これまで見てきたように現在のインフルエンザ特措法システムでは、(改正後でも)緊急事態宣言発令を迅速化したところで、強制できない、要請(お願い)→指示しかできない・イベント会場を実力で封鎖できないのが基本原理ですから、宣言迅速化だけで直ちに私権制限効果が出る法律ではありません。
なぜ緊急事態宣言だけでも迅速に出した方が良いという議論になるかというと、緊急事態なので・という自粛要請よりは、正式宣言が出ている方が、多方面で自粛要請し易いという事実上の効果を狙ったものでしょう。
しかし安倍総理の記者会見発言一部を5月3日に紹介しましたが、真に緊急事態である以上は、上らの命令による強制力に頼るのでは実はうまくいきません。
今回緊急事態宣言が出ていないことを3月中旬頃の改正論議のニュースで始めて知ったのですが、中には、宣言も出ていないのに総理の一存での自粛要請が浮き上がっているかのような・この種の総理批判記事ニュースが圧倒的だった理由がここにあったことがわかりました。
緊急事態宣言制度があるのに、それを使わないで休校要請するのは脱法行為ではないか?
緊急事態でないのに、なぜ要請するのかという揚げ足取りというか、脱法行為の不信感を利用したものでしょうか?
周囲が反対しているのに安倍総理が独断専行で断行したかのような意見を新聞等も遠慮がちに書いていた記憶です。
周囲がまだ緊急事態宣言する段階でないと反対していたらしいのですが・・。
ネット検索してみると以下のような意見が出て来ました。
以下は長くなるので部分引用です。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/030201117/
「小中高休校」の賭けに出た安倍首相、異例の政治決断の舞台裏
安藤 毅 日経ビジネス編集委員 2020年3月2日
「よく見えない、よく分からない敵との戦いは、容易なものではない。率直に言って、政府の力だけでこの戦いに勝利することはできない。終息に向けては、一人ひとりの国民のみなさんの理解と協力が欠かせない」
2月29日、新型コロナウイルスの感染拡大問題を巡り、初の記者会見を行った安倍晋三首相。さらなる感染拡大の防止に向け、危機感を鮮明にしつつこく訴えた。
政府の専門家会議では全国での一斉休校が感染防止に現時点でどれだけ効果があるかを検討していない。政府内や与党との調整や事前の準備がほとんど行われない中、安倍首相が文字通りトップダウンで決断した。「側近の今井尚哉首相補佐官の進言が首相の背中を押した」と複数の政府関係者は漏らす。
政府の対応を巡っては、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で感染が拡大した問題などに国内外で政府への批判が広がった。政府が早急に中国からの入国制限を行わなかったことなどに対し、首相の支持基盤である保守層の一部からもネット上などで厳しい指摘が相次ぎ、首相は焦りの色を濃くしていた。各種世論調査で内閣支持率の下落が顕著となる中、「悩んだ末、首相は賭けに出た」と周辺は明かす。
突然の休校要請、政権内で冷ややかな見方も
特に休校要請の決断に関しては、政府の対応に一貫性や戦略性が欠けた分、積み上げてきた安定政権への信頼が急激に揺さぶられる事態となっている。自民のベテラン議員は今後への影響を危惧してこう漏らす。
「首相は森友学園、加計学園を巡る問題や、桜を見る会などで批判を浴びてきたが、これらと違って今回は有権者の生活に直結する問題だ。今後の展開次第では、首相、そして自民党に大打撃となるかもしれない」
以上はもって回った言い方で、反安倍論調とは必ずしも言えませんが、以下は立ち位置が明確です。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020022900005.html
新型コロナウイルス対策で臨時休校を要請した安倍首相の支離滅裂
何の準備もなく唐突に始まった「超巨大国家プロジェクト」はおかしいところだらけ
米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士
法的根拠のない首相の「越権行為」
学校の休校は、原則として同法に基づき、教育委員会が決定し、その予算執行は各自治体の首長が行うもので、総理といえどもこれについて一切の権限を有しません。
・・・総理の今回の「要請」は、公教育の独立性を確保するために定められた教育委員会に関する法の趣旨を真っ向から否定するもので、日本の法秩序を大きく害するものと言わざるを得ません。
「首相の責任」「現場の責任」が二転三転
引用略
「児童における全国的な感染症の流行」は存在しない
引用略