新型コロナの実害比較5(日本の成績2・勝又氏経済時評)

以上メデイア紹介による国外の日本のコロナ対策に対する評論を見てきました。
昨日見た文化論は私の個人的思考に合うものの、素人のイメージとどこが違うのか?大学の歴史学者という違い程度か?・・内容は今一つでした。
たまたま、勝又寿良氏の経済時評が目に止まったので読んでみるとこれが私の感想にぴったりし、かつ具体的ですので、要約紹介しておきます。
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/page-3.html

2020-05-24 05:00:00
日本、「25日」全面的コロナ宣言解除が有力、3つの「成功要因」
米『ブルーンバーグ』(5月23日付)は、「新型コロナ、日本独自の要請対応が奏功ー緊急事態全面解除迫る」と題する記事を掲載した。
この記事を執筆した記者に、日本人は一人も入っていない。3人の記者は全員、外国人である。自画自賛的な記事ではないことに注目して貰いたい。
(1)「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は、21日までに首都圏の1都3県と北海道を除き解除された。安倍晋三首相は、新規感染者数の減少が続けば、これらの地域についても31日の期間満了を待たずに解除する方針を示している。日本の新型コロナ感染症死者は22日時点で808人未満。海外のように厳しい外出制限や罰則を伴わない独自の「要請」対応は、成功裏に終わりを迎えつつあるように見える」
(2)「専門家会議副座長の尾身茂氏は、日本の医療制度、初期のクラスター対策、そして国民の健康意識の高さの3つの要因が寄与したと分析する」
3つの要因とは、次のような内容だ。
1)医療制度の充実
2)初期対応でクラスターを捕捉できた
3)国民の健康意識の高さ

私のニュース捕捉力未熟の故か?日本のコロナ対策を担う中枢専門家の意見が具体的に紹介されているのを見たのはこれが初めてです。
「お前の能力が低いんだよ!」と馬鹿にされて終わりかも知れませんが、尾身氏の意見が国外ニュースで具体的に紹介されて、国内メデイアの多くが報道しない?報道していたにしても目立たない形になっていたとは驚きです。
メデイアの役割は、政府のすることは何でもマイナス評価すれば良い・何かしたり発表があれば、粗探しに特化する・粗探しの前提として政府施策の紹介をするがケチをつける点が見つからないときには報道もしない・・黙殺すれば良いという信念で動いている場合、政府主張の焼き直し意見など紹介する必要がないということかもしれません・・。
上記3点については、勝俣氏が上記記事で敷衍し解説していますの引用します。

以上の3点についてコメントしたい。
1)は、今回のコロナ禍が全額、国費負担であること。患者は、経済面の負担を恐れずに治療を受けられ、これが感染者の拡大を防いだ。海外では、患者負担もありこれが感染者を拡大させている。経済的貧困者に、死亡者が多い理由である。
2)は、保健所が初期段階でクラスターをしらみつぶしに調査して感染源を把握した。東京湾の釣り船では、感染源突き止めた。成功例と指摘されている。
3)は、日本国民の健康意識の高さである。日本人の清潔好きは世界的にも有名である。この日々の生活態度が、ロックダウンをしないでも感染拡大を防いだ。
日本人の寿命は現在、世界で1~2位である。結局、すべての要因は、日々の生活態度がコロナ感染拡大を防ぎ、世界最低の死亡数に止まった。
(3)「ワクチンが市場に出回るまで世界各地で新型コロナの影響は当面続くとされる中、感染症が沈静化に至っていない他国や国内で次の波に備えるために、今回の緊急事態宣言は示唆に富む。まず、早期の対応が大切だ。政府の対応が遅れたとする声がある一方で、1月に国内で初の感染者が確認された時点から保健所が、感染者との濃厚接触者の追跡に動いたことが効果を発揮したとの見方がある。北海道大学公共政策大学院の鈴木一人教授は、日本の方法は「アナログで、シンガポールのようにアプリを使った追跡ではない」が、「とても有効だった」と話す」
(4)「厚生労働省の資料によると、2018年時点で全国の保健師数は約5万3000人で、そのうちの15.3%が保健所に勤務し、普段はインフルエンザや結核などの感染症対策に当たっている。北海道医療大学で感染症を研究する塚本容子教授は、「日本にはCDC(米国の疾病対策センター)のような機関がないとよく言われる」とした上で、「各地の保健所がCDCの役割を果たしている」と指摘した。保健所による感染者の追跡は、ライブハウスやナイトクラブでの集団感染対策にも貢献した」
((3)(4)部分はブルームバーグの引用のようです)
日本では、保健所が米国のCDCの役割を果たしている。全国に8100人余の人々が、感染症対策に従事しているという。この人々が、今回のコロナ禍でフル回転してくれた。(勝俣氏のコメント?)
(5)「2月に横浜に到着したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号では、乗員乗客含め700人以上が感染し、13人が死亡した。欧米諸国が「対岸の火事」として中国での感染拡大を見守る中、日本は他国より早く新型コロナの集団感染に直面することとなった。このことが国民の危機意識を高めたと指摘する声もある。早稲田大学政治経済学術院の田中幹人准教授は、「各国の多くの人々が、新型コロナはいずれは収まる病気だと楽観視していたころ、日本にとっては家の目の前でクルマが燃えているような状況がしばらく続いた」ため、国民は「コロナに対する警戒感を高めていた」と述べた。専門家らはクルーズ船での対応の経験を生かし、「密閉」、「密集」、「密接」の3要素がそろうと感染リスクが高いと指摘し、政府は「3密」を避けるよう国民に呼び掛けた」
((5)もブルームバーグの引用?)
横浜港に到着したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が、日本人にコロナ感染症への警戒感を植え付けたという。ここから、「密閉」、「密集」、「密接」の3要素が揃うと危険という「3蜜警戒」が合い言葉になった。(勝又氏コメント?)
(6)「世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問を務める英キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授は、感染者の追跡方法にも改善の余地があると指摘。「時間のかかる聞き取りによる追跡は、小規模の地域限定的な感染には有効」とする一方、「記憶の偏りがある上、アプリで接触者や利用施設を特定するよりは効率的でない」と答えた」。
日本のコロナ第一波は収束するが、第二波、第三波への準備が必要である。それには、下線のような保健所の人海戦術でなく、アプリなどのIT利用を勧めている。国民の意識改革で、受入れるかどうか、議論すべきだろう。経済・生活の行動を制約する現行コストより、はるかに少なくなるメリットはある。(勝又氏意見?)

ブルームバーグ紹介記事と勝又氏のコメントを読むと昨日紹介した抽象的文化論では素人の感想との違いがはっきりしないモヤモヤ感を吹き飛ばしてくれる点で、優れています。
日本は中韓のように当初から個人行動監視では国民が納得しなかったでしょうが、第二波が大規模にやってきたときには、人海戦術では間に合わないことが確かです。
それまでの時間の経過で日本も第二波に対応する心の準備が整うのではないでしょうか?
幕末、アヘン戦争を見てこのままでは植民地にされるという危機感を持っても、産業構造の変革→兵制の近代化や幕藩体制廃止に行き着くまでには時間がかかりました。
時間をかけて納得した結果の明治維新であったからこそ、挙国一致で近代化に邁進できたのです。
今回もコロナ第1波(幕末で言えば、薩英戦争や長州の四国戦争などテストシリーズ)を民族の応用力でなんとか防げましたが、第二波は抜本的産業構造や兵制改革に成功したので本格的開国に対応できたのです。
以心伝心で民族の方向性が一つの方向に向かうと魚群行動のように一糸乱れず統一行動の取れる民族性の解体を目指してGHQはなんでも反対粗探しの批判勢力をメデイア界や教育界に構築して独立を認めました。

新型コロナの実害比較4(日本の成績)

目先の戦略としては合理的な積りかも知れませんが、見え透いた戦略的行動は
長期的に見れば、個人であれ国家や企業であれ底が浅すぎる行動は信用を落すデメリットの方が大きくなります。
日本の東北大震災の時にはロシアが日本列島周回飛行を行い、南西諸島では中国による尖閣諸島侵犯行為が始まり、韓国はこれに呼応して同時に李民博大統領自ら不法占拠中の竹島に上陸して対日強硬姿勢を誇示しました。
「もう日本は終わり」という宣伝が韓国に行き渡ったのでしょう。
その後韓国では反日運動にブレーキがかからなくなり、韓国の行動の幅を狭区してしまいました。
弱った隙に!と言う分かり良すぎる政治は、これら日本周辺3国にとって何か、プラス効果があったのでしょうか?
米国はやられっぱなしでは黙ってられないので、トランプ氏はイキリたっているので、米中間は抜き差しならない争いに発展していく兆しになってきました。
コロナ禍によって今後の産業構造や経済のあり方がガラリと変わるし、これに対する適応力の差によって世界企業の上位も入れ変わるでしょうし、経済大国の顔ぶれも様変わりする可能性があります。
中国はコロナ後の新たな時代への適応に自信を持ち始めたように振舞っている点が後戻りを難しくしそうです。
ゴードン氏の次のテーマ引用に進みます。
https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/

(3)文化的・歴史的な要因
・・・「マスクの着用」「玄関で靴を脱ぐ」「誰かと会った際には(握手や抱擁、欧州人のように両頬に口づけをするのではなく、むしろ)お辞儀で挨拶をする」など。
日本の国内外において多くの論者が、日本の比較的ソフトな緊急事態宣言の「特殊さ」を指摘している。
日本の緊急事態宣言は法律に基づくものではあるが、命令や強制的な罰金・拘束を伴うものではなく、あくまで「要請」や「指示」に基づいている。これは他の地域に類を見ないものであり、私自身、特筆すべきことだと感じている。この政策の背景にはいったい何があるのだろう。
・・・・現在、日本政府がCOVID-19への対策として行っている比較的ソフトな緊急事態宣言は、他のアジアの地域や欧州の多くの地域、または米国で行われている厳格な規制とは明らかに異なる。そして、日本政府がかつて行ってきたコレラやハンセン病への対策とも異なる。
・・・・私は今回の日本政府の政策は、個人の自由への介入をけん制するリベラルな価値観へのコミットメントのみによるものではないと捉えている。その源流は明治時代にまでさかのぼり、近代の習慣として「説得による誘導」が国家と社会との関係性において重要な意味を持ったことに端を発している。
という文化差によるという結論的説明は私の持論と一致ですが、この人は明治以降の国策で植えつけられたメッキのように理解しているようで、この点は私見(古来から連綿と続く超長期的民族意識論・・素人論・・いわば願望であって科学的根拠を持つものではありませんが・・)とまるで違います。
次第に私のよう疑問を持つ人が増えてきたらしく、メデイア界も放置できなくなったのでしょうか?
いろんな意見が出てきました。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

「コロナ成功国のジャパンで、なぜ安倍政権は支持率急落?」海外政治学者が注目する“日本のナゾ”/ar-BB14DSQE
近藤 奈香 2020/05/27 11:00
「The Japan COVID conundrum(日本における新型コロナの謎)」と題して、海外の政治学者が投稿した連続ツイートが話題になっている。投稿者はトロント大学のフィリップ・リプシー准教授。計13回にわたるツイートの中で、彼が指摘したのは「日本の新型コロナ対応の成功」と、それと相反するような「安倍政権の支持率下落」という、日本社会に見られる“ねじれ現象”である。
〈日本における新型コロナの謎:日本の新型コロナウイルスへの対応は批判にさらされ、安倍首相の支持率にも打撃を与えているが、日本の感染状況はむしろとても良く見える。/直近で行われた国際アンケートによると、新型コロナに対する自国の政治対応を評価する、と答えた日本人はたったの5%と23か国中最低であり、米国で「評価する」と答えた32%を遥かに下回る〉
諸外国と比べてみると、日本は「新型コロナによる犠牲者が少ない(=対応に成功している)」にもかかわらず、「政権の支持率が下落している」という、極めて珍しい国なのだという。世界を襲う“コロナ危機”の中、なぜ日本だけがそうした特殊な状況にあるのか。

結果的に政権側の演出が下手という結論のよう(イメージ)ですが、コロナ騒動が起きるとメデイア界総出で政府施策に対する粗探しに励んで国民に対して政権が右往左往しているイメージづくりに邁進してきた「目くらまし」成果が出ているからではないかと思います。
他国より対応成績が良くても・何をしたって、コロナ禍によって国民の大方が収入減になった現実は変わらない・・やり場のない不満を誰かに向けるしかない時に政権をスケープゴートに仕向けるメデイアの戦略が成功したのではないでしょうか?
他国では政権維持のためには国家民族を危機に陥れても良い・・国外に敵をつくることで活路を見出そうとする時に安倍政権はそれをしないで愚直に経済の底割れを防ぎ国民福利に励んでいることが原因で国民支持を失うとすれば、真面目に政治をするより保身一筋の政治家が増えます。
良き政治家育つかどうかは、メデイアの扇動に煽られ易い民度かどうかのバロメーターというべきでしょうか?
森かけ問題騒動時の世論調査報道と直後の選挙結果が大幅に違ったように、メデイアが一定方向づけ報道した上での世論調査はほんのちょっと時間をおけば禿げるメッキのようなものなのでしょうか?

新型コロナの実害比較(新興国の3重苦)

バングラやインド、ネパール等の南アジア諸国は、中東や西欧への出稼ぎが多く、出稼ぎによる本国送金が、貧困国経済を支えてきた側面があります。
出稼ぎ者による送金がなくなり母国の家族生活が苦しくなっていたところに夫や子供が失業して帰って来るとダブルで生活苦になります。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14464839.html

(コロナ危機と世界)途上国の危機:下 職失う出稼ぎ、母国に逆流 米の移民、雇用の調整弁 2020年5月4日 5時00分
新型コロナウイルスの大流行は、世界各地の移民や出稼ぎの労働者を直撃した。収入減や解雇が相次ぎ、母国へ帰る「逆流」も始まった。仕送りに頼ってきた途上国の家族は貧困の縁に立たされている。

上記は中南米諸国でコロナ禍急拡大があっても(ブラジルもメキシコもペルーも)思うように外出規制できない背景を踏まえたものでしょうが、アジアも同じです。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00118/042200013/

新型コロナで窮地の出稼ぎ労働者 東南アジアに「依存リスク」
2020年4月23日

https://blog.goo.ne.jp/otatomoyuki/e/cf6fe31b83f613beddabd7616de7ef77

【コラム】新型コロナウィルスまとめ:バングラデシュ(2020年5月16日現在)
バングラデシュでは3月7日に初めて新型コロナウイルスの感染者3名が確認されました。その後、4月14日に感染者数は1,000名、5月4日には10,000名、そして5月15日には20,000名を超えました。一方、新型コロナウイルスによる死亡者も、3月18日に最初の死亡者が確認されてから、4月20日に100名を超え、5月8日には200名に達しました。感染者数と死亡者数は加速度的に増加しています。
バングラデシュ政府は3月26日から政府機関や学校を閉鎖した他、公共交通機関も停止し、実質的な「全国封鎖」を実施しています。
一方、生活苦に陥った縫製工場労働者のデモ抗議が散見されるなど、経済的な影響の大きさも見られます。この為、バングラデシュ政府は5月10日から経済活動の限定的な再開を許可しました。
・・・現在、海外在住のバングラデシュ人の内、およそ400名が新型コロナウイルスで死亡したことが明らかになっています。

インド、バングラや周辺諸国等では海外出稼ぎ者による本国送金が外貨収入の大きな部分を占めているのですが、欧米シンガポールや中東諸国等への出稼ぎ者が現地の外出禁止政策で失業し、住む家もなく食料にも困るようになり、何百万という出稼ぎ者が本国帰還を望んでいる状態が報道されています。
国際便が停止しているのでチャーター機を求めているが、その手配がつかない(母国のチャーター機を飛ばす資金力次第でしょう)上に、失業者激増中の母国に無職者および感染者を抱え込むリスクがあるので貧困国は二重苦〜3重苦で行き詰まっているという報道になってきました。
コロナ感染拡大が始まったばかりでも、すぐに営業再開させないと経済が持たなくなってきた・・背に腹は代えられないという状況らしいです。
米も国内格差により外出禁止が続くと、米国内の弱い部分・・非正規雇用中心の貧困層=蓄積がないのにすぐ失業する階層が食えなくなり始めたので、なりふり構わない再開を急ぐ原因になっている点は貧困国同様です。
要は米国は国内に貧困階層(国?)を抱えている2分された社会になっている弱点が浮き彫りになってきました。
国内に格差を抱え込んでいる米国は全体として感染拡大中であるにも関わらず、経済活動再開せざるを得なくなったのと遅れて急拡大が始まったばかりの貧困国が経済活動再開するしかなくなったのと原因動機は同じです。
米国の失業率・就労者減は以下の通りです。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/05/fbe9b9327fefa377.html

4月の米失業率は14.7%と戦後最高を記録、雇用者数は前月から2,050万人減
米国労働省が5月8日に発表した2020年4月の失業率は14.7%(添付資料の図、表1参照)と、市場予想(16.0%)を下回ったものの、大幅な悪化となった。就業者数が前月から2,236万9,000人減少した一方で、失業者数が1,593万8,000人増加した結果、失業率は前月(4.4%:2020年4月6日記事参照)より10.3ポイント上昇した。1982年12月に記録した10.8%を上回り、統計開始(1948年)以来の最高水準となった。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/04/f25e797027a01d5f.html

米ロサンゼルス都市圏の失業率、5月には31.7%へ上昇の見込み
ロサンゼルス郡経済開発公社(LAEDC)は4月21日、「南カリフォルニアにおける新型コロナウイルスによる雇用への影響(EMPLOYMENT IMPACT OF COVID-19:SOUTHERN CALIFORNIA)」と題したレポートを発表した。
レポートによると、南カリフォルニア(注1)の雇用者数は、2020年5月に前年同月比27.4%減の746万人に落ち込み、282万人の雇用が失われると予測されている。その結果5月の失業率は31.4%に悪化し、中でも、ロサンゼルス郡とオレンジ郡からなるロサンゼルス都市圏(注2)の失業率は31.7%と南カリフォルニアの平均を上回る高水準が予測されている。
これではしゃにむに事業再開したくなるわけです。

ドイツも26日日経新聞夕刊ではルフトハンザ航空に対する1兆円の政府資金注入の報道がありましたが、コロナ対応優秀国であり経済力突出のドイツを含めどこの国も長引く外出禁止によって経済失速→資金的に限界になって再開を急ぐようになってきましたが、コロナ対処法が見つかった訳ではありません。
格差とは何か?ですが、お金があれば大方の応用が効きますので基本は何ヶ月収入が途絶えてもやりくりがつくか?ですが、都市型生活の弱点というか、食品トイレットペーパーその他必需品の備蓄の多いあるいは応用力のある家庭(マスクが必要となれば妻が毎朝洋服に合わせて作ってくれる)と、単身者等「その日暮らし」的生活者との違いでお金があってもちょっとした品不足情報で直ぐに振り回されて走り回る必要性が違ってきます。
「備えあれば憂いなし」というように大手企業も内部留保の厚い企業と儲けを気前よく分配し(最悪は自社株買い?)次々と投資してきた企業は、変化に弱い点は貧困層と同じです。
世界的に見て災害の多い日本企業は、エコノミストに批判されても内部留保の厚さが際立っていましたが、(個人事業主でもある弁護士業の視点で一定内部留保は必要という視点で、私はエコノミストの批判論を批判してきました)航空産業その他の手元資金の厚さでは国際的に抜きん出ていることがコロナ禍の始まった時点で、国際比較されていました。

新型コロナの実害比較(序盤採点6・ゴードン意見1)

https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/

ソフトな緊急事態宣言を聞き入れた日本人の不思議/アンドルー・ゴードン 2020/05/16 08:00
(アンドルー・ゴードン:歴史学者、ハーバード大学歴史学部教授)
この報告書ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の発生とその対応策について以下3つの視点から考察する。
(1)リーダーシップの問題(リーダーシップはCOVID-19への対応策を形作り、その効果にも影響する)
(2)(社会、政治、経済の) 構造的な要因
(3)文化的・歴史的な要因
アクセスできるデータが国によってどれほど異っていたとしても、米国・イギリス・イタリア・スペイン・フランスなどの感染状況は、日本・韓国・台湾そして中国などの状況と比べてより深刻と見て間違いないだろう。
現時点で、米国や主な欧州諸国のCOVID-19による死者数は人口100万人あたり200名~500名に達している。欧州の主要国の中で唯一低い死亡者数を維持しているのはドイツだ(100万人あたりの死者数は約80名)。アジア諸国(日本・韓国・中国・マレーシアなど)の死者数は100万人あたり3名~5名である。じつに2桁、100倍の開きがある。この違いをどのように説明できるだろう。

このような基本理解(細かい数字は国によって違いがあるので人口比死亡率や超過死亡数で大まかに見るべきという基本姿勢・ただし日本の場合まだ超過死亡統計が出ていません)も従来書いてきた私見同様です。
引用を続けます。

ある者は生理学的な要因にその答えを求める。たとえば、欧米で蔓延しているCOVID-19はアジアのものと「型が違う」という説だ。またある者は結核の予防接種(BCGワクチン)が影響している可能性を指摘する。私自身はこれらの仮説の評価を行うことはできない。なので以降の分析ではこのような可能性は捨象して話を進める。

上記意見も私見同様で、今のところ科学的意見は、どれも根拠薄弱で不明なので(個人の思いつき感想は自由ですが)専門家の間で確定説が出るまでは正式な議論対象にすべきでないという点も同じです。

(1)リーダーシップの問題
・・・仮に「最悪のリーダーシップ」を競う五輪競技があったなら、米国、イギリス、イタリアがそれぞれ金、銀、銅メダルを獲得するだろう。日本や他のアジア諸国は(中国を除き)競技の参加資格さえ得られないはずだ。
・・・対照的に日本政府は、首相をはじめ、主要な閣僚、与党、野党、そして都道府県知事と、それぞれ比較的早い時点からCOVID-19の危険性を認識していた。たしかに一斉休校の要請は唐突だったのかもしれない。
しかし、その決断も、またその数日前から行われていた大規模な集会に対する自粛要請も、重要かつ賢明な判断だったといえる。
初期の段階で検査をクラスターに集中させたことも理解できる。
政府は専門家からの意見に注意を払った。このことは一般の国民に対し一貫して明確なメッセージを伝える効果を持ったと考えられる。これは他のアジア諸国やアンゲラ・メルケル首相の率いるドイツにも共通していた点だと思われる。

上記は新型コロナの特質が十分解明されていない段階では、無責任な決断をするのではなく、台風の気象情報のごとく、時事刻々の正確な情報(少しづつコロナの特質が明らかになる専門家の意見)を国民に知らせる努力こそが最重要だったという23日に書いていた私の意見と同様です。

(2)構造的要因
・・・・「公衆衛生」についていえば、特に米国は日本・台湾・韓国などのアジア諸地域と比べて劣っているのだ。これは「公衆衛生」の概念が19世紀後半に西洋(主にドイツなど)からアジアに伝えられたという経緯を思うと、皮肉なことである。
・・米国では数十年間にわたり慢性的に、公衆衛生分野への支出が不足している。これは一部の幸運な人々に向けた高度専門医療に資金が集まっていることとは対照的だ。
医療費が高額になる恐れがあったために、米国ではすでに感染が拡大していた2月になっても多くの人々が治療を躊躇したと見られている。
・・・「雇用の不安定さ」が人々の行動に影響したという仮説も成り立つ。
雇用が不安定な人々の間では、多少体調が悪くとも、家の中に留まるより仕事に出かけようという誘因があったと考えられる。社会的・経済的な格差の広がりは今回のウイルスの拡大にも関係しているようだ。実際に米国の都市部でも、特に貧困が深刻な地域でCOVID-19が猛威を振るっている。

この意見は世界の現状にあっています。
南アジア、アフリカでは欧米や日本等に遅れて感染が始まったので今後ピークがくる様相ですが、コロナの拡大期にも関わらず貧困層はその日暮らしで蓄積がないので働きに出ないと食うにも困るので、外出禁止施策を続けきれない弱点が表面化しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200504/k10012417421000.html

インド 外出制限を段階的緩和 一部店舗で営業再開 新型コロナ2020年5月4日 17時58分
・・・・インドではここ数日、1日の新たな感染者が2000人を超えるなど、感染の拡大が抑えられていない状況ですが、外出制限によって大量の失業者が出ていることから経済活動の再開を余儀なくされた形で、今後、感染がさらに広がらないか懸念も出ています。

新型コロナによる諸外国の実害比較(序盤採点5)

結果から見ると、100人を超える東京都のデータミスがあったことがわかるなどを見れば拙速に解除しないで千葉県人としては徐々に外出再開に向けて心の準備をしていく時間としての移行期間が必要であったように見えます。
要は気象情報のような(感染公表と称しながら実は感染後3日、5日〜10日〜2週間経過(検査にたどり着くのが発症後・すなわち検査申し込んでから1週間と報道されている状況)など多様な経緯の入り混じった検査結果の陽性公表でしかない)客観指標の速報性に欠ける点が揣摩憶測・流言飛語を呼ぶのと同根で今回の危機管理の反省点でしょう。
今朝の日経新聞でも超過死亡データの集計公表が日本では2ヶ月半後になっているなどが記事になっていますが、ニューヨークで3月に開発したリアルタイムに近い死亡数統計と大きな違いがあるようです。
客観情報がしっかりしない関係で5月21日の中間見直しについても、千葉県人としては東京と一緒でないと千葉だけ解除では東京からパチンコ客などが千葉になだれ込むのは困るという傾向が強く、1都3県同時解除を望むというのが事前の知事会の意向でした。
今朝のニュースでは昨日東京で再び2桁(昨日午後8時現在14名だったか?)の感染数判明と出ていますが、昨日書いた通り昨日8時の感染ではなく、いつ感染した人の陽性結果かの内容不明の新規「感染」発表ですから、昨日・直近動向とはいえません。
以上の通り、延長になった1都3県の当事者では不確定情報を前提にした不安感を背景に5月6日の延長決定を不満に思うどころではないのが現状で、池田氏は何を根拠に緊急事態宣言と延長を「全く間違い」断定しているのか不明です。
結局大手メデイアの期待する意見を突如結論として言わされたのか?のような印象を受ける断定的表現には驚きます。
こういうことをイキナリ断定的に言ってくれるので、大手メデイアにとって使い勝手の良い評論家なのでしょうか?理解不能な現象が起きるとつい「ああでもない、こうでもない」というような憶測が始まりますが、それも行きすぎると流言蜚語の類となります。
コロナ禍が蔓延するにつれて納豆菌が良いとか、BCGがどうのという科学的装いの憶測を検証されていない段階で大手メデイアが評論家の意見を借りて広げるのはトランプ氏が「武漢の研究所があ!」というのと根が同じです。
この意味のことを20年4月28日に書き始め、翌29日から「コロナ禍と流言飛語」のテーマで連載しました。
第1波の武漢の原始的ウイルス第1波には休校措置等で見事対応し、その結果国民の気持ちが緩んだところに欧州で変異した強力なG型が上陸して米国型第二波の感染が始まったので4月初めにはより危機感をにじませた緊急事態宣言(警戒警報程度?)で国民が警戒し直したので乗り切ったという流れで見るのが素直でしょう。
強制外出禁止が世界の基本的政策の中で日本だけが「自粛お願い」という半端なことをしているのをみて、世界中が日本政府の施策が甘すぎると見ていたので、第二波の襲来で日本もついにニューヨーク並みの大規模感染になる筈という大方の読みだったようです。
この予想が狂ってまたも見事に抑えた日本は何をしたのか?というのが諸外国の関心でしょうし、日本メデイアも国民の無言の批判に対して言い訳する必要に迫られたらしく諸外国の意見や国内評論家意見を紹介するようになってきました。
結果として大手メデイアの自己弁解になるように安倍政権批判の結論で終わる仕組みの意見紹介が基本です。
・・今朝の日経新聞朝刊3pの超過死亡に関する記事は結論を書いていないものの日本は統計公表が遅くてまだ超過死亡数が分かっていないから日本が「奇妙な?成功」しているかどうかすら不明と読者が印象を抱く方向へ誘導するイメージです。
政府が何をしたかではなく、何も命令しなかった・国民の能力を信頼し安倍総理が必死にご協力「お願いした」ことが良かったというのが、しろうとの私の意見です。
野党や大手メデイアは本質が権力志向(リベラルと称していますが元々の系譜は足場を中ソに置く革新運動家が、ソ連崩壊後離合集散を繰り返すうちにリベラルと称するようになったイメージです)なので、何も命令できない安倍総理の無能・指導力不足をあざ笑っていましたが、心のこもったお願いこそ、総理のやった大一番でした。
これまで、January 9, 2018, に終戦の詔勅と翌年新年の人間宣言等を引用紹介し、今回では5月3日に安倍総理の国民に御協力を切に求める記者会見の一部を引用しました。
日本では、本当の危機に際しては命令するよりお願いの方がよりよく効果を発揮する社会です。
何が何でも安倍政権だけは許せないという変な立ち位置を決めているように見える野党と大手メデイア界は、コロナ禍という国難到来を一大チャンスと見たらしく、武漢からの邦人救出が遅いと非難していたものの蓋を開けると世界で日本の救援機が一番乗りでしたし、豪華客船の感染者の取り扱いも非難一色でしたが、結果的に日本の方式が合理的でした。
その後コロナの水際防止作戦に無理がきて、国内感染が始まると強制力のない休校要請でさえ周囲の反対を押し切った独断を批判する一方で、他方で強力な指導力が見えないと批判していました。
日本には日本民度に応じた国民協力を求めるやり方があるのですが、メデイア界は欧米の模倣をしないことを見て鬼の首でも取ったかのように、日本のやり方は間違っているという批判に結びつけたいような報道ぶりでした。
死亡者数の結果は欧米より数段どころか10倍も良かったので、格好がつかなくなってそれは(政治の成果ではなく)集団免疫があった偶然によるというこじつけ言い訳を始めたように見えます。
3月17日や5月12日などに日本民族特有のボトムアップ社会・・強制より納得政治の効用を書きましたが、罰則で強制しなくとも民族一致の行動ができる民族性・文化的歴史的要因こそが重視されるべきです。
現在科学ではコロナの客観的事実が解明されていない以上は、(5月10日頃以来まだ何も科学的にわかっていない・わかったのは距離が役に立つ程度という意見を縷々書いてきました)科学的であるかのような(根拠のない)決めつけ意見を問題にしないで、文化的側面を重視すべきという私の意見とほぼ同じ意見が出てきました。
歴史学者だから思考方法で気が合うのかな?気に入ったので長文ですが、明日のコラムで大方引用して行きます。

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