特定秘密保護法9(実定法の比較2)

日本の緊急事態以外・・平時にアメリカの戦争に巻き込まれるリスクと大騒ぎしていますが、昨日書いたように日中や日露間が平和なときにアメリカが単独で中ロと戦争するリスクは常識的に想定できません。
今や核大国同士の直接対決は不可能な時代であることは常識です。
だ下こそ日本有事のときに、本当にアメリカが助けてくれるの?と言う疑念があるのです。
今では、せいぜい北朝鮮や中国のアメリカ向けミサイル発射の情報を逸早く通報(ミサイル防衛網に参加)したり、ちょっとした給油や緊急事態の周辺的応援・・全て米軍が自前でやるよりは安く上がるという程度・・日本の協力があった方が良いという程度のことに過ぎません。
(実際に中国がアメリカ本土に向けて本気で大陸間弾道弾を撃ち込むことなど想定外ですが、遊び心でアメリカが想定訓練しておきたいと言うならば、参加して恩を売り,日本も相応の技術修得しておけば良いでしょう)
日本がこの程度のことすら協力を拒否するならば、アメリカは今でも危惧されている日本防衛に協力出来ないし、最新兵器供与も出来ないとならざるを得ません。
相互負担をいやがっていると日本の戦争(中国の尖閣諸島への侵攻)にアメリカも巻き込まれるのが嫌だと正面から言う根拠になってしまうので、そもそも日米同盟が成り立ちません。
相互負担と言っても日本の周辺限定ですから、日本はクリミアまで行って応援する必要・・巻き込まれることがないのに対して、アメリカは本国から遠い日本近海の事態に巻き込まれるだけであって,その意味ではなお片務的です。
外交とは相互譲り合いであると書いてきましたが,相互負担をしてはいけないと言う論理を前提にすると世界中の諸国とどんな条約も締結できず、ひいては国際的孤立をすべきだという論理になり兼ねません。
日本が世界のどことも軍事同盟を結ぶべきではない・・孤立すべきという主張は、中韓にとっては重要目標でしょうが、日本の国益を考える限り等全戸のが逆を目標にすべきことになります。
日本が世界での孤立を結果する相互負担条約拒否論を、日本人が何のために主張しているのか疑問です。
何回も書いていますが、政治主張にはこれによって利益を受ける集団と損する集団が必ずいますから、集団自衛権行使または相互負担約束に反対するとどの集団が得するかを見極める必要があります。
日本だけ特別に見る・・何でも反対して世界での孤立を期待する中韓式議論でやりたいならば、特定秘密保護法反対論でも他所の国の法令は参考にすること自体あり得ないことになります。
日本だけ特別扱いする中韓独自の議論方式によらずに、世界の常識・世界の軍事同盟がどうなっているかの比較に従って、相互負担条約が原則なのか例外なのかについて議論するのが合理的な議論のあり方です。
特定秘密保護法の議論を見ると、諸外国でどう言う規定の仕方をしてどのように運用していてどう言う問題が起きているのかなどの具体的議論がまるで見えません。
関弁連(関東弁護士連合会)の反対声明を見ると、専門家集団らしく2013年6月に世界70カ国以上の専門家が発表したと言う「ツワネ原則」というものを引用して批判しています。
世界中に現実に施行されている法律が大量にあるのに、これら実例を全く紹介しないで学者の理想論の発表だけをよりどころにした批判論は、地に着いた堅実なものとは言えません。
(モノゴトは白か黒かという二者択一ではなく、現実的利害調整能力が必須であることを足利政権の例を引いて書いてきましたが、こうした利害調整・利益考量の意見こそ実際政治には重要です。)
現実政治・・具体的法案に賛否を示す以上は、先ず世界中に現実に存在する実定法との比較から議論を出発するのが国民に分り易く公平です。
マスコミは反対表明し恐怖政治になると大々的に報道する以上は、その前提として米英独仏等で実際に運用されて来た法文と、我が国の法案との違い程度・・比較対照表程度は報道するべきでしょう。

特定秘密保護法8(世界各国実定法の比較1)

9日に紹介した特定秘密保護法の条文によれば、一般的な政治議論に必要な分野を網羅して特定秘密にするものではありませんが、何を特定秘密にするかの線引きが難しい感じです。
周辺技術資料まで、何でも特定秘密にするとなると健全な議論が出来なくなり民間技術の発展も阻害されます。
この辺は既に日本以外の先進国殆ど全部の国で、(核兵器や大陸間弾道弾などの情報が世界に拡散していませんから)この種の法令が整備されているし運用されている筈ですので、これを参考に決めて行くべきでしょう。
アメリカがスパイ防止法(正式な法律名を知りませんがこの種の法律があることは間違いないでしょうから)運用の結果、先端技術開発が進まないとか航空機技術の開発が遅れているとか暗黒社会になっているという話を聞きません。
文化人はいつも欧米では◯◯と知識をひけらかしながらの議論が好きですが、今回に限って諸外国の実例を紹介して議論しないのが不思議です。
スパイ防止関連法律がないのは世界でも日本だけなので世界のスパイ天国と言われてますが、独裁国家は別として世界中の民主主義国の実例こそ紹介してどのような決め方をしているか、その弊害などきめ細かな議論すべきではないでしょうか?
スパイ防止法のあるアメリカやイギリス、フランス等は文化国家でも民主国家ではなく、ロシアや中国の方が進んでいると言うならば、ロシアや中国のスパイ防止法でも何でも参考にして議論した方が良いと思います。
日本だけが同じような法律を作ったら、暗黒社会になると言う論建てを理解できる国民の方が少ないでしょう。
中韓の主張方式によれば、日本だけが英霊を参拝すると軍国主義の復活と言い、相互防衛協力・集団自衛権行使も軍国主義の復活と言いますが、他所の国同士では世界中で当たり前の条約です。
そもそも軍事同盟というのは相互に助け合うものですから、アメリカに一方的に助けてもらう日米安保条約が世界の例外だったに過ぎません。
どんな条約も(FTAに限らず子供の連れ去りに関するハーグ条約でも犯罪人引き渡し条約も全ての分野で)相互負担を前提に成り立っています。
タマタマ戦後日本に再軍備をさせないという(永久的に日本の実質的独立を認めないという悪意に満ちた)アメリカの基本政策によって,これとの整合性を保つために片面的な日米安保条約が締結されたに過ぎず、この意味では一種の無償援助協定的性格のある特殊なものに過ぎません。
アメリカの国力低下に伴って片務的・恩恵義務を果たせなくなって来て、その分を日本に肩代わりさせる・・再軍備を認めるしかないとなってきた以上・・日本もこれを利用して対中国のために防衛力強化を図る以上は,相応の負担が必要になるのは当然です。
日本防衛の補完を求めるだけではなく、補完勢力として応援参加してくれている共同作戦中のアメリカ軍が危機に陥れば直ぐ近くにいる日本軍が横から応援するのは当然あり得ることですし,古来から共同戦線の合戦では普通にあることです。
A隊が正面の敵に押され気味のときに、友軍のB隊が横合いから突きを入れて救援するような戦術は昔から行なわれてきました。
軍事同盟と言っても自分が戦っているだけしか義務がない・・友軍が危機に陥ったときに知らんぷりというのでは共同戦線は成り立ちません。
日本独自の戦争(中韓からの攻撃しか予想できませんが・・)に対する協力作戦参加中のアメリカ軍に応援してもらっている以上,応援に来た米軍が攻撃されたら応援をすべきは当然です。
日本に対する中国の侵攻の場合にアメリカの協力が必須ですし、これの期待があるから中国の暴発を抑止出来ている意味でも、日本の平和保障に必須であるから日米安保があるのです。
アメリカの戦争に巻き込まれると主張する人がいますが、まるで時代遅れの意見です。
中国の沖縄侵略等があってもアメリカが本当に参戦してくれるか・・イザとなればアメリカが中国と本気で戦争する気がないのじゃないかと誰もが心配しているのが現在の最大の問題です。
この逆に日中が仲良しなのに、アメリカが進んで中国と戦争を始めて日本が巻き込まれる事態(・・相互に核保有国であるから直接の大戦争)は殆ど想定できません。
現在緊迫しているウクライナ問題でもロシアのガスに頼っている欧州が及び腰になっているので、アメリカ思い切った制裁が出来ないように、周辺諸国が平和に過ごしている場合、周辺国の反対を押しきってアメリカが戦争を押しつけることが出来ないのが普通です。
集団自衛権・大規模軍事同盟の方が、参加国の無言の意見が大国による無茶な戦争を抑止する効果があります。

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