交易必要性と米国盛衰 

大量生産品では欧州から対米輸出が成功していないので、対欧州では米国は輸出していた分がはげ落ちただけでした。
お互いさしたる能力差がないので同じような生産設備で勝負する限り自国市場分は自国で生産する関係に落ち着いたと見るべきでしょう。
資源以外の加工品の交易必要性は、品質と価格のバランスで決まることです。
例えば同時期に新装開店したスーパー西友あるいはイオンが2〜3キロ間隔である場合、同じメーカー品を買うのに、近くの店舗を通り越して遠くの店舗まで買いに行きません。
コンビニ等でセブン系とローソン系で弁当の味が少し違っても、ちょっとの差であれば最寄り店で買うのが普通です。
国家間貿易も同様で、同じ品質で同じ価格・米国得意の汎用品はこの種製品なら遠くから輸入する必要性がありません。
米国は欧州に比べて劣っていた能力不足分をカバーできる資源直近の好立地を19世紀後半から20世紀初期にかけて5大湖周辺に見出し、資源直近の利点を利用していわゆる中西部工業地帯が勃興し(国内産業構造変革・克服の苦しみが、19世紀半ばの南北戦争と解されます)欧州と互角に近い経済力を獲得しました。
20世紀に入るとベルトコンベアーに代表される(農産物も含めた)大量生産方式(販売でも個別顧客対応しないスーパー方式による合理化でプロの売り子不要+従業員最小化)の普及で労働者の能力差をカバーするなど生産性逆転したので母体国の欧州を圧倒して世界覇権を握れるようになったものです。
米国の基本コンセプトは自国民の能力レベルが欧州の底辺層の集まりであることを自覚した上で、この弱点カバーに特化して成功したものです。
個人技能に頼らない生産方式・・特注品の高度製品での競争を捨てて、アメリカ大陸の特性・豊富な資源と広大な農地や牧草地を有効活用した汎用品の大量供給方式・必然的に顧客は少数エリート階層から庶民大衆をターゲットにして成功したと評価すべきです。
いわゆる大衆・マスがターゲットですから、庶民消費の底上げ政策・・欧州の市民革命・産業革命は教養と財産のある有産階層の社会実現でしたが、米国の生産方式はこれといった技能訓練を受けない(ベルトコンベアーに適応できる程度の訓練で足り、徒弟修行不要)庶民が生産の主役になり、消費主役になる社会を実現しました。
結果的に庶民の購買力向上が命ですから、庶民の味方・大衆民主主義が基本価値観となっていきます。
米国の圧倒的優位性は、地元資源利用とこれを大量消費コンセプト(特殊技能不要)にあったのです。
ところが戦後エネルギー源が石炭から石油に変わり、鉄は国家なりと言われた・・各種工業品の素材も戦前は金属製が中心であったものが石油由来のプラスチック製に入れ替わって来ると商品単価がもっとさがると大量消費の米国価値観の最大化のように見えましたが、一方で資源に頼る米国産業の優位性が相本から崩れる始まりとなります。
中東から輸入する欧州と米国自国内資源保有との資源格差が低下すると競争力は能力差中心になっていったので、欧州への輸出〜現地生産シフトがジリ貧になっていった原因です。
車で言えば大量生産品では、欧米それぞれ地産地消に落ち着き、現地生生産になじまない(技術文化差を背景にする)イタリアの手作りに近い高級車の輸出程度に落ち着くイメージです。
ハム、ソーセージ、チーズ類も同じでしょう。
いつもラーメンの例を出しますが、札幌ラーメンがトウモロコシを乗せて大ヒットしましたが、この程度のことは一定期間経過で同業者が真似するようになれば、結局は基礎になるスープの味等の元々の競争力に戻っていきます。
米欧関係だけでなく鉄鉱石や原油等各種資源が国際価格で入手できるようになると自国資源の有無は輸送経費の差だけになるので、その差を能力差でカバーできれば良いとなれば、日本が飛躍できるようになった原因です。
資源制約度が下がり輸送コストや税関コスト等移動コストが下がれば、これに反比例して能力差(歩留まり率の差や環境技術差など)の比重が上がります。
自国資源かどうかの差の多くが輸送経費差になると陸路と海路の違いは格段の差になります。
陸路300キロ輸送より海路1000キロの方が割安・中国や米国内陸から上海やシカゴに運ぶより(高速道路発達前の悪路の場合・高速道路整備が進むと差が縮みます)港湾工業地帯(我が国戦後コンビナートは全て港湾立地です)を作って他国資源でも海路1000キロの方がコストで合理的)ですので、東南アジア中南米を含めて資源産出地や北米消費市場どちらからも遠い日本が互角に近い戦いができるようになった原因です。
日本が欧州市場進出がうまくいかないのは、一つには輸送コスト差が大きいからです。
日米間は地球の真裏で距離は最大ですが、太平洋一直線で米国西海岸到着に対して欧州への航路は、東南アジア諸国の海峡を巡りながら、インド大陸を大回りしてスエズ運河〜地中海を経るなど経路が複雑な分、多くの国と関係しながら移動する手間ヒマ、コストが膨大です。
日本からハワイへ飛行機で移動する場合とインドシアン半島を横切ってタイへ行く場合と比較すれば他国上空を通過する必要がないだけでも、航空会社のコストパフォーマンスの良さが想像できます。
近年で言えば、ソマリア沖海賊問題が収束してきたかと思うとイラン緊張での安全性問題など絶え間ないリスク管理必要ですが、ホルムズ海峡の場合公海部分がホンの少ししかないのでイラン領海内で自衛艦自衛行動が困難です。
少しでも侵犯すれば(これは水掛け論が多いので)大事件になりますので、日本はイエメン側の紅海方面の公海だけの警備活動にしか関与しない発表があったばかりです。
パックスアメリカーナのお膝元である太平洋横断にはこういうリスクがありません。
日本からハワイへ飛行機で移動する場合とインドシナ半島を横切ってタイへ行く場合と比較すれば他国上空を通過する必要がないだけでも、航空会社のコストパフォーマンスの良さが想像できます。
近年で言えば、ソマリア沖海賊問題が収束してきたかと思うとイラン緊張での安全性問題など絶え間ないリスク管理必要ですが、ホルムズ海峡の場合公海部分がホンの少ししかないのでイラン領海内で自衛艦自衛行動が困難です。
少しでも侵犯すれば(これは水掛け論が多いので)大事件になりますので、日本はイエメン側の紅海方面の公海だけの警備活動にしか関与しない発表があったばかりです。
https://www.sankei.com/column/news/191020/clm1910200002-n1.html

【主張】自衛隊の中東派遣 「ホルムズ」忌避は疑問だ
2019.10.20 05:00コラム

情報収集体制の強化が派遣の目的で、直ちに日本船舶の護衛を行うことは想定していない。活動海域は、オマーン湾▽アラビア海北部の公海▽イエメン沖のバベルマンデブ海峡東方の公海-で、ホルムズ海峡を外している。河野太郎防衛相は「現時点ではそういうふうに検討していく」と語った。

日本が中国による南沙諸島海域支配に神経をとがらせる所以です。

マニュアル化4(功罪?)

高齢化社会の問題は、緊急事態下(出先で地震等の災害にあったときに)で備え置かれている器具の操作説明をとっさに理解し、操作するのは無理がある点です。
高齢化すると過去の知識・人名などとっさに出ないことが多くなりすが、そのときマニュアル表示みれば良いと言っても一定の応用力が必要です。
若い人でも初めて見て応用するのと、9割方身についていてちょっとだけ確認しながら操作するのとではスピードや正確性が大きく違います。
このために各種組織では緊急訓練を年に一定回数してある程度身につけて置くようにルール化しているのです。
高齢者は、出先に備えられている器具について訓練を受けたこともなく、触ったこともないので、手順通りにボタンを押していくのが苦手で(しかも文字が小さ過ぎます)エラーばかりで多分複雑操作開始に行き着けないでしょう。
話題が横にそれましたが、熟練者の手際の良さや法律専門家がいろんな場合を学会で論じて定説になっている場合、それを公開共有しようというのが、昭和末・・15年間ほどで急速に進んだ明文化やマニュアル化社会の方向性でした。
刑法なども、傷害罪や窃盗や業務上横領など懲役10年以下と書いてるだけで、事案によって傷害の場合罰金で済むこともあれば、懲役何年というのもあるし、殺人罪では、死刑から執行猶予まで幅広く、どの程度の殺人行為が死刑になり無期懲役や懲役7年〜5年になったり執行猶予になるかなど全く書いていません。

刑法
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

専門家だけが知っている「量刑相場」で決めるのが主流でしたが、裁判員裁判制度が始まると止む無く?「量刑相場」を裁判員に文データ開示するようになっています。
こうなってくると罪刑法定主義・あらかじめ「何をしたらどういう罪になる」かを国民に公開しておく制度趣旨から言って、どういう傷害や窃盗〜殺人の場合にどういう刑罰を受けるかの幅を公開しておくのが合理的です。
比喩的に言えば従来1条だけで終わっていた条文を場合ごとに切り分けた法律にして、裁判員になったときだけ知るのではなく、国民が知りたいと思えば誰でもいつでもアクセスできるように改正するのがあるべき姿でしょう。
マニュアル社会に戻しますと、法令やマニュアルを公開しても普段用のないときは知らなくとも良い・・いざという時に誰でもそのマニュルを見ればある程度分かるようにしていくのは法令に関しては民主的であり個人生活としても合理的です。
地図の知識も今は不要です。
知らないところへ行く時も最寄駅を知らなくとも、自宅を出る前に検索すればすぐに行けますし、最寄駅についてからスマホ等で目的のビルを検索すれば間に合う時代です。
東京駅から大手町にかけての地下街は、そこで働く人は別として私のように時々用があって東西線に乗り換えたたり、パレスホテル等へ行く程度の人にとっては、表示板の番号に従って歩いていれば着くので迷路のような通路を地図的に頭に入る余地がありません。
自宅から目的駅までの料金をあらかじめ知らなくとも、スイカ/パスモ等で乗り換え駅も通過していけるので前もって小銭等の準備もいりません。
日常生活で言えば、日常的に用がないのものを買い集めて自宅の蔵に保管しておくのではなく必要なときに買いに行けば良い時代がきたように、知識もパソコンに預けておけばいい時代です。
昭和の終わりから平成のはじめ頃にかけて、レックだったか司法試験受験予備校が隆盛を誇る時代に突入していたことから、修習生を預かる会員と意見交換会を設けると、「最近の修習生は予備校でマニュアル特訓で合格してくるので、何か課題を与えると『どの参考書に書いてあるのか?』と聞いてくる修習生が増えた・・「自分で考えようとしない」という不満をしょっちゅう聞いていた記憶です。
日弁連の司法修習委員会でも同様の意見が出ることが多く、「今の若者は・・」論の一種という感想で黙って聞いていることが多かったものです。

危機管理の事前準備・・トレーニングの必要性

トランプ政権成立以降、米国の対中政策が強硬となり、G20会議を利用して18年12月1日に米中首脳会談を行い90日間の猶予(中国の対米提案を待つ)を米国が与えた形ですが、この記事は16年5月頃に書いていた中韓の反日運動への関心シリーズの続きの原稿の続きです。
今年8月に1ヶ月間ほどサーバーの不具合で在庫の記事ばかり(無気力に?)掲載していた結果、時事問題をテーマにしたブログを書く習慣がなくなってしまい、いまだに在庫整理的掲載が続いています。
中国経済がハードランニングを恐れて時間稼ぎをすればするほど、その間に経済規模が縮小し、世界での存在を小さくして行く期待感で16年5月ころに書いていた原稿です。
2014〜5年ころからの中国経済の変調が起きると資源爆買いがおさまり、購買力が落ちている・・15年からの原油や資源値下がりの主因はこれですので、その分資源国その他への影響力が着実に下がっています。
(ただし経済縮小が始まるとじりじり犯罪目的の来日が増えるリスクがありますが・・・)
これこそが正に中国政府の言う「新常態・ニューノーマル」です。
トランプの対中高関税の脅し以来米中関係は緊張激化の一途ですが、今朝の日経新聞第一面には、「工作機械受注が10月23ヶ月ぶりに前年同月を割り込んだ。主因は中国が36、5%も減少したことだ」と書いていて、いかに中国が日本にとって大切かのトーンですが、対中輸出減を連日煽って日本にとって大変な不利益になる・・米中の争いが激化するのは日日本にとって大きな不利益だから米中間を取り持つ必要があるという長期的論調です。
中国の減速は一時的には大問題でしょうが、このように傾向が続くとチャイナプラスワンの流れが加速するだけのことであって、中長期的には中国の存在感が縮小していくはずです。
米国の対中関税強化で中国の対米輸出が減れば、その穴を埋めるために東南アジア諸国が米国向け輸出を増やす・・生産増になるでしょうから、日本は東南アジア諸国への工作機械輸出を伸ばせばいいのであって、一時の輸出減にしかなりません。
中国では債務が激増しているのに投資が増えない・・これは投資のための債務増加ではなく債務返済用の借り換え需要が中心になっていることを表していますが、こう言う状態では赤字輸出も高値で仕入れてしまった在庫がなくなれば、赤ジウhs鬱用の資源h輸入を続けれないので生産が止まるしかありません。
中国経済がガン細胞のように(ガンそのものと言う見方もあるでしょうが)ドンドン小さくなって(場合によっては四分五裂してから・・ただしこの段階で混乱を避けてかなりの灰色難民が日本へ来るでしょう・・)から、デフォルトしてくれるのが、世界経済にとって最も理想的な形です。
北朝鮮であれ韓国であれ、イキナリの大混乱は日本に迷惑だと言う現実的思惑があって、(嫌韓派が怒るでしょうが・・)韓国がつぶれそうになるとスワップ協定してやるしかないか?などと言う動きが出て来ます。
実際に海運会社「韓進」が16年だったか準備なく(無責任に)つぶれてしまい、輸送中の世界中の荷主が迷惑を受けています。
荷役や港湾利用料その他の支払い保証がないので、世界中の港湾に接岸させてもらえず荷揚げが止まっているのですが、これを救済するために?日本の裁判所が神戸港での荷揚げ命令?を出したと言うニュースが流れています。
日本の買い主が、荷物が入らないと生産活動に支障が出るから無償で接岸させろと言うのかあるいは買い主の支払い保証があるから?でしょうか?
これが国家規模のデフォルトになれば大きな迷惑が起きることは間違いがありません。これを防ぎ損害を最小化するにはニッポンが出来るだけ中韓との取引を減らしておくことです。
中韓企業の商品やサービスは半値でも注文しないなどの保険的コスト負担が必要です・・つぶれそうな会社の値引き勧誘にうっかり乗ると酷い目に遭います。
ここで中国の永続的反日戦略がいつ始まったかの関心ですが、これは・・中国の天安門事件による国際孤立による危機感が発端であると考えられます。
天安門事件に関するhttps://ja.wikipedia.org/wikiで時系列を見ておきましょう。

「1989年6月4日(日曜日)に、同年4月の胡耀邦元党総書記の死をきっかけとして、中国・北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していた学生を中心とした一般市民のデモ隊に対し、中国人民解放軍が武力弾圧(市民に向けての無差別発砲や装甲車で轢き殺した[1][2])し、多数の死傷者を出した事件である。」
江沢民に関するウイキペデイアの記事です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%B2%A2%E6%B0%91
対日関係
天安門事件直後の1989年6月21日、日本政府は第3次円借款の見合わせを通告し、フランスなどもこれに応じた。7月の先進国首脳会議(アルシュ・サミット)でも中国の民主化弾圧を非難し、世界銀行の中国に対する新規融資の延期に同意する政治宣言が発表された。円借款自体は1991年8月の海部俊樹首相の訪中によって再開されたものの、中国が国際的孤立から脱却するには天安門事件のイメージを払拭する必要があった。そのために江沢民政権は、1992年10月、今上天皇・皇后を中国訪問に招待した[31]。天皇訪中は日中関係史で歴史的な出来事だったが、西側諸国の対中制裁の突破口という側面もあった[32]。江沢民政権は1994年に「愛国主義教育実施要綱」を制定し、「抗日戦争勝利50周年」にあたる1995年から、徹底した反日教育を推進していった。同年9月3日に北京で開催された「首都各界による抗日戦争記念ならびに世界反ファシスト戦争勝利50周年大会」で江は演説し、日中戦争の被害者数をそれまでの軍民死亡2100万(抗日勝利40周年の1985年に中国共産党が発表した数値)から死傷者数を含めた上で3500万とした[33]。1998年8月には、「日本に対しては、台湾問題をとことん言い続けるとともに、歴史問題を終始強調し、しかも永遠に言い続けなくてはならない」と外国に駐在する特命全権大使など外交当局者を集めた会議で指示を出した[34]。江沢民の対日政策によって中国では反日感情が高まり、同時に日本でも嫌中意識が強まっていった。」
1997年10月、江沢民はアメリカ合衆国を訪問。ハワイ真珠湾へ立ち寄って戦艦アリゾナ記念館に献花を行い[43]、ここで日本の中国(当時の中国大陸は中華民国の中国国民党政府の統治下であった)「侵略」と真珠湾攻撃を批判した。
アメリカ合衆国との関係においては緊密な関係を築き、大統領であるビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュとも複数回にわたって会い、一緒にレジャーを過ごした事もある。ブッシュの叔父で米中商工会議所議長を務めたプレスコット・ブッシュ・ジュニアと江沢民は長年の友人[19]であるなどブッシュ家とは密接な関係を持ち、江沢民の息子である江綿恒はブッシュの弟で中国共産党入党の示唆[20]で中国国内で知られるニール・ブッシュと中国で会社を共同経営している[21]。1997年10月に訪米した際、江沢民とクリントンは両国関係を初めて「戦略的建設的パートナー」と表現して米中協調の枠組み作りを本格化させ・・・」

労働力流動化(職業訓練必要性)2

大きな変動を何でも拒否する超保守思想の権化みたいな教条的運動は困りものです。
こういう人たちも人権擁護で頑張っているのでしょうが、あまり反対ばかりが続くと外国から何かもらっているのじゃないか?という疑いを持つ人がふえてきました。
今後IT〜AI発達の過程で、雇用流動化・個人の方から見れば30代まではスポーツ選手では、監督コーチになれるのは一握りで残りの大多数は3〜40台では別の仕事につくのが普通(プログラマー等IT関連も同様)であるように、(タイピストのように職種自体がなくなっていくパターンが増えていきます)人生途中で変化していく人の方が多くなる時代が来るように思えます。
変化することにはなんでも反対にエネルギーを注ぐのではなく、IT化どころかAI化による急激な労働環境・社会変化が見込まれる時代には、変化に対する適応能力の再教育制度の再構築(職業教育は子供〜若者だけではなく中高年にも必要)や再就職の手助けに向けた社会構築にエネルギーを注ぐべきです。
高度成長期でさえ多くの労働者が終身雇用下になかったにも拘らず、今どき時代逆行の正規化…終身雇用拡大が必要か?の根本的な問いかけが必要です。
その結果、もし未だに正規非正規(私はその垣根をなくしていくべきという意見ですが)の峻別が必要としても、終身雇用を前提にした再チャレンジ・受け皿のない(大卒時に人生コースが決まってしまう・変化・コースから脱落した多くはは落ちこぼれしかない社会)固定した社会が有用か?の議論こそ重要です。
終身雇用でもいいが、後ろ向き・倒産しそうな時しか整理解雇を認めないのではなく、当該分野はまだもうかっているが、将来を見据えてこの分野を縮小していきたいという前向きな場合でも、金銭解決で解雇を認めるような柔軟運用が社会をしなやかにしていくように思えます。
金銭解決反対で前に進まないならば、正規・非正規の2択しかなくなり非正規が増える一方になると思われます。
希望の党の公約は民進党系の思想で作られているとしたら、正規=解雇柔軟運用という妥協能力がない旧社会党の系譜が色濃いために・金銭解決絶対反対意見になるのでしょうか?
そうなると企業は新卒新採用を最小に抑えるしかない・・非正規が増えるしかないでしょう。
希望の党(この原稿は17年秋から暮れにかけて書いたもので、当時の希望の党の主張を前提にしています)が「非正規を減らし正規社員を増やせ」と本気で主張しているならば、正規雇用者の解雇規制緩和でなければ矛盾です。
ここ(17年秋総選挙時の)で希望の党の公約を見直してみましたが「 〇〇に希望を」という抽象的スローガンの羅列しか目に入りません。
要は耳当たりの良さそうなことを羅列的スローガンにしただけで、正規を増やすために必要な金銭解決を認めるのかどうか、どうしたいのか道筋が見えません。
金銭解決で入れ替え可能ならば、企業は正規雇用にこだわる必要がなくなりますが、その代わり転職能力のない既得権利者にとっては脅威です。
17年12月16日に書きましたが、省力化による人手不足解消と職業教育はセットであるべきです。
韓国では労働貴族・・非正規の苦しみを無視して無茶な要求貫徹のためのストライキ打ち放題という現状(特に現代労組)が知られていますが、日本の大手労組はそこまでひどくないものの、(解雇規制=新規採用抑制)既得権にあぐらをかく姿勢では国民の支持を得られません。
そもそも日本社会が沈没するでしょう。
正規職人口の比率が下がれば下がる程自分の希少性が上がるので、そういう方向へ大手労組は動きがちです。
組織労組の大方を占める連合の勢力はウイキぺデイアによると以下の通りです。

1989年11月:78産別、 組合員数  約800万人(結成時)
2016年2月 :51産別、       689万0,619人

内訳に占める旧官公労を抜き出してみると以下のとおりです。

自治労     798,659         地方公務
日教組      241,331         教育
JP労組     240,579        日本郵政
国公連合    83,402         国家公務
JR連合       81,230         JR 全日本鉄道労働組合総連合会
JR総連      72,655         JR

JR東労組崩壊

連合の下部組織で、組織単体としては最大勢力を誇ったのが東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)であった。急進的かつ戦闘的な左派労組であり、組織率も2017年2月の時点では約80%と高く、雇用側に対して最も影響力がある労組と見られていた・・・・JR東日本という単体で非常に公共性の高い企業に対し意見ができることは、連合内部で大きなアドバンテージであった。実際、2017年2月に同組合の執行部は「スト権を確立した、いつでも戦える」と宣言している
ところが、
2018年2月に実際にJR東労組がスト権行使を会社に通告したところ、大量の組合員が「労使関係の崩壊」と言って脱退し始めた
この背景には、過激な組織運営に以前から組合員が不満をいだいていたことや、企業に対する労働組合として逸脱する主張が一部の過激な指導者によって実施されていることなどが上げられる。
執行部はスト中止を宣言するがその後も脱退は止まらず、結果的に46,500人のマンモス労組から約32,000人が脱退、かろうじて第一労組の面目は保ったものの、従来の戦闘的な労働運動が成立しない情勢であることを証明してしまう結果になった。

組合が民主的に運営されているというのが建前ですが、実際には組合員多数の本音を反映していなかったことが露呈したことになります。
日弁連の各種政治的意見を会員の何割が支持しているかについても、このように実際の行動で見たらわかり良いでしょう。

労働力流動化(職業訓練必要性)1

ところで検索前から日弁連意見はなんとなく解雇4法理維持・固守論であろうと想定し検索してみると、想定通りに「反対論」が出てくるところに日弁連の硬直性がわかります。
意見を聞く前から答えがわかっているような組織になると、社会は日弁連意見を重視しなくなる・・軽く見られるようになるのが残念です。
昨今各種分野で日弁連意見を求められていますが、日弁連意見を採用するために聞いているのではなく、どうせ反対意見だろうが、せいぜい反対論根拠を念のために聞いておこうという程度の意見聴取になっている可能性があります。
日弁連は(旧社会党同様に?)自分たちは専門家集団だから黙ってついてくればいいというエリート意識の立場でしょうが、17年12月13日紹介の日弁連意見の前提事実としている日本の「労働者が窮乏を極めて」いるかの認識能力については日弁連は専門家集団ではありません。
社民党あるいはその他野党の弱点は、実態無視の傾向・・観念に走りすぎていて、社会実態に対する謙虚な認識能力欠如にあるのではないでしょうか?
前提事実の認識が間違っている・これを自覚しているから、却って検証を許さないような決めつけ的表現に終始しているのでしょうか?
しかし、都合の良い情報を鵜呑みしていると情勢判断を誤るのと同様で、実態と違うのを承知の上で解決策を組み立ても、現実性がありません。
メデイアを通じていくら宣伝しても・・・評論家はメデイアに干されるのが怖くて「よいしょ」意見しか言いませんが・・裸の王様同様で、実態無視で組み立てた論理は表向き通用しても、秘密投票制度下では選挙においてサイレントマジョリティの反乱に直面します。
今回の総選挙結果による支持率と事前世論調査とほぼ一致していたのはニコ動だけで、既存大手メデイアに事前世論調査結果とは大きく乖離していたことを11月5日に紹介しました。
整理解雇4条件の修正必要性に戻ります。
個人事業の場合は別として大手企業のリストラ=事業再構築の場合、個人的好き嫌いで選別するとは滅多に想定できません。
企業にとって重要なのは、新事業に適性・使い回しのきく人材かどうかでしょう。
借地法の正当事由の要件として周辺社会状況を入れるかの議論があったことを12月7日に「大阪市立大学法学部生熊長幸」の論文を紹介しましたが、解雇も個人的な事情・不正行為などなくとも客観的経済環境を判断事情に入れることが可能かどうかこそが重要です。
17年12月13日に紹介した弁護士意見のように万に一つの例外的場合を原則にした議論をするのではなく、個人的怨恨を紛れ込ませた場合には乱用で個別救済する・・制度設計を逆にすべきはないでしょうか?
中高年で多く人の技術が陳腐化するとした場合、中途解雇の受け皿・中高年者に対する教育訓練等の受け皿等の工夫が必要です。
こうした議論こそが重要であって、個人の救済・・マイナーな場面の議論は、こうした中途解約制度で積み残される人の救済をどうするかという別の場面の議論ではないでしょうか・・議論がかみ合っていません。
予防接種の有用性議論している時にはワクチンの有効性や事故率等が重要であって、一人でも事故が起きたらどうするのか!という神学論争しても始まりません。
個人企業の場合、事業主やその家族とと日々喧嘩しながら仕事を続けるのは無理があるので、自分からやめて行くのが普通で、もともと労働法の解雇規制に関係がありません。
制度が硬直しているとその制度利用者がいなくなる・・「特に借地において顕著で、借地権の新たな利用は、目にみえて減少していることが、ひとつの裏書きとなっている」・・と借地法改正の論文でも紹介しましたが、解雇規制の厳し過ぎが正規雇用が急速に減少して行った原因でしょう。
終身雇用を残したいならば、過ぎたる保護をしないことが肝要・・保護が過ぎれば却って継続を美徳とする雇用慣習が崩壊するでしょう。
たまに非合理な解雇があればそれは裁判で救済する道を残せば良いことで、滅多にない事例を全部に及ぼすのは間違いです。
借地借家法では定期契約制度が25年以上も前から運用されていますが、今では受け皿になるべき賃貸マンション等が充実しているので、不都合な現象が起きていると聞いたことがありません。
定期借地を非正規契約という人はいません。
雇用も同様で人材流動化に合わせて受け皿を整備すれば良いことであって、経済のことは経済の動きに委ねる・・政府は不都合を監視しインフラ整備するだけで良いのであって、流動化自体を禁止するの行き過ぎです。
労働法分野では特に(超保守の)左翼系の政治抵抗が激しいために、30年近くも柔軟な企業環境変化を阻害してきために業界の工夫で期間工やパートなどの雇用形態が増殖して来たのです。
実態に応じた変化対応が、超保守の運動家によって労働分野で遅れていたにすぎません。
技術の陳腐化が激しい上に今後70歳以上まで働くようになると、若いころに身につけた技術で一生食っていく・4〜50年前の技術を磨いてきた先輩の方が若い人よりも能力が高いなど言えない時代です。
特定技術は身につけたばかりよりも、10数年程度は実地訓練による技術の磨き上げが有効ですが、(プロを見ればわかりますが、プログラマーでも相撲でも競馬でも将棋でも皆一定期間経過で能力下降していきます)それ以上になると新たな技術についていけない弊害の方が強くなりそうです。
この一定期間が短くなる一方で、他方で長寿化により就労が長期化する逆の傾向になっています。
こうなるとこのギャップをどうするか・・年功で(能力が下がっていくのに)給与賃金が上がっていく正社員の年功制がもたない・不合理な制度をどうするかの議論を避けて通れません。
サービス産業化が進むと、1日の中でも時間による繁閑差があり、業種によっては(スキー場付近のホテル飲食店など)季節要因でも変わります。
こうした場合、時間給や数ヶ月単位の雇用が合理的です。
柔軟性のない、雇用条件の「正社員」しか認めない社会構造を前提とするのでは無理があります。
正社員化を進めるには正社員の概念を非正規に近づける努力・・今とは変えていく必要があります。
企業の稼ぎ頭・事業部門が10数年もすればほぼ入れ替わって行くくらいでないと現在のスピード社会では企業が生き残れないように、個々人の技能も途中で新技術の再補給をしていかないと有用な人材として生き残れない時代に入っているので、終身雇用の前提が崩れています。
労働者の人権も必要ですが・・社会変化にどう対応するか・新たな環境に合わせた保護策を考えるべきで、この工夫を怠って「古い時代に適合していた権利を守れ」というばかりで社会変化を敵視するのでは日本経済はジリ貧になります。

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