絶えざる生産能力のレベルアップがあればこれの遅行指数として消費レベルが継続的に上がって行きますが、いつまでたってもロ−エンド製品の製造現場としての工場しか存在出来ないとすれば、所得水準がそれ以上向上しませんので消費レベル向上が一巡すればそこで頭打ちになります。
・・しかもその分野さえもベトナム・ミャンマー等に奪われて行くとすれば、失業の増大で消費レベルが下降傾向を辿るようになってもおかしくありません。
先進国が新興国の追い上げで軒並み失業増に見舞われているのは、先進国の生産性上昇速度よりも新興国の上昇速度の方が速いからです。
同じことが、中進国の入り口段階である中国がベトナム等に追い上げられるようになると失業率増加が始まります。
比喩的に言えば、現労働人口の5%がワンランク上の技術を獲得しても残り95%がベトナム等と同レベルの技術しかない場合、彼ら後発国が仮に中国の5〜10分の1以下の賃金で競争参加してくれば、95%の労働者の失業問題に直面します。
上記は単純化・比喩的説明であってそのとおり労働市場が極端な動きはしませんが、中国にとっては大変な事態が迫っています。
韓国の高失業率・・売春婦の世界進出は、まだ先進国の入り口段階に過ぎない韓国で既に中国等の後発国の挑戦を受けて上記の異変が始まっていることを表しています。
それぞれの国民レベルに応じて成長が止まる段階・ステージがあり、そのときから後進国の追い上げによる失業率増加傾向が始まるのは世界共通の原理です。
韓国の一人当たり国民所得については、統計上は日本の2分の1まで迫っていますが、国内総生産を人口で割った統計では庶民同士の生活水準の比較が出来ないことを以前書いたことがあります。
高齢者で言えば自宅の有無や豊富な有価証券保有者・年金収入のある人とない人の間で、フロー収入比を比べても生活水準格差を知ることが出来ないのと同様です。
(億単位の資産を持つ高齢者よりも掃除夫をしている人(無産者)の方が賃金収入が多いでしょうから、フロー収入を比較するのは無意味であることをジニ係数等のコラムで連載しました)
財閥系企業の独占的利益率の高い韓国では1つには貧富格差が大きいことから労働者の平均賃金が国内総生産比では日本より実際は低くなります。
(アメリカや産油国等資減収入の多い国も同様です)
これに加えて韓国ではアジア危機以降外資による株式保有比率が高まっていることから、企業利益の多くが海外流出しているので(・・労働分配率が仮に日本と同率としても)資本収益部分は海外流出するので、国民個々人・労働者単位で見た平均所得は全体の統計で見るほど高くはありません。
(実際の末端人件費は半分にも到達していません)
日本の場合逆に海外からの利益送金(所得収支の黒字)が莫大で、しかも均質性の強い日本ではこれが国民に分散所得されています・・株式のない人でも年金等として分配されています。
アベノミクスで株価が上がっても弱者に関係ないという意見が多いのですが、国民皆年金制度下では、年金の資金運用益がマイナスになるかどうかに株価は大きな影響を年金財政・・年金料金の引き揚げ問題)に与えます。
(結局は純債権国から純債務国までの分布状態の問題です)
これに加えて中国が無駄な工事をしても国内総生産が上がったことになるように、韓国の場合では日本に比べて軍事費比率が日本がGDP比1、0%に対し、2、6%と高いので、その分(そこに食われているので)国民の実質所得がさらに低くなります。
それなのに、この低い段階(日本より人件費がかなり低いのに)でサムスンなど財閥系企業は中国等への進出を加速していることによって、韓国国内産業空洞化が起きて悲惨な状態(売春婦が世界に進出して世界中で問題になっているほど恥ずかしい状態はありませんし、それだけ苦しいということです)になっています。