中華(光復)思6(大躍進政策1)

共産党政権は資産家層の支持を得ていないので、政権獲得後思い切った土地取り上げ等の実行が出来た強みがある代わりに、経済や地域支配による政治運営経験がないので、どうして良いか分らない問題に直面します。
(ゲリラ戦や個別勧誘・・蒋介石・国民党の悪口を言って歩いたり、共産党軍への鞍替え勧誘する動きいわゆるオルグ活動は得意・・個別接触中心なので行く先々の相手に合わせて言えますが、・・支配が始まるとあちこちで言ったことの矛盾・・整合性が必要になります)
日本の鳩山民主党の「少なくとも県外へ」のスローガン同様で、アチコチの利害調整が必要な支配者になると困ってしまいます・・、その結果得意の内部粛正競争・虚偽発表に走るのが普通です。
日本で言えば、左翼全盛時にはやった労組管理の経営が成功した例がないのを見ても分るでしょう。
スターリンは、内政失費を隠して2000万人ほど餓死させながら穀物輸出をして共産主義の大成果などと国際的に自慢していました。
国内的には、粛清・シベリヤ送りの嵐で批判を封じ込めますが、裸の王様と同じでいつかは風邪を引き肺炎になります。
こんな無茶が出来たのは農地を個人から取り上げて国有・集団農場にしてしまう・・抵抗すればドシドシ、シベリア送りするやり方で農地を取り上げてしまったので、個々の飢えている農民から穀物を直接取り上げる必要がなかった・・配給を減らせば良いだけだから出来たのです。
スターリンの無理がどうにもならなくなって、彼の死後フルシチョフのスターリン批判になって行くのですが、中国の場合には大躍進政策の結果5000万人前後を餓死させただけではなく無茶な製鐵増産のために樹木と言う樹木を切り、裸山にしてしまったので、その後の洪水や水不足その他環境破壊の害を今に残しています。
以下https://ja.wikipedia.org/wiki大躍進からの要約です。
1 大製鉄・製鋼運動
概要
1958年10月から、鉄鋼の大増産を目指して原始的な溶鉱炉(土法炉)を用いた製鉄が全国の都市、農村で展開されたが、金属工学の専門家もそれに適した設備もなく、原材料も満足に確保できない中で、素人に良質な鋼鉄が作れるはずもなかった。
建設資材
土法炉を建設するための主な資材である耐火煉瓦の供給は皆無に等しく、一般住居用の煉瓦ですら供給不足の状態だった。このため、煉瓦製の塔・寺院・城壁など、中国全土で多数の歴史的建造物が、土法炉建設用の煉瓦採取の目的で解体・破壊された。
燃料の確保
農村部等、ほとんどの地方では木炭を燃料としていたため、必然的に土法炉の燃料にも木炭を使用することになった。この事は、木炭を生産する目的で、中国全土で樹木の大規模な伐採が開始されることを意味した。伐採の対象は事実上、無差別・無分別であり、果樹園の果樹・園芸用の灌木も例外ではなかった。
原料の確保
鉄鉱石は石炭同様産地が限られ、かつ供給不足の状態であり、多くの地方では砂鉄の入手すら困難な状況にあった。このため、都市部では鉄製の各種設備・構築物を解体し、農村部では鉄製の農機具・炊事用具を供出させ、それぞれ屑鉄にした上で土法炉に投入した。鉄製器具を消費して屑鉄を産みだすという、全くの本末転倒な行為といえる。
結果
1117万トン生産された鉄の内、60パーセントが全く使い物にならない粗悪品(銑鉄)だった。販売流通も全く考慮されていなかったために、工業生産から流通までに長期間にわたり悪影響を残した。
また、この時の製鉄事業により大量の木材が伐採された為、今でも中華人民共和国では毎年洪水が発生している。しかも農民が大量に駆り出されたため、管理が杜撰となった農地は荒れ果ててしまい、ノルマ達成のために農民の保有する鍋釜、農具まで供出されたために、地域の農業や生活の基盤が破壊されてしまった。」
今でも需要無視の鉄道建設や鬼城と言われるマンション群その他無茶な生産設備の増設の結果、鉄鋼製品その他の赤字輸出が世界経済の混乱要因になっていますが、大躍進政策では粗悪品しか作れなかった品質以前に、ソモソモ需要を予定していなかったのですから驚きです。
ちなみにGDPやクルマなどの生産台数が重要なのは、それだけの需要=売れるクルマを作れると言う前提で意味があるのであって、こけ脅しのために無駄なものを作れる量のことではありません。
中国では未だにその辺のところ目的と手段の関係が分っていない・・だから鉄道総キロ数ヤ国有企業を合併させて世界一の規模にこだわったりしているのです。
大増産政策失敗→増産成功出来ないだけで従来どおりなら、何故餓死したたのか不思議でしたが、これを読むとよく分ります・・農機具まで供出させて農民を駆り出して製鐵作業に従事させていたのでマトモな農業が出来なくなっていたからです。
2 四害駆除運動・・雀が穀物を食べるからとと言って何百万羽と捕獲させたら、このために害虫大発生して大凶作になったと言う漫画的結果の描写です。
3 密植・深耕運動・・稲苗を密集して植えたら多く取れると言う運動をしたら育たなかったと言うこれまた漫画的失敗です。
こう言う失敗を中央に報告したら、日和見主義者として粛清されるので「大増収」と言う虚偽報告をしていたのですから軌道修正が遅れ被害が拡大します。
毛沢東は、その後の文革でも大きな後遺症を残していますが、これだけの大迷惑を掛けているのに、今でも毛沢東批判が出来ないまま・・時々毛沢東万歳の声が起きるほど・・それほど個人崇拝教育の害が大きかった証拠とも言えます。
中国の場合、スターリンのようにシベリア送りする場所がなかったのですが、元々一旦政権を取ってしまえばどんな酷いことも出来る歴史が強み・・その分やり過ぎる度合いも半端ではありません。
チベットのパンチェン・ラマ10世の諌言書を明日紹介しますが、実に生々しい悲惨な状態が出ています・・彼を捉えて最後に自由にされて中国礼賛するための原稿が渡されますが、彼は演説で草稿を無視して「如何に中共政権がチベット族に酷いことをしたかを」世界に訴える大演説をぶってしまい、その数日後には病死名目で殺されてしまいます。
日本で言えば、長篠合戦で「援軍が近い」と篭城方に告げてその場で磔処刑された鳥居強右衛門同様の英雄です。
これが中国政府のやり方で、今も香港書店主や人権派弁護士がいつの間にか拉致されて行方不明になっていて大騒ぎすることがありますが、これが突然出て来て記者会見を開かされて自分の意志で本土へ行ったなどと言わされています。
たまに彼らのうち骨のある店主では、「強制的に連れて行かれた」と公言する人もいますが、こう言う中共政権のやり方を見ると大躍進当時とまるで変わりません。
毛沢東は、無茶苦茶な大躍進政策をやりますが、5000万人前後の餓死者を出す大失敗に終わってしまったこと・・5000万人も餓死する→餓死に至る寸前の者がその何倍もいたことになりますが、そこまで続けられた人民の弱さにこそ、注目すべきです。

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