話題がそれましたが、虚偽データ社会に戻しますと、研究者・エコノミストは、5月26日まで書いて来た中国の虚偽に満ちたデータの性質を理解すれば、中国政府発表数字だけで議論していられない筈です。
ところで、このコラムがデータねつ造問題から少し遠ざかっている僅か10日間ほどの間に大手マスコミでも中国のデータの虚偽性を堂々と論じるようになって来て、この種の記事が遠慮なく出るようになってきました。
昔とは違い、今では実際に多くの人が中国に出入りしているので、そこで受ける実感・・製品在庫の山等の目撃情報を無視出来ません。
実感では経済は成長どころかマイナス成長イメージなのに、大手マスコミだけが中国政府発表どおりに、毎年7〜8%も成長している・・景気が良いから早く進出しないと損だと煽り続けるのは無理になって来たからでしょう。
マスコミやエコノミストは世界主要国の対中投資額や貿易収支の合計と中国発表額の突き合わせ、その他の努力を(外貨準備額であれ何であれ・・)すべきでしょう。
私のような弁護士の仕事の合間にコラムを思いつきで書いているアマチュアには、諸外国データと突き合わせる作業は難しいですが、エコノミストは経済分析を専門にして生活して(収入を得て)いる以上は、その程度の労力を惜しむべきではありません。
中国の外資流入額に関しては2013/05/24「外資流入減5(虚偽データ1)」のコラムで外資流入額推移に関するグラフを紹介しましたが、何故か2010年以降のグラフがネット上ではまだ出ません。
上記グラフは政府統計ですからそれ自体怪しい(信憑性が乏しい)のですが、その上に権力による実需に反した規制があれば、やみ取り引き・資金流入が規制の強さに比例して多くなるのが原則です。
最近中国の貿易黒字が相手国の発表に比べて大きすぎるという世界批判・・従来は日本のネトウヨがネットで批判している程度でしたが、・・今はこれが世界世論になって来て無視出来なくなったのでこれに答える形で、輸出代金受取に仮装したヤミ短期資金の流入があると公式に認めるようになってきました。
政府が貿易収支を操作して発表していると認めたくないので、こうした形で言い訳を始めた・・一部事実でしょうから一応の言い訳になっています・・。
この結果、中国政府としては格好のつく形で貿易収支大幅黒字の修正に動き始めたので、4月までの毎月の貿易黒字14〜5%増から一転して5月の収支は僅か1%増という発表になりました。
中国政府の言い訳どおり(統計を操作していたのではなく投機資金が紛れていただけ)としても、いずれにせよ貿易黒字は見かけより少なく、実際の外資流入は上記グラフ以上にあったことになります。
最近の数字については以下の意見が参考になります。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-11471030607.html
勝又壽良氏の経済時評2013-02-20 04:13:00によれば以下のとおりです。
「資本流入に異変起こる」
『ブルームバーグ』(1月17日付け)は、次のように伝えている。
①「中国商務省が発表した2012年の海外から中国への直接投資は前年比3.7%減の1117億ドル(約9兆8500億円)となり、2009年以降で初の減少となった。
景気減速に加え、製造業者がより労働力の安価な市場に拠点を移したことが響いた。一方、中国から海外への直接投資(金融除く)は28.6%増の772億ドルと過去最高を記録した」。
上記紹介した勝又氏の記事によれば、外資流入が減り始めたことは分りますが、前年比3、7%減っても1117億ドルの流入があったと言うのですから、2011年には(公式発表だけでも)1159,9億ドルの流入があったことになります。