原発のコスト2(輸出リスク)

陸上の汚染マップは、火山学者である群馬大学の早川由起夫氏が個人的に作成したものが現在出回っていますが、政府は大勢の学者を抱え込みお金を使っていながら陸上についてさえもこれを造る気配がありませんし、ましてや、海上のマップ作成には(これは自民党代議士が要求していました・・)まるで乗り気がない様子です。
(国会では社民党代議士が政府が何故こうしたものを造らないのか・あるいは発表しないのか追及していましたが・・・)
スピーデイ言う何百億円か忘れましたが、巨額を掛けて用意して来た空中拡散に関する動画も「不都合な真実」らしく、一回だけ発表してその後は一向に公開する気配がありません。
いずれにせよ長期的影響となれば、放出された放射性物質の総量に関心が行きますが、これが正確に公開されていない様子です。
広島の原爆で爆発したのはウラン235を濃縮したもの1kgだったらしく、現在の原子炉内には1基あたり124、4トンの燃料が挿入されていて、その内ウラン235の容量としては2319、2kgとのことです。
(「とのことです」という意味は、誰かがネットで書いているものの引用すべき客観的データが私には入手出来ていないという意味です)
一基当たり広島原爆で爆発した2319倍のウランがはいっていたということですから、6号機まであればその6倍の量です。
また、http://d.hatena.ne.jp/elm200/20110327/1301206704によれば、発電量から逆算計算して福島原発全体では年間約160トンのウラン235を使い使用済み燃料棒の保管量は約2年分の320トンと推定しています。
これも物理の専門家ではないと断っての計算ですが、この危急存亡のときに多くの物理・原子力関係者またはその卵・セミプロが沈黙していて正確な数値を国民に伝える努力をしないのは遺憾です。
政府と言うか(管総理は政府ではないのかな?)伝統的勢力におもねって何も言えない学者ばかりでは、国の将来が心配です。
この膨大な燃料棒のうちどれだけが溶融してしまったのか、何グラム溶けたらどう言う放射性物質が出るのかなどの解説がまるで報道されません。
今は誰でもブログ等で簡単に発表出来る筈ですが、そう言うセミプロもいないようです。
膨大な関係者がすべて口をつぐんでいること自体、(伝統的勢力のご機嫌を損なう本当の意見を言えない空気があるのでしょう。)政府発表には嘘が多いのではないかと思うのが普通です。
これが風評被害の大本です。
上記の福島原発内にあったウラン235の内、今までどの程度の放出があったかの正確な報道がないので根拠不明ですが、5月末頃の誰かの意見では、放出された放射性物質量は、広島原爆の40倍だったとされています。
今回の放射性物質の大量放出は3月12日頃の水素爆発によるものが中心で、その後は格納容器内の燃料の冷却が出来ないために、今でも続けて注入している冷却用の水の蒸発による空気中への放出(これが建家内に溜まったので水素爆発になったのですが、建家が爆発によって壊れているので今その後は野放図に出っぱなしです)と、格納容器の損傷部位からの汚染水の漏出・・何しろ膨大な注水を続けていますので、これが中心になっているものと想定されます。
(大気への放出を止めるために壊れた建家の外郭に大きな覆いをかぶせる工事をするとか報道されていましたが、完成したとも聞いていません・・・)
汚染水の循環が100%成功すれば、吸着させた高濃度汚染物質をまとめてどこかに貯蔵することになるので拡散は防げます。
まだ原子炉内の正確な温度を測るようになっていない印象ですが・・この辺は私にはまだ分りません・・冷温停止状態近くになったのかな?
ただし、冷温停止状態に至っていないとしても、既に3月12日の水素爆発から5ヶ月近くも経過しているので蒸発し難い温度近くまで冷却出来るようになって来ているでしょうから、現在の空中拡散は水素爆発直後ないし1〜2ヶ月経過頃より縮小している筈です。
7月19日の政府と東電の「ステップ1」終了の発表では、「半年以内に冷温停止状態を目指す」としていますので、冷温停止状態になるにはまだかなりの期間がかかることが明らかです。

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