護憲運動3と愛国心2

憲法論に戻りますと、憲法の有効性は、日本国民のためになるように「修正」解釈すれば有効であるし、国民の利益に反する解釈すれば、憲法の存立意義がなくなり、異民族の制定した憲法として無効にする外ありません。
商品で言えば不具合が出たら改良すれば、商品寿命が延びますが、創業者の作ったものだから絶対に改良しないと言う「護憲・超保守」に徹すると、その商品寿命が短くなり、新商品開発の必要が出て来ます。
護憲勢力と言う熟語が本来意味するところは、憲法を時代の変化に対応させる・・有効化するために合理的解釈して、その存続を図るの(建物や遺跡が古くなれば補修するなど)に努力する勢力のことです。
ニッポンで護憲勢力と自称する勢力は、異民族支配のために作った不合理な憲法をそのまま押し通そうとする・・解釈の範囲が狭く柔軟性がない・有効期間の時間軸を短縮する方向に働く勢力ですから「護憲運動」の定義からズレています。
護憲と僭称する勢力は、日本民族維持の利益になるような修正解釈反対論=日本は非武装・・自衛のための軍備も持てないと主張していますので、結果的に国民主権の原理からして、憲法実質無効論を誘発するための勢力・・自主憲法推進論の範疇に入るべきです。
護憲勢力を僭称する立場は、早く憲法の寿命が来ること目的にしているように見えるので、その目標は反護憲勢力であるべきですが、逆に護憲派と僭称しているので、目くらまし・・ややこしくなっています。
新しい事象に対応することに何でも反対する超保守団体が革新系と僭称していたり、少数意見を通すために「市民の声を無視するな」と言う合唱も同じです。
小数意見を市民や国民の声と言うでしょうか・・ちょっと考えれば分りますが、民主国家においては国民の声とか市民の声と言う場合、選挙による民意・・多数意見を言うことになります。
文化人と言う自称もおかしな宣伝で、自分たち以外は野蛮人とでも言うことでしょうか?
前回から「護憲勢力は嫌らしい」と表現している所以です。
政治・外交評論家として活躍している元外交官「佐藤優氏」の解説を聞くとこんなに「イヤらしい・ひねくれた見方があるのか?」と言う意味で彼の意見が参考になりますが・・これを彷彿させる戦略です。
国際関係は狡猾な人の集まりでしょうから、佐藤氏のひねくれた?観察眼が役に立つ面があるでしょうから、一定の人気があるようですが、国内政治にこれを持ち込むと純朴な国民は簡単に惑わされてしまいます。
すなわち「民族の主権を守るための合理的解釈はイヤだ」しかし「国民主権の精神に合うように憲法を改正するのもイヤだ」アメリカの本心・日本の自衛権強化期待に反対するために「アメリカの作った憲法違反をアメリカに訴える」と言う意味の「護憲勢力」です。
これを「イヤらしい主張だ」と言わずに合理的に解釈するには、「憲法は異民族支配の道具で良い」「日本は永久に周辺国に隷従すべきだ」と言う立場と理解すれば一貫します。
先祖からの家を守るには、時代に適合した電気や暖房設備を入れたり五右衛門風呂をガス湯沸かし式風呂に変える・薪で炊いていたカマドから電気炊飯器に変える・・窓をサッシに変えたり・囲炉裏をストーブにしたりして、使い勝手よくしながら住み続けるのが本当に先祖の建てた家を大事にする姿勢です・・。
家が大切だからと言って、何の手入れもしないで「立派だけど寒くて使えないんだよね」と使わないで放置しておくのは、廃屋化を早める行為であって家を大事にしていることになりません。
右翼が伝統を強調する勢いで、全てにわたって、古来のママで修正をしない・・「女は男に従い家を守れ・・」とまでと言うと、却って日本の姿・・にっぽん民族の特徴・・外来文物を受入れて柔軟に変えて行くしなやかな能力が腐ってしまいます。
右翼も左翼も思想のあり方は同根で、実質硬直性が特徴で変化に対応出来ない点は同じです。
革新政党は実は「何でも反対」の超保守勢力を意味して来たのと同じで、彼らは逆の用語を「イヤらしく」利用する傾向があります。
日本人はアメリカに対する配慮から「異民族支配のための人道に反する憲法だから無効」と言い切れないのを悪用して「憲法を守れ」と言い張るのは、・・幕末に(神君の定めた)「祖法を守れ」と攘夷決行を幕府に迫ったのとおなじです。
当時・・幕末に幕府が攘夷決行して欧米諸国と正面から戦うと勝ち目がないのが明らかでした。
もしも幕府がマトモに「祖法」(憲法?)に従って戦えば、結果的に中国その他東南アジア諸国同様に・・日本が欧米の植民地になってしまうリスクがあって幕府が英仏蘭等の海軍と戦うことが出来なかったのを承知の上での無理強いだったでしょう。

護憲運動2と愛国心1

私が公害反対・・工場の操業停止仮処分申請運動に参加しなかった理由として、ソ連や中国のひどい公害には何も言わないで日本の進んだ公害防除装置の不備だけを強調して操業停止運動する偏頗性にあったと書いてきましたが、(核実験反対や原発反対も含めて中ソに関しては何も言わない)平和運動も同様の偏頗性が目につきました。
このため、一般の人権擁護活動と違う各種反対運動には参加したことがありません。
この辺のことは繰り返し書いて来ました。
アメリカ製憲法を賞讃しながら実質アメリカの推進する政策に反対する運動は、アメリカにとっては、苦々しい限りでしょう。
ベトナム戦争やイラク戦争への参加をしない理由として反戦運動の激しさ・・平和憲法を理由にして「日本は参加出来ない」で済ましてきました。
ここまでは左翼・文化人の主張は日本人(少なくとも私)の正義感(イラク戦争は対日開戦同様の言いがかり・・不正な戦争と思っています)正義に反する武力を用いないと言う国益・・正義感にもあっていました。
しかし、アメリカによる不正義な戦争に加担させられるのではなく、中国の不正義な膨張主義=日本の安全に直結する東シナ海や南シナ海の安全保障の維持努力にまで反対するようになって来ると、何のための政治運動か?・・護憲運動・平和運動は方便だったのではないかの疑念が生じます。
戦後の人権擁護活動や平和運動家の本音は・・日本の国益よりは、日本侵略目的の旧ソ連や中国の国益を守る目的でずっとやって来たのか?と言う疑念が出て来ました。
私が中国国内の反日暴動の煽動→尖閣諸島海域侵犯行動・韓国による慰安婦騒動以来、旧来の人権活動家・・日弁連等の意見と一線を画するようになった・・ついて行けなくなった理由です。
政治運動はどこかの勢力の利益のためにあるのですから、平和を愛し環境を大切にする気持ちは日本古来からの犬猫牛馬まで家族同様に愛する精神とは合っていますが、日本を侵略しようとする勢力をのさばらせるために利用するのでは本末転倒です。
アメリカに無理矢理戦争に引き込まれて酷い目に合った・・懲り懲りしていた日本人としては、敗戦後アメリカが平和を保障してくれるならば、無益な戦争を回避したいと言う日本人の心に合致していたので、押しつけではあっても内容的に憲法を受入れる心理的状態にあったことは事実でしょう。
その延長で起きたベトナム戦争やイラク戦争反対までは合理性がありましたが、アメリカの核の傘に象徴される安全保障が当てにならなくなって来て、日本が侵略されそうになっても非武装維持・・集団自衛権反対・・防衛機密のダダ漏れ運用容認の特定秘密保護法反対・・尖閣諸島侵犯行為にも黙っているべき(民主党政権ではビデオ公開を公務員法違反→刑事処罰と言う立場?)と言うようになって来ると私の平和論とは相容れません。
その気になって平和運動家の動きを戦後ずっと通してみると、日本侵略容認+反米勢力の利益になるように動いて来たと見れば、過去70年の動きが一貫します。
植民地現地部族間である程度紛争のタネを残しておくのは、欧米植民地本国にとっては支配の道具として利益であり常套手段ですから、日韓間に慰安婦問題の火種があって相互に反目しあっているのは、アメリカにとって望むところでしょう。
しかし、火種を越えてこれを煽りに煽って大火事にしてしまい、ここまで日韓紛争を激化させることまではやるのは、アメリカの利益ではありません。
アメリカが対共産圏向けに構築していた強力な同盟国(元は対ソ連で向けでしたが今や中共向けに変質しています)同士が仲良くなり過ぎるのは困るのでアメリカが火種を残ししておくだけあって、ここまで反目関係になるとアメリカにとっても不利益です。
世界中で小さな紛争を起こせては兵器を売り、或る程度以上紛争が大きくならないところでこれを仲裁することで、アメリカの権威を維持してきましたが、これがあちこちで火種が大きくなり過ぎてアメリカの手に負えなくなって来たのが中東その他でのアメリカの権威喪失の基礎です。
しかも中韓の反日行動が激しくなればなるほど日本国内では「アメリカが裏で糸を引いて来た」と言う疑念が渦巻いてきます・・。
護憲運動(非武装平和論や集団自衛権反対あるいは特定秘密保護法反対)と慰安婦騒動推進勢力はほぼ重なっていたように見えることからすると、かれらが何を目的に運動して来たのかの到達目標?が見えてきます。
古くはソ連を引き入れ共産化する目的のためだったでしょうし、・・今では日韓対立を煽りひいては日米離間のくさびを打ち込む結果も、すべてアジアで武力背景に横車を押し通したい中国の利益に結びつく構図です。
日本を愛すると言う目的が一切ない政治論のように見えますが、穿ち過ぎでしょうか?

愛国心と軍国主義1

今回のシリアへの軍事介入決断直前にオバマ大統領が議会の意見によって決めるようなことを言い出したので、グズグズになってしまったのですが,12日に紹介した戦争権限法が制定されていても、戦争開始に当たっては、事前説明が求められるだけで議会の同意まで要求されていません。
法で求められていないことまでオバマが言い出したので、やる気がないとなってグズグズになってしまったのです。
一定期間内に議会承認を得られる自信がなかったから・・とも言えますが、過去には兎も角対外戦争が始まった以上は一致団結して軍事行動を後押ししようとする雰囲気が一杯の国でしたから、やってしまえば何とかなる・・むしろ支持率が急激に上昇するのが普通でした。
今回のシリア介入には,やってしまいさえすれば支持率上昇とは行かないようなもっと根深い反対論があったからでしょう。
オバマのように議会の顔色を窺うのが普通になって大統領の一存で好きなように戦争出来なくなると、元々行政は議会が決めることですし大統領が政治決断すべき仕事はなくなります。
息子ブッシュはイラク攻撃やアフガン攻撃を命じましたが、彼は軍事そのものには何の能力もないので実際の権限は軍司令官に移ってしまいます。
その後は何の仕事もありません。
以下は2月12日現在のウイキペデイアのブッシュに関する記事です。
これによれば、戦争さえ始めれば支持率が急上昇するアメリカ国民気質・実態が分ります。
ベトナム戦争のように大義のない戦争でもやっている以上は、協力しないと非国民になるような雰囲気の国で、反対論を言えなくなるようです。
来歴
大統領の第1期目は、ほとんどを対外戦争に費やした。アメリカ史上最も接戦となった選挙戦を勝利し・・・不正選挙を行ったと主張する意見もある)ゴア陣営が抗議したため、発足当初の国民支持率は低迷していた。
任期9か月目の9月11日、ニューヨークとワシントンD.C.で同時多発テロが発生。三日後の9月14日に世界貿易センタービル跡地(いわゆるグラウンド・ゼロ)を見舞い[49]、救助作業に当たる消防隊員や警察官らを拡声器で激励してリーダーシップを発揮し、一時は歴代トップだった湾岸戦争開戦時のジョージ・H・W・ブッシュの89%をも上回る驚異的な支持率91%を獲得した。」

彼は敬虔なクリスチャンで朝早い結果、夜9時ころには寝てしまう日課が報道されていましたが、実は孤独というよりは,戦争開始の決定以外に仕事がなかったからです。
大統領は議会出席権がないのと法案提出権がないので,(議員立法しか出来ません)積極的に内政に口出し出来ないのが原則です。
内閣提出法案がほぼ全ての我が国から見ると、行政府の内政に関する権限が全くないこと・・制度の建て方が戦争するか否かの決断以外には議会の言うとおりやれば良いんだということが分ります。
我が国では工場労働者一人一人の意見で改良が進むのに対して,アメリカでは研究者が研究するから現場はそのとおり何も考えずに仕事していれば良いという社会との違いです。
しかし,財政難になって来て最近戦争ばかりしていられなくなってきたので、最近では出身政党に働きかけて、オバマケアのような法案推進に精出すようになっていますが、議会に対して他所ものが口出しするようなもので(根回し能力欠如で)うまく行きません。
アメリカの場合、大統領選向けの戦略は別の専門家が立ててくれるし、当選するまでの選挙活動・・これも演出に従って振り付けどおり演説したり、ガッツポーズしたりするだけで日本の戦国武将のような複雑な内政は全く必要がありません。
当選後は(行政執行は完備した行政庁の官僚が実際にやるので)大統領の主な仕事は対外戦争をするか否かを決めることだというのですから、いつも戦争予定の敵がいないと大統領本来の仕事がない国ですし、支持率が下がって行く関係です。
戦争するくらいしか独自性ハッキ出来ないアメリカ大統領の職務を見ても、また、戦争を始めれば支持率が急上昇する国民気質を見れば,アメリカは文字どおり生まれつきの(アメリカ建国以来強大で侵略されることのあり得ない国で・・戦争大好きということは)侵略国家・軍国主義体質の国となります。
実際に建国以来短期間にもの凄い勢いで周辺を併呑して来たことを紹介しました。

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