自衛力7(応援団3)

1昨夜(金曜夜)は千葉県弁護士会の同期会の会合(同期といっても最年長者92歳から68〜9歳までの集まりです)で帰宅が遅くなったのと昨日は朝から東博へ大法恩寺所蔵の快慶展を見に行ったので、1昨日までの関心とは無関係のかなり前に書き溜めていた原稿の自動掲載になりました。
ついでに少し感想を書いておくと1年ほど前に運慶展を見に行った感動の余韻でその後継者の作品を見ておこうと行ったのですが、(おまけだったのかな?ついでの展示されていた)定慶の6観音は、光背の見事さ精巧さに驚き、漆などの塗りのない木肌の美しさにも驚きました。
解説本を買って帰り読んで見ると榧ノ木とありますが、へぼ碁をしていた若い頃立派な碁盤に憧れていたので碁盤に使う榧のことかな?と親しみがたかまりました。
ちなみにウイキペデイアで調べて見ると、以下の通りです。
材木は淡黄色で光沢があり緻密で虫除けの芳香を放つ。心材と辺材の区別は不明瞭で、年輪は幅が狭く波状を呈する。材質はやや重硬で弾力があり、耐朽性・保存性が高く比較的加工しやすい。樹脂が多く、加工品は年とともに風合いが美しく変化する。
なるほど何の彩色(保護)も無く無垢のままで800年も経っているのに、虫一つ食っていない光沢のある観音様の美しさが今に残っている所以です。
碁盤にすると石を打ったときの独特の弾力性が気持ち良いのですが、観音様の肌が弾力性があるように見える原因も理解できました。
東博について書いたついでに私事ですが、今年の真夏には、縄文展に感動して二回も見に行きましたが、二回目(後期)に行った時には、司法試験受験時の旧友(裁判官→今弁護士)に東博で遭遇し、感激しました。
彼(といっても私より2〜3歳年長ですが・・)とは、46〜7年前にゴヤの「着衣のマハ」と「裸のマハ」の展覧会を私の妻と3人で上野の西洋美術館へ一緒に見に行き、当時は体力もあったので東博や寛永寺の方へも回りましたが、当時は今と違いほとんど人がいなくて大きな博物館内外はがラーンとしていた記憶です。
同業ですから、時々裁判所廊下等で行き違うことがありましたが、この10年近くあっていなかったことと思いがけず40年以上も前と同じ場所で再び妻と3人で出会ったのには感激しました。
西洋博物館の記録を見ると一緒に行ったのは昭和46年秋のようです。

ゴヤ展
1971(昭和46)年11月16日- 1972(昭和47)年1月23日
会場:
国立西洋美術館

18年2月3日「自衛力6(応援団2)」の続き自衛力に戻します。
日本1国の防衛力を高めても今後の国際紛争は、テロの利用あるいは海賊などの非正規軍による妨害が多くなるので、日本が世界1の強国になっても自力で世界中の安全を守るのは不可能です。
(中国はすでに偽装漁船を動員しての領海侵犯やサンゴの乱獲による破壊などをくりかえしていますし、いざとなれば難民と称して巨大な浮浪者の吐き出しに使う戦略も可能です)
この流れ・・・サイバーテロに象徴されるテロ等の非正規攻撃が主流になったのは、一つには大国同士が相互に核兵器大量保有国になったことから正規軍の戦いが不可能になったことと、経済的にアメリカが世界の1強になった反動があったと思われます。
通常兵器による正規軍の反抗だけならば、世界の隅々まで圧倒的兵力を派遣して(イラク戦争のように)すぐに撃滅できるでしょうが、テロ組織相手になると正規軍の長距離砲や核兵器・戦闘機、爆撃機の威力だけはどうにもなりません。
テロが跋扈するようになると、現地警察の取り締まり強化に頼るしかないので、現地政府・住民との協力が必須・・アメリカが自分の力だけでは(世界の協力がないと)世界の警察官役を果たせなくなってきた主原因です。
アフリカで日揮の工事現場が襲撃されたことがありました。
http://toyokeizai.net/articles/-/12676

2013年01月25日
アルジェリアのガスプラント施設で起きたイスラム武装勢力による襲撃事件は、日本人10名を含む多数の死者が出る最悪の結末を迎えた。日本人の死亡者は、いずれもプラントエンジニアリング大手、日揮の社員ら同社関係者。
南東部イナメナスのガス処理施設と近くにある専用宿舎が襲撃され、プラント施設工事に携わっていた日揮社員ら多くの犠牲者が出た。

こういう襲撃行為が(もしも中国がバックになって)日本標的にしてあちこちで行われるリスクが高まってくると、日本一国だけでは防衛力を如何に高めても無理があるのは自明ですから・・安全維持に協力してくれる友好国のネットワークを増やしていくことが肝要です。
逆に中国や韓国による慰安婦や南京事件の誇大宣伝に同調して「日本悪者説」が世界に広まり中国政府の反日運動に対する現地同調者が増えると対日テロを起こし易くなるので大変なことになります。
短期的には中国のシャープパワーも威力を発揮するでしょうが、長期的には文化力・ソフトパワーの戦争になります。
この原稿は1月ころに書いていたものですが、ついにトランプ氏の歯に着せぬ直接的攻撃の対象になってきて国際孤立が始まっていることは(10月4日の副大統領による対中宣戦布告的演説を紹介したばかりです)周知の通りです。
どんなにうまく運営されている社会でも数%程度の不満分子がいて、これを0%まで持っていくのは不可能です。
ところが電子機器の発達によって、現地人口の大方が日本贔屓の社会であってもわずか0、何%の不満分子・というよりも金次第で動く人間がいて、彼らをお金やその他誘惑等で炊きつけるだけでも相当な戦力になる時代です。
なんら訓練のない普通の子供でも一たび銃乱射事件を起こせば大の大人があっという間に大勢殺されてしまう時代になりました。
都市化・高度化するにつれてちょっとした自然災害にも弱くなるように、・・最近ではちょっとした需給バランスの間違いで北海道中大停電・・でブラックアウトになったばかりです。
まして、金の力でプロを使えば少人数で大規模テロも可能です。
自衛→集団行動の必要性に戻ります。
生命体で見れば、馬やシカ、アヒルその他多くの弱い動物、鳥類、魚類はこのために群れを作り集団行動しています。
生物である限り種の保存本能から見て集団防御が必要なことは論を俟ちませんが、これと国家や民族の集団自衛行動とどう違うのでしょうか?
自衛権を認めながら、相互協力を認めない意見があるとしたら、あらゆる生き物に必須の集団自衛行動をどのように説明するのでしょうか?
「それは認めるが我が国では憲法で禁止している以上は、憲法違反だから反対している」と言うならば、そういう意見の人が憲法改正になぜ反対するのか意味不明です。
「生き物はすべからく生命の危機から身を守る権利がある」とした場合、その方法として仲間に助けを求める権利も当然あるべきでしょう。
実際に西欧諸国はNATOで相互防衛をしていますし、世界中でこれが行われています。
国連でもこれを認めているのです。
相互防衛条約があると侵略国家になると言う定義を聞いたことがありません。
ところで仮にこれが必須とした場合でも、いきなり日本の都合だけで友好関係が成立するものではありません。
このために日頃からの友好国維持拡大努力が日本にとっては最重要課題です。
中国による航行(物流)妨害リスクに戻します。
現在(今春の原稿です)の北朝鮮問題解決のために、米国の中国に対する協力要請に対して中国は表向き自国ができることは何もないような対応をしながら、アメリカの対応によっては協力しないこともないかのようなそぶりで(南シナ海や通商問題で)アメリカの譲歩を引きだす戦略と同じです。

自衛力6(応援団2)

ここで18年1月28日このコラムに記載したフランス海軍が南シナ海での航行の自由作戦を実施するという日経新聞報道の続き・・集団自衛権の外周である(共闘してくれないまでも外野の)応援団を増やす問題に戻ります。
以下は、その当時に引用した外務省の対仏関係の広報です。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005531.html

1 1月26日から29日まで,ジャン=イヴ・ル・ドリアン・フランス共和国欧州・外務大臣(H.E. Mr. Jean-Yves Le Drian, Minister for Europe and Foreign Affairs of the French Republic)が,外務省賓客として訪日します。
2 ル・ドリアン大臣は,滞在中,フロランス・パルリ・フランス共和国軍事大臣(H.E. Ms. Florence Parly, Minister for the Armed Forces of the French Republic)と共に,河野太郎外務大臣及び小野寺五典防衛大臣との間で第4回日仏外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を行い,日仏安全保障・防衛協力,地域情勢等について協議を行う予定です。
3 また,滞在中,河野大臣と第7回外相戦略対話を実施するとともに,河野大臣夫妻主催昼食会が催される予定です。
4 日仏友好160年を迎える本年,ル・ドリアン大臣の訪日を皮切りに,両国の「特別なパートナーシップ」を越えて,日仏関係が更に深化されることが期待されます。
[参考]
(1)会談歴:2017年9月,国連総会に際してニューヨークで初めての会談を実施。
(2)訪日歴:第2回日仏「2+2」等の機会に訪日歴多数。
(3)日仏「2+2」: 第1回は2014年1月(於:パリ),第2回は2015年3月(於:東京),第3回は2017年1月(於:パリ)で開催。ル・ドリアン大臣は,第1回から第3回までの会合に国防大臣として出席。欧州・外務大臣としての出席は今回が初めて。
(4)「特別なパートナーシップ」:2013年6月,オランド前大統領の国賓訪日の際に行われた首脳会談や共同声明(PDF)等によって,日仏両国は,共通の価値・利益に基づく「特別なパートナーシップ」の関係にあることが確認された。

上記による1月26日に行なわれた日仏会談結果のNHKニュースを以下に紹介しますが、フリゲート艦の共同演習まで決めても対中国に対する直接的意思表示になる「自由航行作戦実行」までは明言していませんし、27日の日経朝刊2pの報道でも同様です。
政治家というものは方向性をにじませるのがやっとで、軽率に明言するものではない・・あたり前のことでしょう。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180127/k10011304621000.html?utm_int=detail_contents_news-related_003

日仏閣僚会合 北朝鮮の制裁逃れ阻止で連携確認
1月27日 5時23分
日本とフランスの外務・防衛の閣僚会合、いわゆる2+2には日本から河野外務大臣と小野寺防衛大臣、フランスからルドリアン外相とパルリ国防相が出席しました。
両国の閣僚は、日本と、太平洋にも領土を持つフランスはともに「太平洋国家」であり、法に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要だとして、インド太平洋地域での協力を具体化していくことで一致し、海洋進出を進める中国を念頭に、東シナ海や南シナ海で緊張を高めるいかなる一方的な行動にも強く反対することを確認しました。
さらに自衛隊とフランス軍が、災害救援活動などで水や燃料、弾薬などを互いに供給し合うためのACSA=「物品役務相互提供協定」を締結することで大枠合意したほか、来月、フランス海軍のフリゲート艦と海上自衛隊の艦艇による共同訓練を行うことや、機雷を探知する技術の共同研究を早期に始めることで一致しました。

上記記事のフリゲート艦が日本からの帰りに中国が実力行使中の南シナ海での埋立地周辺を領海と認めずに公海としての自由航行をするかどうかは、その時までの政治情勢次第ということでしょう。
政治家の微妙な言い回しをフランスでインタビュウした日経新聞が自社流に解釈して帰路に自由航行作戦を実施すると言う趣旨の自社解釈を事実出るかのように報道をしたことになります。
この記事は1月28日のコラムで紹介しました。
本来報道機関としてはインタビューのやりとりをそのまま記載してそれに対する解釈は解釈として別に書くべきでしょう。
日本のこうした努力は、国際司法裁判所判決など歯牙にも掛けないという中国の明言に対するアンチ中国勢力網の構築です。
安倍総理は航行の自由確保→国際協力を得るために必死に努力し、インド〜オーストラリアを巻き込込んだ防衛網作りに一応成功しつつありますが、これがいつまで続くか保障の限りではありません。
中国は戦国末期の合従連衡の経験によれば、小国連合を一つずつ潰していけば良いので最後は中国が勝つと信じているようですが、中期的には中国の経済力がどこまで伸びるか・・実際には破綻先送りの限界がいつ来るかにかかっているでしょう。
ただし、中国の破綻先送り限界が早く来ると傷が浅くなる分、早く身軽になって再建できて早く合理化される結果、短期間で強敵として再浮上するリスクがあります。
(いくら合理化しても民度レベルの限界がありますので、トータル中国人の民度レベルによりますが・・)
破綻が早く来るのを期待する意見が見られますが、破綻先送りが長ければ長いほど傷が大きく深くなり、そこまで行って破綻するとその分再建が長引く・・非合理社会が続くので、その方が日本にとって有利ですから破綻が遅いほうがいいでしょう。
短期的には英国が、EU離脱による孤立化回避のためもあってか?日英同盟復活方向に動いているのは利点ですが・・政治は複雑な要素でう動くので経済面では英国の中国再接近も大きく報道さています・・。
当面西欧諸国も中国(巨大市場に参入したいので)になびく傾向が顕著ですから、そのうち中国に遠慮して10の批判できた国が8〜6〜3〜1と低下していき最後は何も言えなくなる可能性が高まるのを覚悟しておく必要があるでしょう。
いじめっ子が出ると標的にされた子が孤立する・・周りは関わりたくない心理になる一般的仕組みを想定しておく必要があります。
これを表明したのが、(自分を守るのに精一杯の)「小国はよそのことに関わらない」と言うシンガポール外交官の1月28日に紹介した意見です。
こうなってくると米国も従来型の及び腰ではアジア諸国の信頼をつなぎとめられないので遅ればせながら1月21日に思い切って中国が主張する「領土」から12海里以内への「接近」航行行動に出たのでしょう。
この報道があるまでメデイアの米軍の「自由航行作戦」実施という報道によって、米国が「中国の主張する違法な領海内」の航行をしている・「勝手な領海宣言を認めない」作戦実行していると私が誤解していたことが分かりました。
中国主張の領海の外側を航行する程度しかしなかったのならば、周辺諸外国が「米国恃むに足らず」と思ったのは仕方がないでしょう。
ヤクザに居座られて警察を呼んだのに警察がヤクザに遠慮して近くをパトロールするだけで家に入ってきてくれなかったようなものです。
いつものマスコミ批判ですが、仔細に読めば「航行の自由作戦」というだけで「中国主張の領海内航行をいう」という定義を書いていないのでしょうが、前後の脈絡・「中国の自国領土主張を否定するために航行をする」という文脈で見出しだけ読めば、「中国主張の領海内を堂々と航行する」のかな?誤解していた人が多いのではないでしょうか?

自衛力5(応援団1)

戦力比較の基礎技術は日進月歩なので、半年もするとパワーバランスの方向性(現役稼働するには、5〜10年単位の関連施設整備や要員育成などが必要なので実は約10年先の戦力比予想になります)が変わっているかも知れませんのでこのくらいにします。
素人の印象として結論的に言えば、中国が自前の技術ではなく知財の剽窃・スパイに頼っている限り、整備技術が向上しない・・稼働率アップできても大したことがない結果、ザルから水が漏れるような無駄遣いに悩まされ続けるでしょう。
中国は改革開放路線に舵を切った時に大幅に遅れてしまった技術について自主開発を進めるか、模倣によっていち早く先端品を作るかの岐路にあった時に、自主開発では時間がかかり資金負担も膨大だしうまくいく保障もない・・合弁形式で工場誘致し技術導入・模倣すればすぐに立ち挙げられて有利だという論が制したと言われます。
これが奏功して急速な生産拡大につながり、製鉄〜鉄道船舶、家電や車などの生産急増になりましたが、この結果さしたる努力工夫もしないで、他人の努力した結果を模倣・盗めば良いという気風がみなぎり、若者の受験ではネット利用によるカンニングが普通になるなど、すべての分野で他人の努力した成果を盗むことが良い(利口な生き方?)ことだという体質が行き渡ってしまいました。
これが国際的問題になったのが知財剽窃行為ですが、国内でも受験であれ就職であれ、カンニングや汚職/買収によるのであれでっちあげによる競争相手の蹴落としであれ、結果さえ奪い取れば「奪い取った方の勝ち」と言うおそるべき非道徳的社会が完成に近づいています。
もともと約2000年に及ぶ専制支配体制下でこの種権力闘争が最有効手段として定着していた下地が、これをあと押ししている面があることを繰り返し書いてきました。
合弁生産によって技術指導を受けるのでは飽き足らず、合弁していない先進国の無関係企業の先端技術までも盗むのを悪事と思わない独特の道義社会・・破廉恥道義国家になってしまった(本質的性状が露呈した?)のです。
知財剽窃が国際批判されると、この1〜2年ほど前から中国進出企業に知財提供を義務づける体制構築を始めていますが、これは知財提供の強制=従来の窃取を政府が合法化する仕組みですから、いわば強盗みたいでこれにはさすがにアメリカも怒り始めたところです。
この怒りの蓄積はトランプ氏個人特性によるものではありません。
これに対する習近平氏の回答は、南シナ海での強引な埋め立てに対する国際司法裁判所の判決に対して「紙切れだ」と言い放ち、昨年秋の党大会での演説では「中国には独自の価値基準がある・これに今後世界が従うことになるだろう・・この基本は今後示していく」という趣旨の長広舌を振るったものでした。
ただし、ここは中国の非道徳性を批判するために書いているのではないので、話題を元に戻します。
ここでの関心は、中国は高度技術の模倣期間がすでに30年前後に及んでかなりの模倣ができた以上は、今後は自前技術開発に切り替えるべき段階ですが、この数年の中国の動きはさらなる模倣すべき対象の拡大深化・・しかも犯罪として遠慮していたのに逆に開き直って提供を権力で強いる・・強制力を用いる段階になってきた現状を書いています。
模倣に頼る限り模倣すべき相手の上を行くことは不可能ですし、特に知財等の核心的設計図書とは違い、現場力のウエートの高い部品製造や整備調整分野では、今後日本の機体等の整備力との格差が縮小するどころかさらに開いていく可能性を書いています。
以上の結果、模倣に精出している中国が20年程度では中国が通常戦力による限り、日本領土を武力占領するほどの実力にはならないと思われます。
今後約20年間では、中国は実力アップを目指しながらその間尖閣ではサラミを薄く削いで行くように一歩一歩侵蝕して来る・・それがニュースにならない程度に常態化の既成事実化して行く(最初は大量の仮装漁船でしたが、次第にエスカレートして1月11日に起きた接続水域内の攻撃型原潜潜行事件がその例ですが・・)、インド洋や南シナ海等での国籍不明船での航行妨害から手を着けてくると見るべきでしょう。
いわば農家が隣地と境界を数センチずつ削って行くようなコス辛い手口ですが、そんな程度か?と少しでも気を緩めるとサラミどころか、ハムの厚切りをしてくる・・思い切ったことをしてくるので油断はできません。
しかし、自衛隊の戦力は侮るべからざるものを持っているので当面中国はロシアによるクリミア侵攻のような露骨な対日実力行使にはおいそれとは踏み切れないと思われます。
ただし世の中はどうなるかは不明ですから、いつまでたっても通常兵器では日本に追いつけなくて日本を脅せないとなれば、中国が国内対策上核兵器による脅しを始めない保障はありません。
今は核兵器保有国でない相手に核兵器使用が許されない事実上の雰囲気ですが、これがいつまで続くかの問題です。
通常兵器戦で大負けになって自国領内がどんどん爆撃などされるようになった場合、最後最後の手段として完全敗北を免れるための選択肢として考えうるパターンです。
最後とはどういう段階をいうのかは当事国に任せられているので、中国の場合、日本攻撃のための爆撃機や戦闘機出撃基地や日本本土向けの長距離ミサイル発射基地を叩かれたら核兵器を報復のために使うという言い方もあり得ます。
こうなってくると日本は自衛の反撃をしないで手を拱いて爆撃や長距離砲による通常爆弾投下を待っているしかないのでは、通常戦でも負けるしかなくなります。
本当に自衛するには、将来的には核の脅しに対する抑止力程度の核兵器導入が必須です。
そこまで中国がすぐには実行しない場合に、大規模にやるとすれば台湾侵攻作戦からでしょうが、これが成功すると日本にとっては通商路の合法的妨害リスクになるので最大脅威というべきでしょう。
これの帰趨は台湾の自衛力保持=アメリカの後方支援次第・・すなわち米中の力関係変化・・・米国の応援の腰がどの程度引けてくるか次第になります。
日本の防衛力も米軍による供給次第とも言えますが、日本の場合米国が日本への武器供給を絞れば、却って自主防衛品製造の道が開かれる・・日本の場合禁止さえされなければ、自分で高級品を作る能力があるので困らないし・多分その方が割高な米装備品を買わなくて済むので経済的にも有利でしょう・アメリカは高額な軍需品の最大販路を失うだけですので、中国への遠慮だけでは簡単には日本への供給を絞ることができません。)
中国は当面時間をかけて基礎技術力のアップ・・その基礎になるべき総合経済力の涵養につとめるしかない状況ですが、これでは今にも日本を侵略できるかのように大言壮語してきた結果、国内的に格好がつかなくなっているのが現状です。
このままでも徐々に水準を引き上げて行けばいいのですが、これまでの大言壮語から見れば手詰まりなので習近平氏は、5年に一度の昨年秋の党大会で30年にはアメリカに追いつき、50年には世界に君臨支配するという夢物語・・長広舌を振るうしかなかったように見えます。
本来、政治家としてはそんなことをおくびにも出さないのがプロの道ですから、こう言う明白な主張をするしかないほど国内的に追い詰められていたと読むべきです。
中国の国内実態は多くのエコノミストが認めるように中国経済の危機・破綻を先送りしているに過ぎないのですから、10数年後には先送りの限界がきて逆に惨憺たる状態になっている可能性の方が高いと思われます。
その間プーチンのように対外強硬策・・強引な直接的実力行使が無理とすれば、世界世論・正義の観念を全く無視できないと思われます。
その場合には国際世論や応援団の必要性が高まります。

集団自衛権3(自衛力1)

スポーツでも夫婦喧嘩でも(昔から腕力のない女性集団に取り囲まれると乱暴な男がスゴスゴと引き下がるように)外野の応援団が多いほうが良いに決まっていますので、共闘してくれないまでも、応援団を増やす努力が重要です。
外野応援団のうち一人でも止めに入ってくれたらありがたいのが現実です。
日露戦争では、英国による武器弾薬の供給などの応援(共闘してくれた訳ではありません)が効き、しかも講和条約の設定までしてくれたものですし、日米戦争では東南アジアに破竹の進撃をしている「いいときに」止め役がいなかったので、最後まで行って完敗に追い込まれてしまった違いです。
ただし、日露戦争の場合、日英同盟のみによって講和条約になったのではなく、ロシア自体の内訌・第1次ロシア革命・・「戦艦ポチョムキンの乱」など総合的なものも大きかったので、緒戦で有利に展開し同盟していれば講和ができるとは一概に言えません。
http://www.y-history.net/appendix/wh1401-114.html

第1次ロシア革命
1905年1月、日露戦争の最中、ペテルブルクの王宮に労働条件の改善、国民議会の開催、戦争中止などを請願した労働者・民衆に対し、軍隊が発砲したことから起こった「血の日曜日」事件をきっかけに、その政府側に国会の開設などの改革を実行させた革命。
1905年、血の日曜日事件で民衆を弾圧し、日露戦争を継続するツァーリ政府に対する不満は兵士の間にも広まった。5月には日本海海戦でバルチック艦隊が全滅し、大きなショックとなった。

日米戦争ではアメリカは圧倒的戦力を有していたので、もともと緒戦で負けておいてから報復と称して国民の反日感情を煽ってから巻き返す予定であったことが知られており、仮に日英同盟が残っていても英国は仲裁役にはなれなかったでしょう。
対中防衛戦では同盟や応援団の役割はどうなるでしょうか?
これが現在日本での最高関心事です。
中国が、内政矛盾を誤魔化すため冒険主義・対日侵略戦争に走る場合、短期間の攻撃で日本が屈服してしまい交渉にすらならない場合は別として、一定期間日本が自力で奪回できれば、日本の応援団の力で交渉開始になります。
すぐに奪回されれば、中国がもともと内政矛盾を解決できずにに対外博打に討って出るのですから、・・・ロシア革命時同様に中国内政矛盾が吹き出して大混乱に陥るリスクがあります。
フィリッピンの場合国際応援団の力が及ばない内に中国に屈服してしまった・・応援が遅過ぎたということでしょう。
中国として侵略行動を突然開始→無防備の離島をいくつか占拠できますが、その後日本の反撃を何日間〜何週間、何ヶ月妨害して「占領の既成事実の構築ができるか?」が勝負になります。
逆に日本が何ヶ月も奪回できない・ジリジリと日本が押されて逆に占拠される離島が増える状態で(これ以上占領地域が増えないように)国際仲裁が入ると、「現状停戦」が仲裁の普通パターンですから中国の作戦は成功になります。
現在ロシアによるクリミヤ完全併合〜ウクライナ戦線がこの状態です。
数年経過して次の離島占拠のパターンを繰り返して中国領海・制海区域をじりじり広げていくやり方になると、日本は台湾方面を経たアジア航路を利用できなくなりジリ貧どころか急激な国力低下になり、中国に全面屈服するしかなくなるでしょう。
中国は、日本攻略のためには日本の短期的な抵抗力/奪回能力減殺に必死ですし、この意を受けた日本国内呼応勢力は、如何にして米軍の行動を縛り、自衛隊の抵抗力強化を妨害するかに知恵を絞り精出している傾向が窺えます。
長期的には兵器水準は模倣の結果国力比例していくでしょうから、戦力比は同レベル性能兵器・練度とした場合、優劣は航続時間・戦場との距離に反比例しますから、出撃基地をいかに近くに置くかで決まります。
日本の場合南北に領土が散らばっているので、専守防衛・・離島防衛には遠くから行くしかないので不向きになっています。
尖閣諸島でいえば沖縄本島からでも片道400キロ前後もあるので、単純往復だけで約800キロの燃料消費ですから、現地滞空時間がその分短くなる・これをいかに減らすかが重要です。

現在でも日々の不法侵入漁船?対策に海上保安庁の巡視船が出動し、自衛隊のスクランブル発進が増えていますが、400キロも彼方なので往復に長期間要している不都合(財政的にも巨大出費)があります。
東京都のホームぺージです。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/senkaku/gaiyou.html

尖閣諸島は、南西諸島西端に位置する魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖ノ北岩、沖ノ南岩、飛瀬などから成る島々の総称です。沖縄本島から最も大きな魚釣島まで410kmの距離があります。

https://matome.naver.jp/odai/2140592031414042501によれば中国空軍基地との距離は以下の通りです。

台湾・尖閣諸島有事で最前線基地になる水門飛行場とは【中国・東シナ海】
更新日: 2015年03月08日
台湾国防部は、中国が場所的に適さない山間部に飛行場を建設した理由について、東シナ海に出現する米国と日本の戦闘機、軍艦などに効果的な攻撃作戦を展開するためと分析している。水門飛行場は、中国が日本と領有権を争っている尖閣諸島(中国名・釣魚島)、ガス田「白樺(しらかば)」(同・春暁)までそれぞれ380キロ、200キロの距離にあり、7-12分で紛争地域まで戦闘機が到達できる。同時に配備されたS-300防空ミサイルは、日本の自衛隊の主力戦闘機F15、F18などに対処するためとみられている。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1035102995によれば自衛隊戦闘機の航続距離は以下の通りです。

F-15DJ:2,800km(内部燃料タンクのみ)、4,600km(増槽3本)、5,820km(増槽3本+CFT装備)
F-22:2,775km(内部燃料タンクのみ)、2,963km(増槽2本)

そこで日本は少しでも近くに基地を設置して往復時間の消耗を減らすために、尖閣諸島まで170キロに位置する石垣島への自衛隊基地配備計画を政府か進めています。
距離が2分の1になれば現地往復時間が2分の1→同じ航空戦力でも現地滞空時間が伸びる他に発着基地が近づけば緊急時現地到着時間がその分早くなる計算ですから、親中韓派にとっては何が何でも石垣島基地建設に反対したくなる理由がわかるでしょう。
https://www.yaeyama-nippo.com/特集/自衛隊問題

石垣島への陸上自衛隊配備問題で、石垣市議会一般質問では20日、与野党3人が賛成、反対の立場から中山義隆市長の見解をただした。野党と市長は、自衛隊が抑止力かどうかをめぐって激論を交わした。
野党の小底嗣洋氏は「中国を仮想敵国として防衛体制を取って、下手に相手を刺激することは得策ではない」と配備反対を明言。「石垣島に地対空、地対艦ミサイルを配備しても、中国はそれ以上の弾道ミサイルを持っているから、抑止力にはならない。(石垣島への配備は)むしろ火に油を注ぐ」と持論を展開した。

上記反対論は、自衛力強化に反対してきた勢力が、いざとなれば自衛隊が弱くて抑止力にならないから戦わずして負けてしまった方が良いと言わんかのような論法ですから、いわゆる非武装平和論の底の浅さを表明したもので、具体的危機が迫っている現在、どうやって国土を守るかについての真面目な議論になっていません。

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