中国購買力持続性1

中国は改革解放当初・日米欧に大幅な遅れを取ったのは、人口が多過ぎるので国民レベルを挙げ切れない失敗と理解して、毛沢東の人口爆発政策が間違いだったことを前提として一人っ子政策に変更していました。
中国は解放以降数年前まで製鉄、造船,鉄道、石化事業その他生産力の巨大化こそが、国力の源泉・・19世紀型思考に染まって(市場原理の働かない国ですから)需要無視の生産力増強・・設備投資に走っていました。
需要無視の過大生産開始の過程でいわゆる資材・原料の爆買いを始めたところ、欧米メーカーやオーストラリアその他がこれが永久に続くと誤解して(多くのエコノミストは直線的に拡大して行く前提でもうすぐにアメリカを追い越すと言う予想が普通でした)中国の主張に何でもなびく傾向が出て来ました。
これに気を良くした中国がアメリカが勝手なルールを次々と打ち出しても世界が従うしかない原理・・強制出来る強みの源泉が巨大な市場・購買力にあることに気が付いたようです。
購買力に世界がなびくならば人口比で対アメリカで将来的に「中国の勝ち」と決めつけたのが、当面の太平洋2分論です。
反日暴動はこの手始め・・日本が巨大市場の中国に輸出・工場進出を続けたければ屈服するしかないと言う思惑・・・脅しで始めたものです。
日本に対するだけではなく世界中に向かって中国が同時に無茶・横柄な態度を示し始めたのは、アメリカのやり方を学んだ・・巨大市場を維持している限り無茶をやっても世界が従うしかない・・媚びて来るだろうと足下を読んだからですし、実際に西欧諸国や韓国は既に中国に明からさまになびき始めています。
フィリッピンが領海問題で抵抗すると早速バナナ輸入制限措置をされて慌ててしまい、あまり強く出られない状態です。
オーストラリアその他ASEAN諸国も不満があっても資源その他を買ってくれるのでなびくか、面と向かって中国の横暴に声をあげられない状態になっています。
特に西欧諸国にとっては南シナ海問題は直接の利害がない・・これと言った無茶を言われていないこともあって、ほとんど気になっていません。
日本の場合、尖閣諸島侵犯に絶対に退かないし反日暴動が起きると→ASEANへの新規投資振替・・逆懲罰に出ていますし、レアアース禁輸に対しても調達先開拓で逆襲に成功しています。
日本の動きによって、中国が大量生産国になったと言っても実は先進国(日本)からの部品供給による加工組み立てで成り立っているに過ぎない・・高度部品を買わないと自国産業が成り立たない先進国相手に禁輸や不買運動など出来る訳がないことを理解したようです。
購入品が最終消費ならば消費者の気分次第でボイコットも可能ですが、加工貿易の部材購入の場合自分勝手・気分次第とは行きません。
日本を敵視した穴埋めのために独仏に秋波を送り、独仏とも喜んで参入にいそしんでいる・・何かと中国の肩を持つようになっていますが、独仏と日本では植民地支配の様式を見ても分るように技術移転の心構えが違うのでうまく行ってないようです。
最終消費の場である商店の焼き討ちは出来ても、工場はオヤ会社から部品・半製品供給供給がないと最終組み立て加工生産が出来ません。
中国が資源購入国相手には一時的に爆買いを前提に大きな顔を出来て来たことは確かですが、生産輸出のための原材料輸入である以上購買力無視の生産は限界が来ました。
中国が原材料を爆買いして来たのは内需によるものではなく、過剰生産力→輸出を前提にするものですから、設備が出来上がって稼働を始めると過剰生産問題・・買い手がいない現実に直面します。
稼働を始めると(借り物技術ですから製品競争力がある訳ではなく、ローエンド製品を沢山作っただけが自慢では出血(赤字販売)輸出するしかない状態になって、世界経済の撹乱要因になっている状態です。
赤字輸出を垂れ流しをすると競合製品国は困りますが、出血輸出とは言い換えればその多くを占める原材料コストを回収出来ない状態ですから、仕入れを止めるか従来どおり高い値段で買えないので、仕入単価・・資源単価が下がるしかありません。
中国の需要無視の巨大な原材料輸入が昨年来激減して来たのが昨年来の原油その他資源・国際物流市況の急激な下落原因です。
こうなると中国の爆買いを原動力とする中国の強引・乱暴な政策は出ばなをくじかれた状態です。
5月8日の日経朝刊5pには建機最大手のコマツ社長のインタビュー記事が出ていますが、これによると2010年にはショベルの世界販売の50%が中国で販売されていたが15年には1割に下がっていると書いています。
5月9日日経新聞朝刊4pには、中国の輸入が(安値を利用して備蓄用原油の輸入拡大しているにも拘らず)18ヶ月連続減と出ています。
一定期間経過で在庫がなくなれば、赤字販売・輸出のために生産する必要がなくなる・・出血輸出で稼いでいる結果、上記のとおり輸入が18ヶ月連続減ってもなお黒字状態・貿易黒字微減と書いていますが・・そのうち微減では収まらなくなるでしょう。
上記に比例して発言力縮小が始まっている筈です。

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