お隣の子供がいつも虐待されて泣いているのを見て、隣人は見てられない・・かわいそうだがどうするかの問題に似ています。
地域内のことは児童相談所や警察や学校に通報すれば済むでしょうが、隣の国のことになると放っておくしかないのでしょうか?
粗野な人とどの程度深く付き合うか、嫌な部分を見ないようにして仲良くしていくかは、個人的には大人の知恵の問題です。
それとなく嫌な人とは付き合いを弱めていくしかないでしょう。
安倍外交・国際戦力の基本は価値観共有というスローガンでしたが、粗暴な価値観をひけらかす国とは「一線を画す」という意味でもあったでしょう。
従来権力は家庭に介入しないという基本ルールがあったのですが、(家庭内暴力が昔に比べて増えた結果とは思えないですが)女性の権利意識の高まりによって、まずは家庭内暴力への関与システムが広がり(DV法関連の整備)、続いて(児童虐待の場合には児童が死亡するほどのひどい暴力や虐待は3世代同居などの抑止機能がなくなって、マンション等の閉鎖空間で母親の孤独育児と相まって昔より増えたような印象ですが)少子化で「子供は社会共通の宝」意識の高まりからか、原則としてまだ児童相談所経由ですが徐々に警察の関与する場面が増えてきました。
国際社会がこの延長意識で安易に他国内政にまで「人道といえば介入する権利」があるかのように振る舞うのは、今の所まだ行き過ぎでしょう。
西欧では宗教戦争に疲れた結果、ウエストファーリア条約で主権に介入しない(お互い宗教に口をさない)という国際合意ができたのですが、この20年ほどを見るとNGO等による後進国での労働環境劣悪等の批判で国際企業が対応に追われるようになっています。
人権をテーマにすれば、人類の叡智である主権尊重を無視するようになってきたのが行き過ぎた面もあるでしょう。
日米法人が自分で海外に立地する工場等だけでなく、発注先の現地工場が現地環境保護や贈収賄基準に違反していなくとも日本国内法違反で処罰するようになると企業にとっては後進国進出あるいは、後進国製品が安いので輸入する意味がなくなります。
米国や日本国内での贈収賄や環境保護法に反していれば、非難殺到という状態です。
日本企業ではユニクロの発注先の中国工場が、劣悪な労働環境で現地人を雇用しているとして標的になったことがあります。
https://ironna.jp/article/948
まさに地獄! 潜入調査で見たユニクロ下請け工場の実態
『伊藤和子』
長時間労働と低い基本給
Pacific および Luenthai は基本給をそれぞれ月額1550人民元及び1310人民元としているが、これは最低賃金であり、平均的賃金レベルよりはるかに少なく、時間外労働によって生活賃金を稼ぐことが常態化している。そして、両工場の時間外労働数は驚くほど長い。時間外労働時間数は、 Pacificで月平均134時間、Luenthaiで月平均112時間の時間外労働と推計されている。中国労働法では36時間を超える時間外労働は認められておらず、明らかな法律違反である。
2)リスクが高く安全でない労働環境
排水が作業現場全体にあふれている(SACOM提供) いずれの工場の労働環境も、大変劣悪・危険であり、労働者の健康と安全に深刻なリスクをもたらしている。
例えば、Pacific工場では排水が作業現場の床全体にあふれている。床が滑りやすいことにより、転倒し、身体不随になるような労働災害を引き起こす可能性があるし、機械の漏電のリスクも高い。
深刻なのは、工場内の異常な高温である。工場の夏季の室内気温は約38℃にまで達しているが、エアコンはない。そのため、男性の多くは上半身裸で作業をし、女性も汗だくだという。聞き取り調査に答えた労働者は「あまりの暑さに夏には失神するものもいる」、状況は「まるで地獄だ」と話した。染料部門では、染料タンクは運転時に非常に高温になるため、室温は38-42℃にまで達し、作業員は100-135℃となる染料タンクのそばに立って、タンクから重い生地を取り出さなければならないが、囲いやゲートはなく、労働災害による怪我のリスクが増加している。
3)厳しい管理方法と処罰システム
4)労働者の意見が反映されない
以上はいずれもユニクロと取引のある中国の現地企業の工場ですが、発注元のユニクロにその改善を要求するものです。
日本に本籍のあるNGOは、国際的に日本非難を展開するための資料集めをしている印象を児童売買春関連で書きましたが、肝心の中国の常軌を逸した人権侵害には何も言わないのが特徴です。
上記告発?を見ると私が弁護士になったばかりの頃に千葉の臨海工場地帯を見学した時の印象・真っ赤に溶けた鉄の塊を入れた箱をレール状で運ぶ人夫・灼熱地獄のような現場・あるいは、子供の頃に普通にあった蒸気機関車の釜に石炭をくべる人夫?の姿など彷彿とさせる描写です。
飲食店等の厨房は長靴で働いているのが普通で、それが進んだ姿でした。
一般家庭の台所は土間が一般的でしたので、水や液体系をこぼすと大変でしたが(不潔になります)、プロの飲食店では床全面がコンクリート式になっていて、しょっちゅう水で床を洗えばいいので非常に衛生的という意識でした。
中国は日本に約40年遅れで追いつこうとしているのですから、いまの日本の衛生基準や労働環境を基準にして非難しても始まらないと思います。
この後で、マックの異物混入事件で紹介しますが、後進国はおもて通りだけ高層ビルを建てても生活の基礎意識まで(表通りの舗装はできても路地奥まで綺麗にするには時間がかかる)急速には変えられないし衛生観念も変わらないということです。)
外地で犯した日本基準の法令違反行為・・NGO摘発によれば、単に日本の衛生観念に届かないという程度で日本でも法令違反と言えないものも批判対象に含まれていますが、現地法令に触れない限り現地生産するのは違法でもないし、現地に行けば現地の衛生観念に従って生活すれば(手を洗ってからでなければ、食べたくないと言っても、手を洗えないところでは仕方がないこともあります・・)良いことではないでしょうか?
国内で言えば禁煙場所で喫煙するのはマナー違反でしょうが、喫煙場所に行って喫煙するのは違法でもマナー違反でもありません。
場所ごとのルールを守れば、非難されるべきことではありません。
各地の現地人がその国の法律を守っている限り日本法令に違反していても処罰できないのに、日本人だけ外国にいるときの日本法違反で処罰されたり、日本の不買運動に企業が晒されるとなれば、なんとなくおかしな気がします。
日本で禁酒法や禁煙法が制定された場合、外国に行って飲酒・喫煙したのがバレたら帰国後処罰されるのか?となります。
日本人や日本企業だけが現地の環境労働法規その他の各種法規に関係なく日本国内法規あるいは国内価値水準に適合しなければならず、(環境汚染や汚職その他やり放題・・規制のゆるい中国等新興国では、)日本企業の発注先企業のみ先進国基準を要求するのでは、競争上ものすごく不利になります。
ただし、衛生・品質基準が日本企業は特に厳しいというブランドイメージの中国国内定着が、日本への輸出はダメでも輸出基地としての利用が終わって中国国内販売にシフトするようになると有利に働く面もあります。
MGOによる日本企業批判運動が今の訪日中国人観光客の爆買いに繋がっているのでしょうから、何が幸いするかはわかりません。