中国は欧米の要求に従って知財保護など法規制を作るものの、過去30年間にわたって実際に法規制無視の操業を黙認して来たことが道徳意識を退廃させる一方で、水質や土壌汚染ひいては大気汚染等マイナスをもの言わぬ国土に負担させてきた咎めが表面化し始めて来たことになります。
技術革新の結果中国が従来の相場である100を60に下げるならば世界にとってプラスですが、公害垂れ流し、安全無視、あるいは設計・知財の剽窃や人権侵害の結果による低価格実現では世界が迷惑です。
違法操業等による適正コスト無視の無茶苦茶な低価格輸出によって、世界はデフレ経済に落ち込んでいて世界中がどうやってデフレ脱却するかの処方箋に悩んでいます。
日本の長期デフレの元凶は中国からの破格に安い価格製品の流入によることは明らかであって、これは金融政策の失敗によるものではありません。
金融政策で一時的にデフレマインドを変えるなどの対処が必要であったかどうかは別ですが、原因ではありません。
紙幣大量供給や公共工事で需要喚起すれば太陽光発電設備の大量輸入になるように、適正コスト負担しない中国から破格に安い製品が流入するのでは、尻抜け状態でいつかは金融政策の原資が枯渇します。
世界のデフレを止めるには中国が適正なコスト負担して物を作るようにならない限り無理があります。
比喩的に言えば、法令基準に違反し盗品を10分の1の値段で横流ししている企業と適正コスト負担している企業とが価格競争しているのでは正常な競争になりません。
日本の伝企業カイがサムスンに負けたのはサムスンが日本企業から技術者を引き抜いて技術の剽窃をしているからだと言われていますが、(真偽は分りません)長年かけて研究して製品化した成果を日本人技術者にちょっと高給を払って盗み取れれば、こんなぼろい商売はありません。
サムスンは日本の最先端技術を盗み切った結果、(競合分野から日本企業が撤退した結果)サムスンはもはやこれ以上盗めないので今後の発展性がないと言われていますが・・。
劣悪環境で働いて中国人だけが苦しむだけならば、まだしも中国人の勝手だと言えますが、公害垂れ流しの規模が巨大になって西風に乗って日本列島にまで押し寄せて来るほどの規模になって来ると日本も被害を受けます。
汚染水を垂れ流し悪臭を放ち、有害空気を拡散する・騒音振動を気にしない工場経営では、働く人さえ我慢すれば良い・・労働環境が悪いだけではなく、近隣に住む人も迷惑を受けるような関係です。
現在では違法操業によるデフレ輸出(食品の場合健康被害)と公害の迷惑がダブルで日本に中国から押し寄せて来る状態になっていますが、日本人自身が中国人が劣悪な環境で生産している結果安く出来たものを喜んで買っているから、その効果を受けているとすれば、自業自得と言えるのかも知れません。
この後で書きますが、大気汚染は目につき易いし短期滞在の外国人も直ぐに(目にしみるとか喉がイガイガするなど)影響を受けるので大騒ぎになりますが、水質汚濁や土壌汚染は深く静かに進行していても居住者でさえ水俣病のような被害が出るまで分らないことが多いものです。
土壌汚染で育った食材で飼育した豚肉や中国野菜等を誰も食べたくないでしょうが、国民個々人は買い物では中国産は怖いと選別できますが、弁当や外食・出来上がった総菜では中国製が入っていても、その表示もないので消費者は選べません。
5月6日の日経朝刊21ペーには、TPPで焦点になっているアメリカからの豚肉輸入が多い理由が書かれています。
これによると和牛などは食べれば直ぐに違いが分るので、消費者に知られずに輸入品を売るのが難しいので牛肉輸入が限られているとのことです。
それでも牛丼店では狂牛病問題でアメリカ牛の輸入禁止で大打撃を受けたことが知られているように、国民がいやがっても輸入品は業者加工に多く使われる傾向があることが明らかです。
豚肉はハム等への加工に限らず直接食べても消費者には違いが分り難いことから、牛肉とは違い業者が大量に輸入している実態が紹介されています。