新型コロナウイルス対応の巧拙2(無制限検査)

高齢者や病人に感染させないようにするには、高齢者の身近に感染者がいない方がいいのですが、介護施設等の従業員だけ感染比率を防ぐ秘策など有り得ないでしょう。
せいぜい関連者だけこまめに検査したり老人ホーム入室時にアルコール手洗い義務付けぐらいでしょうか?
その上、施設を利用していない高齢者がいっぱいいますので、高齢者はできるだけ外出を控えてもらうとしても同居の親族等の関係者多数との接触が日常的にある関係で、国民全体の感染比率を減らすのが重要です。
人口比の感染者数を減らすにはどうすれば良いか?
感染が始まったばかりで死亡率が統計的にはっきりしないようですが、WHOの発表では感染者のうち致死率2%とのことで8割は軽症(8割は症状に出ないという人もいます)とのことですから、特別な病気を持っている人以外では、80前後の高齢者以外は感染したからといって普通の風邪をひいたかな?程度で終わるようなイメージです。
ちなみに2%とは、(検査等でわかった)感染者比で人口比ではないようですから、今回のウイルスは感染しても無症状の人がいて、しかもそのまま治ってしまう人もいるようですから、これらの人は2%の分母に入っていません。
4〜5日から2週間経過すれば100%検査に引っかかったり症状が出るかというと、そのまま症状が出ないでウイルスも無くなってしまう(免疫力の方が強くて勝ってしまう?)人もいるようです。
変なものを一緒に食べてもすぐ下痢する人と、少しも感じなかった人もいるし少しお腹がおかしいけれどそのうち落ち着く人がいるような違いでしょうか?
いわゆる潜伏期間4〜5日という意味は、一般的日本語の理解では体内でウイルスが入って増殖中だがまだ発熱等の症状が外に出ない期間のように思いますが、この間は検査しても陽性にならないという意味があるようです。
潜伏とは誰に対する潜伏か?ということですが、素人の直感的判別力で分かる程度の症状(微熱だるい、咳き込むなど)が現れていないというだけなのか、いわゆる検査キットでもわからないほど深く潜伏しているという意味かを決める必要があるでしょう。
感染定義とも関連しますが、体内に入っても(小粒の種子などのように)そのまま消化?あるいは残存しないで一定時間で体外排出されてしまえば、その間の体内存在は、感染とは言わないでしょう。
体内で悪さしそうな闖入者に気がついた免疫系が応戦準備に入り応戦が始まると熱が出るのでしょうが、熱が出る前の前哨戦段階で免疫系にとっては気がついているので、その段階で侵入されたその人が意識として気がつかなくとも、ある検査機器を使えば反応するような製品ができれば、検査機器を操作判定する人にとっては潜伏で無くなるのでしょう。
肺炎で言えば咳が出ない程度の肺炎は潜伏だった症状が、レントゲン撮影できるようになるとレントゲンに写る程度になれば、潜伏とは言わないでしょうし、がん細胞なども検査しないと分からないがん細胞は本人にとっては潜伏状態ですが、検査ですぐ分かるようになるとプロ的には潜伏と言わないのでしょう。
今の時代、レントゲンやMRIなどで分かるようになる直前状態を潜伏というのかもしれません。
検査というのは、ある症状の確定診断のために行う検査と兆候を早めに捉えるための検査があってある程度重複しているのでしょうが、今回の社会的重要性では後者の意味でしょうから兆候判定を前倒しすればするほど検査精度が低くなる宿命です。
テロのために首相官邸に向かっている人を職務質問や注視する場合で言えば、官邸の数十メートル付近の不審行動者限定ならば効率が良いですが、千葉県や神奈川県埼玉県から東京に向かう人全員を・都内全域で千代田区から上野に向かう人までもしかして迂回して最後に官邸に向かうのでないか?とついて歩いたり検問するのでは膨大な人手が必要で、しかも捕捉率が下がります。
ウイルスが体内侵入後迎え撃つ免疫勢と勢力拮抗中の場合・・あるいは犯人がお城に侵入したがまだ建物内に入らず様子を窺っている段階では、分からないということでしょうか?
ところで致死率2%というのは超高齢者を含む数字ですから普通のひとは、まず大丈夫と言えそうなので、超高齢者は別として60歳以下の一般健常者の場合患者のためだけであれば咳や発熱などの症状が出てからの検査で十分であり、(お腹が痛いなど自覚症状があってから診察を受ける一般の病気と同じです)自覚症状のない人まであらかじめ検査する必要性がありません。
血圧、腎臓や腹痛の場合、感染の心配がないので自分さえよければ良いのですが、元気な若者が実はウイルス感染者で他人に感染させる能力がある・・配達員・デパート店員が顧客の高齢者に伝染させると困る・・社会予防のためにはウイルス感染有無に対する事前検査がどこまで必要か?という問題です。
犯罪者の識別・・容貌や物腰態度や身内・・従業員か部外者かで入室基準がわかる人物判定と違い、ウイルス感染有無は親しい人・元気そうな人でも検査しないとわからないので完全を期すると全員検査となるのでしょう。
しかし現在の検査方法では、感染後4〜5日以内では検査しても検出できないのが現状らしいので、数日前から連続検査しないと一回の検査で未感染と判定しても今日感染していないことになりません。
グランドプリンセス号の検疫対応では、閉じ込めて検査しているから次々と感染者が出たような批判報道でしたが、潜伏期間中で一回目の検査で陰性だった人が潜伏期間(このため陰性の人も2週間下船を認めなかった)経過で順次陽性変化しただけ・潜伏期間?2週間経過後の新たな陽性反応がほとんど?ないので検査開始=船内分離後の感染がほとんど?起きていないのが実態のようです。
その上に検査の精度自体がイマイチ・・精度が(簡易キットの場合?)約5割程度?らしいので陽性の人をスルーさせてしまうリスクもあり、(これが下船後の陽性変化?)例えば3回に一回しか出ないとすれば同じ人を別の検査法で何回も検査する必要があります。
風邪の場合でも熱が出ないパターンや咳が出ないパターンなど色々あるように、特定物質の検出方法に頼ると人によっては反応が違う問題があります)
体温チェックのように入室入門の都度簡単にできるシステム開発がない限り、専門検査機関で何時間も並んで一回きりの全員検査は、何%かの感染者を高齢者施設から遮断できる程度で労が多い割に効果がはっきりしないのが難点です。

巨額収入層排撃の愚(海外収益の必須性)3

だいぶ間に挟まりましたが、July 18, 2017「巨額収入層排撃の愚(海外収益の必須性)2」の続きです。
大量生産・汎用品生産競争では賃金の安い新興国に叶わない・・価格競争に参加するならば,おなじ賃金水準にするだけではなく,インフラ全般を含めて生活水準を新興国並みに下げる覚悟がいります。
インフラを含めた生活水準を新興国の3倍も高く維持しながら、賃金だけを新興国と同じに引き下げてもコスト競争には勝てません。
値下げ競争に参加すると先発企業ほど不利になります。
後発企業・レストランで言えば、低価格路線でペイするように店の立地しつらえまでずべて見た目だけ垢抜けているものの全て張りっポテで安くあげているのに対し、先発レストラン・・例えば1万円前後単価の店はグラスやお皿に至るまで全て 高級仕様で人件費以外のランニングコストがかなり高くなっているので、人件費と食材レベルだけ下げても太刀打ちできません。
インフラコスト負担の弱点を緩和するためには、アメリカは腕力による・・中国並みに個別企業強迫の繰り返しによる不当利益・・江戸時代的運営で言えば時々御用金を召し上げるしかない偶発的利益主義政策に頼っています。
実はこれもここ4〜5年課徴金等で,巨額罰金をとり始めている政策ですから、トランプ氏はこの拡大をする程度のことでしょうから、実は従前とあまり変わりません。
フランスの銀行から兆円単位を取りクルマでは,ほぼ言いがかり式にトヨタ叩きをし,フォルクスワーゲンの燃費偽装は本当のこととしても、エアアバッグのタカタのエアバッグ騒動はいきなり出てきたもののメデイア報道では実態がよく分からないうちに大騒ぎになって巨大日本企業が潰れてしまった印象です。
同じものを装着している日本国内では全く事故報道がないのに、アメリカでだけで何故事故があるのか不審に思っていました。
ただし、この原稿は半年ほど前に書いておいたものですが、直近で日本でもエアバッグ不良による事故が起きたという報道を見たような印象ですから、本当に問題があったのかもしれません。
以下の通り国内でも事故が起きていたのですが、大規模規模報道になっていなかっただけのようです。
http://www.sankei.com/affairs/news/170117/afr1701170032-n1.html
2017.1.17 15:43更新
タカタ製エアバッグの異常破裂でけが人か 国内2件目、リコール対象車が追突事故」
なぜ国内ニュースであまり目にしないかと思って見ると、今日現在ネット検索して見たところ以下の記事が見つかりました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40961
2014 10 31メディア・マスコミ
「タカタ製エアバッグ事故で際立った日米の報道姿勢の違い」
要はホンダがアメリカで2008年リコール届出をした時に(すでに4〜5件の事故が起きていた)全車種の危険を知っていたはずなのに、なぜ一部車種しかリコール届出をしなかったかの調査報道・・消費者視点がアメリカの報道方法であり、日本メデイアは企業側発表をそのまま報道していただけの違いという説明です。
日本では企業発表しか報道しないから私のように何気なく(朝仕事に出かける前に新聞等を)ちらっと見てるだけの一般人には・・なんとなくアメリカで次の日本叩きが始まったか程度の印象を持つ人が多かったという事でしょう。
ただ気になって調べる気になれば、ほんの5〜10分以内でこのような深堀りした意見が出てくるので、自分がメデイアに汚染されている一方の対米悪感情が修正されるチャンスがあるだけ有難い時代です。
日々流れてくる情報は膨大で、その99、999%について、我々日々忙しいので特に関心をひいた記事以外にはさらに深堀りして見ようと思う気が起きない(・・出かける前の朝食などの準備中に)時間もないのでそのまま読み飛ばして行く時代です。
これを繰り返していると私のように(なぜアメリカだけで事故報道があるのか?という反米意識?)いつの間にかメデイアの誘導したい方向意識が定着して行きます。
メデイアの一方的イメージ報道・一種のフェイクでしょう・・に対してそれぞれ有益な批判があるだけありがたい世の中ですが、念のために批判的意見を見て見ようという動機づけもない・時間もない私のような一般人はメデイアのイメージ報道に洗脳されて行くしかけです。
これがエアバッグのような技術的分野では、それ程反米/国粋主義を煽ることにはなりませんが、これが民族主義と直結するような分野ではメデイアの報道の仕方・編集態度は重要です。
8月9日までメデイのフェイク性を連載してきましたが、編集の自由に隠れてできるだけ日本企業側に立って、日本消費者無視?企業発表しか報道しない日本メデイアの報道姿勢が際立っていたことになります。
タカタのエアバッグ騒動に関する日米の編集態度差はハシなくもその一端を明らかにしたことになります。
話題がそれましたが、メデイアの垂れ流し報道にもメデイアによる「どの方向で行くかの編集権!があってのことですから、これを鵜呑みに出来ない・・「なかったことをあったと言い、あったことをなかった」というだけがフェイクではなく、「10あったことを1しか報道しない」あるいは無視してまったく報道しないのも一種のフェイクでしょう。
というものの、アメリカで次々と起きる出来ごと・・次々と外国企業から罰金をとり、場合によっては潰してしまいながら、他方でシエールガスなど資源の国産化と輸出によって,国内工場の燃料コストを安くして補助をするからどうだ!ということでしょう。
燃料コストだけ安くしてもうまく行かない・・ガソリンがぶ飲みを気にしない前提の結果,却って省エネ工夫力で日系企業に負けてしまったし、この程度の補助より人件費の安さの方が魅力があったからこそ新興国へこれまで生産拠点を移転して来たのですから、この発想では無理があります。
新興国よりレベルの高い公共インフラ・生活水準を維持するためには、海外で儲けられる人には遠慮せずに儲けてもらってその還流資金を利用する必要があ流からこれで収支が成り立っていたのです。
これをやめてしまうと,上記程度の腕力に任せた罰金の上乗せ取り立てでは(江戸時代の豪商とり潰しと同じで)とても間に合いません。
企業の儲けであれ資源輸出であれ,原因が何であれ,自国内で働いた以上の収入・海外資金環流に頼るのはその内無理が出て来るので,(サウジが原油収入に頼らない国家造りに必死ですが・・)どこのクニでも還流資金のあるうちに自国産業の足腰を鍛えておく必要があります。
それには,汎用品生産から手を引いて新興国の出来ない手の込んだ高級品に取り組む人材比率を増やして行く・・機械代替の効かない高度なサービス人材を育てる・民度引き上げ努力が合理的です。
日本の女性が世界1の人気がある点を見習うべきでしょう。
民度レベルの引き上げ競争になってくると再教育準備期間の資金が必要です。
個人で言えば進学資金・・失業した中高年齢者が再教育プログラム・就労支援に参加した場合に失業保険の一種を給付する制度があります。
雇用保険法
(昭和四十九年十二月二十八日法律第百十六号)
 第二款 技能習得手当及び寄宿手当
(技能習得手当及び寄宿手当)
第三十六条  技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。
国家単位で言えば、時代対応出来るような民度修正期間の資金として貯蓄や還流資金のあるなしが、明暗を分けます。
個人の場合お金がないと技術を身につける暇がなく、貧困の連鎖と言われるように底辺労働に就くしかなくなります。
その資金源になる海外で儲けている企業を非難して、わざわざ自国に高コスト工場を維持しろと言うのは愚策です。

巨額収入層排撃の愚(海外収益の必須性)2

この辺で話題が変わりますが、March 13, 2017,「素人政治の限界6(プロの流出)」〜「政治と信頼1(意思表示の責任)」等で少しずつ書いてきた取り引き外交に関する懸念・・July 5, 2017「巨額収入層排撃の愚(海外収益の必須性)1」の続きに戻ります。
トランプ大統領もメキシコ進出阻止した企業へ裏で何らかの密約で見返りを与えているのかも知れませんが、経営原理に反した個別企業たたき・・狙われたら大変とみんなクビをすくめた状態・恣意的狙い撃ち強制がはびこると必ず裏での取引がくっついて来ます。
そうなると・・独裁国家の恣意的経済介入・企業癒着と区別がつかなくなり、予測不能・合理的経済活動が阻害され、長期的に国内企業の足腰が弱ります。
思想の自由がないキリスト教支配が暗黒の中世になってしまった歴史をDecember 17, 2016「フランス革命1(ルネッサンスの完成)→キリスト教支配からの解放」などで書いて来ましたが,ソ連の粛清時代みたいな政治になると(暗黒の中世の焼き直しですから)結果が見えています。
どこまで落ちぶれてもアメリカには資源があるから強いと思うのは間違いで,多くの資源国・・新興国・・ロシアも資源がたっぷりあっても民度レベル以上には成長出来ないことを見ても明らかです。
アメリカは資源が豊富なだけではなく、身分制度に縛られた欧州に比べて自由な雰囲気が新規工夫や開発を生み出して来た・・これこそがアメリカの強みです。
予測不能な政治行動のトランプ政権の、行き当たりばったりの強権支配が定着し自由闊達な言論・行動を萎縮させると、アメリカへの人材流入が止まりただの資源国になってしまいます。
今後有能な人材がアメリカに入って行かなくなれば,ロシア、オーストラリアあるいは中東産油国のような資源国レベルにまで落ちて行くしかないと言うのが、トランプ氏の御託宣でしょうか?
トルコが長年安定していたのですが、昨年のクーデター未遂騒ぎ以降急速に独裁性を強めてきた結果、窮屈な政治体制を嫌がって有能人材の国外流出が進んできたと報道されています。
これがアメリカでも起きるのでしょうか?
ただし中国では思想締め付けが厳しいにも関わらず、多くの世界的先端企業が生まれている事実からすれば、トルコに関するこの種の報道は矛盾していますので、メデイアによる想像だけで書いているだけかも知れません。
頭脳流出が増えていることを真面目に報道する以上は、本来1年〜2年ではなく10〜20年程度の流出推移を見ないと分からない筈ですが、日経新聞報道ではムードだけ書いていて、なんの出典根拠も示していなかった記憶です。
日本の一流学者の経歴を見ても5年〜10年程度の長期間アメリカ留学して研究所に在籍していて研究成果が世界的に認められている人が多い(1〜2年の留学で成果を出すのは無理でしょう)のですから、元々半年や10ヶ月そこらで決め付けるのは無理がある・・私の意見自体データ根拠ありませんが、クーデター未遂事件後頭脳流出が進んでいるという日経の報道は根拠なく欧米的価値観で受け売り報道していることが明らかです。
どういう表現だったのか忘れましたで念のためにネット検索してみました。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H1V_U7A110C1FF8000/
トルコ、深まる分断 クーデター未遂半年2017/1/14 22:24
「・・・・反対意見を封じ込め、エルドアン氏は悲願の改憲に突き進む。首相職の廃止、国会の解散、多選制限の事実上の緩和、大統領令の発令――。実現すれば「権力の均衡が失われ、個人の独裁につながる」(最大野党の共和人民党)との懸念が募る。強権を嫌い優秀な人材が国を離れる「頭脳流出」は欧州とアジアをつなぐ新興国の将来にとって不安材料となっている。」
約半年前に読んだ記憶だったので、この機会に読み返して見ましたが、上記記事では破産急増のNHK報道同様に上記の通りムードしか書いていません。
私のように毎朝仕事に出る前にさっと読むだけで何気なく読むものには、この種ムード報道は非常に有効で、「頭脳流出が起きている」という結果だけ刷り込まれたまま信用していましたが、今アメリカの将来に関して思い出したので、上記の通り検索して読み直してみると何らのデータも引用していなかったことがわかりました。
このように事実調査に基づかない(頭脳流出は数十年単位でみないとわからない筈ですから調査に基づかない意見であることが明らか)ムード報道は人の思考内容に恐ろしい刷り込み効果をもたらすことが分かります。
(私は頭脳流出に関心があったのでその記憶だけでしたが、今読み返して見ると安倍政権の改憲姿勢に対するネガキャンが中心的意図だったことが分かります・・同じ記事を読んでも読者の関心によって記憶が違うものです)
今回、中国の先端企業が成功しているという日本メデイア報道と矛盾することから気がついたことですが、これがなければ、独裁=先端文化が育たないという図式の刷り込みを信じてしまうところでした。
中国の公害や人権侵害を滅多に報道しない日本メデイアの特質からすれば、中国の成功企業報道の方が実は誇大・・こっちの方が虚偽かも知れません。
メデイアの事実報道が事実に基づかずに想像で書いているのが原則になると、頭脳流出が本当かどうか不明で何を信用して思考を組み立てて良いかもわからなくなります。
日本国内データと違い世界情勢に関しては、多くの日本人にとって他の角度からのチェック能力皆無ですので、その影響力が強大です。
ところで、人材流入にも2種類があって,明治日本のように一流人材を招いてそれに触発されると次々と近代科学研究が開花して行く民度のクニと全部やってもらわないとすぐに途絶えてしまう民度があります。
一を聞いて10を理解する人と10全部教えてもらわないと何も出来ない人材・民度の違いです。
アメリカは、たまたま新天地を求めて次々と人材が流入していたから、その人たちが上澄みに乗っかって来て、次々と新産業が起こって来ただけで自前の人材が育ってきた訳ではありません。
上澄み人材流入に頼ると、それまでの上中流階層の上に乗っかってくるので古参移民は徐々にランクを下げていくしかありません。
トップクラス・・アップルのジョブスみたいな人が仮りに数人や10人程度が移民で入って来て大企業トップになっても層の厚い中流層には関係がない・・ニッサンのゴーンさん見たいなもので、企業が隆盛になれば中堅社員にとっては自分の地位を失うわけではないので、社長が異民族であろうと日産の中堅社員が大歓迎しているのと同じです。
ところが技術革新(オートメ化)+新興国の生産参加により流れ作業的労働者が職を失う・・中間層が一斉に「中の下」以下〜非正規に落ちるようになると社会的インパクトが大きいので、これが人口の大多数を占める既存移民の不満になり、トランプ旋風になって行ったものと思われます。
新たな技術・・AI駆使できる有能な移民を制限したからと言って従来型中間層の職場を維持できる訳ではない時代です。
AI取り込みに反対し・・上澄み人材流入が縮小すると逆に国内工場が国際競争に負けて生き残れなくなります。

低レベル化?とメディアの信用低下

今回NHKの「クローズアップ現代」の見出しと内容の食い違いを書いていて気がつくことは、報道関係者には基本的に反政府主義者が多いのは仕方がないとしても、報道全てに言得ることですが、政治的な主張するには特に反対論者がいることからより一層綿密な裏づけ調査が必要のにこれを怠っている・人材劣化が起きているからではないかと思われます。
昨日最後に書いたように文化欄に逃げているのは、ツッコミが浅すぎても読者が減るだけですが、政治利害のある場合には読者が減る程度では収まらず、利害関係者の強烈不満を呼び起こすリスクがあるからです。
サンゴ礁のやらせ報道では、地元漁協に利害があったことから判明したものです。
その後ネットの発達によって、政治テーマでもメデイア以外のものも反論できるようになってきたので、フェイクニュースが大きな問題になってきました。
あるいは読者や視聴者レベルが上がってムードだけ煽る・根拠のない意見には飽き足らない人が増えてきたのに、メデイア側が社会のレベルアップに追いついて行けなくなっている状態かもしれません。
これがトランプ氏によって、アメリカでもフェイクニュースの批判を受けるようになった原因です。
フェイクニュースは、積極的フェイクもあれば、調査不足もあるでしょうが、もともと報道各社の色付立場が重視され事実調査を軽視する傾向があれば、結果的に調査能力も上がりませんから根は同じです。
色付け角度付け報道が改まらない弊害というか、報道には一定の角度からの関心に基づく掘り起こしが必要なのでそれはそれでいいのですが、関心に基づく事実調査の合理性欠如が問題です。
慰安婦騒動に関して事実調査不足が問題になりましたが、「破産急増」テーマは事実無根でも慰安婦ほどの大事件性がありませんし、誰も問題視せず(私は信用拡大のコラムを書いている途中で最近の破産がどうなっているかが気になったので、たまたまネット検索したら出てきた中でNHKが1番客観的報道しているかと思って覗いて見て驚いただけです)に垂れ流して終わっている印象ですが、事実調査を怠って報道している点では同じ危険性があります。
朝日新聞の慰安婦報道に関する第三者委員会の報告書を、January 9, 2015「第三者委員会の役割2(朝日新聞慰安婦報道1)」のテーマでこのコラムで引用紹介したことがありますので結論部分の一部再引用します。
「・・しかし、韓国事情に精通した記者を中心にそのような証言事実はあり得るとの先入観がまず存在し、その先入観が裏付け調査を怠ったことに影響を与えたとすれば、 テーマの重要性に鑑みると、問題である。
そして、吉田証言に関する記事は、事件事故報道ほどの速報性は要求されないこと、裏付け調査がないまま相応の紙面を割いた記事が繰り返し紙面に掲載され、執筆者も複数にわたることを考え合わせると、後年の記事になればなるほど裏付け調 査を怠ったことを指摘せざるを得ない。」
まして、14日に紹介した日弁連意見書を見ると単に「カードローンについても総量規制の対象にすべきだ」という趣旨だけのことであって破産の増加については傍論的にデータを紹介しているだけで破産増自体に懸念を示すには、時期尚早としたのか?意見を書いていません。
しかもネットで簡単検索した限りでは日経も朝日新聞や東京新聞でも「破産増」だけの表示で「急増」とは書いていない(朝日はローン急増が原因か?と書いていますが破産急増とは書いていません)のに、NHKだけが何故「破産急増」と・・刺激的テーマにしてしかも「クローズアップ」して取り上げるほど社会性があると判断したのかが疑問です。
4月12日の「クローズアップ現代」の内容を読んで見るとカードローンが増えていることが話題の中心で、どこにも破産急増の話題が見当たりません。
羊頭狗肉というか、見出しと内容があってないのです。
破産急増とは時間軸でいうものですが、1%増の基準が1年間の統計結果による以上は長期間観察の結果なのですから、1〜2週間程度かけて関連データを調査して比較判断・深堀する時間をかけられないような緊急速報性がないことも確かです。
報道時間中の進行でNHKの期待に沿う意見が出たかは別としても、(文字化したネット報道には出ていません)まだ前年より1%増えたデータしかないことが明らかですから、これだけでなぜ「「急増」というテーマにしたのかの不思議さが残ります。
日常用語としても、1%程度の増減があったくらいで「急増」「急減」という言葉を使う人は滅多にいないのではないでしょうか?
日中気温がわずか1時間で25度から26度(約4%の変化)に変わっても急上昇と言わないでしょう。
しかも、「若者もシニアも」と見出しになっていますが、内容には年齢別の変化についてどのような調査をしたかの出典の明示もなければ、何%から何%に増えたかも書いていません。
司法統計年表に年齢別の増減推移まで出ていると言う意味かも知れません。
そこで司法統計年表16年のPDFで「破産新受事件数―受理区分別―全地方裁判所
第 102 表」に入って見ましたら、年間の合計数しか出ておらず、内訳としては自然人と法人の2分類しかありません。
NHKはどこから若者やシニアの年齢別統計を入手したのか不明です。
以上によると、派手な見出しと内容がまるで違う上に・・内容のない、いい加減な報道をしているように見えますが、これでは視聴者が離れていかないのか不思議です。
私はテレビを見ていないのでNHKの総合レベルが分からないですが、NHKは報道内容を全てネットにアップしていないはずですから、ネットアップする分は精選されているとすれば、「クローズアップ現代」のレベルがNHKの報道レベルの上位を代表していると言うべきでしょう。
慰安婦騒動以来、親中韓系報道をしてきたフジテレビや朝日新聞の売り上げ減少が知られていますが、これを受けて経営者は必死になって体質改善に取り組んでいると思われますが、NHKには民間と違って市場淘汰の仕組みがないので、番組が劣化していく一方になっているのかも知れません。
私に言わせれば、「朝日新聞やNHKの政治的立場が受け入れられなくなったのは残念」という自己正当化ばかりではなく、政治理念先行で事実無視の捏造的報道しか経験がないから、こんなことになっているのではないでしょうか?
見出しテーマと内容がまるで違っていても気にしない人材レベルの低さ・いろんな角度に知恵をめぐらせての多角的事実調査能力欠如こそが、基本的原因ではないかということです。
「若者もシニアも破産急増」というテーマを決める時に、相応の幹部が関与したはずですが、どういうデータ調査が必要かの思いをめぐらせる能力もない人ばかりで運営しているのでしょうか?
もしかしたら虚偽でもでっち上げでもムードを作り上げれば勝負あり・という成功経験しかない年齢層・事実調査経験のない幹部の方が、事実調査の必要性を具申する若手をドヤして「事実調査などいらない政治色付け先行でやれ!と檄を飛ばしていたのかもしれません。

海外展開抑止の愚

16年12月初めころの日経新聞9pには、原子力事業のアレバの救済に日本等への出資依頼しているという報道があり、その頃の17日朝刊14pでは三菱重工が出資発表しています。
ちなみにアレバとは、以下の通りルノー同様の政府出資企業で・・言わばフランス国営企業です。
http://www.huffingtonpost.jp/foresight/nuclear-investment_b_13862194.html
三菱重工は12月16日、持ち株会社「アレバSA」とその傘下の核燃料サイクル関連事業を統合した新会社(社名は「ニューコ」)への出資を提案したことを明らかにした。
・・・もともとアレバは持ち株会社制度下にあり、親会社「アレバSA」(仏政府が87%出資する国営企業)の下に原子炉プラント事業会社「アレバNP」、核燃料サイクル事業会社「アレバNC」、ウラン採掘の「アレバ鉱山社」、潜水艦向けの小型原子炉事業などを手がける「アレバTA」、米国に本社を置くゲルマニウム半導体検出器大手の「キャンベラ社」といった一連の子会社群があった。
フランス官僚の優越性?が有名ですが、この結果官僚による管理・国営が好き・・大手鉄道車両工場の大幅縮小計画に政府が待ったを掛けて成功し、その見返りに?価格面で折り合えなかったフランス国鉄に無理に(高値購入を強いて?)車両大量発注させて今後数年分の仕事を確保したり政府は大忙しです。
その分フランス国鉄は割高製品納入を強制された・・いつかは国民にそのツケが転嫁されることになります。
輸出向け国内工場を海外移転するとその分国内雇用が減りますから、目先の支持が必要な政治家が反対したくなるのは分かります。
しかし、仮に競合企業とほぼ同品質の製品の場合、現地生産に成功した競合企業の方が現地ニーズに敏感に反応できて有利ですから、国外消費市場での競争で遅れをとる結果、長期的に国内からの輸出が減って行くしかないでしょう。
いつかは輸出向け生産が減って行き壊滅するならば、・・国内企業の海外展開を阻止するのは、みすみす海外展開の芽をわざわざ潰す効果しかないことになりませんか?
自国メーカーの海外進出を放置していると当面国内最終組み当て工場・要員は減りますが、そのメーカーの世界全体の製造が増えれば、国外子会社工場に必要な部品の供給や人材交流が増えて部品関連の国内生産が維持され拡大します。
海外進出阻止して国内工場を保護していると部品等関連産業の発展も阻止され将来性がなくなっていきます。
国際競争から撤退し国内競争だけに安住していると、結果的に国内競争でも外資企業との競争力を失って国際企業の侵入が始まり、民族資本が壊滅していきます。
アメリカで言えば、保護に徹していた鉄鋼産業が衰退してしまった他に、車で言えば今では、日系車両の販売が4割近くに達しています。
7月4日経新聞の夕刊1面では、米新車販売が8年ぶりに販売減になってきたと報じられています。
その表によると今年1〜6月累計でいわゆる米ビッグ3合計が337、4万台に対して、日系のトヨタ、日産ホンダのビッグ3が276、5万台に肉薄しています。
(起亜を含む現代が64万台でフォルクスァーゲンが26万台ですから、外資系が半分を超えています)
この1〜2年原油安を背景にアメリカ人好みの大型車中心の米ビッグ3の売れ行きアップでシェアーを回復していると言われていましたが、それでもこの程度ですから、今後懐具合が厳しくなっていくとガソリンがぶ飲みの大型車の売れ行きが落ちていくので、小型車中心の日系車の比率がさらに上がっていくでしょう。
リーマンショックの原因は住宅ローンのサブプライム(信用の低い不適格)ローンの破綻がきっかけでしたが、今回は車ローンのサブプライム化のリスクがだいぶ前から指摘されていました。
「すわ!リーマンショックの再来か?」という底流の不安を前提に(淡々とメーカー別販売数しか書いていませんが)販売減が夕刊トップ記事になっていると見るべきでしょう。
この問題は中国新車販売現場でも同じで「ローン手続き数分」とかいうずさん調査でドンドン売っていると言われていて、次の危機は車のサブプライム(支払い能力のない人に対する安易な信用供与)で世界危機同時危機が始まる可能性が心配されます。
公共工事やゴーストタウンは需要無視で政府の資金投入でいくらでも作れますが、車は政府資金で無理に買わせる訳に行かないのにどんどん売れているのを疑問に思っていました。
(中国人民は意外に資金を持っているか?のテーマでこの1〜2ヶ月書いてきました)中国の経済不振に関わらず車の売れ行きが伸びてきた原因が、車のサブプライムローン増加にあるという指摘が出ています。
中国も新車販売の減速傾向が出ています。
昨年までの2桁増が年初来一桁増に下がり、5月に入るとついにマイナスになりました。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_20172017年5月 販売台数速報
5月の中国新車販売は0.1%減の209.6万台
・中国汽車工業協会は12日、5月の自動車生産・販売台数を発表した。生産は前月比2.4%減、前年同月比0.7%増の208.7万台、販売は前月比0.6%増、前年同月比0.1%減の209.6万台。
韓国の基準債務急膨張が議論されていましたが、昨年中に中国の民間債務がGDP比280%に至った急膨張については、従来国有企業ゾンビ企業温存という面ばかり強調されてきましたが、その内実は住宅ローンや自動車ローンその他個人消費債務が大きな比重を占めつつあるかも知れません。
中国でも車ローンの焦げ付き率が上がって、これ以上のローン販売が限界が近づいているという指摘がされるようになって来ました。
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/research/r041101china.pdf
「転換期を迎える中国の自動車ローン実態、問題点と今後の行方
行き詰まった市場拡大とその背景
「・・・・このような国有商業銀行主導の自動車ローン市場で2003年に入って返済リスクが顕在化し始めた。2003年末現在、回収不能となった未償還残高は945億元に上り、自動車ローン残高の5割に達している。個人向け貸出業務による新規不良債権発生の約8割が自動車ローンによってもたらされた銀行の営業店もあれば、自動車ローン返済保証保険にかかわる損害率(加入者からの保険料収入(掛け金)の総額に対する支払保険金(総額)の割合)が400%に達した保険会社もある。」
上記は2004年ころの論文ですが、10年以上も前から問題になっていたとは知りませんでした・・これまでさらに車販売を倍々ゲーム的に拡大できていたのは政策がうまくいっていたからでしょうか?

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