米国領土拡張・人口吸収政策の限界3と対中攻撃

失業率の上下にビクビクしているのは中国よりアメリカの方です。
周期的に存在する景気変動による失業率増加程度は時の政権支持率に不利に働く程度でしょうが、長期低迷・・歴史上経験のない事態に突入してくると、United States 「連合」を組む意味があるのか?Unitedのタガが緩むリスクの方が大きいでしょう。
米国自身の弱みを中国の弱みにスリかえて国際宣伝しているように見えます。
連合国United Statesの解体を防ぐにはUnited States創設の原初にもどり外敵が必須・・外敵向けの一致団結を訴えるしかない・星条旗の元に参集する状況作出が過去の米国政治でした。
今回の新型コロナウイルス禍がどういう形で収束するか不明ですが、いつもアクセルを吹かし続けないと生き残れない・・あくせくした成長社会モデルが終わりを告げて江戸時代のような落ち着いた社会・・安定社会に戻る印象を受けますが、いかがでしょうか?
安定社会・・成長を追い求めない歴史経験がないのが米国の特徴です。
米国は第二次世界大戦後、朝鮮戦争に始まり(これは北朝鮮による一方的侵略によるものでしたが・・)その後もベトナム戦争など絶え間なく戦争をして国民の亜kん芯を引きつけて来ましたが、アフガン〜イラクに始まる中東へ侵攻は出口が見えず撤退するしかない状態です。
次なる標的は米中対決ですが、相手が大きすぎて軍事衝突に踏み切れません。
トランプ氏の意を受けた政治好きの人は中国脅威論・・・中国が生物兵器製造に失敗して工場から武漢市内に漏れたのが原因とツイッター等で広め・5Gのような先端技術の中国締め出しの既存方向をさらに拡大してマスク製造のような低賃金国特化生産品でさえも中国に頼るのは危険だと煽っています。
中国側も負けずに事もあろうに報道官が(記者会見での公式意見ではないものの個々人のツイッターが厳しく政府に規制されている中国で、報道官の個人意見とはいえこのような重大発言を公開したのは、政府中央の許可・・非公式発言をさせたと見るのが国際常識です)アメリカが中国でウイルスをばら撒いたと言い返しました。
アメリカの猛反撃に驚いたのか?報道官なのに3週間ほど全く表に顔を出せないでいて、ようやく報道官としての登板では個人的義憤で表明したと釈明し政府と関係ない個人の意思かのような発言です。
この義憤とは、日本の海上保安庁役人が義憤で尖閣諸島での中国の横暴な行動を画像で公開した事件を想起させる表現です。
中国人民にとっては、アメリカが国内政治上駆け引きのために中国という敵を意図的にでっち上げているという義憤があるのでしょう。
中国報道官のツイッター公開は、日本で言えば真珠湾攻撃を政府として行ったことで、ルーズベルト大統領が待ち焦がれた対日宣戦布告の口実にされたようなものです。
これに怒った米国の反応・米国・トランプ政権は敵を求めていたので待ってましたと言う反応に驚いた中国はその火消しに必死でしたが、中国政府の政治感覚はこの程度のものか?と政治能力を世界中が認識したようにも見えるし、日本の真珠湾攻撃のように政府が表立って反論しないで報道官の個人ツイッターでやらせた分だけ大人の対応が進んでいるとも言えます。
いずれにせよ米国の攻撃目標にされると怖い!と再認識した人が多いでしょう。
米国は続けて中国の生物研究所からの流出でないか?と言うネット風聞を政府高官が公式にこう言う風聞があると取り上げたことが報道されていました。
さらに追い討ちをかけるようにマスクその他医療機器部品等を中国に頼るのは危険だとか言って国内回帰を言い出して欧米ではこの動きが一般化してきました。
さらにはWHOが中国に偏りすぎているのを検証するまで基金拠出を停止したりと、対中攻撃策繰り出しが矢継ぎ早です。
日本庶民の方は、流言飛語・・社会に否定的影響を与える根拠ない情報バラマキはいけないとしても希望を持たせる拡散ならいいだろう式の庶民の知恵中心のようです。
・・「納豆を食べる人は感染しない」とかお茶が良いとか、お国自慢が出てくるかと思えば、ちょっと科学的な意見?BCG接種した国との違い(納豆菌がウイルスを食ってしまうというのも科学論の一種でしょうか?)によるなどの、ちょっとした知的装い論程度です。
米国メデイアの場合は、トランプ氏が目の敵にする民主党系のメデイアはお得意の格差批判の我田引水が目立ちます。
アメリカの感染被害が多いというが、本来のアメリカ人は強いのだ?という白人擁護を兼ねた?格差社会論・・貧困層が感染や死者の大多数を占めている→民主党政権の国民皆保険制度創設が必須という主張に結びつける論をばら撒きます。
人種差別に結びつけたい人は、格差社会批判の発展形?で今回の被害拡大は黒人が圧倒的に多い・「奴らは・・もともとどうしょうもない奴らだ!と言いたい?ような非難攻勢も言われるようになりました。
武漢での新型肺炎拡大初期には、アジア人特有の感染症であるかのような欧米の人種差別的意見が流布されて、欧米では黄色人種系アジア人というだけで露骨な差別を受けるようになっていると報道されるようになっていました。
3月中旬以降イタリアを筆頭に欧米の方が感染数、死者ともに圧倒的に多くなるとアジア人蔑視がなくなったのかと思っていたのですが、このコラムを書くために検索するとこの傾向は4月になって、逆にアジア人と見ると嫌な顔をしてそむけたり露骨に席を立つ人が多くなっている・「アジア系女性が一人で買い物に出ると危険」とすら言われ夫婦同伴で買い物するしかないような日本人在住者のレポートがあります。
特にトランプ氏が「中国ウイルス」と言うようになってから、逆に激しくなった傾向があるようです。
日本の嫌中系ネット記事で「ザマーミロ」的記事が多いですが、日本人在住者も中国人と間違われて危害を受けそうな社会になっている状況が報告されるほどの嫌中感情の過熱ぶりです。
こうなると5Gに代表される科学技術や経済で中国に押され気味のアメリカの対中不満が、(これまで連載してきたように米国建国以来の膨張主義のDNAの限界がきただけのとですが)市民の不満はけ口として何でも中国を八つ当たり対象にしたい口実にコロナを利用する政権の扇動に乗る人が増えているおそるべき社会になりつつあるようです。
ナチスの扇動にドイツ国民が便乗してしまったような状態になりつつあるのでしょうか?

中国失速と対中依存度3

日本が中国から買っているのはローエンド製品・・しかも日系進出企業の現地生産品中心ですから、中国から買わないとやって行けないようなものはありません。
私の町内会のお花見会で使っていた焼き鳥用品が中国製と分って、今年から国産焼き鳥に変えましたが・・大方が中国製を隠してやっと売れているようなものです。
野菜その他産地偽装が時々摘発されるのは、中国製表記では粗悪品と見なされてかなり安くしないと売れないことの現れです。
日本は高級製品中心なのであまり影響がない・・中国が作れる低級品とあまり競合しないものの間接的影響が少し出ますが、競合品を作っている韓国などとは影響度合いがまるで違います。
以下は、http://domonai.com/2016/01/03/からの引用です。
 中国鉄鋼業界が赤字で鉄鋼を生産・輸出するせい
「バブルが崩壊しつつある中国で様々な商品が生産過剰により価格下落していますが、鉄鋼業界の生産過剰は特に酷く、赤字で鉄鋼を生産・輸出するせいで鉄鉱石・鋼材価格が下落し、日本や外国の鉄鋼業界にも影響を与えています。」
「中国鋼鉄工業協会によればCSPI鋼材総合価格指数は2015年初めと比べて2015年10月頃には28%も下落しているということです。
中国では2015年10月の時点で鉄筋の取引価格が500グラムあたりおよそ8円(1.6元)まで下落しているということです。
中国鉄鋼業界は金融業界からおよそ25兆円の借入れを行っており、定期的に返済を行う必要があります。
しかし鋼材価格が下落しているため利益が出ず、返済が難しいものとなっています。
借入金の利息だけでも支払う必要があるため中国の鉄鋼会社は赤字でも鋼材を生産し売ります。
現金を手に入れれば赤字でも利息の返済が出来るというわけです。
赤字でも売上げやキャッシュフローがあれば追加融資やつなぎ融資も受けやすくなるため、採算割れでも鋼材を生産し売る必要があるのです。」
「日本の主要鉄鋼メーカー新日鉄住金(新日鐵住金、証券コード:5401)、JFEスチール(JFEホールディングス、同:5411)が得意とするのは自動車の鋼板などの高付加価値鋼材なので、中国メーカーとの競合は少ないのですが、それでも日系メーカーの輸出価格に影響を与えています。
中国との競合が少ない日本ですら影響を受けるので、他国の影響はもっと深刻です。
アジアの熱延鋼板の価格は直近1年程でおよそ40%近く下落しています。」

上記のとおり日本は高級品中心であることが紹介されています。
サムスンのスマホが中級品市場で中国に追い上げられていること、その他韓国では造船受注が激減・・昨年から受注が1隻あるかないかと言う状況が報じられています。
以下はどう言う人がどう言う基礎情報に基づいて書いているか分りませんが、(火の気のないところに煙は立たないと言いますから基本的に苦しい状況にあることは確かでしょう)以下のとおりです。
http://kankokukeizai.kill.jp/wordpress/category/kankokukeizai2016年5月3日
【韓国造船危機】韓国造船大手3社、4月の受注ゼロ
記事要約:韓国の造船大手3社、いわゆるビッグ3の4月の受注はゼロだったようだ。4ヶ月間もわずか3隻。しかも、5月以降の見通しも駄目という。順調に造船危機は続いてるようだ。構造調整はたして間に合うのか。間に合っても大規模なリストラは避けられない。」
造船も日本は高級品中心なので中国の赤字受注攻勢はあまり関係がないようですし、元々高度部品は中韓では作れないので、韓国が受注しようと中国が受注しようと日本に発注するしかありません。
中国は日本からの部品輸入を税関で嫌がらせしても結局は自国企業を苦しめるだけなので続きませんでした。
出血輸出で苦しむのは中国国内納品業者だけあって、日本は赤字で部品を売ってやる必要がありません。

中国購買力低下2(対中依存度2)

反日暴動後日本の穴を塞ぐ役割期待に応じていた点では、ドイツを中心とする西欧諸国も同じです。
ドイツのフォルクスワーゲンなども対中販売が大きな比率を占めているので、中国のクルマ販売が減速すると大変な影響を受けるでしょう。
5月20日の日経新聞朝刊9pには、フォルクスワーゲンの15年世界販売の約4割(353万台販売)を占めているが、更に天津に新規工場投資する・・中国シフトを鮮明にしていると言う記事が出ています。
1国だけで販売の4割ともなれば大変な偏り方(ドイツ国内販売よりも多いのかな?)ですが、更にその比重を上げるべく投資を続けるのでは、もはや後戻り出来ない・・中国の言うことは何でも聞くしかないのを承知でさらにのめり込んで行く覚悟を決めたと言うことでしょう。
以下は昨年の記事からの引用です。
http://jp.reuters.com/article/china-economy-germany-idJPKCN0QW0J120150827Business | 2015年 08月27日 16:46 JST
8月26日、中国への輸出は長年、ドイツ経済の力強さの源となってきた。ところが最近では、中国経済の急激な鈍化を受けて、対中輸出への依存度の高さが逆にドイツのリスクとなっている。(2015年 ロイター/Fabrizio Bensch)
ドイツ連邦統計局のデータによると、ドイツの輸出に占める中国の比率は、2007年には3.1%だったが、それが14年には6.6%に上昇して4位につけた。なお、14年のシェア1位は9.0%のフランスで、2位は8.5%の米国、3位は7.4%の英国となっている。
しかし、ドイツの対中輸出は今年、鈍化傾向が鮮明だ。ドイツ商工会議所のデータによると、ドイツの対中輸出は今年上半期は0.8%増と、債務危機に苦しむギリシャへの輸出と同じ伸びにとどまっている。」
このシリーズでは国力・発言力はもの不足時代の19世紀〜20世紀後半までは生産力比例関係でしたが、20世紀末以降物あまり・・供給過剰時代に突入以降国力の基準は、購買力に変わっていることを書いてきました。
日本は対中国では巨額輸入超過国ですから、買ってやっているのは日本の方です。
その点では日本とアメリカは対中国では(物を買ってやっている)経済関係では同じですから、他の国と違って、中国はこそこそしたことしか出来ない状態です。
http://www.recordchina.co.jp/a127971.htmlの引用です。
2016年1月28日(木) 19時30分
2016年1月27日、国際商報によると、日本の財務省は25日に貿易統計(日本から外国への輸出及び外国から日本への輸入について統計)を発表した。それによると、2015年の輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2兆8322億円の赤字となり、中でも対中貿易は6兆1911億円の赤字で、赤字額の過去最高を更新した。」

国力の源泉・・国民の豊かさの基準が供給力から消費力に変わって来たこの数十年の間にすっかり日本が世界の消費を引き受ける国に変わっています。
中国は、まだ製鉄量や造船などの生産力・・ひいてはGDpと言う過去の亡霊・・19世紀型思考の後追いをして有頂天になっている愚かしさに気が付かない・・秀才採用の多い日本のマスコミがまだ19世紀型基準でそれを賞讃している様子です。
世界の消費を引き受ける→貿易赤字が続けば購買力がなくなりますが、日本は長年の海外投資の結果利子配当知財等の所得が増えて総合収支である経常黒字は年間15兆円前後ですから将来性も全く心配ありません・・この実態を反映して円高基調になっているは当然でこれを騒いでも仕方のないことです。
中国は「日本から買ってやらない」と言う脅しが効かないので、国内で反日暴動を煽るしかなかった原因です。
ソモソモ抗日とか反日とか国内で「抵抗運動」しなくてはならない国が,日本よりも強国ブルこと自体が論理矛盾です。
中国が日本の工場を要らない・・イヤなら日本企業はベトナム等へ工場を移転すれば良いだけのことです。
それで世界供給の9割ほど?を占めていたレアアース禁輸で勝負に出たのですが,日本はレアアースし利用率を減少する技術開発に成功し生産国を世界に広げたので、100%中国の失敗に終わりました。
逆に反日運動の結果、日系企業の中国現地工場・投資縮小の動きが盛んになっていることは周知のとおりです。

中国購買力低下1(対中依存度1)

昨日紹介したように中国企業や個人の急激な債務拡大は(預金準備率引き下げと同時に予想されたことですが)既に国際的な注目の的ですが、その損(債務)をどこが最後に引き受けるか・・ババを引くかに?今は関心が集まっています。
日本は幸い反日暴動以来対中投資の撤退縮小が相次いでいたので,(暴動の対象になったパナソニックで言えば、今や中国に大した比重を置いていないでしょう)昨年来の急激な経済規模縮小被害を殆ど受けていない感じです。
以下に紹介するように我が国のGDP比の対中貿易比率・依存度が極めて小さいことが分ります。
輸出入依存度については以下のとおりです。
※個人記事からの紹介で正確性不明ですので、正確なデータが必要な方は公的データにご自分であたって下さい。
以下はhttp://blog.goo.ne.jp/ns-japan/e/3fe776f32f75542682bc68009313b65からの引用です
2015年01月27日 19時53分55秒 | 日記

G20諸国の輸出依存度と輸入依存度(GDP比)は下記の通り。
(中央日報)
●輸出依存度(GDP比)
韓国  :43.4%    ドイツ :33.6% メキシコ:26.2%
中国  :24.5%    ロシア :24.4% 日本  :11.4%
アメリカ: 7.5%
 ●輸入依存度(GDP比)
韓国  :38.8%  ドイツ :28.0%  カナダ :24.6%
アメリカ:11.4%  日本  :10.8%

対中輸出依存度(GDP比):2.79%
対中輸入依存度(GDP比):2.44%

日本の輸出依存度(GDP比)対中国比率は2.79%、輸入依存度(GDP比)2.44%が中国依存です。」

韓国の場合対中貿易比率が2〜30%に達していると言うのですから、この売上が何%減ると甚大な影響です。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12092445304.html(勝又氏の経済時評)からの引用です。
対中貿易に警戒信号 2015-11-12 03:11:07
『朝鮮日報』(11月4日付)は、次のように伝えた。

①「対中貿易黒字の規模縮小はペースがますます加速して いる。韓国経済研究院は11月3日に発表した報告書で、2009年以降数年増加した対中貿易黒字が、13年の628億ドルから昨年は552億ドルへと 12%減少したと指摘。今年1~9月の黒字幅も353億ドルで、前年同期(404億ドル)を13%下回っている。専門家は中国政府の内需中心の発展戦略に 経済成長の鈍化も重なり、中国への依存度が高い韓国が直撃を受けているとみている。昨年韓国の貿易に占める中国の割合は25%で、2位米国の2倍以上だ。 産業研究院のチョ・チョル国際産業協力室長は、『中国が主要中間財を国産化している上、現地の景気も悪く、韓国製品の立つ瀬はなくなってきている』と指摘した。」
同じく勝又氏の経済時評5月17日からの引用です
中国市場で極不調
日系車は高品質評価2016-05-17 04:39:54
2015年12月期の現代自は、中国での販売台数が104万台と7%も減った。低価格を強みとする地元メーカー車に押され、夏場に大きく販売を落としたもの。数カ月で回復に向かったが販売奨励金を大幅に増やした結果、収益を圧迫したようだ。現代・起亜自動車グループは、今年第1四半期(1~3月)の中国市場での販売台数が36万9320台となり、前年同期を16.2%も下回った。中国市場で自動車メーカー上位5社のうち、第1四半期の販売が減少したのは現代自グループだけ。「一人負け」である。4月は前年比0.1%増で、辛うじてマイナスを免れ皮一枚で首が繋がった。」
勝又氏は日本車の品質の良さが再認識された結果であると書いていますが、韓国製品はスマホ同様に中国現地生産品に追い上げられているが、(脅せば技術移転が進むと思って始めた)慰安婦・反日騒動が裏目に出た結果日本からの技術移転が止まってしまい、上級品へのグレードアップ出来なくなって困っているからでしょう。

日本対中朝対立の始まり2と根深さ

西洋の所有権法理の適用の1つとして、清朝はフランスの一撃であっけなくベトナムに対する朝貢関係・・支配権放棄をせざるを得なくなりました。
(仏領インドシナの成立です)
清朝はアヘン戦争やアロー号事件で権威を失った結果、ドンドンと周辺格下・朝貢国支配権を失って行く危機感によって、それならばと属国支配強化・・具体的に軍を駐留して具体的支配が必要との動きとなったものでした。
ウイキペデアによれば、1881年(光緒7年)以降は李氏朝鮮との外交も、朝貢国との関係を扱う礼部から北洋大臣・・当時李鴻章が大臣・へと移管・・直轄地に準じる扱いされ、それまでは控えられていた朝鮮の内政や外交への干渉が強まり、朝鮮の属国化が進んでいました。
学校の世界史の勉強では,中国はアヘン戦争以降なす術もなく列強に蝕まれて行くような印象ですが、結果見ればそうですが、清朝とても黙って手をこまねいていた訳ではなかったのです。
版図を守るために必死だったことは分りますが、そのためには内部改革によって筋肉質にして行くことが先決ですが、これを怠って軍を周辺に膨張させていくだけでは意味がありません。
企業で言えば、赤字体質を改めないで出店競争ばかりしていても先がないのと同じです。
第二次世界大戦後、世界の混乱を利用して中共政府はチベットを完全に属国化したのは、この文脈で理解すべきです。
ただし朝鮮半島と違い簡単にチベットを属国化出来たのは、チベットの外周はヒマラヤの向こうなので外側にちょっかいを出せる(朝鮮に対する日本のような)国がなかったのが幸いしたと言えるでしょう。
それまでチベットにはイギリスがかなりちょっかいを出して関心を示していましたが、第二次世界大戦でドイツの空爆によって疲労困憊というか国力を大幅に減じてしまったし、戦後はインドの独立運動が始まっているなどその奥にあるチベットへの介入能力がなくなっていたことによります。
中央アジアのウイグル自治共和国その他内陸少数民族への直接支配強化も似たような経緯によって完全属国化して行ったのではないでしょうか?
周辺民族にとってはそれまで儀礼的服属で済んでいたのに直接支配になって行くのでは、納得出来ませんが周辺に援助してくれる国がないので泣き寝入り状態です。
欧米流法理の影響で却って窮屈な関係になって行き・・反乱等が頻発している原因です。
アジア的曖昧さをなくして行くのは善し悪しです。
このような経緯を踏まえると習近平総書記・国家主席が唱えるようになった清朝の栄華を復活させるというスローガンは、19世紀に切り離さざるを得なかった朝鮮半島〜ベトナム支配の復権を目指しているのかも知れません。
台湾は清朝時代朝貢関係にさえなかった(朝貢するようなはっきりした王国が樹立されていなかった)のですから、その主張からは除かれることになります。
沖縄は薩摩には具体的支配を受けながら、表向きは清朝に朝貢していたので、この朝貢関係を根拠に中国政府は最近自国領土だと言い始めた根拠になっているのでしょう。
日本公使など外交団と駐在日本人に対する襲撃事件が起きた壬午事変(1882)は、清朝が朝貢国を扱う役所の管轄変更・・属国支配強化を始めた翌年のことでした。
江華島事件(1875年(明治8年)江華島条約成立(1876)後、日本の開明化の働きかけに呼応して開明派が力を得て開明派の中心であった高宗の妻ミンピを中心とする日本の軍事顧問受け入れなど改革が進み始めていました。
江華島事件以降着々と朝鮮への浸透をして行く日本に対する保守派と清朝の焦り、清朝駐留軍をバックに保守派・事大党がこの事件を引き起こしたものと思われます。

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