言論政治活動の自由 2(テロ計画も自由か?2)

法人犯罪(不正経理や贈収賄や談合など)やヤクザなど一定組織で原則連座制にすれば、共犯認定が不要になり訴訟も簡単です。
証拠収集が不可能に近い時代には、一定範囲の親族や隣組等の連座制が発達した所以です。
連座制の問題点は個人責任の原理に反する・本当に事件に関係ない人までで牢獄に繋がれる団体責任論につながりますから、文字通り近代法の原理に反します。
そこで刑事罰には簡単に使えないので、現在では資格制限等に使っているのですが、元はといえば証拠認定の困難さに由来するものです。
このように見ると共謀罪法は、証拠がなくとも責任を問われる連座制に比べれば、共謀の証拠認定がいる点で近代法そのものです。
この法律では証拠認定の必要性がこれまでと何ら変わらないので、捜査機関の証拠収集能力(科学技術の発達)のアップがない限り実際には法ができても運用実績が挙がらないはずです。
連座制のように事実認定なしに実質的に共犯とみなしてしまうのとは異なり、証拠が必要とされる点では近代法理・犯罪の認定は証拠によるという近代法の法理に反していません。
法律が出来ても証拠がない限り検挙もできませんから法を作る意味がないのですが、今はデジタル技術に始まって多様な証拠が生まれつつあることに応じられる法律になった・・テクノロジーの利用によってテロ等の企画段階で情報入手していてもテロ行為を起こすまで待っていなけばならない・事前に制止できない不都合は防げるようになったでしょう。
てもそれだけに反抗を企画して実行に加わらない「免れて恥なき徒」にとっては一歩進んだ脅威になるのでしょう。
大分ズレましたが、政治資金規制法に戻します。
規制対象も一般人まで広げるといろんな事情がありうるので、政治資金の取得先に限定しただけであり、政治家でなくとも外国政府から報酬をもらっていることを隠して中立的意見を言っても国民が納得しない点は同じです。
ただし、外国の立派な人と会位、一定期間修行して薫陶を受ける・・あるいは外国の優れた制度やシステムを学んで自国に導入しようと努力することは自国発展に望ましい事ですから、これを否定的に見るべきではありません。
本当に自国発展のためにグローバリズム(TPP)を推奨しているのか、国際資本の(戦前のコミンテルンによる世界共産主義化運動も20年ほど前から流行った新自由主義も)の手先として運動しているのかなどの判定基準がない(今のところ考案できない)ので、たまたま資金移動で区別するのが外形上わかり良い・外形的標識によって規制が容易であるという便宜によっているにすぎません。
国民主権国家においては、民意による政治=国民の意思による国民のための政治に最大価値を置く以上は、政治家は民意=国民の代表者であるべきで、外国人のための政治をするのは実質的憲法違反行為です。
ただ日本では、政治資金規正法程度しかない・その他は原則として野放しになっているように見えるのが不思議です。
ところで、アメリカで昨年の大統領選挙に関してトランプ陣営がロシアの助力を得ていたのではないか?ロシアが行なっていたとされるクリントン候補に対する大量のネガテイブキャンペイン等にトランプ陣営が関与していなかったかのテーマで、特別検察官まで任命され既に幾人ものトランプ政権中枢人物の辞任騒ぎになっている・・いわゆるロシアゲート疑惑で揺れているのはこうした価値観の表面化です。
1月24日にも特別検察官が司法長官の聴取(取り調べ?)まで行っていたことの外、大統領取り調べま?で予定されていることが報道されています。
http://www.sankei.com/world/news/180124/wor1801240019-n1.html

コミー氏解任めぐりトランプ氏から聴取か 米メディア、「司法妨害」に関心【ワシントン=加納宏幸】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は23日、ロシアの米大統領選干渉疑惑を捜査するモラー特別検察官のチームが数週間以内に、トランプ大統領からフリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の辞任やコミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任について聴取する意向だと伝えた。モラー氏は、トランプ氏に捜査を妨害する意図があったかに関心があるという。
モラー氏側は先週、セッションズ司法長官から聴取したことが明らかになっている。閣僚からの聴取は初めてとみられる。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は23日、モラー氏側が昨年12月、コミー氏から聴取したと報じた。

一般的には政治の帰趨がきになるから大きなニュースになっているのでしょうが、私の関心は外国の意向に左右されてはならないと言う基本的思想がアメリカでもひどく強いと言うことと、日本のように資金が動かない限り問題にしないと言う形式処理の社会ではない・・・外国勢力との繋がりに対する外形的規制法が自由主義の本場アメリカで制定されているのか?の点にあります。
単なる政治責任問題ではなくFBIが捜査に乗り出し特別検察官が選任されたということは、なんらかの刑事処罰制度があるからでしょうが、何の犯罪に対する刑事捜査なのかメデイアははっきり報道しません。
トランプ政権がロシアによるハッカー攻撃に関わったとすれば、ハッカー関連規制法(日本語でいえば刑法の「電磁的記録不正作出及び供用罪」の変形版みたいなもの?)違反の共犯にすぎないかもしれません。
これだけ日本でも大きく報道しているにも関わらず、何の法令違反で捜査が始まっているのかの紹介が全くありません。
単に仮称サイバーテロ防止法違反行為に加担しただけなのか、外国勢力と一定条件下(大統領候補者になった者が)で接触して一定の行為をした場合に、法で処罰対象になっているのか・そんな規制は滅多にないかを知りたいものです。
資本主義、自由経済主義の本家でこれを守るために独占禁止法が制定されているように、思想表現の自由を守る本家アメリカで逆に外国との通謀に対する規制があったとすれば、(単にサイバーテロの共犯程度か?)驚く日本人が多いでしょう。
このコラムでは車の例をよく出しますが、車がより気持ちよく走り回るにはスピード制限や歩車道の区別をつけたり道路状況に応じた各種規制が必要なように、「自由その他の人権を守るにはかえって人権を行使するに際してのきめ細かな規制やルールが必要」というあたり前の原理がわが国では無視されているように思われます。
選挙が重要だから「勝手にやらせろ」と言うのではなく相応のきめ細かな規制が必要ですし、思想表現の自由に関してもこれが尊重され有用であればあるほど、乱用的利用者が増えるので過剰な表現に対する規制(誇大広告規制等がありますが)の必要が生じます。
物事は発達すればするほど交通法規や証券取引金融商品のように規制も増えて行く必要がある・・その方向に向けた具体論が発達するのが普通です。
ところがわが国では、表現の自由論や平和主義が喧伝されているわりに、アメリカでの表現そのものを取り締まる違憲判例ばかり麗々しく紹介され、表現の自由行使に関する交通ルールみたいな外形規制をどのように工夫しているかの方向では、全く紹介されていないのが不思議です。
(私が勉強不足なだけでしょうが、それにしても勉強不足の弁護士には届かない程度のマイナーな紹介論文しかないのでしょう)

言論政治活動の自由 2(テロ計画も自由か?1)

内乱罪などを処罰する規程を我が国の刑法で明記していても、これを憲法違反という主張を聞いたことがありません。
このことは、国家権力を民主的手続き外で転覆することが許されないという思想の現れです。
民主的とは民意・国民意思によるという意味ですから、国民外の意思によって内乱に限らず、個々の法律であれ、国家のあり方や国家形態を変えようとするのは実質的違法です。
国民の自由意思を尊重するとは、国外の意思によって国民を一定方向へ誘導する自由ではあり得ません。
騙されたり強迫されて表示した意思表示は、真意と違うことを理由に取り消せることが民法に書いてありますが、医師と亜gkせんsく自由な表現や自由な行動とは、古代ローマ法の時代から自分が自由に考えた結果による意思です。
民法

(錯誤)
第九五条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
(詐欺又は強迫)
第九六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

外国のための意見であるのに、国民のための意見であるかのように国民を騙す行為は、実質的意味の国民主権主義違反です。
このために国外意思の影響力を遮断するために、政治資金規制法では外国人等からの寄付を禁止しています。
1月23日現在のウイキペデイアからです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BF%E6%B2%BB%E8%B3%87%E9%87%91%E8%A6%8F%E6%AD%A3%E6%B3%95

外国人からの寄付の禁止
「政治資金規正法第二十二条の五により、外国人、外国法人、主たる構成員が外国人若しくは外国法人その他の組織からの政治活動に関する寄付を禁止されている。しかし、2006年の改正で規制緩和された。会社法124条1項に規定する基準日が1年以内にあった株式会社は、その基準日に外国人または外国法人が過半数の株式を保有する会社だけが規制される。このときにも規制を受けない例外が設けられている。2011年には、韓国人から献金を受けたことについて国会で追及された前原誠司外務大臣が辞職する事件が起きている。」

政治資金規正法は、形式的に見ればお金さえ貰わなければ外国政府の手先になっても良いかのようですが、資金規制法の本質は、お金さえもらわなければ外国の手先になって政治活動しても良いという意味ではなく規制対象にしないというだけです。
日本国が損をしても良い・外国のために意見を言い政治行動するのは困るが、その規制方法がないので、さしあたりお金をもらっていると怪しまれても仕方ない・・しかし怪しいだけですから処罰が緩くするという国民合意のもとで、規制できる限度で規制したに過ぎない・・という法精神の表れと見るべきでしょう。
証明方法が未発達なのに思想を処罰すると自白強要になりかねない・ひいては人権侵害の害が大きい・・証拠方法未発達を前提に近代法では思想を直接処罰しないことにした背景原理です。
これが防犯カメラ電磁記録その他客観性のある証明方法が出てくると元は完全犯罪であったものが、そうでは無くなります。
パク大統領の国政秘密を友人に送信していた事件では、友人が海外転居のために受送信記録をパソコンから消去した上で、パソコンのハードを廃棄しようとしたので、それを入手した政敵関係者?が復元を試みて成功したところから始まったものです。
この頃は意思表示の多くはデータ通信で行われるので内容が記録に残るようになっていますから、共謀段階で多くの記録が残るので自白に頼る時代ではなくなっています。
内心の思想にとどまらず(秘密結社内で)外部表出した記録が残る時代です。
たまたま事務所で大分県教員選考試験で、基準に達しない受験生に対する加点が行われた結果の合格処分取り消し事件の高裁判例を読んでいると、受験記録は廃棄されてしまっていても不正加点するためにパソコン処理した記録が残っていたので、これが信用できるので、選考基準に達していなかったことが認定できるという事実認定が行われていました。
「共謀だけで犯罪にして処罰するのは近代法の法理に反する」といって満足している人は、近代法で「思想が処罰されない」のは証拠上無理があったので除外していたに過ぎない点を無視して、「どんな思想を語らっても構わない」テロ計画支援ソフトを流布させも実行に関係なければいいという原理主義に飛躍させているのです。
殺人の醍醐味やその他社会破壊計画を宣伝して、これを広めても具体的事件の実行に参画していなければ良いという意味ではなく、社会破壊計画はそれ自体社会に対する背信行為です。
特に最近のテロは瞬時に大量殺傷が可能ですから、実行に着手するまで取り締まれないのでは社会防衛には限界があります。
近代では証拠の種類がほとんどなかった・仲間の密告や自白しかなかったので冤罪等を防ぐために不処罰が人権擁護上で重要だったのです。
しかもいろんな思想の間で何が良い思想かどうかの判定が恣意的になるリスクもありました。
今や上記の通り、証拠方法が飛躍的に拡大している上に政府の気に入らなない思想だけ処罰するリスクがないように、一定の既存犯罪行為の中で一定の法定刑以上の重大犯罪の共謀だけ処罰すると言うのですから、元々の近代法思想の射程範囲内というべきです。
反対論者の頭の中が近代科学技術段階で止まっている人の集まりかというとそうではないでしょう。
証拠収集が容易になるシステム発達にいつも反対(・・例えば九州弁連の防犯カメラ設置反対論者を招いた集会を開催していることを紹介しました・・最近の著名事件ではCPS機能を利用した窃盗集団に対する捜査が違法であるという最高裁判例が出ましたが・・)してきたことを見ると、(科学技術発達によって、従来基準では証拠不十分ですれすれ無罪になりそうな事案が「証拠あり」になってしまうのが困るのを「プライバシー侵害」等を理由に反対している(私の人権意識不足の批判があるでしょうが)イメージです。
昭和30年代から共謀共同正犯論の発達があっても、命じられた部下が兄貴分の指示を暴露しない限り証拠がないという考えでした・鉄砲玉として末端配下を使うやり方が有効)が、それでもたまに裏切る部下がいるので、共犯者の自白の証拠能力というテーマで長い間法曹界では争われてきました。
この隘路を打開するために暴力団組織の命令ステムを前提にした(配下組員が親分から命じられたと言う自白がなくとも)共謀認定する実務運用がこの20年くらい前から進んでいました。
選挙法関連では、政治家本人が知らなかったでは許されない連座性が早くから採用されています。
連座制は、共犯認定が困難・・「一定の関係があれば、責任を持つ」のは(知らぬわけがないが)「知らぬ」と口裏を合わされるとどうにもならない・実質不正がまかり通るので、こういう場合には「証拠がなくとも共犯認定します」と言得ないので、連座責任と言い換えているだけですから、本質的には証拠認定の困難性に由来するものです。
この延長での共謀罪法案提出ですから、実はこの法律では証拠認定の必要性が変わらないので、捜査機関の証拠収集能力(科学技術の発達)のアップがない限り実際には法ができても運用実績が挙がらないはず。
連座制のように事実認定なしに実質的に共犯とみなしてしまうのとは異なり、証拠が必要とされる点では近代法理・犯罪の認定は証拠によるという近代法の法理に反していません。
法律が出来ても証拠がない限り検挙もできませんから意味がないのですが、今は多様な証拠が生まれつつあることに応じた法律になった・・それだけに「免れて恥なき徒」にとっては一歩進んだ脅威になるのでしょう。

言論政治活動の自由1

非武装平和論をそのまま実行すれば、結果的に日本が中韓等の占領下に簡単に入ってしまうのを理想とするようなイメージが強くなると、このような意見を述べる人々は、どう言う人の集まりか?と疑問に思う人が増えてきます。
慰安婦騒動で大きな役割を果たしたとしてネット上で糾弾されている社民党党首であった福島瑞穂氏(ただし私は彼女がどういう役割を果たしたかについてはネット風聞しか知りません)を例にすると、護憲・非武装論者の中でも有力政治家として知られているように、非武装論支持層と慰安婦批判層/外国人参政権拡大主張論者の多くは(護憲論者でも慰安婦強制性を否定する人もいるでしょうが、ここでは大方の傾向を書いています)共通性があると想定されます。
福島瑞穂氏に関する1月22日現在のhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%91%9E%E7%A9%82からの引用です。

弁護士時代から慰安婦問題に積極的に取り組む。アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件を担当した弁護士の一人であり、慰安婦問題については早期から問題の周知に大きな役割を担った[2]。高木健一らと共に韓国で賠償訴訟の原告となる元慰安婦を募集した。[3]
1992年8月にソウルのYMCA会館で開かれた『アジア連帯会議』は、松井やよりと福島瑞穂が仕切り元慰安婦の女性たちは会議の席上、事前に日本人と韓国人のスタッフから指導された通りに自身の体験と語って日本政府を非難した[4]。
慰安婦募集の強制性を認めた1993年(平成5年)8月の河野談話の根拠となった日本政府による韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査にオブザーバー参加している[5]。
2015年1月14日の在日本大韓民国民団新年会に出席し「慰安婦問題は性的暴力の問題、(外国人)地方参政権も含め、共生社会として作っていく」「統一地方選、来年の参院選、どうか手を貸してください」などと語った[14]。
2014年4月21日、元行政刷新担当大臣の蓮舫や社会民主党党首の吉田忠智と連名で、第2次安倍内閣が目指す憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認を支持しないようアメリカ大統領のバラク・オバマに求める文書を在日米大使館に提出した。

心底から事実と信じて慰安婦騒動等日本軍の蛮行を主張していた人達にとっては、非武装の結果中韓の日本占領支配意欲を誘発し、日本が占領支配されて何をやられても「日本があれだけの迷惑をかけた以上それは仕方ないでしょう」という考えが基礎にあってもおかしくありません。
日本人が数百年程度は、かなり酷い目ににあってこそ「頑固に慰安婦を認めない」日本人の目が覚めて心からの反省につながり、長期的には日本人のために良いことだという意見を持っているのかもしれません。
千年許してくれなくとも仕方ないじゃないかということでしょう。
親は子供を愛しいと思うからこそ厳しい試練を課すこともありますから、民族に苦難を与えることが千年単位で見れば日本民族がより良心的で立派な民族になる元になるという考えもあり得ます。
日本民族を中韓に売り渡そうとしているように一見見えても、日本民族に対する深い愛情に裏打ちされているかもしれません。
「人それぞれにいろんな(短期〜長期の違い)事実認識があり、いろんな意見があっても良い」というのが現在社会の到達した基本価値観でしょう。
どんなおかしな意見であってもそれを国民が支持するかどうかで、その意見が効果を持つかどうかを決めればいいことです。
影響力があって困ると言う意見もあるでしょうが、困るのは相応の共感者がいるからです。
日本を悪く言う意見は社会に害があると思う人がいるでしょうが、共感者が少なければ、日本社会に対する影響力もありません。
こんな意見がはびこると日本社会に害があると思えば、反対論を展開して国民の選択に委ねれば良いのです。
困るのは国外で日本のしてもいない悪事をいかにもあったかのごとく吹聴することでしょう。
国内言論は共感者の実数次第・思想の自由市場が働きますし、今ではメデイアに頼らずともネットが発達しているので反論も簡単ですが、国外での吹聴は国内にいる人には気がつきにくいので反論が遅れるし、国外で日本擁護の反論が自由(言語の壁もあるし)にできる訳ではありません・思想の自由市場が保証されていません。
国内支持者少数でも、これを悪用したい敵対国にとって大きな利用価値があります。
現在ではこれが一番困るように思われます。
企業でも何の組織でも内部で異論をいうのは構わないが、外で社内の陰口を垂れ流されるのが一番困るでしょう。
個人間でいえば、陰口/告げ口の類いです。
ところで、言論や学問の自由は時の権力に不都合な研究発表でも、何を内心で考えるかは個人の本源的自由権であるほかに、中長期的に見ればその社会の発展になることもあるし、社会の仕組みが変わると、前の時代に無視されていた意見が有用になる場合もあります。
各種基本的人権といっても、社会に害をなす行為は許されない・・通行の自由があっても相手の通行妨害権がない・・交通法規遵守義務があるのと同様に、最重要とされる表現の自由も(二重の基準論と言いながらも)結果的に公共の福祉に反する行為は許されない制約があります。
自由に思い考え自由にこれを外部表現する権利はとても重要ですが、相手を中傷して傷付けたり虚偽表現等で相手を陥れるのは許されません。
その民族が敵対民族の支配下に入るように画策したり、その社会破壊目的の発言表現の自由があるのでしょうか?
日本への「愛がある」結果としても、異民族支配下になるように運動する意見になると行き過ぎではないか?と思う人が多いでしょう。
仮に日本民族破壊目的の意見表明は許されないとしても、表向きは「こうした方が自民族のために良い」と言う意見で表現されるので、実際には本音まで認定できません。
しかも短期的に見れば日本のために悪そうでも長期的には逆に良い面もあり一概に言えません。
だから具体的実害が起きるほどの一見明白な危険発言以外の思想表現の規制は実際上不可能となり注意深く発言している限り結果的に野放しになります。
以下は法規制の必要性ではなく道義を書いているのですが、例えば、日本国内でのテロ行為の煽動・・誰彼なしに皆殺しにするように煽動する表現は道義的に違反でしょう。
すでに性風俗を守るために猥褻表現や名誉毀損表現が刑事処罰されるようになっていることからしても、それよりも法益的に重要な生命侵害の煽動することを少なくとも道義的に賞賛するわけには行かないでしょう。
日本政府による統治よりも外国政府による統治の方が良いと考えるのは思想の自由であるとしても、それを実行に移すのは内乱罪または外患罪で刑事処罰されることになっています。
すなわち、外国支配を希望していてそれを実行すれば処罰される法体系になっているということは、外国支配を望む思想表現は国家社会内の思想の自由市場で競争に勝って(国民多数の支持を得て)、民主的に実現すべきという思想が前提になっています。
国内での思想競争に勝てない・国民支持を受けられない場合に、暴力で政府を転覆したり外国軍事力の導入を実行することが許されません。
同じく、思想表現の自由・「思想の自由市場に委ねるべき」とは、国内市場を言うことが明らかです。
相手の知らぬ間に国外で相手を一方的に批判するのはルール違反です。

未成熟社会4(ロシア原油下落)

未成熟社会4(ロシア原油下落)

今後中国の高度成長が低下し賄賂を出せなくなる・・いわゆる都市戸籍と農民戸籍の差別〜一人っ子政策に反しているために生じた無戸籍者など日常的に人間扱いされていなかった層・数億人?にとって、医療その他生活の最低サービスすら賄賂を出せないと受けられなくなるなど大変な状態になると思われます。
結局は、公的サービス水準をどこに置くかによってくるでしょう。
10月19日にロシアの平均年齢のグラフで見たように恐怖政治をやめて国民生活の自由化を進めると却って混乱する社会であることから、エリツインからプーチン(第一次大統領就任・2000年〜2008年)の一強独裁的強面(コワモテ)政治に戻り、治安悪化を止める方向に舵を切って成功しました。
プーチン氏は大統領職連続任期2回限定の憲法を守るため、2008年任期満了とともに部下のメドベージェフ氏に次期大統領を譲り、(その間自分は首相になって事実上実務の全権を握って)同氏の任期満了を待って再び大統領に返り咲き12年から第二次大統領就任〜現在に至っています。
プーチン氏の強権的政策開始と同時頃に運が良くちょうど原油価格の上昇トレンドが始まりと重なったことが彼の強運で長期政権を維持出来ている基礎原因になります。
ちなみにエリツイン氏は、ソ連崩壊後の大混乱を乗り切る最も大変な矢先にアジア通貨危機)98〜99年)の大波乱と原油その他資源安をまともにかぶったことが不運でした。
19日に紹介したソ連平均寿命の最低期は1994〜5年ですが、下記原油相場グラフを見れば底値の頃が、エリ ツインの任期とほぼ重なっています。
本日のウィキペデアによれば以下の通りです。

「ボリス・ニコラエヴィチ・エリツィンロシア語: Борис Николаевич Ельцин、1931年2月1日 2007年4月23日)は、ロシア連邦政治家で、同国の初代大統領(在任: 1991年 1999年)である。ロシア連邦閣僚会議議長(首相)も歴任した。大統領在任中にソ連8月クーデターに対する抵抗を呼びかけロシア連邦の民主化を主導した評価と共に、急速な市場経済移行に伴う市民生活の困窮、ロシアの国際的地位の低下、チェチェン紛争の泥沼化、強権・縁故政治への批判もあった。」

この15年以上のロシアの復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、下記グラフの通り、2013〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのがプーチンには痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせた強面(コワモテ政治)で成功したのであって、プーチンは・複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面が始まっています。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすために?無用なシリア介入やクリミア併合・ロシア伝統の外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合が見え見えです。
原油価格の推移はhttp://ecodb.net/pcp/imf_group_oil.htmlによれば以下の通りです。

この15年以上のロシア経済の復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、上記グラフの通り、13〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのが痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせて登場したプーチン氏が強面で成功したのであって、プーチンは複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面です。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすためにロシア伝統の無用なシリア介入やクリミア併合・外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合・内政困難度合いが見えます。
http://toyokeizai.net/articles/-/180689によれば原油価格とロシア経済との関係は以下の通りです。
ケネス・ロゴフ : ハーバード大学教授
2017年07月27日

「ロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が、司法などの制度が脆弱なままでは、資源輸出依存のロシア経済が変わる望みはないと主張していた。あまりに多くの決定が1人の人間によって行われていたからだ。同じ会議で私は、大規模な改革が行われないかぎり、エネルギー価格の急落は深刻な問題を引き起こすことになると力説した。
かくして、原油価格は暴落した。現在の市況(7月上旬時点で50ドル以下)ですら、2011〜2012年ピークの半分に届かない。輸出の大半を石油と天然ガスに頼っている国にとっては大打撃だ。
ロシア規模の不況が民主主義の西側諸国で起きたとすれば、政治的に乗り切るのは極めて困難だったろう。だが、プーチン氏の権力は、まるで揺らいでいない。
国営メディアは失政を覆い隠すために、西側からの経済制裁を非難したり、クリミア併合やシリアへの軍事介入への支持をあおっている。たいていのロシア人は、学校教育や国営メディアによって、西側諸国のほうがひどい状況にあると信じ込まされている。残念ながら、そのような情報操作は改革への処方箋とはなりえない。」

こんな苦しい時になぜウクライナ紛争を起こし、クリミヤ併合するのか(純粋経済的に見ても軍事行動は巨額経済負担です)というと、この紛争で愛国・民族主義を煽て目を外に向けるだけではなく、クリミア併合に対する欧米による不当な経済制裁という問題設定をして苦しいのは「欧米の不当制裁」という悲憤慷慨を煽る仕組みに利用しているのです。
・・北朝鮮も不当な経済制裁を煽っていますので、経済制裁ではどうなるものでもありません。

賄賂社会と道徳意識(中国5)

地位維持に汲々とする党幹部や高官だけでなく人民の方も競争相手がルールを守っていないのに自分だけ守っていたら競争に負けるが、真似して違法操業すると摘発されるのが怖いので日頃から党幹部や摘発機関への付け届けを怠れません。
また、環境規制等日常全般に違反状態で許認可を通して貰い、摘発を免れるには賄賂が必要になる関係になっています。
競合相手より上位の人間に・・課長クラス一人に渡すだけより幅広く且つ部長クラス〜局長クラスにも渡しておいた方がより効果がありますが、そのためにはより大きな賄賂を出せる人に限られる・結果的に学校の成績評価も何もかも全て金次第の社会となっています。
中国では付け届けを渡すのは古来からの慣習で違法(モラル違反)というよりは、税金の自発的上乗せ納税(もともと徴税能力不足が原因?)かのように考えている節があります。
ただ公式納税の場合には納税の多寡によって電車に優先的に乗れるわけではないし、一流大学に優先的に入れるわけでもなく公平ですが、賄賂の場合この秩序が乱される点が大違いです。
日本の場合公平性が徹底していて金持ちも貧乏人も・・生命維持の基礎である医療現場で端的に現れていますが、生活保護による無料医療を受ける人も金持ちも申し込み時間順の順番待ちし、3分医療も同じですし貧乏人か金持ちかによって薬のレベルや品質が変わることもないし、受ける治療・レベルの高い手技の医師に手術を受けられるどうかもすべて機械的決定です。
(いつも書くようここは大方の社会の仕組みを書いているのであって総理その他の場合特別な割り込みの仕組みがあるのですが、ごく少数の例外を書いていません)
アメリカの場合、公的サービス提供に賄賂で割込めない点では日本同様に公平ですが、その代わり公的サービスレベルが公教育であれ医療その他何であれ日本に比べて低すぎる点(その分私立が発達している)に問題があります。
それが生命に関わる分野で端的に知られているのが、オバマケアで知られる医療場面です。
アメリカの自治体結成動機をこのあとで再開・書いていきますが、州政府の提供するサービスレベルが低すぎるので自分たちでお金を出し合って道路や学校を作りたいとか水道、警察を持ちたいという時にそれぞれの目的限定の自治体を結成します。
自治体にまでいかなくとも、昔から一定のお持ちのクラブ(飲み屋やレストランやゴルフクラブホテルなどいろんな分野でフリーの客を入れない閉鎖社会を作っていくのがアメリカ式社会・・地中海式都市国家の流れの残滓というべきものかもしれません。
閉鎖的都市国家形態を取らない社会は日本と東南アジア諸国だけですから、いろんな価値観で現在主流の世界の異端「変わってる!」になるのです。
大型マンション内部にプライベート公園を作ったり、プライベートビーチなどすべて同様の流れによります。
税金の代わりに払えるものが自発的に払うという点で賄賂はアメリカで発達している寄付文化に似ていますが、寄付者は寄付金の使途に色付けできるだけでルールを曲げようとするものではない点で、似て非なる方向性です。
日本でも一定のお金持ちしかグリーン車やファーストクラスに乗れないお金がないとお芝居も見られないという程度の差がありますが、賄賂と違って一定のお金を払えば(チケット買うのに身分さがなく、裏金が要りません)、公平に同様のサービスを受けられる点が違います。
中国社会のように賄賂を道徳違反の問題ではなく自発的納税または必要経費として考えれば、規制クリアーのために公害防除設備をつけたままにして生産するコストよりも、要路への賄賂提供の方が安ければ日本から輸入時にくっついてくる公害防除設備を取り外す方になびく・国民の健康がどうなるかの視点が全くない国民性・・中国の場合「人民」がいるが国民がいないと言われている所以です。
まして、規制にあうように技術アップに努力するコストを考える(金をかけてもうまく行くとは限らない)と賄賂や剽窃でクリアーした方が確実(100人のスパイを放ってその内一人でも持ち帰りに成功すればコスト的に計算可能)で安上がりですし、海外企業との競争のためには成功するかどうか不明の技術アップの努力・・例えば巨額投資の必要な医薬品開発よりは盗むほうに金をかける方が合理的となるのでしょう。
いくら企業秘密を盗んでも国内にいる限り処罰されないのでは、関係者は道徳の痛みを全く感じない・・コスト計算の問題でしかありません。
http://gigazine.net/news/20170608-high-school-exam-cheating-devices/によれば以下の実態がでています。

2017年06月08日 21時00分00秒
中国の試験で発見されたカンニング用ガジェットの数々が公開される
中国では2017年6月7日から9日にかけて全国大学統一入試「高考(gao kao)」が行われています。「世界で最も難しい試験」と言われる高考ではカンニングが多発しており、カンニングを防ぐために念入りなボディチェックが行われたり、受験生に「ワイヤレス端末が仕込まれている可能性があるためワイヤー入りのブラジャーをしないように」という指示が出されたこともあったとのこと。では実際にどのような方法でカンニングが行われているのか?ということで、中国・山西省の太原市が、ここ数年で実際に使われたカンニングデバイスを公開しました。

High-tech devices used to cheat China’s exams | Reuters.com
http://www.reuters.com/news/picture/high-tech-devices-used-to-cheat-chinas-e?articleId=USRTX39AF6
例えば以下の写真に写っているのは一見すると何の変哲もないベルトですが、実はワイヤレス通信を行うデバイス。太原市ではここ数年の高考で使われたカンニング道具がメディアに向けて公表されたとのこと。(以下写真部分引用省略)
以下も消しゴムに偽造したワイヤレス端末。受信した答えをディスプレイに表示するのでしょうか。
時計のように見えるワイヤレス端末に……
耳につけて外部との通信を図るイヤーピースと端末。
イヤーピースはこんな感じです。(以上写真部分引用省略)
上記のようなデバイスを用いたカンニングが増えているため、試験の最中は監視員がワイヤレス端末の活動を調べているそうです。」

中国以外の国々では、自分が努力しないで他人の努力の成果を盗むのは古代から確立したとてつもない犯罪行為というモラル意識ですが、中国ではいろんな受験時に電子機器を使って外部交信によってカンニングする方法が流行っていたのを見れば、カンニングすること自体が能力次第であるし、商取引の一態様という意識のように見えます。
裏切ることも騙すことも、騙されたり盗まれたりする方が弱いだけ・騙し陥れる方が、能力が高いと評価される社会です。
モラルの問題ではなさそうな社会です。
中国ではモラルよりは全て金次第、金の亡者のように外部から見えるのは、すべての分野で賄賂金額を基準に動く社会になっている結果によります。
今回の党大会で宣言された習近平の「世界強国」が実現する世界では、新たな中国式価値観がルールとして強制され、これが道徳として教育されるのでしょう。
「付け届けをしない」方がモラル意識が低いと批判される社会でしょうか?
忠臣蔵の原因ですが、当時何かを教えてもらうには授業料を払うルールが未発達であったのでその代わりにお世話になりますという付け届けが必須であったことが背景にあります。
粛清政治→恐怖の弊害は直接的には権力闘争の結果・・権力周辺の問題でしかありませんが、政府高官がしょっちゅう粛清されるようになると、次の地位(局長クラス)の高官も間接的に粛清政治の対象になり、どんどん下位公務員に及んで行き、最後は公務員でない民間人も反党分子という名目でどんどん処罰されるようになっていたのがソ連の「収容所列島」の実態でした。
これを免れるためには、じっこんにする相手を特定高官に限定するとその高官(例えば薄熙来)が失脚すると却って危ないので、できるだけ賄賂の網を幅広くしておく必要に迫られるようになります。
賄賂がないと何もしてくれない社会になっていても景気が良くて末端まで一定の資金が回っていれば問題がありません。

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