中国の脅威5(恐怖政治と世襲化)

中国としては、「中国はこわいぞ!」という強面の側面は日本でいくら宣伝してくれても良いが、時間をかけて日本にメデイア等に浸透して国内分断作戦を継続・・コミンテルン政策の継続にこだわっている国であることまでは知られたくないのでしょう。
中ソ対立に戻りますと、政敵を粛清するかどうかは国内治安問題であってソ連がやめても中国の国内運営に関係のないことです。
ソ連の国内治安維持のあり方に過ぎないことに関して、中国が戦争の危機を冒してまで批判し対立する必要がありません。
本当の対立は、国際共産主義運動方針・世界革命路線に関する根本的対立にあった・この場合ソ連の新方針に従うか無視するか2択しかないので深刻な対立になります。
ソ連の国際戦略変更に従わないとなれば、共産主義国家は一枚岩という世界宣伝に大きな亀裂が入りますので、ソ連は解散したとはいうものの事実上コミンテルン/コミンフォルムを通じた世界共産主義運動の総本山であり、指導者・ヘゲモニーを失うので黙認できません。
中ソ対立は、共産圏内限定とは言えかなり力をつけた中国が、ソ連の威信に真っ向から挑戦する・・今で言えばさらに力をつけた中国が世界覇権を握るアメリカの「鼎の軽重」を南シナ海で問おうとしていることの走りだったことになります。
中国の粗暴な挑戦に世界の警察官を自任してきたアメリカがどこまで格好を付けられるかでしたが、時々埋立地近くを航行するくらいしかできない・・強盗被害者が110番しても警官が時々巡回するだけで強盗を排除してくれないのでは強盗のいうとおりに従うしかない・・フィリッピン始め周辺国は中国のいいなりになるしかないでしょう。
南シナ海問題でアメリカはこの程度しかできない・・中国はアメリカが怖くないことを世界にアッピールする・・この辺の意図は北朝鮮の今回の挑戦にアメリカが何もできないのと同じです。
スターリンは表向き世界革命戦略を放棄していましたが、内実は違っていました。
中ソ対立までの世界の共産主義活動家は、モスクワの指導/指令に従っていました。
ベトナム戦争を指導したホー・チミンの逸話は以下のとおりです。
以下はスターリンに関するウィキペデアの記述からです。
「猜疑心の強いスターリンはホー・チ・ミンと初めて出会ったとき、スパイと疑っていた。ホー・チ・ミンはスターリンに会えた感激の余り、スターリンにサインを求めた。スターリンはこれに不承不承に応じた。
しかし、部下に命じてホー・チ・ミンの留守中にサインを強奪して取り戻し、ホー・チ・ミンが、サインがないことに気付いて慌てていた様子を聞いて喜んでいたという。」
日本のメデイアは中国贔屓が強いので、中ソ対立の本質・・スターリン批判後も中国に限っては従来のコミンテルン・・資本主義国に細胞を根付かせて撹乱して行く・国際展開思想を捨てていないことを一般に知られたくないので粛清政治の決別に反対したことだけを紹介しているのでしょうか?
実際にはルーズベルト政権中枢に食い込んでいた事実を見れば、コミンテルンの世界革命達成(という名のソ連による世界制覇)の野望を捨てていなかったこと・・西欧諸国へ浸透するタメに表向き解散して安心させる方便性は明らかでしょう。
浸透作戦は憶測の域を出ないので、証拠・裏付けの必要なニュース世界ではデモ等の弾圧や粛清しか出ませんが、この動きだけ見てもスターリン主義固執→文化大革命という吊るし上げ政治・気に入らない者を吊るし上げて失脚させる政治に発展した流れが中国で続きます。
毛沢東崇拝復活を目ざし汚職退治という名目で粛清に次ぐ粛清をして政敵を抹殺して来た習近平氏の路線は、まさに粛清の鬼スターリン政治再来を目指すものでしょうか。
スターリンは反党分子という名目で何十万という人材を処刑してきましたし、富農という烙印で何百万もの農民をシベリア流刑し称す民族の強制移住をしてきましたが、今のところ習近平氏の党内粛清の方法は汚職・共産党規律違反という名目の政敵処刑限定ですが、ほぼスターリンと同様です。
スターリンの処刑の酷さはスターリンに関するウィキペデアによれば以下の通りです。
「キーロフが暗殺されると、スターリンは、トロツキー、カーメネフ、ジノヴィエフを含めた自身の反対勢力者たちを、陰謀に巻き込むための構想を抱いた[38]。調査と裁判は拡大していった[39]。1934年1月の第17回党議会においては過半数の代議員が彼の言いなりであった[35]。見せしめの裁判あるいはトロツキーやレニングラードの政治局員セルゲイ・キーロフの暗殺のあとに法律を改定する[35]。この党大会で選出された党中央委員会の委員および中央委員候補139人のうち、98人が逮捕・銃殺された。党大会の党員1,956人のうちの1,108人が、「人民の敵」(ロシア語враг народа, “vrag narodaヴラグ ナロ-ダ”)(en:Enemy of the people) という烙印を貼られ、秘密裁判で死刑判決を受けると直ちに処刑された。スターリンは、裁判所に対して「人民の敵」と判断した者には死刑判決を下すこと、そして直ちに死刑を執行するよう命令していた。取り調べの際には「肉体的圧迫」、すなわち拷問を用いることを認め、罪を認めない者には拷問によって力ずくで「罪」を認めさせた。
公開されたソビエトの公文書と公式のデータによれば1937年には353,074人、1938年には328,612人(歴史家はほぼ700,000人と見積もっている)[51]もの「普通の」ソビエト国民…労働者、農民、教師、司祭、音楽家、軍人、年金受給者、バレリーナ、乞食が処刑された[52][53]。一部の専門家は、公開されたソビエトの公文書は、数字が控えめか、不完全か、頼りにならないと考えている[54][55][56][57]。例えば、ロバート・コンクエストは大粛清で処刑された人数は681,692人ではなく、その約2.5倍であったと示している。」
粛清の実行者である秘密警察職員ですら例外ではなく、ゲンリフ・ヤゴーダからニコライ・エジョフ、ラヴレンチー・ベリヤへと長官が変わるなかでNKVD職員たちも何万人と粛清された。例えばエジョフの場合、NKVDを掌握した時点で前任者であるヤゴーダやメンジンスキーの息がかかった職員を大勢粛清して組織内での自分の立場を強化している。ほどなくヤゴーダ自身も粛清されることとなるが、エジョフも最終的にはヤゴーダと同じようにベリヤに取って代わられ、粛清されている[63]。ベリヤも権力を握った時点でエジョフと同じようにNKVD内のエジョフ派幹部らを粛清しているが、ベリヤ自身もスターリン死後の権力闘争で敗れて粛清されている。当然のように、この時もNKVD内の親ベリヤ派と目されていた側近達が新体制によってベリヤと共に粛清されている。」
スターリン治世下では、高官が代わるととその部下の粛清へと際限ない殺戮の連鎖になってしまいました。
中国でも習近平政権になると、江沢民の側近・あるいはその人脈と目された政府・党幹部あるいは軍高官が党規律違反という名目で次々と失脚しています。
この小型版が、民主主義国家であるはずの韓国大統交代の都度行われる前大統領の追及騒動です・民主政体か否かによるのではなくまだ民度が大人の知恵にまで成熟していないということでしょう。
スターリン恐怖政治の再来のように見えますが、中国に場合には毛沢東時代の粛清を反省して粛清連鎖を断つために中国共産党中央政治局常務委員などの高官に対してはどんな追及もしないという不文律がおこなわれてきましたが、習近平氏がこれを破ってどしどしと粛清を始めました。
政治局常務委員に関するウィキペデアの記事からです。
「党内の権力闘争の激化を避けるために最高指導部である政治局常務委員経験者の刑事責任は追及しない党内の不文律「刑不上常委」があり、文化大革命終了以降は政治局常務委員経験者が刑事訴追された例はなかったが[6]、2015年4月に周永康の刑事訴追されたことが中国国営メディアによって報じられ、「刑不上常委」は破られた。」
以後軍のトップその他次々です。
習近平氏は、元どんな功績のある人でも粛清できる権力を行使し始めたことになります。
一旦歯止めのない粛清を始めると任期満了後の仕返しが怖いので終身化するしか無くなる・その内その周辺人物にとっては、終身権力者死亡後次期権力者による報復が怖いので、取り巻きが先代からの権力を維持できる無能な2代目を担ぐ世襲制を望むようになります。
こうして出来上がったのが北朝鮮の将軍様世襲制です。
もしかすると中国は北朝鮮にいろんなことをやらせて世界の反応を実験しているのかもしれません。

恐怖政治2(讒言社会)

中国の場合、今でもサイバーテロと言うかアメリカからの高度科学情報窃取が国策みたいになっていますし、(アメリカは機密防衛に必死ですがうまく行ってないようです・・)上が上ですから下の民間も先進国の民間技術の剽窃行為をやって何が悪い?と言う意識です。
恐怖政治下では処罰は苛烈ですから、必賞必罰と言えば聞こえが良いですが、発明発見と言うものは、あたるのが万に1つみたいなもので、大方は失敗ですから、自分でやって失敗すれば過酷な責任をとらされるのではリスクが大き過ぎます・・こうして人の手柄を横取りする・・リスクの少ない方向に社会が走ります。
こう言う社会では、人のアイデアを盗んで自分の手柄にすれば良い・・出世出来るのですから、独自技術の発達は無理でしょう。
民間で言えば、自分で研究して百回失敗するよりも、他人が何回も失敗した挙げ句に成功した成果を盗んだ方が手っ取り早いと言う価値観です。
これは確かに効率が良いのですが、この種の価値観が蔓延している社会となれば、自分で米を作ったり魚を捕って来るよりも人の作った米やとってきた魚を盗んだ方が効率が良いとなる理屈ですから、社会秩序が保てません。
知財剽窃の酷さでこの基礎的道徳レベルが偶然世界に知られるようになりましたが、社会の本質はもともとそう言うところです。
専制君主制下では、同僚間の足の引っ張りあいが政治の主な仕事ですから、讒言相手をおとしめる技術・手練手管は発達します・・。
中韓両国は世界中で日本の足を引っ張るのに精出している・・この手の手練手管にかけては経験豊富なので日本に負ける訳がないと中韓両国が豪語しているのは、2000年にわたる権謀術数・・足の引っ張りあいの歴史経験を自己宣伝していることになります。
日本的価値観から言えば、こんな恥ずかしい自己宣伝をしないものですが、・・恥ずかしいことを自慢していることすら分っていないほど、変な価値観にどっぷり浸かっていることになります。
アメリカ政府高官(次官)が、日韓が「過ぎた過去にこだわってばかりいて喧嘩しているのは困ったものだ」と4〜5日前に発言したことに対して韓国は気が狂ったみたいに大騒ぎしています。
これに反応した暴漢が駐韓アメリカ大使に斬りつけて大けがを負わせる事件が昨日ありました。
韓国は戦後はアメリカ支配(・・中韓流解釈によれば新たな専制君主)を前提に、皇帝に讒言するやり方そのままに「日本がアメリカの戦後支配に反抗している・謀反を企んでいる」と言う讒言外交・・告げ口・宣伝に邁進して来たのです。
ところがその後の世界情勢の変化で、アメリカ(専制君主)自身の方針が変わって来て日本批判をこれ以上して欲しくなくなって来た・・日本批判が却ってアメリカの不興を買ってしまったのを知って慌て始めたことになります。
私のコラムでは、中韓の反日運動は全てアメリカが背後でこれを期待して後押ししていることに根源があると繰り返して書いているとおりの結果です。
噓だらけの宣伝は、いくら派手にやっても時間の経過でバレます。
料理がまずいのに、如何においしいかをサクラやネットを使って宣伝しても、実際に食べに来た人には噓がバレるのと同じです。
その内頼まれて噓を言っていた人もバツが悪いので、噓を言えなくなって行きます。
今では、東南アジアその他世界中で日本人の誠実さが身近に浸透していますので、中韓やアメリカは日本の悪口を言うことすら、出来ない・・相手にいやがられてしまう状態になりつつあります。
日本は中共政権に負けた訳でもないし、韓国と戦ったこともないのに、アメリカの決めた戦犯に拘って靖国参拝を大々的に批判し、中国がアメリカの対日戦勝70年を大々的に祝うパレードをするのを日本人は不思議に思っています。
韓国や中国が日本に勝ったかのように宣伝するのは、全て日本に勝った新たな専制君主国アメリカへのお追従外交としてみれば納得が行きます。
古代から自分が参戦しなくとも、戦勝国へ近隣の小国がお祝いに集まるのと同じ図式と思えば良いのです。
それにしても戦後70年も、お祝いを言い続けるだけでは物足りなくて、アメリカに気に入られるように日本をけなし続ける韓国・・日本敗戦当時今の政権すら出来ていなかった中国が、対日戦勝70年記念大パレードを続ける神経に驚く人が多いでしょう。
お追従・告げ口外交がいつまでも効果あると思い続けているのが不思議ですが・・2000年間も停滞社会しか知らないので、戦後七十年も経過して社会が変化して行くことを身体の芯で理解出来ないからでしょうか?
「バカ」の語源を何回も紹介していますが、権力さえあれば馬を鹿と言っても誰も反対出来ない・・こう言う社会で2000年もやって来れば真実や正義などどうでも良い、・・強い者に尻尾を振り続けることが行動基準になります。
中国では毎回同じような王朝が生まれては倒れるの繰り返しで、我が国のように順序だった社会構造の変化がなかったのは1強に屈従した上で相手を蹴落とす術数だけに智恵を使って来た歴史によります。 
現理主義の行き着くところは、北朝鮮や中国支配のやり方が世界に広がると言うことです。

原理主義による支配2(恐怖政治1)

習近平氏による恐怖政治の可能性・持続性ですが、中国(韓国も別に書く機会があれば書きますが・・)の民度では、そもそもいろんな意見が並列する社会で利害調節する政治をするのは無理があると思われます。
恐怖政治・・テロの打ち合いが長続きしない社会とは、ある程度民度が進んでいる社会であって、民衆の方がテロの打ち合いに嫌気をさしてみんなで彼らを追い出す方向へ向かう場合です。
イギリスのクロムウエルやフランスのジャコバン政治はすぐに国民の支持を失ってしまいました。
中国や韓国あるいはロシアのような民度の場合、テロの打ち合いをやるだけやっても国民が蜂起しない・・その結果誰かが最後に恐怖政治の頂点・専制君主や共産党トップの独裁者の地位を確立することになります。
中韓のような民度の場合元々譲り合いが出来ない社会ですから、ややこしい利害調節よりは、おっかない権威が1つだけあってピラミッド型にびしっと服従する体制の方が分りよくて居心地が良い・・社会かも知れません。
後進国では独裁制が似合う・・これしかないと書いて来ました。
利害調節型社会の政治闘争とは、利害調節を政敵よりも上手に調節して人心をつかみ、トップに躍り出ることを目的にする政治闘争の社会です。
これに対して恐怖政治下ではトップを窺う姿勢を示すと直ぐ粛清されますから、そんなことは出来ませんし、不要な能力となります。
調整能力があること・・ちょっと芽を出しただけで、危険人物視されてしまい、出世競争の相手がご注進に及ぶ告げ口によってさっさと粛清されますので、生き延びる智恵としては自分が御注進・告げ口する方に回るしかありません。
専制政治や恐怖政治社会では、社会を良くする方向への知恵を働かすのはむしろ危険で専制君主・独裁者に対する忠誠心競争・・・・負けたら獄入ですから競争相手を如何にして蹴落とすかに腐心する権謀術数の限りを駆使することになります。
スターリンのように恐怖・専制政治が確立するとその王朝下でトップの権威を争う・・取って代わる可能性のある政治を出来ず、忠実な臣下・部下として気に入られるための出世競争をするだけですから、こう言う社会では社会の変革や経済発展は殆ど期待で来ません。
恐怖専制政治下では、いかなる高位高官・・大官といえども、朝出仕したらその日の君主のご機嫌次第で、いつクビチョッパーされるかの心配が100%ですから、国家の命運などは二の次三の次の関心です。
こうして上から下まで、データや報告は都合の悪いことは出来るだけ伏せる・・良いことは多めに報告する・・これが専制政治下にある王朝や独裁・共産主義国家の普通の姿です。
ソ連経済は虚構の大発展発表ばかりだったことが崩壊後明らかになっています・・・・。
共産党政権下の中国でも経済が解放されてみると、それまでの大躍進の発表はまるでインチキ何千万人も餓死していた大失敗だったことが分りました。
最近の高度成長の発表も、実はかなりの水増し発表の繰り返しであることが知られるようになって来ています。
政府発表に始まって、世の中全て噓で塗り込められている社会では、庶民に至るまで何から何まで噓ばかりになるのは、仕方のない社会道徳になります。
・・その結果王様も情報から裸であることに気がつかない哀れな存在になります・・裸の王様の寓話のとおり、ソ連末期にゴルバチョフが必死になって実際の経済状況を把握しようとしても官僚が従来通りの報告を上げて来るばかりでどうにもならなかったと回顧録か何かで述べているようです。)
思想の自由がないと新たな発想が生まれないと言う高尚な視点で言えば、一神教のキリスト教が国教化=自由な思考禁止された後のローマが停滞し、これを引き継いだ西洋中世は暗黒の時代と言われて殆ど進歩がありませんでした。
宗教改革・・宗教戦争が終息・・違った価値観を相互に認めあいましょうとなって、初めて産業革命期に入って行ったことになります。
思想の自由のないソ連の宇宙科学が一見発展したかのように見えるのは、アメリカの宇宙科学を必死にスパイして作り上げたものと言われていますし、中国の核兵器や宇宙開発も同様です。
独自性のない国家がどこまで真似しても世界トップになることは出来ません。

大規模工場閉鎖の恐怖

中国が、国民を豊かにするために外貨準備を仮に国民に均等分配すると一人当たりいくらにもなりません。
仮に13〜14億人しかいないとしても、一人1万円で13〜4兆円、ひとりあたり10万円でも130〜140兆円必要ですから、(100万円の場合その10倍)外貨準備を全部使ってしまう訳にも行かないので、国内底上げ福利政策に使うには足りません。
(一人っ子政策の結果違反して生まれても戸籍届け出来ないまま・・戸籍のない人が億単位でいると言われていて、実際には20億人近いとも言われていますから大変です。)
冷蔵庫や洗濯機テレビ・クーラーなどを1台ずつを配ったら終わりと言うか、その行き渡った後はその維持コスト・・電気代等(資源輸入)が毎年跳ね上がり生活費の上がった分を賄うには、人件費を上げるしかなくなりますから、国際競争力の低下・・貿易黒字が減ります。
たまに報道される中国のローエンド製品工場(独餃子事件の工場や最近期限切れ非衛生で問題になった鶏肉唐揚げ工場など)をカイマ見ると、何千人から万単位の工員の働く大規模な工場が多いのに驚きますが、言わば低賃金と人海戦術で世界の工場・輸出基地の地位を確保して来たことが分ります。
餃子や唐揚げの技術が優秀であるから世界市場を席巻しているのではなく、大量加工向け人件費の安さのみが取り柄です。
人件費が上がってこの種の工場が殆どなくなってしまうとすれば、これを高度部品工場に入れ替えて行くだけでは(これが仮に成功しても)何十分の1の工員数で足りますので、中国で大規模な失業が発生してしまいます。
日本のように手仕事に頼っていた零細町工場が、機械化された大規模工場に負けた場合、もとの技術を利用した転進の道・・成功するのは何割しかないしても・・があります。
零細加工業から大企業への過程を省略して、低賃金を売りした大規模工場がこつ然と現れた後進国では、バングラデッシュやインドネシア等の更なる低賃金国に追い上げられて工場閉鎖になると工員には何の技術もないので転進の道がなく大量失業になります。
日本でも工場が海外移転→閉鎖すると工員が自力で何か始められる人はごく少数ですからその点は同じとも言えます。
ただ日本の場合、近代化に負けた零細企業ばかりではなく、しぶとく生き残ってニッチな部品等で世界のオンリーワン企業に育っている例が一杯あります。
大きな木が倒れて、その空き地で小さな新芽・生命が一杯出てくるような状態です。
中国の場合、大規模低賃金工場が駄目になって来たのですが、日本のように大工場跡に部品工場が生まれる訳がないので、何とか日本から高度部品を進出させたくてウズウズしている状態です。
最近では部品輸入に対して独禁法違反等の嫌がらせを始めてトヨタなどでは、部品値下げを事実上強制されている状態です。
多分部品輸出するばかりで現地工場を建てないと「際限ない嫌がらせをするぞ!と言う脅しのつもりでしょう。
最近のアメリカ企業子会社の食品工場の期限切れ鶏肉問題の大々的なテレビ報道と言い、もう外資はいらないと言うメッセージとも読めます。
米企業子会社に対する大々的報道の後では、独禁法違反等で外資中心に嫌がらせを始めたのは、この流れかも知れません。
ただ、食品工場の不潔大報道の結果、中国政府の思惑・・アメリカが中国の太平洋2分割論を認めないことに対する意趣返し?目的とは裏腹に、日本人の中国製食品離れが大きく起きて、(飲食業関係で中国製を使用していると言えば顧客離れが起きるのが普通です)結果的にタイや周辺国からの食品調達へ動きが加速してしまいました。
これで懲りたので、特定企業摘発よりは独禁法で締め上げる方が良いとなったのかも知れません。

アメリカの指導力低下6(専制支配の恐怖)

経済メリットが中国の方が仮に大きくなっても、価値観が違い過ぎる・・従うと何をされるか分らない恐怖・・無茶・乱暴過ぎるところが嫌われてアメリカが有利に囲い込んでいるのですから、中国がもう少し人道的(法治主義が定着)になって行き、もっと経済メリットが大きくなり・・逆にアメリカの経済存在が小さくなって行くと(近い将来そうなると分るだけでも)大変です。
中国の方が,アメリカのように政府保護をやめろとか無茶な市場開放を要求しない分、国有企業が多く自国産業保護を残したい新興国にはメリットもあります。
経済実態では、新興国にとっては実はアメリカよりは中国の方が価値観が近いのです。
中国の怖さは専制君主制の経験そのままでこれからも統治方法を改める意識が全くない・・支配者になれば支配地内では合理的(法的)根拠なくヤミからヤミへ粛清して行くやり方を今も実行していることや、この支配方法を対外的には従属国へ持ち込む・・力を剥き出しにした一方的支配地域の設定や有無を言わさない軍による占領支配などもその現れですし、怖さでしょう。
属国になればチベットやウイグルに対する過酷な弾圧がそのまま自国に及ぶ恐れがありますし、国民に対しても法輪功の弾圧は有名ですが、最近で薄煕来事件の帰すうやその黒幕の周永康周辺への不透明な粛清の進行・・中国の事実上属国の北朝鮮でのおぞましい張成沢関連へ大粛清事件でも明らかです。
東南アジア諸国や日本では専制君主制の経験がないので、専制支配についてはこわ過ぎて親中国になるには確実にビビってしまうところです。
ここに目を付けているのが安倍総理による価値観外交です。
韓国だけは専制政治に親しんで来たので、何とも思わない・・抵抗感がないので先物買いの意識で早めに中国にすり寄ったことが分ります。
韓国は本質的・体質的価値観が欧米や日本・アジア諸国とは違うことを、この一事でもって証明しています。
右翼の言う「特ア」グループが、多様なアジアでは例外グループであることが明らかです。
習近平氏の言う「中華の栄光の復活」という宣伝が、アジア諸国を専制支配したい意味に取れるので、周辺国は警戒感を強めるしかないのですが、中国にとってバカげたマイナス宣伝です。
中韓両国はマスコミ等を使った大宣伝が好きですが、告げ口外交等は信用を落とす逆効果であることが分らないのと同様に、中華民族の栄光復活などと主張することが周囲にどのような影響を及ぼすことになるのかついて、分っていないのではないでしょうか?
この後で古代の閉鎖された社会での秦の天下統一・・合従連衡策と開かれた社会になっている現在とは状況が違っていることを書いて行きますが、開かれた海洋社会では支配者にさえなればどんな残酷なことでもやり放題という専制支配社会は成立しないことにまだ気が付かないのです。
専制支配が可能か否かは、民主主義かどうかという理念によるのではなく、逃げ場のない閉鎖社会か、開かれた社会を相手にするかに掛かるでしょう。
東南アジア諸国や日本は海路で外の世界に開かれているので、昔から専制支配が成立したことはありません。
緩やかなヘゲモニーを前提とする海洋国家を中心とするグループに対して「中華の栄光復活」を旗印に強面(こわもて)外交で威迫して行くやり方は、古代の秦が周囲を圧迫して支配確立して行くやり方を彷彿させますが、時代の違いよりは開かれた社会相手には出来ないことが分っていないのです。
中国は韓国がすり寄って来るともう属国になったつもりで、無茶な要求を始めたので韓国は尻込みを始めてアメリカグループのTPP参加を表明しました。
今の時代、立場が強いからと無茶な要求をすると、韓国だって外に逃げ場があることに中国はまだ気が付かないようです。
アジアからアメリカが手を引いても、中国が金融や会計その他各種分野で世界標準をリードするにはまだまだ基礎レベルが低過ぎますので、中国グループに入っても逆に日本アやアジア諸国が教えてやる関係ですが、当面のリスクは先端技術導入に応じないと中国内への企業進出を認めないというやり方で来ることでしょう。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC