サンフランシスコ等の入港拒否の住民運動の理由として、入港後乗客が港湾周辺を自由に歩き回るのでは住民が不安を感じるのが当然ですが、非合理な運動だと一蹴して入港→下船を強行するか、住民不安に応えて下船と同時にチャーターしたバスで医療機関や隔離施設一括搬送するなどの手順を示して港周辺の人が心配するような事態が起きないとの説明を丁寧にするか、地元住民の運動を恐れて入港拒否するかは政治家の判断分野dです。
サンフランシスコでは地元州政府が、地元民の声に押されて入港拒否したものの「よそへ行ってくれ」というのではなく、4〜5日経過で漸くすぐ近くの反対の少ない港への寄港を実現できたようです。
感染拡大放置による死者より、不景気拡大による死者の方が多くなるかの判断(ブラジル大統領やトランプ氏はその種の意見のようです)・・その中間のロックダウン方式をとるにしてもどの時点で行うか?どの地域に限定するかどの程度厳しくするかなども政治家の判断領域です。
判断ミスか否かは結果で見るべきで、政治家が政治責任をとることです。
今回の日本政府に対する批判論の基本は専門家(と言っても米国CDCルールに反しているという形式論中心だったように思われます)の立場から現場対応を批判するものだったように見えます。
政治家は結果で評価すべきです。
(これまで書いてきたように例えばNHKニュースはどういう批判かを書かずに「外国で批判が大きい」といい、外国報道機関の方は「日本国内で感染症専門家から批判の声が上がっている」というキャッチボール形式で波紋を広げる方法で、何が批判されているのか?素人には分かりにくい報道の仕方でした。
結局具体的に紹介されていたのは岩田健太郎氏のツイッターと東洋経済のインタビュー記事が基本・・感染症の専門外の官僚が・・これが世界を駆け巡る批判論の根拠になっているらしいということです。
クルーズ船批判論が火を噴いた頃には、「専門知を大切にすべきだ素人集団が決めているのはおかしい」という専門家重視論のイメージでの政権批判報道が多かったような印象でした。
このメデイアの論調に火をつけた?のが岩田氏のツイッターだったように思われます。
直後の3月12日には米国式 統括機関創設を求める学会有志?の共同声明が発表されていたことを6月20日に紹介しました。
世の中専門家の言う通りで良いなら経済政策は経済学者の言う通りで良い筈ですが、そんな主張をする意見は皆無でしょう。
社会運営は一定の論理に支えられながらも利害対立の調整にあるのですから、「実験室の結果で良い」政治など、どの分野にもありません。
新型コロナにかかっているかの判定やその場合の治療方法は専門家に委ねる分野であって政治家は「あいつは嫌いだから、治療するな」と言うことは許されません。
緊急事態宣言の前提事実として、感染がどのくらい進んでいるか、ICUに入った患者の生還率はどのくらいかなどの具体的問題点などは専門家の意見を聞くべきでしょうが、一定の事態が間近に迫っているとしてもロックダウンすべきか日本のように自粛要請で足りるか・・自粛要請にどの程度応じる国民性かの判断は政治家が決める領分です。
自粛を求める産業分野とその効果も専門家が詳しいでしょうが、国民意識のありように合わせて、総合的に見てどの業界を優先するべきかなどは政治家が責任を持って決めていくべきでしょう。
原子力発電やリニアモーターカーの必要性等は科学者が最終決定すべきではなく、政治責任を取れる政治が決めるべきものです。
6月26日リニアモーターカーの工事着工に対して静岡県知事とJR東海とのトップ会談で知事側が工事に必要な準備工事にさえ同意しなかったので、2027年の開通は不可能という報道が出ていました。
問題はトンネル工事によって地下水の流れが変わることに対する反対らしいのですが、その決着は専門家の分析を待つことになったらしいです。
以上を見ると専門家が決めるかのように見えますが、政治家が争点を専門家の決める専門的意見次第と論争の場を限定したことによるものです。
例えば宇宙物理学等では巨大な実験設備があったほうがいいでしょうが、国の経済力から総合して日本が保有する必要があるかは、政治家が決めることです。
PCRの大量検査能力維持、ICUあるいは体外人工呼吸器(クオモ)などの備蓄が多いほうが良いとしてもコロナのような伝染病のために毎年大量のICU設備や訓練された運営要員をどの程度抱え込んでおくのが合理的かは政治が考えることです。
当たり前のことを無視して、メデイアが政権批判していた・・この結果政治妥協の経験のない研究者が決定の矢面に立つような変な結果になって研究者を苦しめていたようです。
神戸大学岩田健太郎教授に関する3月8日現在のウイキペデイアです。
2008年 – 神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)、同大学医学部附属病院感染症内科診療科長[1][2][
2020年2月18日 – 2019新型コロナウイルスの集団感染が発生しているクルーズ客船 ダイヤモンドプリンセスに乗船[4]。自身のYou tubeサイト上にて、「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。感染対策は悲惨な状態で、アフリカのそれより悪く、感染対策のプロは意思決定に全く参与できず、素人の厚労省官僚が意思決定をしており、船内から感染者が大量に発生するのは当然と発言したものの、翌20日には乗船に関し助言した医師に事実誤認を指摘され、削除した[5][6
6月16日現在のウイキペデイアでは、箇条書きの経歴部分のみで上記部分は以下の通り変更されています。https://mainichi.jp/articles/20200219/k00/00m/010/097000cには(削除前のツイッターかな?)具体的指摘事実が出ていますので引用しておきます。
岩田氏の説明によると、厚生労働省の協力を得て、災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として18日に乗船した。18日夕方に下船後、動画投稿サイトで「ウイルスが全くない安全なグリーンゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないレッドゾーンが、ぐちゃぐちゃになっていて、どこが危なくて、どこが危なくないのか全く区別がつかない」「熱のある方が自分の部屋から出て、歩いて医務室に行っている」「感染症のプロだったら、あんな環境に行ったら、ものすごく怖くてしょうがない」などと訴えた。
この事実指摘自体は当然で元々客船には感染者と何日か前に感染しているがまだ陽性にならない潜伏中の患者などが入り乱れているから、そういう仕分けのために検疫官が乗り込んでいく過程では、誰が感染者かすらまだ区分けできていない状態です。
そもそも気の利いた企業であれば、香港から横浜に着くまでの間に発症者が出たのであれば、日本の係官が乗船する前に隔離くらいしておくべきだったでしょうが、前夜までパーテイをしていたというのですから多分何もしないで従来通りビュッフェなどで大勢一緒に食事をしていたのでしょうか?
3711人にも及ぶ人数の検査・・検体摂取だけでも瞬時に終わるわけでなく、検体採取を経て順次検査機関へ搬送先では1検体ごとに手作業による培養作業が行われ一定の培養時間経過後プロによる読みとり作業を経て判定していくので(最近ではこのプロセスが自動化されていると言う意見もありますが、当時の説明)その間の未判定期間があります。
検体採取後即時に陽性陰性が判別するわけでなく、その間誰が陽性かも不明です。
しかも結果が一斉に出るわけでなく、陽性者が数人〜10人づつ順次結果が出るつど船内の空室に移動してもらうとしても、最初のうちは未検査の人の方が多いのですからどこの船室の前の廊下が安全かなどの区分けできている訳がないと素人としては思いますが・・。