共同体離脱に対する後ろめたさ・・ひいては離脱補助金交付に対する反発は合理的ではないことを書いてきましたが、故郷から出て行く方法として村の用意した用地内だと仕事がないが・・少し離れた場所に移転すれば就職先がある場合もあるでしょうし、あるいは自治体の取得した用地外ならば農地や牧畜(養鶏や養豚など)用地を個人的に取得し、家業を続けられる人もいるでしょう。
こうした人へも補助金・交付金の分配をすべきだとすれば、全く関係のない遠方へ移住したい人にだけ一銭も出さない合理性がありません。
そこにあるのは共同体から完全離脱するかしないかの区別しかないことになります。
昨日まで書いて来たように共同体維持の必要性が減少しているのですから、共同体維持・存続意識(忠誠心?)の強弱を基準にするのは誤りですから、今後自治体の用意した用地利用その他のサービスを受ける権利放棄と引き換えに自治体の取得した用地内に転居する人が貰える補助金と同額資金プラスアルファを貰いたいと言うのを拒む理由はないと思えます。
実際には危機でもないときに予め転地したいから転地費用をくれと言われても、地元に残り続ける人たちの心情・政治的にはすんなりと行かないでしょうが、そもそも早期転出奨励こそが自治体の役目とすれば何も疑問がありません。
それに自治体自身が元々危機が具体的でないにも拘らず、将来「不安だ」と言うだけで政府から前もって(モデル計算によれば運転開始までに9000億の半額貰うのですが、土木工事中に放射能漏れの危険などあり得ないことは誰にも分ります)巨額の交付金をもらっているのに、住民の要望に対して自治体が「何の危機も具体化していないのに不安だけでは前もって渡せない」と言うのは背理です。
別荘建設や移動の費用として政府から貰った交付金の半額(用地取得その他自治体で負担する費用があるので)までを村に残った人には仮に補助するとしたら、一緒に行動しないで独自ルートで生活してくれる人(後は何の世話にもならないと言う人)は、一緒に行動している人よりも自治体に掛ける迷惑が少なくなるのですから、最後まで行動を共にする人と同額補助金プラスアルファ(早期割増金)を支給しない理由はありません。
これに対して、交付金は住民に対して配るべきものではなく「地元振興策として交付されているものである」と言う立場による反対が考えられます。
国土の均衡ある発展を図る国策には、04/29/04「過疎地域活性化特別措置法2(過疎地とは?5)」その他のコラムで以前から繰り返し反対していますが、政治は生身の国民や住民の福利のためにあるべきであって、国土や自治体のためにあるべきではありません。
国土の発展は住民の増加によるのではなく、むしろ域内のビニールハウスや人を減らして緑したたる緑地を増大しても国民が豊かな生活を出来るようにすることこそが、この言葉に似つかわしいでしょう。
この地域は危険だからと言って交付金をもらいながら、その地域の振興策・人口増加あるいは維持策をとるのは矛盾することについては、2011-6-18事前準備5(移転2)で書きました。
予め別荘用地に建物を取得していた一家にとっては危険地帯に残っていてもイザ避難となっても別荘に一時避難すれば済みます。
別荘には家財道具もある程度そろっていて道具の不足分は車で持って行けるし(緊急避難とは言っても津波のように寸刻を争う必要がなく、車に荷物を積む程度の時間の余裕はありますし、また何が足りないかも予め知ってます)現在のように体育館に雑魚寝するよりは比較にならないほど良かったでしょう。
この避難準備も10日20日の避難ならば体育館よりは有効で申し分ないですが、半年、1年と長期化すれば仕事先が心配になりますから、介護関係など顧客減少に困らない仕事の人の場合にはこの方法がベストでしょう。
水産加工業や漁業者の場合、場所が変わればおしまいですから、この種職業従事者にとってはお金を配ってもらった方が合理的です。
別荘建設まで進まないで取り残されていた人たちだけが、緊急避難の対象者となって身体的には何の故障もない元気な人に対してまで、自治体が住むところから食事の配給や医師の派遣など何から何まで生活の世話までしなければならないことなります。
ですから原発立地後一定期間内に転出もしない、自分の好みの別荘すらも建てない人に対しては、標準的な別荘を建てて強制割り当て(その分支給金を減らす)してのが妥当です。