軍国主義者?公職追放と左翼伸長5(フーバー回顧録)

多くの国の思想界を普通の状態でみれば、民族系と左翼系(グローバル系?)の両輪が併存しているのが健全?ですが、占領軍支配の約6年間で民族系学問思想が根こそぎ壊滅させられているし、アメリカからの独立後もアメリカに楯突くようなるとまたアメリカのイジメに遭うのが怖いのでアイデンテテイー重視論はタブー視されてきました。
民族系意見は公式発言出来ない状態・・少しでも民族意識が垣間見えるような発言をするとたちまち失言・妄言としてメデイアが袋叩きにして・(事実が正しいか否かの議論を一切させずに・この辺は戦前天皇機関説が正しいかを問題にせずに叩いてきたやり方と同じです)大臣辞任要求しては失脚させることが最近まで続いていました。
この辺はhttp://bewithgods.com/hope/japan/14.html「日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず』から
に詳しく出ています。
日本では占領政策の遂行を円滑化する目的で文化人類学を装って発表された「菊と刀」に対して逆の視点でミアーズによって書かれた「アメリカの鏡・日本」(多分日本人の賞賛すべき道徳状態を書いたものでしょう)を入手した日本人が翻訳許可願いを出しても許可されなかった事実(そもそも米国内流通の出版物が日本で翻訳するのにいちいち許可が必須であったことと自体驚きです)書いています。
そして日本独立後もメデイアや学会でタブー視されていた結果か?(これは私の想像です)上記論考発表時点では「アメリカの鏡・日本」がまだ日本語訳が出版されてないという驚くべき現状「GHQ検閲に未だに呪縛されるマスコミ」として紹介されています。
GHQによるプレスコード・米図だけではなく、中ソ朝鮮批判を許さないという基本をいまだにメデイアカイアy学会が一糸乱れず守っているようです。
アメリカによる直截支配力が弱まって行くとマスコミや思想界では、アメリカ支配と同居して伸びていた左翼系思想だけが内部増殖して行ったように外部から見えます。
労働界・総評の左傾化進行については、このあとで紹介します。
左翼系はその後ソ連派と中共派に二分化して行きますが、政府批判には何かとアメリカの戦後秩序を利用する・・反戦平和論や人権や表現の自由・・最近では、防犯カメラの肖像権侵害反対や秘密保護法や共謀罪、マイナンバー法反対など全て欧米主導の「近代法原理に反する」と有効利用する・・良いとこ取りをして来たのが左翼系運動です。
一方で・・靖国参拝などには何故か慰安婦問題や過剰反応して中韓と連帯するなど・・あるいは表現の自由を極力主張しながら、中韓政府の人民弾圧あるいは公害垂れ流しには黙っているなど左翼の複雑な矛盾行為の基礎が占領政治下での左右(マルクス主義信奉と資本主義擁護派)同居のときに形作られたものと思われます。
革新系野党や文化人はソ連の主張そのままコピーしたように主張してきたことが、ソ連崩壊後やソ連元要人からバラされたことを紹介しましたが、その手段として西側諸国の人権思想を表向き利用して主張してきたことになります。
今の中国が自由貿易の恩恵だけ主張し、自分はやりたい放題・ルールを守らないのと同じやり方です。
戦後の社会は変化が激しいので、間断なく新たな制度設計が必要ですが、マスコミや左翼系は新しい制度には先ず人権公害、弱者保護などの名目で「何でも反対」して妨害してきた基本構造です。
本音は中韓の反日政策実現であっても表向きアメリカの圧力利用でしたが、ここ10年くらいでは、アメリカの要求による政策反対傾向がはっきりしてくると、アメリカのバックを期待できなくなったので、新しい法制度準備が進むと左翼・文化人が必ず持ち出す「近代法の原理に反する」と言う漠然とした主張や国連人権委員会等を利用した日本攻撃が目立つようになり、私のようなノンポリでも「おかしくないか?」と疑問に思う人が増えてきました。
もともと冷戦時代から日本よりひどい公害の出しっ放し・原水爆実験やり放題の中ソの批判をしない点で、不思議だと思っていたことを10年以上前からこのコラムで書いていましたが・・その関心で検索していると昨日紹介したように「ソ連からの資金手当とその指示」を先進国水準主張かのようにカモフラージュして日本国内で主張実践していただけとわかってきたところです。
ヒューマンライツナウは人権救済運動だと言いながら、主にユニクロなど日本のアジア進出企業の低賃金労働などを槍玉にあげてきましたが、日系工場より何倍も過酷な低賃金労働をさせている現地中国人経営の労働実態には知らん顔です。
要するに外資進出を要請しておきながら、事実上国内企業優遇したい中国政府の思惑に乗って、日本企業(に限らず外資)のハードルを高くする政策です。
賄賂で決まる社会・・「郷に入りては郷に従うしかない」のに、現地基準が、先進国基準に合わないと賄賂摘発その他人権侵害で叩かれる・中国企業はどんどん特別扱いで商売して行くのに外資が現地基準で行動すると摘発される仕組みです。
要するに中国は国際基準を有利に使っておきながら自分は守らない・・相手を自分で非難できないので人権団体に資金をつぎ込んで先進国国内撹乱を狙っているように見えます。
それを手助けしているのが彼ら人権団体と称する組織ではないでしょうか。
今回の中国のウイグル族に対する言語を絶する過酷な弾圧問題なども前から言われていたのに、国際社会が黙認していいたのですが、トランプ氏が対中批判の一環でこれに火をつけたのでようやく国際関心対象になってきました。
それでも人権問題のための組織と主張するヒューマンライトナウのホームページに入るとこの問題に全く触れていません。
日本企業のアジアでの低賃金問題摘発に特化しているのではないかというイメージです。
ソ連や中国の指示なのに、日本弱体化・政策反対のためには「先進国基準」や公害。騒音反対などという形で(歴史修正主義などの主張や先進国水準)利用ができなくなってきたこの10年ばかりでは、国連人権委員会等の悪用が目立つようになってきました。
革新政党や日弁連の共謀罪法反対論に対して、合理的説明がない・共謀罪のない国があるのか?スパイ取締法がある国はどこなのかの基礎データを出して議論すべきだと書き、共謀罪やスパイ防止法のある国は、人権侵害国家と言うのか?集団自衛権・・相互防衛条約のある国は軍国主義国家になるのか?と言う疑問を書いていますが、そう言う比較法の議論をしているのを未だに聞いたことがないと書いてきました。
18年3月16日に事務所に届いた日弁連委員会ニュースによると、(それまで私が気付かなかっただけかもしれませんが)初めて具体的な比較が出ていました。
共謀罪法対策本部ニュース14号(2018、3)では、「ドイツでは適用団体が限定され、イギリスでは配偶者や未成年者との共謀が対象外とされているが、日本の共謀罪は無限定であり、恣意的運用が可能である」という高山佳奈子京都大学院教授の講演が紹介されています。
ようやく具体論が出てきたところですが、それにしてはお粗末・「近代法の法理に反する」と言う理由で大反対してきた根拠としては違いが細かすぎませんか?という印象です。
イメージ的には、左翼系学者が総力をあげて?何かケチをつける材料を数年がかりで世界中で探したら、ようやくこの程度のものが見つかった?ので自慢げに報告しているのですが、この程度の成果を出すために(日本でも配偶者等々の共謀を例外扱いを求めるために)国会審議を拒否して「近代法の法理を破壊する」という大上段の大規模政治運動をしてきたのでしょうか?
例外扱いが合理的・・日本の共謀罪法には例外がないことが反対理由ならば、国会で堂々と提案して修正を求めればよかったことです。
そもそも多くの犯罪では明文がなくとも家族に悩みを打ち明けた程度で、家族が共犯になるような運用は滅多にありません。

民主主義のルール3と違法収集証拠排除論2

昨日紹介したGPS捜査違法判例は令状なし捜査を違法としたものですが、内容を見ると具体的に「侵害された私的領域」とは何か不明です。
昨日最後の行で引用したように最判は麗々しく憲法の住居不可侵を引用していますが、刑法の住居侵入罪は正当な理由があるときを除いているように憲法に住居不可侵が書いてあるからといって一切の例外を許さないようなトーンに疑問があります。
刑法

(住居侵入等)
第一三〇条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居侵入でも玄関先に押し売りが入って帰らないのと寝室にまでズカズカ入ったのとでは大違いですし、個人的庭先でも私的な行為をしている・例えば他人の目につかない前提で下着姿で庭にで出ている女性が目撃されたのとネットフェンス程度の仕切りしかない道路から丸見えの貸し駐車場に無断で入ったのとでは重みが違います。
GPS事件では、ラブホテル?だったかの敷地内駐車があって、そこへ行ったことの特定可能性の理由で私的領域・プライバシー侵害になったように記憶しています。
人間が直接入れば入ったところが庭先であってもそこから居室内の無防備にくつろいだ様子が見られる可能性がありますが、同じ場所にGPS装着車がが入っても、その場に入ったことがわかるのみであって、そこから見える居室内のプライバシーが侵害される可能性すらありません。
しかも「判決文では「個人のプライバシーを侵害し得るものであり」という可能性を認定しているにすぎません。
しかも「私的領域」という観念的被害とは(追跡事例として昨日書いた例でいえば居室等に勝手に入ったのでなく、無人の庭を横切った程度)すぎません。
判例は「同意を得ていない=強制」という単純論理ではないでしょうが、生身の人間が尾行していて犯人がホテルに入って駐車するのを見ただけなら違法性がないが、GPSなら違法ということとの違いは、強制処分になるか否かによっているような印象を受けます。
強制処分→令状を得ていない→違法と言うのは形式的で具体的妥当性の結論から見て如何にも無理なこじづけのように思えますが・・・.この辺は自分の事件でなくいい加減に読んでいるのでもっと緻密な理論があっての結論と思いますが・・部外者の気楽な意見としてお読みください。
最判では、GPSの特定は数十メートルの誤差があるものの、道路移動だけなく私的空間に停車したときもGPSで想定できるのがプライバシー侵害リスクがあるということだったように記憶していますが、上記例で言えば家に入らず宅地でもダメということになるイメージです。
ところで広域高速移動という犯罪集団の出現自体がここ数十年で多発するようになった現象である上に、GPSで位置確認する技術は親が子供の見守りや老人徘徊対策に使えるなど、これまた最近の新技術です。
車社会になって、信号制度が行き渡ると追跡パトカーの例外が認められるようになるなど例外はいつもあとからで出来るものです。
GPSの有用性は一般に知られているのですが、その使い方についてのルールがまだ決まっていない状態でこの判例が出ました。
GPS捜査は、その捜査が違法とされていたものをあえておこなったものではなく、合法捜査か否かの境界事例であってこの判決で初めて「許されない」と決まった事件ですから、その点でも違法性自体が極めて弱いものです。
また最判自体で書いているように、令状が必要と言いながら一方でをGPS捜査をあらかじめ許容する令状の応用には無理があるとまで書いているのですから、最判自体が不可能なことを捜査機関に要求していることになります。
犯罪調査対象絞り込みなどにGPS利用捜査の必要性があるのに、現在の令状方式では事前発布する方法は無理がある・・憲法で要請している令状なし捜査だから、違法というのでは、結果的にGPS利用禁止と同じです。
最判には国家の治安維持と人権擁護の折り合いをどうすべきかの国家運営について責任ある価値判断が抜けている(一介の市井弁護士がいうのもおこがましいですが)ような印象です。
電子化や移動方法の高度化対応に必要な捜査手法に現行法・憲法の令状主義が対応できていないのであれば、どのように折り合いをつけて行くべきかを考えるのが実務判断の最高機関としての勤めではないでしょうか?
司法機関は学問研究の場ではなく、実務解決の最終機関としての責任があるでしょう。
憲法の「令状主義の原則」は近代以降当時の科学技術に応じて「これが良い」となったに過ぎません。
今どき怪しそうな人間相手にずっと長期尾行をつづけるなどやってられない・(自分の愛する子供でさえつきっきりにできないので、GPS利用する時代です)データ上の追跡で一定時間まとまって停止した場所周辺にアジトがあるかなど的を絞って調査したりその周辺で見張っていてどの辺の路地から出てくるかを見張っている方が合理的ですから今は浮気調査など興信所に頼むと皆この方法でやっています。
単に効率性の問題だけでなく犯人が短時間に広域高速移動するようになると、事件後その周辺で不審者の聞き込みをするのでは、有益な情報収拾が不可能になっています。
民間素人・個人利益実現のためでさえ自由にやっている・処罰する法令もない状態ですが・・逆に公益上必要のある政府の方はプライバシー侵害の「リスク」があるから、やってはいけない・・というのが不思議です。
何かあると民間が情報収集するのと政府の収集は違う・公益のために収拾するのは権力行使になるから厳しくする必要があるという意見が圧倒的です。
ところで、個人がより大きな公益確保のために臨時に細かなルールを破っても、その方が正しいとして賞賛されるのが普通です。
警察だと臨機応変の処置が許されない・・警察や公務員が「自己裁量でいろんなことをしてはいけない」という正解(PC)はその通りですが、それも職権乱用にならない限りのことでないのかの疑問です。
一般意識では警察や公務員は公益のためにやっているのだからという意識で、管理事務所あるいは個人でも何か問い合わせがあると積極的に協力する・令状がなくとも防犯カメラの映像を見せてくれと頼まれると見せたりするのが普通です。
私人にいきなり聞かれても、怪しんで答えないことが多いですが・・・。
日本の国民意識では「お上」に対する信頼がものすごく厚い社会ですが、進歩的文化人にとっては、逆です。
民間なら何を見せても良いとは言わないまでも、自治会名簿などを聞き込みにきた警察に見せたりすると大騒ぎします。
政府や公的機関は「人民の敵」だから「どんな情報も開示したくないとか些細なミスも許さない」という意識が強いグループのようです。
中国は長年「日本政府は悪いが「日本人は敵ではない」という言い方が普通でしたが、このような分類・2項対立意識社会と日本古来からの君民一体重視社会の違いをだいぶ前からこのコラムで書いています。
アメリカも同様で、国家神道や超国家主義者を背景にする軍人だけを悪者に仕立てて極東軍事裁判や神道指令で民族一体感破壊を図るとともに、他方で共産主義思想の浸透を奨励して労使対立→国民分断をはかったのですが、欧米や中国の考える「支配と被支配者の対立社会」と違い、日本国民はもともと上から下まで助け合いの社会でしたから、よほどの外れ者以外にはその扇動に乗りませんでした。
(助け合いどころか大震災の混乱に乗じて盗みに入る不心得者が一定率います・いつも書きますが、日本人/日本社会というときには大方の心を書いています)

民主主義のルール・手続き重視論2と違法収集証拠排除論1

例えば警官がスピード違反して追いかけたり、追跡中に犯人が逃げ込んだ他人の(塀で囲まれて門が開いている)敷地を通過してその裏の路地に逃走するような場合に、警官が(他人の敷地に入るのが違法だからと遠回りしていると逃げられてしまう)一緒に踏み入って庭を横切ってその先の路地で逮捕したからといって逮捕が無効違法になるべきではないでしょう。
それぞれに緊急事態に対応する法令(パトカーでサイレンを鳴らしていれば信号無視できるなど・住居侵入は「正当理由」)があれば済むことですが、新規分野でまだそう言う手当の法令ができていない不備の場合に臨機応変の法令違反行為があれば、そのような検挙が許されないかということです。
福島原発事故では、現地所長が東電首脳部による現状無視の指示を無視して臨機応変の果敢な処置をして過酷事故発生を防いだことが知られていますが、国民は首脳部指示無視の法令違反と日本国滅亡の瀬戸際に瀕するリスクから、救った所長判断のどちらの方に正義があったかを知っています。
まだ例外を認める法令がないのに、現場判断でやったことが仮に違法であるとしても、違法の程度が重大でなければ、その法令違反(パトカーが信号無視できる法令がまだない場合を考えると、逃げる犯人が信号無視で突っ走った場合にパトカーも(横から来る車がないときに)信号無視で追いかけた場合)ですが、そのために事故が起きたか実害が起きていないかだけで処理すればいいのであって、違法な逮捕が許されない・・その後の手続き(逮捕によって得た指紋や自白その他の証拠を裁判に使えないか?)一切を無効にする必要はないでしょう。
(上記で言えば住居侵入で処罰するべきか否か・・この例の場合には、「正当な理由」が認められるでしょうが、庭だけでなく家の中まで無断で入れば行きすぎでしょうがそれでも)その犯罪の成否に関係がない以上その犯人を無罪にする必要までないでしょう。
最近の最高裁判例で言えば、GPS捜査はプライバシー侵害の危険性が高いから捜索差押え令状手続きが必要である→違法捜査と認定され、その捜査によって得た窃盗犯罪実行の証拠が否定されたように記憶しています。(時間がたったので正確な記憶がありません)
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20170316-00068741/からの引用です。

警察が捜査対象者の車両に密かにGPS端末を取り付け、その位置情報を把握するGPS捜査。最高裁は、その法的論争に決着をつけた。しかも、今後の犯罪捜査に深刻な影響を与える厳しい内容だった。公開されている判決文(詳細はこちら)を踏まえ、その理由を示したい。
捜査対象者に気づかれないように注意しつつ、密かにその生活圏内に近づき、行動を内密に把握する、といった観点からすれば、尾行や張り込みと全く同様だ。
現に警察は、GPS捜査をそれらの延長線上のものと見ており、捜査人員や予算が限られる中、そうした古典的な捜査手法に代わる有効な手段だととらえてきた。
その上で、基本的に路上を走行する車両の位置情報を把握するだけであり、個人のプライバシーの領域に深く踏み込むわけではないとして、尾行や張り込みと同様、裁判官の令状は不要である、という立場を堅持してきた。
検察も同様のスタンスだった。
今回の事件でも、警察は被告人や共犯者らの承諾はもちろん、裁判官の令状も得ない状態で、約6か月半にわたり、被告人らの19台の車やバイクにGPS端末を取り付け、その位置情報を把握していた。
今回の一審、控訴審も、被告人を窃盗罪などで有罪とする結論自体は変わらなかったが、大阪地裁は令状なしのGPS捜査を違法とし、高裁は今回のケースだと重大な違法性なしと判断するなど、全く異なっていた。
これに対し、最高裁は、まず次のとおり、GPS捜査と尾行や張り込みとの関係について、警察・検察の見解を全否定した
「GPS捜査は…その性質上、公道上のもののみならず、個人のプライバシーが強く保護されるべき場所や空間に関わるものも含めて、対象車両及びその使用者の所在と移動状況を逐一把握することを可能にする」
「このような捜査手法は、個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うから、個人のプライバシーを侵害し得るものであり、また、そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり、公権力による私的領域への侵入を伴う」
「憲法35条は、『住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利』を規定しているところ、この規定の保障対象には、『住居、書類及び所持品』に限らずこれらに準ずる私的領域に『侵入』されることのない権利が含まれる」

希望の党の体質・代表選候補者の主張

小池氏は共同代表制の奇策によって完全失脚を防ぎ、今後都政での実績次第による国政復帰への足がかり・・首の皮一枚だけ残せたことになります。
ただし、都民の目は厳しくなっています・・前担当者の吊し上げ目的の築地移転騒動・・・これによって遅れていた移転の日を数日前に決める予定だと報道されていましたが、以下の通り決定が先送りになりました。
・・オリンピック会場騒動などリセットと称して何も決められない政治を都民が期待しているのでしょうか?
希望の党内部では傷口を舐め合うような馴れ合い的留任ができるでしょうが、実害のある都民の目は厳しいものがあります。
http://www.sankei.com/politics/news/171109/plt1711090031-n1.html

2017.11.9 21:03更新【豊洲移転】豊洲開場日の決定先送り 地元懸念で協議会中止
築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、都は9日、豊洲の開場日を決めるために市場業界側と予定していた10日の協議会の開催を中止すると発表した。これに先立って江東区が小池百合子知事の豊洲移転・築地再開発の方針をめぐって現状での豊洲市場受け入れに懸念を示すコメントを出し、業界側が開場日を決めるような状況ではなくなったと都に申し出た。
業界団体で作る築地市場協会の泉未紀夫副会長は、開場日決定には都と江東区の関係修復が不可欠と指摘。「知事ご自身が動かなければ、しようがない。都政専念とはそういうことだ」と注文。

風が吹く間黙っていた利害関係者の注文も、風が止むとその反動で厳しくなります。
国政で大負けしたあとを受けて風向きを変えようとして「都政専念」と宣伝するだけでなく、政治家は政治家らしく関係者間の利害調整に汗をかいて欲しいという厳しい現場の注文です。
つい先日も埋立地の帰属を巡る江東区と大田区の利害調整に都が失敗して大田区が訴訟提起する前代未聞の事態になったばかりで、メデイア界でのパフォーマンス戦術で生きて来た小池氏が本当に具体的利害調整の必要な都政をできるのか正念場が始まります。
利害調整政治をするには(数日前に勇将の下に弱卒無しと紹介したように)都知事一人ではできませんので、トップの意を体して手足となって根回ししてくれる人材が必須ですが、内田前自民党都連幹事長の根回し政治をブラックボックスと批判して来た咎めが(都民ファーストの離党騒ぎの原因も要は根回し不足です)今後自分に降りかかって来ます。
都民の小池氏に対する現在の評価が11月13日に葛飾区議会議員選挙結果で出ましたが、これによると定員40名中都民ファーストの当選者がたったの1名というニュースです。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

時事通信
都民ファ、当選1人のみ=小池人気衰退続く-東京都葛飾区議選
任期満了に伴う東京都葛飾区議選が13日開票された。定数40に対し59人が立候補、16人を擁立した自民党は12人が当選、公明党は9人全員が当選した。小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」にとって初めて挑む区議選となったが、候補者5人のうち当選は1人にとどまった。
小池氏は、自ら率いた希望の党が10月の衆院選で敗北。衆院選に続き苦戦を強いられた今回の区議選は、小池人気の衰退を改めて印象付ける結果となった。

区議選とはいえ、都知事与党が40分の1しか当選しないで(もしも都民全体がこの比率でしか支持していないとすれば)都知事が何を言っても「お手並み拝見」と冷ややかな姿勢に徹するでしょうから)利害調整の必要な難しい問題の処理できるか?という印象です。
小池氏は以下に紹介する希望の党代表選挙の結果を受けて、新代表と会談し数日前に順調な2人代表制を演出したばかりでしたが、上記都民の厳しい審判を受けて、希望の党代表に止まる(2束のわらじを履くの)は得策でないと判断したらしく、14日に突如辞任発表したようです。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

【小池代表辞任】希望の党分裂の引き金か-所属議員は淡々/ar-BBEXbYW

今朝の日経朝刊では概ね当然の論調でサプライズ性がない・・いわば遅きに失した・・・もっといえば、都政で実績を上げた上で、その実績をもとに知事を辞任して国政に出るべき手順・・体制が整わないならば整うまで4〜5年でも待つべきであるとこのシリーズで4〜5日前に書きましたが、元々国政進出が無理筋であった・/当然の結果という受け止め方が大方のようです。
民進党系議員にとっては、小池氏がいなくなれば気を使う必要がなくなり、元々の持論(民進党員であったときの主張)に基づく自由な政治主張が出来るという淡々とした受け止め方のようで、そうなると民進党系議員は保守系という希望の党の看板だけ丸々手に入れたことになります。
看板ではわからない希望の党の本来的体質を見るために4〜5日前に行われた希望の党代表選の立候補者2名の主張を紹介します。
総選挙後の希望の党の当選者50中45名が民進党系との報道でした・代表選では議員53名と出ているので、参院の議員が3名いるのか?その後に誰か3名加入したのか(今のところ私には)不明です。
民進党出身者2名が立候補して代表選がおこなわれましたが、その主張は以下の通りです。

TOKYO MX
2017/11/08 に公開
民進党出身議員による一騎打ちとなった「希望の党」の共同代表選挙は、その結果が今後の党の在り方や、代表を務める東京都の小池知事との関係にも影響してきそうです。共同代表に立候補したのは共に民進党出身の、玉木雄一郎衆院議員と大串博志衆院議員の2人です。
2人の候補者は共同で記者会見を行い、争点となっている憲法改正などの考え方を示しました。
憲法改正について大串氏は「地方分権含めたことに関しては大いに議論はあってもいい。ただし、一方で9条の改正に関しては、いまは不要」、玉木氏は「9条を含めて議論すればいいと思うが、優先的に議論するのは地方自治や解散権の制約」だと述べました。  安保法制に関して大串氏は「集団的自衛権を含む安全保障法制は、容認していないという立場。その上で、現下の安全保障環境に鑑み、現実的な外交安全保障政策を取っていく」、玉木氏は「既存の法律に溶け込む形で改正が行われている。根っこから自衛隊法を全部廃止するというのは現実的ではない。従来の憲法解釈に合致するような形に具体的な条文改正を提案していく」としました。  小池代表との関係について玉木氏は「国会のこと、国政のことは、一義的には私たちがしっかりと責任を持つ。代表は小池代表だから、よくコミュニケーションを取って、しっかりと連携して進めていきたい」、大串氏は「相談や連携連絡を取るのに、非常にフットワーク軽く動くたちなので、しっかり連携を取れていけるのではないかと思う」と述べました。 」

上記によれば、公約や公認条件の曖昧表現を利用した民進党系議員のなだれ込みの実態が如実に現れています。

希望の党の構成員(排除発言と公認条件の乖離)

小池旋風支持母体は本来民進党的政治思考と相容れない集まりですから、小池氏が支持基盤を民進党に頼り看板娘になるのでは当初支持者の支持を維持できるわけではありません。
(風を読むのに長けた彼女は風向き急変に焦ったのか?)予定外に早い段階で政権の方向性は都知事選に出たときと大枠が変わらない・井戸を掘った人を大事にするという・意見表明を迫られたことが小池氏の大誤算になります。
表向き「左翼排除」発言して見えを切っても、内部組織では逆に元々の支持者切り捨てが進んでいたことが以下紹介する都議離党事件での離党に至った経緯報告でしられます。
小池氏の憲法改正に対するスタンスは・・報道によれば公約になったと思いますが、9条だけはなくもっといろんな分野の改正をすべきだというもので、いかにも安倍政権よりも憲法改正に積極的かのようなイメージを打ち出したのは、「民進党に乗っ取られるわけでない」「事実上乗っ取られても公約に入れておいたらこれだけは守れます」という言い訳っぽく見える・・と保守票を意識せざるを得なくなった様子が見え見えでした。
希望の党の公約詳細検索すると以下に出ています。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/commitment/20171007-OYT8T50000.html

8 憲法改正
自衛隊の存在を含め、時代に合った憲法のあり方を議論します。地方自治の「分権」の考え方を憲法に明記し、「課税自主権」、「財政自主権」についても規定すること。憲法全体の見直しを、与野党の協議によって進めていきます。

公約は長いので憲法改正部分だけ引用しておきますが、「自衛隊の存在を含め・ありかたを議論します」というだけでメデイアのイメージ報道とは違い、9条の改正を認める方向の意見かどうかすらはっきりさせていませんし、地方分権をセットにした改正しか認めない公約のように見えます。
排除の論理表明で一躍有名になった公認条件の最終版を紹介します。
これを読んでみると現行の安保法制賛成の誓約書を取るかのようなメデイアの「排除発言」報道とかなり違っています・・以下の通り

「憲法に則り適切運用を前提に普段の見直しを行い現実的な安全保障政策を支持する」

というだけですから、当選後の議員の多数意見で現行法は憲法違反だと主張する余地を残していて「非武装平和論こそが現実的だ」という民進党の主張をそのまま受け入れる余地を残しています。
要は保守系支持者をつなぎとめるための表向きの「排除」報道内容とは大違いだった・・二枚舌と言うか民進党向けには「ゆるゆる」の条件だったことになりますが、記者会見では質問に応じる形で大見得を切るしかないところまで追い詰められてしまった様子です。
前原氏など幹部間との内部協議ではどうにでもなるような文書になっていた・これでOKして民進党は全員合流を満場一致で決めていたのですが、本来の支持層の疑念を晴らすためにそこまではっきり目出会いに報道してもらわざるを得なくなってしまったのです。
小池氏にメデイア向けに大見得を切られてしまった結果、反安保姿勢を曖昧なままで合流予定だった民進党の断固左翼系は(選挙民に希望に合流しても従来姿勢はかわらないと説明できなくなってしまい)メデイア対策上進退に困ってしまって・実態に遅れて大騒動になったように見えます。
希望の党の公認条件は以下の通りで表向きの排除論理の表明とは大幅に違うユルユルの条件です。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171003/k00/00m/010/128000c

希望の公認条件、安保関連法「適切に運用」に
1 希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
2 現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
3 税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての国民に行き渡る仕組みを強化すること。
4 憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
5 国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること及びいわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き上げを凍結すること。
6 外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
7 政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
8 希望の党の公約を順守すること。
9 希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
10 選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。

「4 憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。」の意味は9条だけではなくもっと幅広い改正を求めるという報道でしたから、自民党が飲めないその他の改正と一緒でなければ賛成できない「部分改正反対・大幅改正を求める」と勇ましいことを言っていれば、結局改正が不可能になることを前提に「これでいく」という民進党幹部(としては、「あれもこれも一緒に改正しないならば反対」というならば結果的に反対ですから)との裏での合意があって、この表明になったと思われます。
もちろん以上は私がこの発表をした時に受けた個人的推測でしかありませんが、国民の多くも民進党(ゆくゆくは事務局スタッフも資金も)を丸ごと抱き込んだ上での公約発表の欺瞞性を感じていたのでないでしょうか?
「排除の論理」をメデイアで大々的に打ち出され正面から安保法制賛成が条件と踏み絵を迫られると安保法反対論の中核をになっていたグループは、(支持者には「合流してしまえばどうにでもなる」という説明ができても)選挙運動としては表向きだけでもそこまで主張を引っ込めると自己の政治生命に関わります。
政治の世界で一方の旗頭になるには、内実は別として相応の大義が必須でこれを捨てると大方の場合おしまいです。
そこで希望の党への公認申請を諦めたグループを中心にして新党結成へ動きが広がってしまいました。
これは小池氏と協議した民進党窓口のグループとしては読み筋どおりだったでしょう。
前原氏は「想定内である」と言っていましたが、強がりではなくその通りだったでしょう・・もともと左右が相容れないまま同じ党にいたのですから、この機会に切り捨てたいのは当然です。
メデイアはしきりに
「憲法改正を旗印にしたから失速した」
「排除表明で失速した」
と言いますが、排除表明で合流で合流できなくなった議員は民進党公認候補のなかで半分もいません。
当時の民進党支持率は6〜7%しかないのですから、この三分の1が逃げてもその代わり中道の浮動層が大挙はいれば、その方が多いはずです。
政治信条はどうでもいい・・数さえ揃えばいいというスタンス・・小池氏の本音を肝心の都知事選以来の小池氏支持層が見てしまったので、目くらまし的な安保法制賛成の踏み絵の宣伝など信用しなくなりました。
そこで、左翼支持のメデイアが排除宣言に失望したので、「希望の党に希望がある」というムード宣伝をしてやらなくなった・だから失速したのだ」
「メディアがネットに負けたのではない」
「メデイアを敵に回すと怖いぞ!」
と言わんかのような裏宣伝もあるようですが、実態はその逆でしょう。

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