公約3

個人の場合、映画が好き、本を読むのも好き、旅行も野球も好きというのは勝手ですが、二者択一の場合どうするかの質問・・あるいは優先順位付けこそ公約には重要です。
輸出産業の苦境打開、TPP、農家保護、増税反対、財政再建、福祉充実等々それぞれが矛盾している場合があるので、政党としての優先順位こそ公約で書くべきです。
例えば拉致被害者奪回、靖国参拝の実行・竹島記念日の国家行事化、慰安婦問題の政府意見の見直し、あるいは尖閣諸島に常駐するという自民党の公約でしたが、一見選挙運動段階ではこれによる不都合を全く無視して実行するかのような公約でした。
ところが政権を取ってみると「そんな子供みたいなことは出来ないでしょう・・」とばかりに竹島記念日の国家行事化実施をさっさと見送りを決めて、逆に中韓両国に対して真っ先に関係修復のための特使派遣発表となりました。
それならそうと公約段階で言うべきではないでしょうか?
公約を実行するかどうかは、「万般の諸要素次第であって、直ぐにやる訳ではない」ということですから、公約は何の意味もなかったことになります。
(予算が許せば、という条件付きで)政権を取れば生活保護費を10倍に引き上げます、大学まで授業料全額免除します。国民全員に世界旅行券を配ります、税を半減します。・・・と言う公約をしたとすれば、意味がないでしょう。
自民党の勇ましい公約と中韓両国との関係正常化とどのように折り合いを付けるのか、どのようなタイミングでやるのか、何を何に優先させるのかが政権獲得後の今でさえまるで分っていません。
政党や政治家の公約は(自民党に限らず)国民の多くが支持しそうな項目別に迎合して意見を言っているだけで各項目を同時に実施したら矛盾関係になることが多いのですが、最終的にその政治家や政党がどちらを選ぶのかはまるで分っていないのが現状です。
状況に応じていつかやりたいというだけならば、(個人の願望でしかなく)公約とは言えないでしょう。
安倍自民党は具体的な金融緩和・円安政策論を選挙で全面に押し出しましたが、これは現状・・貿易赤字定着によって円安に振れる状況下で、現状に併せて言ったに過ぎず、本来政治で決められる性質のものではありません。
為替相場や金利動向などは4年間の任期中に経済ファンダメンタルズ次第でくるくると変わるべきものですから、前もって政治で決めて行けません。
円相場に関して言えば、長期的には経常収支の赤字が続くか黒字が続くかによって決まって来るのであって、政治家の公約や決断だけでどうなるものでもありません。
やる気にさえなれば出来ることは、(ランクを上げるのではなく下げる・無駄遣いして赤字にするのは怠けて贅沢していれば良いので努力しなくとも誰でも出来ますから)、長期的に貿易赤字を続けることくらいです。
成績10番の生徒が来年4番に上げるというのは努力目標に過ぎず、実現出来るかどうかは分りませんが、10番の子が来年ビリになるのは怠けていれば良いので簡単に実現出来ます。
円安=貿易赤字の長期化政策は、国民が国際競争に邁進せずに怠けていてドンドン消費拡大していれば良いだけですから、簡単に実行出来ますから、本気で政治の力で長期的円安を実現しようとしているとしたら、国民に怠けてお金を使え言っているとしか考えられません。
実際無制限な財政出動や日銀紙幣増刷っぽいことも主張しているのですが、これは言い換えれば国民の働き以上の支出をするべしと言う主張ですから、働き以上の支出をすれば貿易赤字になるのは決まっていますし(家計でも企業でも収入以上の経費をかければ赤字になりますし、その企業の株式相場も下がります)、結果的に国力低下=円安になるのは必然ですから、この点は公約どおり実現可能なのでしょう。
国民の働き以上の生活をさせて貿易赤字が定着するのを政治目標・国家経営を主張するのって、正気の沙汰でしょうか?
為替相場というものは市場の需給で決まるので、短期的には政治力・為替介入で行き過ぎ調整は出来ますが、(囲碁の例で言えば置き石の数が実力以上に多いとなれば市場反応を待たずに先取りでハンデイを下げる程度)経常的に赤字の垂れ流し国が一時的に為替市場で買い支えをしても長続きはしませんし、逆に長期的な黒字国でドンドン外貨が流入している国で、為替介入をしても一時的にはサヤ稼ぎのプロがこれに驚いて買い進みが一服する程度であって、長期的相場を押し下げることは出来ません。
貿易黒字のママで円が安くなればこんなうまい話はありませんが、それは一時的な介入効果にとどまり1〜2週間もすれば元に戻ってしまうのが普通です。
1〜2週間程度の短期的円安ですと、輸出業者にとっては今現在の取引の決済は何ヶ月か先の納品後が普通ですので、何の意味もないことです。
安倍政権の公約であった円安効果定着を本当に意のままに実現するには、貿易赤字にとどまらず経常収支でも長期的に赤字継続しなければならない・・ずっと怠けて贅沢しているしかない・・言わば亡国を期待する論理に外なりません。
インフレ・円安期待論は、亡国期待論に他ならないことについては、February 21, 2012「為替相場と物価変動2(金融政策の限界1)」前後とAugust 17, 2012「健全財政論11(貨幣価値の維持5)」で書きました。
しかも半年以上円安が続くと輸入物資・原材料費/コストが同じ比率で上昇する効果が出て来るので企業にとって差し引き貿易上の有利性は左程変わらなくなるので、結局は消費者物価の上昇分だけ国民生活を窮乏に陥れる結果になっておしまいです。
それでは困るので更なる円安を求めるとすれば、半年後には更なる消費者物価上昇になって国民生活の窮乏化が更に進みます。
韓国がウオン安策によって企業は儲かっているものの、韓国国民の窮乏化が進んでいるのはこの結果です。
このように自国通貨安は経済原理上自国の国力低下に比例して起きるものであることから、結果的に国民が窮乏化するのが一般的です。
こうした効果を期待するのって、一国の指導者のするべきことでしょうか?
どこの国でもその国の通貨価値の相場・トレンドはその国の国力の上下動に長期的には比例していますし、この経済原理から逃れることは出来ません。
長期的円安を期待するグループは、日本の長期的国力低下・国際的地位低下を期待しているとしか考えられません。
囲碁でも相手よりも強いから置き石で対戦し、将棋で言えば飛車角や桂馬落ちで勝負したりしますし、若者が入学試験の難しいところを受けたがるのは、より向上したい意欲があるからです。
置き石の数を5〜4〜3個と順次減らして、相手に勝ってみて・これが楽だと安住しているのでは実力が下がる一方です。
ただ実力以上の置き石で負け続けているならば実力相応に置き石を減らすことが臨時に必要ですが、それ以上の為替政策は論理的ではあり得ません。
入学試験のレベルの低い所に合格して楽勝だと威張っていても将来性が知れています。
出世したら大変だから昇進したくないと、グータラを決めているようでは将来が案じられます。
実力以上の円安誘導をして輸出競争に勝って貿易黒字が復活出来れば、その比率に応じて円が再び上がるしかないのですから、円安になって1年経っても2年経っても円安で楽だからと努力しないで更に競争で負け続けて貿易黒字転換を避け続ける=貿易赤字を期待しているのでは、最後は今のギリシャのようになるのを期待しているのと同じです。
レベルの低い学校に入ったらその分頑張って成績上位者になろう(貿易黒字を復活)とするのではなく、低位校にいれば勉強が楽だから、そこでもさぼって中位者のままの安住を夢見ているようなものです。

政権担当能力4(公約1)

アメリカの対日基本スタンスは、戦後一貫していて日本を支配下に置く・・支配下におけないまでもその弱体化が究極の目的だったと思われます。
周辺諸国もこれに同調しているので、日本は米中韓による悪意の包囲網下にあると考えていいでしょう。
極東だけで見れば中韓の言うとおりに、日本は戦後ずっと孤立して来ました。
・・最近は東南アジアやインドなどが強くなって来たので大分日本に有利な局面になってきましたが、米中韓包囲網から抜け出す気配のある日本に対して、米中韓が焦り始めたのが最近の日中・日韓緊張激化の根本原因かも知れません。
米中韓の包囲網からすれば日本の「政治の迷走は思う壷」ということで、能力のありそうな政治家に対してはアラ探しをしてこの対応に終始させて、他方で残った小者に対しては政権担当能力のなさをマスコミ・進歩的?学者を通じて煽って来たように思われます。
民主主義国家においては政策によって競うべきであって、政権担当実務能力をマスコミが煽ること自体、(野党には実務経験がないのは当然ですからこんな基準が幅を利かすと政権交代が出来ません)選挙による政権交代を前提とする民主主義政体をぶちこわす行為です。
実務能力基準と言い出したら20年前ころまで普通だった地方自治体首長が助役や副知事上がりの時代に戻り・選挙は儀式でしかなくなります。
石原前都知事が殆ど登庁しなくとも成り立っていたのは、(有能な副知事がいたとも言えますが・・)本来政治家は大所高所からの方向を決めれば良いのであって実務は官僚に委ねるべきでしょう。
実務能力を言い出したら官僚上がりが一番ですから、政治家不要論・民主政体が成立しません。
民主政体が良いと言う以上は政治家が決める方針に併せて官僚機構が責任を持って準備して、且つフォローして行くべきでしょう。
政治家は官僚のようには実務経験がないのが当然ですから、民主政体を選択している以上は、実務処理能力を基準に議論する最近のマスコミ傾向は間違っています。
防衛大臣で言えばシビリアンコントロール・軍事のプロではありません・・に矛盾することが明らかでしょう。
実務処理能力不足問題は、与野党が変わったときに官僚が充分に下準備して補佐すべきことです。
ただし、 官僚機構がいくら準備しても出来ないことは出来ませんから、公約発表には与野党を問わずに実際に可能かどうかの官僚機構との事前擦り合わせが必要です。
野党が法案提出するには、条文にするにはどうするか、他の条文との整合性はどうかなど専門家とのすり合わせが必要なのと同じやり方です。
ただし、Dec 1, 2012「民主主義と正義9(選出母体の支持獲得1)」に書いたように、現在では国民政党化している・・支持母体が錯綜しているので、どの政党も公約に責任を持つとすれば、独自色・特色を出せずに「よりよい日本を作る」「日本を元気に」という程度の抽象的公約しか出せません。
国内企業立地が国際競争上不利になっても良いという意見は、労働者であれ資本家であれ誰もいないでしょうから、争点はもっと具体的な企業保護政策・逆から見ればどこかがその分しわ寄せを受けるかに論点が下がっていますが、これは裾野が広過ぎて公約には書き切れません。
書けるとすれば、政策選択基準を開放経済中心で行くのか国内企業保護で行くのか、農家保護中心で後はおかまいなしか企業保護中心か労働者中心に軸足をおくのか、高齢者中心か若者中心か程度は自分の立ち位置を明らかにすべきでしょう。
ところが、上記12月11日に書いたようにどの政党も労働者からも企業からも農民票も高齢者票も若者からも総体からの票が欲しい・八方美人のために政党色が表面に出ていません。
当選したら何をするのからない状態での投票勧誘・公約ですから、困ったものです。
農家保護子供手当その他諸々細かい項目ごとの賛否を公開質問しているのですが、これらを見ると個別項目と他の項目が相容れない場合が多くあります。
どちらを優先するかの質問がないから、どの項目にも賛成の大そうな選挙に有利になりそうな回答を選んで気楽に答えているのでしょう。
たとえば国際競争力の維持向上政策の必要性は誰も反対しませんが、それと原発維持拡大しあるいは縮小とどのように整合性をつけるのかの立ち入った質問も回答もありません。
都市政策に関して何回も書いていますが、旧市街地街の再開発と郊外の新市街地開発とは高度成長期には両立していたので政治家は気楽に主張していました。
今はどちらかをやめないで両方に投資して行くのでは、財政が持たないし人口減少地域は無理があります。
原発即時廃棄と燃料輸入増による電力料金の値上がりや貿易赤字をどうするのか、福祉充実と増税反対など、いろんな矛盾項目(実際には2項対立どころかもっと複雑です)をセットで考える必要があります。
一人の人間・・政党は同時にいろんなことを決めなければらないのですから、優先順位を付けて質問をし、回答を求めないと意味がありません。

 政権担当能力3

参院選挙後なお安倍政権がアメリカに譲る気配がない・・意外に手強いとなれば、再び政権担当能力批判の展開・・他所のヤクザ・・中国をけしかけて領海侵犯をエスカレートさせるなどして揺さぶり、他方でマスコミに安倍氏の無能ぶりを大々的に報道させて再び政権転覆を仕掛けるのでしょうか?
政策批判ではなく政権担当能力批判で良いとなれば、言わば揚げ足取りをしていれば良いのでマスコミにとって政権転覆操作は簡単です。
マスコミにとってはゴシップ探しも要らない・・無数にある映像の中で歪んだ口周辺の露出・前後の文脈を無視して一部だけ取り出して報道するなど、頼りなさそうに演出することはいとも簡単です。
(今回は今のところ笑顔の良い顔ばかり報道されていますが、麻生元総理の場合は当時ことさらに口周辺が歪んだ映像ばかり報道されていました・・このようにマスコミの方向性次第でいろんなイメージが簡単に作り上げられます)
本当は国民に人気がなくても韓流が如何にも良いものかのように大々的に演出した場合・・例えば事実に反して視聴率8割と虚偽報道しても、身近な多くの知り合いが誰も見ていないと化けの皮が直ぐにはがれますが、総理や大臣の頼りないイメージ作出の場合、国民は彼らを直接知らないのでいろんな表情や言い回しの中でそう言う写真や音声ばかり切り取って報道し続ければマスコミのイメージ造りが簡単に一人歩きします。
政策ではなく、担当能力と言うイメージで政権批判する風潮は困ったものです。
尖閣諸島の挑発が続いてもアメリカの応援が期待出来ないとなると、日本では米軍基地の存在を意味がないと思う人が増えるでしょうが、アメリカとしては日米同盟を破棄して戦前のように孤立化に走る勇気がないと見越しての米中の連携プレー的な嫌がらせです。
安倍さんの年来の主張・戦後体制・・極東軍事裁判の虚構性の見直しなどとても出来る情勢ではありません。
安倍政権が本気で国益を守るつもりならば、アメリカの意向によって動くマスコミとの対決を辞さない覚悟・備えがいります。
これをしないで密室で大幅譲歩して・国民の犠牲で政権維持するようでは、国民が困ります。
マスコミ批判が強くなれば、安倍氏が意外に対米交渉で頑張っていることになり、政権維持のために密室交渉で赫々たる成果を得たと報道される場合、逆に裏で大きな譲歩をした可能性が高まります。
アメリカと仲良くやるのは良いのですが、正々堂々とアメリカの要求とこれに従うときに我が国の損失・・その犠牲を払っても同盟を強化して尖閣諸島を維持する必要があるかどうかを国民に開示して国民議論でこれを決めるべきです。
重要なことに限って民意を問わずに選挙後にやる・・密室で政治家個人の利益と引き換えに取り決めるのは民主主義の原理に反します。
アメリカの嫌がらせが続けばいくら鈍い日本人でも、アメリカの言うとおりにしないと大変なことになると気がつく・・口惜しいかどうかの次元ではありません・・何かを譲るしかない・・そこまで言うなら中国側に着いた方がマシかという国民判断が出てきます。
アメリカからの脅迫と中国からの脅迫があって、どちらに屈した方が得かの国策判断です。
ところで、安倍政権は選挙の争点にはしないで、選挙後にTPPの決断をすると今から匂わせています。
何の決断もしないでズルズル行けば自然消滅ですから、敢えて参加しない決断をしなくとも良いのですから、参院選挙後に決断をするということは参加表明すると言う意味でしょうか?
野田政権の消費税増税に始まり重要な政治決断は国民の信を問わなくても良いという政治スタイルが定着して行くと、いよいよ政治不信が高まるのが心配です。
そもそもTPPが日本にとって項目別に何が有利で何が不利かの一覧表を何故かマスコミが提示しないので、どの項目にどう言う理由で反対していてどの項目にどの理由で賛成する人がいるのか国民にはまるで分りません。
最近ネットで少し出るようになってきましたが、それも一方的なので聞いているとおかしいなと思う主張が多くあっても、それに対する反論→再反論がないままですから、十分納得出来ない半端な状態です。
これも繰り返すうちにもっと説明が緻密になって行くのでしょうが、今のところ何故双方が必死になっているのかがはっきりしません。
双方共に具体化しないママ争っているのを見ると、実は選挙後に野田政権のやった消費税増税のようにイキナリ参加表明したら、そのとき反対していたことを忘れたフリして支持する思惑があるのでしょうか?
安倍政権支持層に連なる論客の多くは、昨年末の総選挙直前ころから「増税では産業が萎縮するだけだから、それよりは財政出動・景気対策だ」と口を揃えて言っていましたが、じゃ、消費税増税法案のときに何故反対しなかった(党議に反対しなかった)のか(それどころか推進していたのか)について口を拭って知らん顔です。
消費税増税法案に反対して民主党が大きく割れたのは僅か数カ月前のことですが、自民党で今の政権中枢に入った人々・誰一人として造反していたとは聞きません。
こんなに短期間で著名な政治家や経済評論家が党利党略で真反対に豹変しています。
消費税法案に関する与野党合意は民主党を分裂させるための罠だったとしか考えられません。

政権担当能力2(マスコミ支配)

昨年末から書いているように、マスコミは戦後ずっと米英支配下にあるので、政権が中国寄りになること自体不快に思っている外に、韓国のようにアメリカ・IMF官僚の言うとおり・・経済植民地化に応じない・しぶとい自民党(ひいては日本国民)を追い込むために、マスコミ操作して来た可能性があります。
韓国のように欧米資本が全面的に牛耳って植民地化すれば、その資本・企業が中国といくら取引しようと構わないのが欧米の戦略です。
日産のように外資が過半を占めれば、最早日系企業ではありません。
韓国の大企業がぐんぐん欧米で伸びているのは欧米資本になっているから・・韓国の無茶なウオン安・・いきなり約半値になりました・・政策を欧米はまるで批判しません。
むしろ日本民族資本のトヤタやパナソニック等を追い上げるのを喜んでいる・・応援していると思われます。
サムソンとアップルの争いと言っても、韓国とアメリカ企業の争いのよう日本からは見えていますが、実質はアメリカ資本同士の争いです。
(だからサムソンは遠慮なく戦える面があります・・日本企業だとこんな全面戦争はとても無理でしょう・・)
トヨタはインチキクレームで巨額損失を出したので、本来損害賠償請求すべき立場でしたが、逆に訴えられていた事件で何百億もの和解金を払うことになったとつい最近報道されています。
・・アメリカで長期訴訟に巻き込まれているマイナスの方が大きいという変な判断ですが、民族資本のママだとこのような不当な結果ばかりが待っています。
中国リスク報道ばかり目につきますが、アメリカの方が実は不当な恐喝的行為の多いカントリーリスクの大きい国ですが、巨額でない限りアメリカに支配されているマスコミは滅多に報道しません。
中国批判・対立しながらも中国へのアメリカ企業の進出自体をアメリカは奨励しています。
しかし、欧米企業のママの進出競争では日韓や台湾にとてもかなわないので、日韓、台湾企業の資本を抑えて間接進出すればアメリカ企業の進出と経済効果は変わりません。
マスコミは日本の株式市場や債券市場が外資に魅力がないとしきりに・・ことあるごとに騒ぎますが、(今朝の日経朝刊にもこうした記事が出ています)私がこれまた毎回書いているように国債やトヨタ等の株式の大半を外資に引き受けて貰うことに反対です。
国内でほぼ全量賄っているからこそ、いくら国債が膨らもうと外国からとやかく言われなくても済む・・独立性が保てるし、円高になったくらいで安易に海外に逃げないで歯を食いしばっても国内にとどまる努力をしてくれる・そこから新たな円高水準でも海外で戦える新規事業が生まれる芽が残ります。
欧米は日本の国債・企業等の資本支配をして、そこからアジア進出をしたいのが本音でしょう。
(資本受入れに応じない・・企業買収に簡単に応じない日本企業の中国進出に対しては、戦前の機会均等要求同様に日本の突出した中国大量進出にアメリカは不満を持っていますが、戦前と違って機会は均等なので表向き仕方がない状態です。
(・・中国でのデモ・暴動等を背後でけしかけて日本の進出意欲を殺ぐくらいでしょう)
小泉政権を継いだ自民党3代政権・構造改革路線に反する政権に対するマスコミの揚げ足取り的集中砲火は異常でした。
このころから韓流の大量報道に始まり、マスコミの自制(表向きの政治的中立)がなくなり始めた時代と言えるでしょうか?
マスコミは政権批判の材料として安倍→福田→麻生とどれも世襲でひ弱で政権担当能力がないという集中砲火を浴びせて次々と総理を代わらせて最後に下野させるのに成功しました。
そもそも政権担当・実務能力などと言い出したら、マスコミの標的次第でいつでも集中砲火が可能ですから、マスコミの狙い撃ち次第になります。
実務能力を基準にすると政権担当経験のない野党に政権交代する選挙制度・民主主義制度自体論理矛盾になります。
政権担当実務能力という基準で攻撃出来れば、どんな政権になっても気に入らない政権の場合いつでもマスコミを使って倒すことが可能になります。
ひいては「意に反すればいつでも倒せるのだぞ」という脅しにマスコミを使えることを意味していますが、もともと中立を装ったマスコミの威力は巨大でしたが、この4〜5年のマスコミの動きは露骨過ぎたように思います。

社会安定期の政権担当能力1

安定成長=本来政治安定期になる筈の我が国が、逆に政治混迷期に陥っているように見えるのは何故でしょうか?
政治の基礎になるべき社会生活の安定性はこの約20年で際立って良くなっています。
交通事故死、犯罪率その他全ての基礎的指標が良くなる一方です。
(昔なら病死していた人が生きながらえることによる介護疲れによる虐待や殺人事件がありますが、それでも殺人罪や暴力の絶対数は減っています)
自殺者の増加・高位安定が問題視されていますが、これは生活基礎の安定に反する指標というよりは、病気になっても簡単に死ねない面が大きい・・医療の充実による療養長期化による面が無視出来ません。
我が国のバブル崩壊後の政治低迷は、我が国政治の舵取りの難しさにあります。
少子高齢化で世界トップを走っていることその他世界最先端生活水準に突入している我が国の場合、お手本になる先進国がありませんから、お手本を勉強するのに優れている秀才の言うとおりやれば良い簡単な国ではありません。
我が国政治決断には学者・評論家のような単純回路ではなく複雑回路が必要ですので、何事も単純回路で考えて明確な結論を出したがる学者・評論家の言うとおり実行する方が、誤りが大きいと思われます。
(学者の論文は、「その他の与件が一定とした場合こうなる」という単純な論法ですが、実際社会では与件が決まっていることは何一つありません)
中国のように我勝ちに電車に乗り込む社会では、日本のように並んで待ちましょうとか道路につばを吐かないようにしましょう、街を綺麗にしましょうという教育が簡単ですが、日本では現在社会で守るべき理想的道徳が自然に守られている社会ですから、これをこう変えたら社会が抜本的に良くなるという指導の余地が滅多にありません。
こう言う状態下では目覚ましい成果を得る政治家を求めるマスコミ風潮では誰が政治家になっても、無い物ねだりとなりますから、「誰がなっても同じだ」「投票したい人がいない」と言う政治家に対する不満(本当は当たり前のことです)が生じ易くなります。
この結果政策批判よりはマスコミが政治家のあら探しに終始して国民に不満を起こさせるようにしむけていて、これに国民が引っかかって来た・・政治不信を醸成されて来たのがこの約20〜30年であったように思います。
中国の改革解放化以降、ともすれば中国傾斜する日本の心理をアメリカが必死に引き止めるために、マスコミを利用して腹の太い有力政治家が出てきそうになると政策に関係のないあら探しで引きずりおろすことの繰り返しで、日本の政治は低迷を続けて来ました。
この間唯一小泉政権は、日米基軸で反中韓政策一本槍で分り良かったので(アメリカ支配の)マスコミからも喝采を浴びましたが、小泉氏の指名で政権を引き継いだ安倍氏は、就任直後先ず中国に飛んで日中修復に動きました。
郵政民営化もうやむやにする方向になって民営化に反対した議員の復党も認める方向になって行くなど全て小泉改革の逆方向へ舵を切ったのが安倍政権でした。
強気一点張りの政治は長く続かないので、ある程度修復の必要性があるのは仕方がない面もありますが、安倍氏の政策は表向きの意見とは違う逆方向・・うやむや政治になるのが安倍政権の特徴だったと言えるでしょうか?
今回の竹島や尖閣諸島騒動の沈静化に関しても、選挙戦での威勢のいい主張とは真逆で安倍政権になると日本側から関係修復のために先に特使派遣というのでは「?」と思う人が多いと思います。
これ以上日本側からこじらせる必要はない・・大人の対応は良いことだと思います。
ただ、今回は(・・これまでもいつも中韓からの仕掛けで始まったことが多いのですが・・)韓国や中国の仕掛けて来たことに日本人が腹を立てていることであって、日本から何もしていないのですから、向こうから「やり過ぎたとか、言い過ぎた」とかの陳謝なり何なりの沈静化特使を送って来て、日本がそれ以上追及しないでうやむやに終わらせるのは分りますが、相手が言いたい放題言っておいて知らんぷりなのに、何故日本が先に謝りに行くのでしょうか?
相手から特使が来るまでは、そんな失礼なことを言ったり、する国とは距離をおいて交際して行く・辛抱の継続で良いのではないでしょうか?
日本の体力では距離をおいて交際して行くことが出来なくなったから謝りに行くのでしょうか?
この辺の実態が素人には見えませんので政治家に委ねるしかないですが、もしも突っ張り合いしていると日本の方が参ってしまうという国力差があるのでしたら、始めっから喧嘩しなければ良いのです。
(実際対アメリカではこのスタンスでやってきました)
個人の場合も弱い方は喧嘩しないで始めっから尻尾を巻いて逃げるのが普通です。
しかし、自民党政権は何十年もこう言うやり方でうやむやにして来た前科があるので、日本の方が体力的に参ったから・・という推測が出来ません。
ホンの少し前まで中国は日本のGDPの4分の1程度だったのですが、それでも今までやられ放題でしたし、今でも対韓国では日本と大きな国力差があります。
自民党政権はこんなことの繰り返しばかりして来たから、中韓は何かやればその都度既成事実となって行く・・・味を占めて図々しくなる一方だとして国民が怒ってしまったのではないでしょうか。
話題を日米関係に戻しますと、どちらかと言うと小泉政権の日米蜜月から日中修復トレンド・・アジア寄り(アメリカ軽視)に舵を切ったのが、第一次安倍政権だったと言えます。
ネットで見ていると安倍氏支持層に重なる右翼による小泉経済政策批判・新自由主義経済路線・構造改革路線はアメリカに日本を売り渡すものだという論法・・現在のTPP批判論と共通する言い方ですから、安倍政権は日米同盟強化を標榜して、しかも真っ先にアメリカ訪問を言っている割に内容実質は安倍政権支持層の経済・思想観は反米親中国政権の実質を持っています。
左翼系グループ言論人も(もともと反米思想グループですから異とするにはあたりませんが)非正規雇用増加・格差批判論としてアメリカ渡来の新自由主義批判論を展開していることについては September 7, 2012「マイナス利回り2(消費信用1)」で紹介しました。
ナチスやファシストあるいは戦時中の右翼は極左と根は同じ思想であったと10/08/09「右翼と左翼4(市場経済の重要性1)」その他で書いたことがありますが、今でも同じです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC