この点で彼は最後の最後で偉かったと思います。
ただし増税の必要性については、そのときのコラムで書いたとおり私は否定的ですが、ここでは彼が自己保身よりも国家利益と信じることに邁進する正義感に敬意を表しています。
明治維新のときに国内戦争していると、西洋の餌食なる心配から徳川家が身を引いたのと同じです。
民主国家においては、代議士の関心は先ず選挙に当選することにあると言われます。
どんな立派な意見を持っていても当選しなければ何も出来ないのですから、政治家たらんとする者の関心の第一は、当選出来るかどうかになるのは当然です。
選挙の洗礼をくぐるためには代議士は自分の意見よりも民意を重視することになるので、選挙権者を有産階級に限定しない普通選挙時代になった民主国家としてはそれ自体は良いことです。
しかし、実際には選挙資金のあり方が最も重要です。
アメリカ大統領選挙のように巨額資金を必要とする場合、民意によると言っても実際には広報宣伝活動に民意が左右されるので、資金の多寡で結果が決まって来るとすれば、選挙の結果が民意だというのはほぼ茶番になります。

オバマ対ロムニー」を裏で操るフィクサーの正体
PRESIDENT 2012年6月4日号
著者
ジャーナリスト 堀田佳男=文 PANA=写真
によると
「08年の選挙でオバマ候補は、約7億5000万ドル(当時約710億円)を集めた。史上最高額である。一方の共和党マケイン候補は約3億7000万ドル(当時約350億円)で、オバマ氏のほぼ半額に甘んじた。」

とあります。
12年選挙では10億ドルが目標というのですから巨額過ぎます。
資金力の差がマスコミやネット動画等を動員したネガテイブキャンペインその他世論誘導に大きな威力を発揮します。

政治生命をかけるとは?3(禊)

今回の消費税問題以前から、今度選挙すれば民主党政権運営のお粗末さから、民主党が大敗するだろうと言うのがもっぱらの下馬評でしたが、消費税増税が成功したらそれを国民が評価して逆に大勝するという見通しなのでしょうか?
(マスコミによる野田内閣の勇断・・決められる政治と言う応援を計算に入れているのでしょう)
そうなれば公約違反の政治上の罪は選挙でみそぎが済んだ・・許されたことになると言う計算かも知れません。
いわゆる事後承認ですが、緊急事態に関しては国会の事後承認という制度がありますが、増税の場合選挙する暇がないことはあり得ないのに、(元々国王の求める増税の可否を議論することが議会の基本的機能でした)増税の可否までも事後承認で済ますのでは、選挙で信を問うことは何もなくなってしまいます。
ヤンバダムの例でも分るように一旦始めてしまうと元々はやるべきでなかった工事だったとしても、今更やめるともっと損害が大きくなってしまうのであれほど反対していた民主党でさえ中止し切れないことからも分るように、(原発だって作ってしまいこれに依存する体制を作ってしまっているのでイキナリ全廃出来ないのですが・・)既成事実を作った方が勝ちみたいな所があるのが政治です。
ですから、何もかも既成事実を後から判定する方式は民主政治向きではありません。
結果責任を負うだけであれば、(遠征の失敗などでその後王朝が倒れるのは)専制君主でも独裁政権でも古代からどんな政体でも皆同じで、民主主義制度とは無縁です。
他律的な疫病等のばい菌の穢れを払う禊の効用と意図的な公約違反の関係については後に書いて行きたいと思います。
消費税増税実行はマスコミの応援を受けられるので選挙で大量得票に繋がるという思惑からか、民主党執行部は離党者に対する意趣返しのつもりか、離党者の選挙区に対立候補を立てる方針とも言われています。
自民・公明との談合で消費税増税を実現するのですから、本来の対立政党である自民公明両党から公約違反の道義責任を厳しく追及される心配がありません。
民主政治の息の根を止めた戦時中の大政翼賛会選挙同様で「赤信号みんなで渡れば怖くない」ということでしょう。
談合3政党の共通の敵は、公約違反を追及する離党者グループですから、この共通の敵に向かってこれまた談合・共闘態勢が先ず構築される(マスコミは当然その応援をします)ことになるのでしょう。
離党者からは公約違反の追及が厳しいことが予想され、野田総理とその1党にとってはそれが怖いからその批判(歴史に残る批判です)さえ封じることが出来れば、仮に党が消滅しても良いくらいの判断なのでしょうか。
刺客と言えば郵政選挙の例が想起されますが、郵政選挙場合、テーマもはっきりしていたし、小泉政権の圧勝が予想されていたので、落下傘候補であるいわゆる刺客候補も一定の勝算があってのことでした。
(実際に落下傘候補もかなり当選して、保守系乱立による共倒れは殆どありませんでした)
今回は元々民主党が一丸になって戦っても大敗すると言われている状態でしたが、消費税増税が民主党にとって、公約違反問題もあり、どのような審判が下されるか分らないイチかバチかの大勝負です。
消費税増税がプラスに作用して圧倒的強い立場になれば良いですが、そうではない限り他人の選挙区に何の地盤もない新人が執行部の意を受けて立候補をしても当選出来る確率は殆どありませんから、圧勝の見込みもないのに送り込めば共倒れを前提にした作戦・・泥試合の開始となります。
立候補は本来当選を目的にあるものですが、相手を落とすことだけを目的に立候補するのはこれまた民主主義制度の本義に反しています。
当選目的ではない共倒れ目的での立候補者(刺客)を仕向けて来るならば、小沢派の方も(軍資金次第ですが・・)対抗上執行部寄りの当落線上の選挙区へ刺客を送り込む泥仕合となって、双方大敗を喫することになるでしょう。
自民・公明その他の政党が漁父の利を占めることになりますが、野田総理が政治生命をかけると言っていた意味が、自分を含めて民主党をそっくり滅ぼしてしまう・自壊させるつもりでやるとすれば潔い決断です。
信頼で成り立っている民主主義制度を根本から覆す大罪を犯した責任は、党首だけではなく党自体にあるので党自体が消滅するのは良いことです。
ちなみに「政治生命をかける」と言う従来の語義は、信念に基づき不利益を顧みずに自分より大きな権力・マスコミを敵に回す主張を敢然とするときにこそ、「正義のために頑張るぞ!」と使うものであって、「これから泥棒に入るぞ」とか、悪いことだけども断れないので「大きなものに巻かれるぞ!」「信念に反してマスコミ受けするように主張を変えるぞ!」と正義・信念に反する決意表明に使うべき言葉ではありません。
野田総理が「政治生命をかける」目標は、株屋で言えば、顧客からの特定銘柄買い付けの指示に反して、証券マンが別の銘柄の方が良いと思って勝手に別の銘柄の買いを入れてしまうなど悪事を働くときの決断に使っている感じです。
あるいはファンドの組み入れ比率を株屋が無断で変更するための決断みたいなものかな?
証券マンが顧客に説明しないで勝手に売買する以上は「地位・クビを掛ける」ことになるでしょうが、この場合結果的に儲けられさえすれば客は文句を言いません。
しかし政治の場合、結果が良いかどうか直ぐには誰も分かりません。
例えば石油ショックやプラザ合意による円高傾向が日本にとって国難だったのか、却って省エネ技術が発達したり生活ベル引き揚げの発火点になったのか、低金利が良かったのか悪かったのか増税せずに国債で賄って来たのが良かったのか悪かったのか(私に言わせれば国内から資金調達している限り金持ちからの所得再分配機能を果たしているという意見です)、一定の公共工事をするのと別のことに投資したのとどちらが良かったかが、20年経っても漸く分るかどうかと言う状態です。
外国の例でも・・アスワンハイダムは、今になるとナイルの肥沃な流域を駄目にしてしまったマイナス・失敗ではないかと言われているのを想起しても良いでしょうし、中国の山峡ダムも同じような運命のようです。
政治の世界では「結果さえ良ければ良いし、悪ければ責任を取る」と言っても事後判定は意味をなさないので、結果の如何(目的が善意であるか否か)に拘らず国民の信託に背くこと自体が絶対的に許されないのが、民主政治の原理であるべきでしょう。

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