融通むげ・知恵伊豆と大和心4

松平伊豆守信綱に関するhttps://ja.wikipedia.の記述です。

行政では民政を得意としており、幕藩体制は信綱の時代に完全に固められたと言ってよい。また、慶安の変や明暦の大火などでの善処でも有名で、政治の天才とも言える才能を持っていた。幕政ばかりではなく藩政の確立・発展にも大きく寄与しており、川越を小江戸と称されるまでに発展させる基礎を築き上げ・・・・・信綱は現在でも川越市民に最も記憶されている藩主である[27]

政治の取り締まりに関して信綱は「重箱を摺子木で洗うようなのがよい。摺子木では隅々まで洗えず、隅々まで取り締まれば、よい結果は生まれないからである」と述べている。それに対してある人が「世の禁制は3日で変わってしまうことが多い」と嘆いていると「それは2日でも多いのだ」と言ったという(『名将言行録』)

数百年続く徳川体制確立に成功した稀代の政治家であったという評価の高い所以です。
彼の死亡後数十年そこらで、仁慈の実現として綱吉の生類哀れみの令になります。
(生き物すべて大切にせよというのは仁慈の実現には違いないですが、そこまでやると「〇〇キチガイ」の一種と評価されるのが日本社会の良識です)
欧米でPCの行き過ぎに対する反発が広がっているように、何かの主張が首尾一貫するように隅々までいき渡るように目を光らせると洋の東西を問わずに息苦しい世の中にするのはまちがっています。
ITが便利な時代が来てもアナログ的生活をする人がいても良いように、グローバル化やIT利用で成功する人や企業が多数としてもそれを強制する権利があるか・政治としてそこまでやって良いかは別問題です。
隅々まで厳しくやってはいけないと諭していた信綱は寛文2年(1662年)3月の死亡ですから、綱吉の生類憐みの令(1687年)までホンの短期間で細部まで徹底する政治・秀才政治・窮屈な社会が始まっていたことがわかります。
生類憐れみの令に関するウイキペデイアの記述です。

貞享4年(1687年)10月10日の町触では、綱吉が「人々が仁心を育むように」と思って生類憐れみの政策を打ち出していると説明されている[9]。また元禄4年には老中が諸役人に対して同じ説明を行っている[10]。儒教を尊んだ綱吉は将軍襲位直後から、仁政を理由として鷹狩に関する儀礼を大幅に縮小し、自らも鷹狩を行わないことを決めている[11]。

綱吉は学問好きで知られ文治政治を推進したと言われます。
綱吉に関するウイキペデイアです

戦国の殺伐とした気風を排除して徳を重んずる文治政治を推進した。これは父・家光が綱吉に儒学を叩き込んだことに影響している(弟としての分をわきまえさせ、家綱に無礼を働かないようにするためだったという)。綱吉は林信篤をしばしば召しては経書の討論を行い、また四書や易経を幕臣に講義したほか、学問の中心地として湯島聖堂を建立するなど大変学問好きな将軍であった。

中国王朝的価値観一辺倒の始まりで、この価値観によれば立派な君主に位置付けられるのでしょうが、勉強好きなら良いというものではありません。
綱吉は生き物は全て生きる権利がある倫理観?これを突き詰めれば草木も食べてはいけないのか?となるように、もともと学問やルールは末端ではゆるくしないと論理に破綻を来すのが原則です。
これを戒めたのが、知恵伊豆と言われた松平伊豆守の知恵だったでしょう。
ところが綱吉は、これを強制力・処罰を伴う生類憐みの令を次々と布告したので、行き過ぎでみんな困りましたが、このように学問的論理が隅々まで行き渡ると結果的に無理が出てきます。
欧米の勝手な論理・・牛肉を食べるのは良いが、クジラは許さないという自分勝手な論理に納得している日本人が何%いるでしょうか?
大和心と言うより以前から日本人の心はこういうものです。
朱子学全盛の結果窮屈な社会がすでに始まっていた・・生類憐みの令こそが、が朱子学が末端まで浸透しすぎていた外形的徴憑だったでしょう。
自分の気に入った学問だからと湯島の聖堂を創設し(のちの)昌平坂学問所で朱子学だけを公式学問にして事実上強制するようになったのは綱吉の時代からです。
思想支配の道具として、聖武天皇が東大寺と国分寺を配置し、明治に東京帝大を作ったように、綱吉は中央に聖堂を作りのちの(全国藩校の指標となる)昌平坂学問所の基礎を作ります。
ひ弱なイメージの強い聖武天皇がその分教養・・時の流行思想である仏教に傾倒して僧侶の公認資格を求めて戒律僧鑑真の渡日を待ち望んだのと似ています。
一つの体制が続くと中央支配意思(綱吉以降朱子学)が末端に届き朱子学の価値観にあっているかどうかの基準が幅を利かすようになります。
これに反発する朱子学対民族派(国学や陽明学の勃興)の争い→民族主義者の尊皇思想と結びつき幕末の尊皇攘夷思想に発展していったように思われます。
綱吉死後、一連の生類憐れみの令はなし崩し的に消滅していきますが、その点の修正をしたのみでしたので、次は新井白石の政治・・正徳の治に見るように朱子学的純化・一辺倒の傾向がさらに増進していきます。
新井白石に関するウイキペデイアです。

白石の政策は、旧来の悪弊を正す理にかなったものではあったが、「東照神君以来の祖法変ずべからず」とする幕閣とは齟齬をきたし、やがて両者の間には深刻な軋轢が生じるようになる。自らが主張することに信念を抱き、誰が何を言って反対しても臆することなく、最後には「上様の御意」でその意見が通るので、白石は旧守派の幕臣からは「鬼」と呼ばれて恐れられるようになった。
様々な改革を行なう一方、通貨吹替えにおいては家康の言葉に従い、失敗をしている。

正徳の治とは、紀元前から言い古された「悪貨は良貨を駆逐する」教えにこだわり、貨幣改鋳をおこなった前政権の勘定奉行荻原を厳しく責めたり、 東照君以来の祖法にこだわるなど時代の変化ついていけないのが秀才の宿命でしょう。
論争の鬼と言われ人望がなかったので、吉宗が就任すると早速お祓い箱になります。

外国文物導入と大和心2(鑑真和上とその後)

法華堂に関するhttp://www.todaiji.or.jp/contents/guidance/guidance5.htmlの解説です。

旧暦3月に法華会(ほっけえ)が行われるようになり、法華堂、また三月堂ともよばれるようになった。

2月堂の修二会に関するhttps://ja.wikipedia.org/wiki/では以下の通りです。

古来は旧暦1月に行われる法会である。
農耕を行う日本では年の初めに順調と豊作を祈る祈年祭(としごいまつり)が重要視され、神や祖霊の力で豊年を招き災いを遠ざけようとする。養老令にも記載され、8世紀には国の重要行事とされていたが、修二会は祈年祭に対応した仏教の行事として形成され定着した行事である。

以上の通り日本列島に伝わる古来からの祈願行事を、仏教行事に取り込んだにすぎません。
仏教が土着信仰に打ち勝って土着信仰行事が減ったのではなく、仏教が逆に土着信仰行事に浸透されているのが実態です。
仏教を文字その他文化吸収目的で導入したのは明治維新で、御雇外国人を導入して西洋法や科学知識導入に精出したのと本質が同じだったでしょう。
この普及を図るために国家機関としての・・東大寺と各地の国分寺→明治以降の東大と各地国立大学の関係の相似形を見ても分かります。
これを日本風にアレンジして日本の土着信仰にも合うように(各人の煩悩等からの解脱)に変更したのが、最澄や空海であり、この意味で日本の精神界の合理化に大きな影響を与えた大事件だったと思います。
合理化仕切れない人間の弱い部分・・今でも残る「叶わぬ時の神頼み」・・・「神も仏も無いものか!」とか「厄除け信仰」がなくならないのが現状です。
その救済には密教の秘法に頼る部分が必要だったのでしょう
真言宗、天台宗が日本の宗教意識の体系化の足場を築きますが、シュウアhである以上一定の競争がるのは当然として、他宗派排斥を目標にするような宗教ではなかったか乏しかったように思われます。
その結果、日蓮、浄土系民族宗教等に裾野を広げていき日本人の精神性が豊かになって行ったのでしょう。
日蓮系は日本の宗教には珍しい排他闘争的宗教でしたが、(中世に限らず戦後創価学会の「折伏が激しかったすが・・)今は創価学会もおとなしくなりました。
日本列島でいる限り、周囲と円満にやっていくのが知恵のある生き方と悟ったのでしょう。
政治の世界でも公明党が政権与党になって約15〜20年かな?すっかりおとなしくなっています。
明治維新以降のキリスト教解禁も古代の仏教導入と同じ程度の位置付けでしょう。
排斥しない・・隣人として付き合いましょう・・なにかいいことがあれば取り入れたらいいし・・という程度の位置付けです。
共産党も理屈一辺倒の強面では日本時に浸透できないとわかって、「歌って踊って民青」というフレーズがが昭和40年代のソフト路線でしたが今はどうなっているか知りません。
仏教が中国に入った時点では、環境の厳しい西域を通じて入ったことから、キリストや現在のイスラムのように戒律が厳しかったでしょう。
鑑真和上が戒律を伝えるために千里の波頭を超えて日本へ渡海した故事はよく知られています。
鳩摩羅什の漢訳は西暦400年頃で鑑真和上の来日は750〜60年ころ・・聖武上皇・孝謙天皇の時です。
中国に漢訳が伝わって数百年で鑑真が来日したことになります。
当時日本では私度僧が多く、戒律制度の確立が要望されていたと言われます。
鑑真に関するウイキペデイアの記事です。
揚州の大明寺の住職であった742年、日本から唐に渡った僧・栄叡、普照らから戒律を日本へ伝えるよう懇請された。当時、奈良には私度僧(自分で出家を宣言した僧侶)が多かったため、伝戒師(僧侶に位を与える人)制度を普及させようと聖武天皇は適当な僧侶を捜していた。
要するに聖武天皇は東大寺筆頭に全国に国分寺を設置するためには公認僧侶資格設定を急いでいたのです。
明治政府が帝大を作っても教授になる人材がいないとどうにもならないので御雇外国人を招請したのと同じでした、
南北朝時代の戦乱に明け暮れる中国に受け入れられたのでしょうが、その中国よりも日本の方が将来性があると見極めたのでしょうか?
ところで、日本仏教の礎を築いた弘法大師は私度僧出身だったのですから、皮肉なものです。
観音信仰が奈良〜平安時代に入って隆盛を見るのは、私度僧出身で人心に通じていたからこそ、なし得たのかもしれません。
日本に来た時の険しい仏教がようやく日本化したことによるものでしょう。
観音菩薩に限らず文殊、地蔵、月光や日光その他の菩薩も皆柔和な顔貌になって行きます。
救いを求める以上はごついより、美しくて優しい方が日本人なら誰にとってもいいでしょう。
仏教導入直後には土着信仰と軋轢があったとしても、結果的に神仏習合してやおよろずの神々の外側にいる別格の信仰対象(御神体の多くが背後の山になっている神様より救済してくれるお方が具象化されてよかったと思われます・)とされて現在にいたっているように見えます。
例えば東大寺法華堂(3月堂)というのは勉強会の場所名称ですがそこに参加できるのは10数人のエリート学僧だけです。
南都諸宗派というものの勉強する学科名称程度の違いでした。

法学部で言えば、民法専門や、商法専門教授という程度の違いでしょう。

アメリカンファーストと国際協調4(崩壊?2)

EUの対中対米貿易比率はhttp://eumag.jp/questions/f0717によると以下の通りです。

EUの物品貿易相手先と規模(2016年)

特にアジア諸国では対中貿易の方が大きくなっています。
http://www.camri.or.jp/files/libs/1156/201810011524292185.pdfによると以下の通りです。
それぞれグラフ等が出ていますので、関心のある方は直接お入りください。

34 月刊資本市場 2018.9(No. 397)
対中貿易依存度が高い国々はどこか?
公益社団法人 日本経済研究センター 主任研究員 牛山 隆一
1.中国の貿易動向
2.対中輸出比率ランキング
3.対中輸入比率ランキング
4.米中間の貿易関係
・・・・・中国は2017年に日本の輸出先として1位米国(シェア19.3%)をやや下回る
2位(同19.0%)、輸入先としては2位米国(同11%)を大きく上回る1位(同24.5%)で、
引き続き重要な貿易相手となっている。
ただ、日本の対中輸出比率(19%)は世界27位であり、2007年(15%、16位)から比率は少し上昇したものの順位は大きく低下した。
また、対中輸入比率(24%)は世界14位で、やはり2007年(21%、8位)から比率は上がったが順位は下がっている。中国の貿易大国化が更に進み、世界の多くの国々が対中依存を急速に高める中、同比率で見た場合に日本の相対的な位置は低下している。
5.おわりに
本稿では対中輸出入比率を算出し、中国への貿易依存度が高い国々の動向を調べた。世界貿易に占める中国の比重が一段と高まるにつれ、対中輸出比率が20%以上に達する国・地域は2007年の11から2017年は26へ、対中輸入比率が20%以上の国・地域も同じ期間に10
から40へそれぞれ増加した。

韓国などは数年前から対中貿易の方が多くなっていることから、露骨にアメリカの気に入らないことを正面からするようになった・反抗し始めています。
https://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/edit#によると韓国の対中貿易額は以下の通りです。
登録:2018-04-05 06:15 修正:2018-04-05 17:30

「韓国、中国輸出の79%が中間財」…中国の対米輸出減少の“火の粉”降りかかるか

 

韓国の地域別輸出の比重(2017年)//ハンギョレ新聞社
チョ・ゲワン、チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

慰安婦合意の事実上破棄政策・徴用工賠償判決執行あるいは年末の攻撃用のレーザー照射事件など対日嫌がらせの連発もその延長上のことでしょう。 

 

アメリカンファーストと国際協調3(崩壊?)

狼やその他集団で狩りをし、あるいは、穀物収穫でさえも稲作のように集団行為がひつようですし、販路を求めるにも相応の供給組織(社会連携)が必須です。
今では三内丸山古墳で知られるように石器時代の黒曜石等の単品的交易にとどまらず縄文時代でもいろんな物品について広範な物品の交易をおこなっていたことが知られています。
工業生産になると(例えばある製品部品が100個あるとすれば、その数だけの関連サプライチェーンが必須となり、その部品(例えばタイヤ)を作るのにさらに50個の部品が必要であれば、その先に50倍のサプライチェーンが必須です。
芸術家のように、創造力・個性重視の職業でさえも、顔料その他材料収集と発表の場を求めたりその購買者に至る連鎖の輪に関係しないと自己ファアースとでは成り立ちません。
原始的に見ても馬や象や鳥や魚類のように集団で生活しているのは生命の危険を防ぐ知恵によることは明らかです。
地球最強になった人類は、今では人間による攻撃が最も怖いようになり、暗闇で一人歩くのは怖いという意味の集団行動が暗黙のうちに要請されるようになっています。
白昼公然の違法行為には、誰かの通報によってすぐに警察が来て検挙してくれますが、国家間の暴力(侵略)行為を防止する方法がないので、覇権国が「パックス〇〇」(パックスアメリカーナなど)の平和を脅かす行為に対して制裁することで秩序を保っていた(覇権国の権威を守ってきた)のがこれまでのやり方でした。
パックスアメリカーナと言われてきた所以です。
今年の正月元旦に1年の期間が古代と今では違っていたのではないかの意見?(個人想像)の例で、臥薪嘗胆や春秋時代の覇者になった文公(重耳)の例を書きましたが、覇者になるには武力だけではなく、相応の人望・が必須です。
覇権国とは相対的強者のことですから、人望がないと同調する与国がなくなり私戦禁止令の効力がなくなります。
ロシアが強盗のように公然とクリミヤを併呑しても制裁はせいぜい、自国の影響力の及ぶ範囲の経済制裁程度です。
ロシア制裁は欧米と日本その他の多くが従っていますが、イラン制裁再開に関しては意思統一がないままのトランプ氏にちゃぶ台返し・・独断専行ですので、日本や韓国中国、EU諸国は渋々・・アメリカ国内法違反企業としてアメリカ国内で活動するEUや日本企業が制裁されるのを恐れた仕方なしの同調に過ぎず同一価値観による同調ではありません。
イラン合意に参画した多くの国が「イラン制裁再開すべきと思っていない」以上その規制を守ろうという意識が低くなるのは仕方がないというべきで、ファーウエーが制裁違反行為をしていることを理由に副会長をカナダで逮捕したのは、(課徴金等で締め上げるのはまだしも)世界をびっくりさせました。
一方で覇権挑戦国の中国が公海の一部に埋め立てを始めて軍事基地を作る工事をしてもこれを禁止せずに、自由航行作戦といって軍艦をその付近に航行させる程度でお茶を濁し事実上の黙認です。
中国への弱腰批判に答えたつもりでしょうが、埋め立て工事に直接答えるべきで、こんな方角違いでは「政治プロの行為と言えない」というべきか米国は正面切って中国に何も言えないことを証明しています。
中国歴代王朝が崩壊した原因を見ると強敵が現れた場合は少なく、あちこちに農民暴動が頻発するようになり、鎮圧軍の抑えが効かなくなって最後は、軍閥に乗っ取られてしまう繰り返しの方が多いのです。
オバマが「世界の警察官をやってられない」ということは、王朝時代で言えば「野盗や暴動軍は好きにせよ!自分は首都に引きこもる」と宣言するのに等しいでしょう。
政府が治安責任を負わないと宣言する・・テロや暴動を鎮圧しないで放置するのであれば、全土の支配権放棄と同じです。
ただ、オバマの場合にはこれからの成長予定地であるアジア重視を示し、利害輻輳している中東からの関与縮小を明示していただけですが、トランプ氏の場合それすらもはっきりしません。
そもそも自国だけでのワンマン的世界切り盛りが無理になれば一足飛びに覇権放棄ではなく、有力支持者の協力を得ての覇権維持が普通の方向性です。
ところがトランプ氏は高関税対象を信頼関係のある同盟国にまで矛先をむけ始めたので、同盟と非同盟の意味がぐらついてしまいました。
自国の利益のために構想したTPP脱退を決めたのを手始めに文字通りの地盤である北米地域のNAFTAの改定・・喧嘩を始めたのには、世界中が驚きました。
続いて日本を含めた西側諸国にも高関税攻勢しながら過去の協定等の改定を強要する方向ですが、時間経過でトランプ氏のワンマンぶりには世界がある程度なれたとはいえ、慣れた度合いに応じて世界中のアメリカに対する信頼は同率で低下しているはずです。
同盟国がいつ梯子を外されるか不明では、アメリカに気持ちよく協力ばかりしていられない・中国にも保険をかけておく必要があるので、協力国の協力度合いが低下する一方でしょう。
経済制裁は圧倒的な制裁力があってこそ効力が強いのですが、いまは、世界のかなりの国で対中貿易と対米貿易量が拮抗している・対中貿易の方が多い国が増えています。
特にアジア諸国では対中貿易の方が大きくなっています。
韓国などは数年前から対中貿易の方が多くなっていることから、露骨にアメリカの気に入らないことを正面からするようになった・反抗し始めています。
慰安婦合意の事実上破棄政策・徴用工賠償判決執行あるいは年末の攻撃用のレーザー照射事件ど対日嫌がらせの連発もその延長上のことでしょう。
それでも経済制裁が相応の効果があるのは、(対中貿易が30%で対米貿易20%の場合でも)その他の日欧が米国の制裁に大方強調することで、世界貿易量では圧倒的多数を占める制裁を受けるから威力があるのです。
米国が世界貿易の過半を占めているときにはその威力が絶対でしたが、上記のように比重が下がってきた上に中国が対米対抗意識を燃やし始めると、ロシアのように中国が原油を買ってくれれば問題がないという国が出てきます。
ロシア原油その他ロシア製品全量買う国力が中国にあるとしても、中国に生命線を握られるのは怖いのでできれば避けたいでしょうが、緊急的でみればなんとかなる強みです。
もっと小国では、中国が「引き受けた」と言ってくれれば、中国の方が米国より怖くてもその場は助かるようになってきました。
今のイランの強気もそこにあります。
世界中で対米貿易の比率が下がっている以上は、経済制裁をしても協力国の数の多さがその決め手になるのですが、同盟国・・すぐに追随してくれる国の協力意欲を減退させる方向の政治ばかりではアメリカの威信は下がる一方です。
トランプ氏が力めば力むほどその威令・信用低下が進んでいる・/ひいては協力度合いが下がっていくのに気がつかないのでしょうか?
例えば秀吉が天下人になった以降に惣無事令で私戦禁止したのに反して、北条氏が(上野国の沼田)真田領を攻めたことで小田原攻めに発展したものです。
真田昌幸と幸村の父子が、この恩義・豊臣政権の威令が行き届いたことに感じた・恩義に報いないのは武士道に反するという美学によって、最後まで豊臣家のために奮闘したのです。
今日現在のウイキペデイアによると以下の通りです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%A3%E7%84%A1%E4%BA%8B%E4%BB%A4

豊臣平和令のうち、大名間の私的な領土紛争を禁止するものが惣無事令とされる。つまり、領土紛争においては、全て豊臣政権がその最高処理機関として処理にあたり、これに違反する大名には厳しい処分を下すという法令である。また、秀吉は関白の立場を明確に示す形で、あくまでも天皇の命令(勅定)によって私闘禁止(天下静謐)を指令するという立場を掲げた。[2]
惣無事令は、1585年(天正13年10月)に九州地方、1587年(天正15年12月)に関東・奥羽地方に向けて制定された。惣無事令の発令は、九州征伐や小田原征伐の大義名分を与えた。特に真田氏を侵略した後北条氏は討伐され北条氏政の切腹に至り、また伊達政宗、南部信直、最上義光らを帰順させる事に繋がった(奥州仕置)とされる。この惣無事令によって、天正十六年の後陽成天皇の聚楽第御幸の際など、参集した全国の諸大名から関白である秀吉への絶対服従を確約する誓紙を納めさせ、その違背に対して軍を動員した包囲攻撃のみならず、一族皆殺しを含む死罪・所領没収ないし減封・転封といった厳罰を与えた。いわば、天下統一は惣無事令で成り立ち、豊臣政権の支配原理となったのである。[3]

秩序崩壊と騒乱4(稚拙な欧米基準)

北方領土交渉もロシアを経済的に追いつめれば、ロシアの民族感情を刺激するので返して来ることは100%あり得ません・おしておして押しまくって取り返すには問答無用の武力制圧しかないのが明らかです。
欧米は彼らの言う「選挙制度がない限り民主国家ではないし人権がない」と言う誤った思想を持って気に入らない国に対して恣意的に非民主国家と断定してその政権を経済制裁したりしていますが、このコラムで何回も書くように日本は革命を起こさなくとも選挙制度がなくとも民意重視社会でしたし女性重視どころか中心の社会です。
経済政治の表面に出る数で女性の人権を主張しますが、男女差や年齢差よりも、身分差の方が優越する社会・・例えば20歳でも王様や大手企業社長になれる社会は実力主義と社会とはとても言えないでしょう。
女性の地位も同様で、か−スト制など階級差別のきつい社会の方が女性でも大統領や社長になり易い・・社会全体の女性の地位とは関係がありません。
例えばインドでは、早くから女性首相が活躍していましたが、アメリカやフランスにはまだ女性大統領が出ていません・・アメリカに比べインド社会の方が女性の地位が高いと言う人はいないでしょう。
アメリカでは黒人大統領が出たから人種差別がないのか黒人の地位が高いのか?
例を出しているとキリがないのでやめますが、バカみたいな基準を世界に押し付け、マスコミが尤もらしく騒いでいるコトはいくらでも例証出来ます。
女性と男性は本質的に違う・・長所短所が別にあるのですから、違った能力を相互に認めたうえで違った面で活躍出来る・・それを相互に尊重する社会の方が本質的平等を実現する道です。
犬に猫と同じ動作を求めても意味がないし、猫も犬と同じ能力競争しても意味がありません・・こんな簡単な原理を無視しているのが欧米的人権意識です。
女性が男性と同じ仕事をして評価されなければならない社会の方が、女性差別が激しいことになります。
このような社会参加方式を?を逆に男性に求めたら,男性が女性と同じことを出来る訳がない・・直ぐに無理だと分ります。
男性の看護士や介護士、保育士もいますが、内部役割分担をしているから成り立っているのであってきめ細かな手厚い看護能力など男性が女性並みに出来る筈がありません。
日本では家庭内の発言権は、女性中心であって男性は従うしかない社会・・家計・・お金の管理も女性がやるのが普通でずっとやってきました。
欧米は女性蔑視・・結婚後お金・資産は全部夫が握る管理する社会ですから、明治になってフランス法制度を導入して以来法律上は女性の地位が下がりましたが家庭内では従来どおり女性がおしゃもじ権を握ったままで現在に至っています。
夫名義の遺産分割でも、皆女性が中心になって、どうするかの重要判断を決めている・・裁判実務でも生命に拘る病気で医師にかかるときの判断もみな同じです。
話題がそれましたが、欧米の人権意識・民意重視などは千年単位で日本より遅れていたことにちょっと気が付いただけのことを、さも大層な発見のように偉そうに言いふらしているに過ぎない・子供がちょっと社会の仕組みや礼儀を聞きかじって得意になって家に帰ってからオヤに「こう言う仕組みだって」・・と教えているつもりになっているような滑稽さがあります。
革命があったから偉いのではなく革命や禁止の法律がないと人権抑圧・動物虐待を際限なくしてしまう神経の方がおかしい・・日本にない奴隷解放や公民権法が出来たから進んだ社会の証明になるのではなく、19世紀まで奴隷制があり、20世紀末まで法的に黒人差別していたことが異常・・遅れた社会なのです。
英語の授業でリンカーンの(ゲチスバーグ)名演説として得々と自慢げに教えられますが、そんなことは古代から教えれなくとも日本人ならみんな知っていたことです。
欧米基準では軍事政権や独裁政権は非民主国家と言う断定ですが、独裁国家の方が民意が怖いので敏感です・・独裁者は政権が倒れると自分や家族まで命が危ないので民意をどうやって把握するかに必死(我が国では平家の「かむろ」が有名ですし、中国では強権支配が過ぎて民意把握が難しいので、保険的に「裸官」と言って家族を国外へ日常的に逃している状態です。
選挙制度の方が民意が予め分って便利で、しかも下野しても命までとられません。
選挙制度があっても選挙の結果、イキナリ負けるのはリスクが高いので民意を予め知るため世論調査をしょっ中やっている外、政治家は独自調査で選挙区の民意把握→次回選挙に落ちないためにこれに合わせるのに必死です。
高齢化して新たな民意に合わせ切れないと思った場合には、選挙で落ちてやめるよりは見込みなしと分れば次に出馬しない名誉ある撤退も出来ます。
選挙制度のない政権との違いは、ワンマンオーナーが引き際が難しいのと同じで、引き際判断を自分で決められるか暴動でやめるかの違い・・その程度の違い・・選挙制度は民意によって自発的にやめたり出来るので、制度政権担当者にとって便利な制度でしかありません。
我が国の場合元々民意重視ですから、明治維新の結果、欧米の選挙制度を知ると・為政者の苦労が軽減される・・「こりゃ便利な制度だ」と言うことですぐに定着しています。
中共政権では、権力者に便利な選挙制度に何故出来ないかと言えば、中国の支配地では古来から民意を虫けらのごとく扱って来て民意を汲んだ政治をしたことがないからです。
これまでやったことがないのでイキナリ逆転失脚するのが怖くて実施出来ないのです。
民意と政治のズレ・・GDPなどの数字を少しずつ誤摩化し続けると、その差が巨大になってしまって、今更本当の統計を出せないで困っている共産圏の統計と似ています。
中国地域での歴史ではいつも数百年周期で大乱が起きるのは、民意無視の硬直した政体なので、民意とのズレ・誤差の限界が来るからでしょう。
現在の中共政権は樹立後約70年近くなりますが、今は社会変化のスピードが速いのでそろそろ賞味期限が近づいている可能性があり・・これを治安警察力の強化・・恐怖政治でいつまで押さえ込めるかに世界の注目が集まっています。
鉄のカ−テンがあったソ連の収容所列島時代とは異なり、中国は今やWTO加盟によって世界との物流〜金融→人の往来が激しくなっていて、表向き開かれた社会になっています。
国内で情報遮断して好き勝手な政治教育をしていても、数時間かければ日本へ自由に出張し旅行に来られるので如何に反日教育していても、日本社会の実態が多くの国民の目につきます・・国民を閉じ込めておけない分、反日教育の成果は日々溶け出して行きます。
日本が、中国国民向けに飛行機でビラを撒いたり海外放送を強化しなくとも中国人がお金を使って?やって来る結果、どちらの社会が国民に優しいかは自然に浸透して行きます。
正しい方は泰然としていれば、結果がついてきます。

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