国力低下に伴いじりじりと円や国債の価値が下がって行く・実力に合わせた円や国債下落は仕方がないとして、仕手筋による催促相場を超えた乱調気味になったときには一時的に市場を正常化させるための介入手段・アメリカに勝てないまでも中小国の侵略を防ぐに足る程度の防衛力維持が必要なのと同じ論理で・・ある程度の防衛力を準備しておくべきです。
これからは円高相場介入準備よりは、イザというときに国債暴落相場介入の必要性の方が、現実的・・しかも暴落すると国家経済にとって致命的なことになるので、介入・危機管理能力が問われるかも知れません。
実力=経済的基礎と全く関係のない仕手・過熱相場戦は起きないので、危機がささやかれるに足る相応の原因があってのことですし、仕手筋は日本政府は支えきれないと読んだときに行動するものですから、暴落相場に一旦突入したらどんな準備をしていても手の付けようがないかも知れません。
大暴落による急変・・経済活動麻痺を防ぐためには、実力低下が始まって来たときには、これに合わせて円下落をそのまま受け入れて行くことが肝要です。
実態を糊塗するために無理に円下落を防止せずに徐々に下落させて行けば、ダム決壊のような大暴落が起きません。
国債下落問題も経済実態に反して無理な信用維持をしているとその差を狙って突っ込みが入って却って大混乱になるので、徐々に信用が低下して行けばいつも経済実態に合致していることになります。
現在のアメリカドル下落は長年双子の赤字なのに超大国の威信によってドルが実力以上に高く維持されて来た無理が出て来ただけのことです。
経常収支が赤字転落し始めると対外的にも収入よりも支出が多い借金経済になり、一定期間経過で我が国が純債務国に転落しそうになったときに、論理的にもそのトドメになるのでしょうが、それがいつかは今のところ誰にも分りません。
アメリカの場合は、唯一の超大国だったので純債務国になってからも赤字の垂れ流しをし続けても最近まで持ちこたえていましたが、その限界が近づいたのが2008年秋のリーマンショック以降の波状的危機の始まりです。
軍事力その他で無理していた分、下落すると大きな下落になる可能性があります。
純債権国とは言っても、海外投資残高は金融資産と違い直ぐに換金出来ない性質のものですから、純債務国に転落さえしなければ良いのではなく、換金可能な外貨準備・金融資産が減って来たときから危ないのです。
逆から言えば、純債務国でも毎年黒字計上している堅調な国であれば、その紙幣の下落はありませんし売り浴びせも受けません。
経常収支が赤字になると、且つ国内金融資産残高を国債残高が超過し始める前から、ちょくちょくと投機筋の標的になり始め、その都度何とか凌いだとしてもいつかは、本格的な国債の大暴落が始まる前触れですから、破綻が近づいている可能性を否定出来ません。
ゲルマン民族の大移動も初めっから大規模だったのではなく波状的に起きたものです。
年に100兆円ぐらいづつ国債残高を増やして行くと、他方で国民の方は高齢化して来て金融資産を食いつぶして行く人が増える一方ですから、現在1400兆円の金融資産はその内1000兆円台に減少して行くでしょうから、この交差点と経常収支の赤字化の交差点が意外に同時期頃に来る可能性があります。