ロシアは安保理での拒否権を盾にして(それがあることが自慢の種でしょうか?)アンチョコな拒否権行使で交渉時間を自らつぶしてしまい、その先どうなるかを読めなかったのでしょうか?
米英仏連合軍も明確な化学兵器使用の直接証拠「物」を入手できていない(シリア政府軍制圧地内なので)点に弱点があるようですが、数々の現地映像や報告の間接証拠がある以上は、調査拒否する以上は仕方ないと言う論理でしょう。
これが国際世論です。
数日前の日経朝刊によれば、米英仏のシリア空爆を侵略戦争だというロシア提出非難決議案が、15理事国中、賛成はロシア、中国、ボリビアの3カ国だけだったと報じられています。
国際世論の理解を得られていない・日本の旧社会党のように恥をかくのを知らずに?ただ否決されるのを承知でアリバイ作りのために?問責決議案を出す・・ただやっているだけの政治同様で・いわば外交能力がない国です。
日本メデイアは日経新聞も昨日か1昨日の記事では朝日新聞同様にロシアや中国への親近感が強いからか?化学兵器仕様による悲惨さ・人道問題を一切論じないで米英の他国主権侵害の「正当化」について論証されていない点を大きな見出しで取り扱っています。
この見出しを見ると、そもそも米英仏の空爆は不当行為をしている前提で正当化の主張責任があるかのような書き方です。
強盗や殺傷現場を見たら他人の家でも飛び込んでいってこれを抑止するのは正当な行為として、刑法では違法性阻却事由になっていますが、国際法では整備されていないから、正当化の主張立証責任が米英仏側にあるという形式論によっているのでしょう。
国際法上正当防衛等の法整備がないだけであって、前提になる化学兵器使用によって、一般市民が泡を吹いて倒れている状態を不問にしたこういう形式論がメデイアで主流になっているのには驚きます。
本質的に必要な議論は形式論ではなく本当に化学兵器による殺傷が行われていたか否かでしょう。
こういうメデイアは日本政府批判のためには、森かけや財務次官のパワハラにしろ、疑惑だけ大騒ぎし疑惑がない証明をしろと騒いでいますし・・日頃から人権人権と騒いでいるのですから、片手落ちというか御都合主義です。
刑法
(正当防衛)
第三六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第三七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
トランプ氏もプーチン以上に内政で追い詰められている・中間選挙の展望がひらけない・・目くらまし的不純動機が指摘されるようですし、英(EU離脱交渉のもたつきによる求心力低下)仏(新大統領としてのEUヘゲモニーの見せ場)もそれぞれ内政上の思惑一致らしいですが、ここでは政治背景の分析が目的ではなく、「ロシアは伝統的に軍事力をひけらかすことしか能がない」という点を書いています。
幕末にロシア軍艦が、対馬に実力上陸して英国の勧告があるまで退去しなかった事件をSep 20, 2017前後「ロシアの脅威」シリーズで紹介したこととがありますが、ロシアは伝統的に交渉よりは実力行使が先立つ国です。
ヤクザは警察が来るまで威張れるように、威嚇力をひけらかす事しか存在感を示せない国では、自分より強い国が出て来たら黙ってスゴスゴ?しかありません。
ロシアが得意分野への投資→国力不相当に軍事力強化に精出す・・その分民生部門への投資が減る→社会発展がさらに遅れる悪循環→国民不満の高まり→ガス抜き→対外プレゼンスを高めるための武力威嚇を繰り返す危険性が高まります。
2014年のクリミヤ併合やウクライナ侵攻は、色々な理由をつければつけられますが、大局から見れば、中国による資源爆買い縮小による資源価格下落による国内経済困窮の限界(資源価格高騰時の蓄えがあるので)下落による資金枯渇までに数年かかります)が近づいたので、なりふり構わず対外冒険主義に出たと見るのが妥当でしょう。
東洋経済からの記事です。
https://toyokeizai.net/articles/-/180689
ロシアの経済危機はかなり深刻なはずだ
プーチン大統領によって隠されているが・・・
ハーバード大学教授2017年07月27日
原油価格はピーク時から急落
・・・・ロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が、司法などの制度が脆弱なままでは、資源輸出依存のロシア経済が変わる望みはないと主張していた。
あまりに多くの決定が1人の人間によって行われていたからだ。同じ会議で私は、大規模な改革が行われないかぎり、エネルギー価格の急落は深刻な問題を引き起こすことになると力説した。
かくして、原油価格は暴落した。現在の市況(7月上旬時点で50ドル以下)ですら、2011〜2012年ピークの半分に届かない。
輸出の大半を石油と天然ガスに頼っている国にとっては大打撃だ。
ロシアが財政危機を免れていること自体、驚くべきことである。これには、ロシア連邦中央銀行が果たしている役割が大きい。だが、そのしわ寄せの大部分は消費者に降りかかっている。
通貨ルーブルの価値は米ドルに対して5割も減少。実質賃金と消費はともに急落した。以前は1000ルーブルを持ってスーパーに行けば2袋分の買い物ができたが、今や1袋分だと、あるロシア人が言っていた。
プーチンの失策を隠す国営メディア
ロシア規模の不況が民主主義の西側諸国で起きたとすれば、政治的に乗り切るのは極めて困難だったろう。だが、プーチン氏の権力は、まるで揺らいでいない。
国営メディアは失政を覆い隠すために、西側からの経済制裁を非難したり、クリミア併合やシリアへの軍事介入への支持をあおっている。
たいていのロシア人は、学校教育や国営メディアによって、西側諸国のほうがひどい状況にあると信じ込まされている。残念ながら、そのような情報操作は改革への処方箋とはなりえない。
改革の処方箋にならないとしても北朝鮮同様に閉鎖強権支配社会では、経済失策による飢え死にが、仮に何千万と出ても(スターリンによる穀物の飢餓輸出や毛沢東の大躍進政策の失敗でそれぞれ何千万単位の餓死者が出ていますが)政権危機にならない・・ことが歴史の鉄則です。
相手を弱体化するには、経済制裁ではなく豊かな生活をさせて(国民に豊かな生活の味を占めさせて抵抗力を削ぐ方が現実的です。
三国志演義で有名な曹操が劉備を籠絡するために贅沢させる・・「髀肉の嘆」あるいは孫権が劉備を招いて贅沢させる政策です。
一般的に豊かな地域の兵の方が貧しい地域の兵より弱いのが原則です。