日本のバブル処理と失われた20年の関係(アメリカによる日本叩き)

日本の不動産バブルは、これを退治しても直接被害は金融機関や不動産屋の倒産程度だけで済む、・・両業界の半分がつぶれてもこの業界の従事者数は多寡が知れていました。
結果的に住専や農協系金融や金融業者等の淘汰が進んだだけ・・製造業界も過剰投資の解消に時間がかかりましたが、これは不動産バブルに直接関係がない・アメリカ中心とする日本叩き・・超円高の攻撃によるものでした。
ずっと前から書いていますが、私はバブル前から事務所に来ていた銀行員(当時は外まわり営業の大手銀行員が事務所にしょっ中来る時代でした)に、すぐに(大口顧客は社債発行になって行くので)本来の顧客・優良借り手がなくなってすることがなくなるよ!と言っていました。
(日本は純債権国になって資本あまりの国だから融資を本来の目的とする銀行の使命が終わったと言うのが私の意見でした)
本来の仕事がないのだから業容を縮小または転換すべきなのに、生き残りをかけて無理な融資をしたことが、不動産バブルの誘因になったと書いてきました。
その後国債を買うしか能がないのでは、問題であることも書いてきましたが、日銀の国債購入開始でこの変な役割も終わりになりつつりあります
日本のバブル崩壊は・・住専消滅や農協系金融の縮小→金融界の大合併・・店舗減少などなど無駄な業界がスリムになって終わりました。
日本のバブルは不動産業界や不動産関連業界によるゴルフ場用地買収や宅地造成用地仕入れ等中心震源地でしたから、これに関係していた金融や不動産関連業界が淘汰縮小されても、大して失業者が増えず、国内製造業界にも悪影響を与えませんでした。
100億円の負債での倒産を例にすると、ゴルフ場用地買収していた不動産業者の場合、従業員が10人前後で足りて、しかも債権者は銀行等数社だけと言う場合があります。
これに対して工場系が同額の負債で倒産すると、職を失う従業員数は膨大な数に及び、関係下請け納入業者など膨大な関係者が連鎖的被害を被ります。
日本は長年生産力過剰に苦しんできましたが、これはバブル崩壊とはあまり関係がありません。
いわゆる失われた20年は、バブル崩壊による生産力過剰によるものではなく、アメリカによるジャパンパッシング・日本敵視政策により、経済孤立させられていた結果であり、絶えざる円高攻勢を受けて企業は海外展開加速するしかなかったた結果、国内生産力過剰になっていたものです・・。
(国内空洞化が長期間進めば日本の技術力が壊滅する期待があったでしょうが、努力しないで安易に海外展開しているとイザと言うときに国内に技術が残っていなかった筈ですが、この間トヨタを始め日本企業は頑張り抜きました)
現在の好景気は、円高収束=円安によることと国内技術を温存して来たことが原因であることは、誰も疑わない事実と言えるでしょう。
逆から言えば、際限ない円高が続く限り、海外展開が際限なく続く・・どこまで企業努力しても(1割の円高に対応して1割コストを削ると、また1割円が上がることの繰り返しでは、企業は溜まりません)その効果を無にする円高が来年も再来年も続く限り、国内生産力過剰が続く→年々規模縮小して行くしかない仕組みでした。
これを際限なく続けて日本人にやる気をなくさせて、駄目にしてしまおうと言うのがアメリカの政策だったと思われます。
この政策の協力者として経済解放したばかりの中国江沢民政権が乗っかり、韓国も乗っかって共同して日本叩きに精出して来たのがこの20年間でした。
ところが中国が分際を弁えずアメリカに正面からに挑戦し太平洋を二分しようとか海洋軍事進出を始めてアメリカの「鼎の軽重を問う」ようになったので、アメリカも怒り・・同時にアメリカがアラブ、ウクライナその他全世界的に政治力学上失策続きで、日本の協力が必要となったので、(安倍外交の成功もあり)日本敵視の政策方向が逆転しました。
昨日あたり中東の湾岸諸国6ヶ国を集めてのオバマ大統領との首脳会議は、2カ国しか首脳が出席しないでサウジなど大国は代理ばかりで、オバマは大恥をかかされています。
中小国首脳がオバマに会いたいと言っても滅多に会えないのが普通でしょうが、オバマが会いたいと言って招待したのに小国首脳が出席しないとは驚きではないでしょうか?
日経新聞報道ではバーレン国王は、英国招待の馬術競技観覧を優先したと言うのですから国際政治は、日本のように相手の顔を立てるような配慮はしません・・露骨なものです。

20年で失われたのは?2

我が国経済は、前回まで紹介したとおりバブル崩壊後じりじりと黒字を拡大し続けて平成2年の約6兆円あまりから平成19年には約24兆円あまりの黒字(円表示ですからドルの下落に関係ありません)にまで伸びていたのですから、中国がこれにすごい勢いで追いついて来ている・・ここ2〜3年前から年ごとのフロー収支では追い越されているとしても、何も困りません。
データ紹介ついでに外貨準備高の推移も見ておきましょう。
海外進出が盛ん(海外進出をするための資本が比例して出て行っている筈ですが)であるにもかかわらず、外貨準備高(個人で言えば預貯金のようなものですが・・・)もものすごい勢いで増えています。
2008年5月頃には1兆ドルを突破したようなニュースを見た記憶がありますが、リーマンショック後海外進出の加速で外貨準備が減ったのか、(資本収支・海外投資残高の推移を見れば分ります)財務省の平成23年1月11日発表の平成22年12月末現在で1兆0961億8500万ドルになっています。

以下はウイキペデイアからの転載です。

日本の外貨準備高の変遷(1996年10月〜2007年12月)出典ウィキペリア

日本の外貨準備高の変遷(1996年10月〜2007年12月)

個人の収入が50代から高収入で安定していて(自宅も取得してこのための蓄え目的の収入が不要になっているのに)逆に金融収益が増えているとすれば、まだ自宅もない若手の収入が5〜60代の人に追いついて来ていても、自分の収入が減らない限り他人の収入を気にしなくても良いのと同じです。
実際、国際経済で見れば円相場がリーマンショック以前に比べて約5割くらい(前回紹介したとおりドル換算値が125円と82円を比較すれば約5割アップです)上がっているのは、冷静な見方で(マスコミの誤った意見だけ紹介されていますが、これを除外して)言えば、日本経済は将来に向けて高い評価を受けていることを物語っています。
(将来下がる前提で円を買い進めることはないので、市場での円値上がりは取りも直さず日本の将来性を買う経済人の方が多い現実を表しています)
バブル期から見れば平成19年の経常収支が実に約4倍の黒字(ドル表示ではもっと倍率が上がります)になっていて、国力としては伸張中であることが明らかで、たそがれどころではありません。
若者が苦しいのは、この20年で職場が大幅に失われた・・経済構造の変化・・労働需要減+長寿化による労働人口の増加→失業の増大を避けるためのワークシェアートしての非正規雇用の拡大=正規就職の困難性によるのであって、国力低下によるものではありません。
国全体の儲けが減って来てみんが苦しいのならまさに大変な事態ですが、これまで繰り返し書いているように儲けが大きくなっていても現場労働や中間管理職が増えないどころか、技術革新によってむしろ減って行く社会構造になって来たので、従来型の汎用品製造・一般事務職向け職場が激減してしまい就職難に陥っていることが、若者に閉塞感が漂っている大きな原因です。
事務系でも中間職が激減しているのですから、ホワイトカラー・中間職の次世代の多く・大卒(親世代よりも大卒が増えているのですから大変です)が親同様の安定した職に就けなくなったのは当然です。
他方で、今朝の日経新聞朝刊に大きく出ていましたがソニーが優秀な学生を採用するために採用枠を外国人3割に引き上げる予定になっています。
汎用品的職場が減るだけではなく、優秀学生向け職場も内外をとわずに募集するようになってくると、惰性的に子供を多く産んでも職場がない事態が起きるのは当然です。
このように急激に就労構造が変わり汎用品向け労働市場が縮小して来たばかりではなく、国内でも海外労働者と競争が起きている以上は、労働者供給を優秀な人材に絞り込むのが政策目標であるべきです。
優秀な人材を育てるには・・具体的には人口抑制しかありません。
これをしないで、逆に長寿化によって労働者の滞在人口は増える一方の現状を放置していると、新規参入の若者が就職難になるのは目に見えています。
その点の責任に触れずに「今の若い者は不甲斐ない・・」海外志向の若者が減ったとか「覇気がない」と批判しているのです。
親世代が次世代の労働環境を予め整えておくのを怠り・・人口政策のミスをそのままにして次世代に転嫁しているに過ぎません。

失われた20年??1

前回データで見ると、国内総生産が予想外に大きく伸びていることが分りましたが、今回は国際収支がどうなっているかを見直しておきましょう。
05/26/07・・2「キャピタルゲインの時代17( 国際収支表2)」で国際収支表を紹介したことがありますが、その表で見直すとバブル絶頂期の平成2年の経常収支の黒字が6兆4,736億円(内貿易黒字10兆0529億円)に対してその後じりじりと経常収支黒字が上がって、平成18年度では19兆8488億円(内貿易黒字12兆3223億円)と貿易黒字はほぼ従来のまま、その他の収支が改善して結果的に大幅に上昇していたことが数字の上で明らかです。
言わばアメリカの圧力で国内生産=海外輸出利益を横ばいにして(・・貿易黒字はほどほどにトドメ)その代わりに海外生産を拡大(所得収支黒字が急拡大)したのがこの20年だったと言えるでしょう。
財務省のその後の統計によるとリーマンショック直前の平成19年の経常収支黒字は何と24兆7932億円(内貿易黒字は12兆円余り)までふくれあがっていました。
バブル期の6兆円余りの黒字に対して平成19年時点では経常収支は約4倍に増えているのです。
このコピーを付けたいのですが、CSVなので開くと何故か表がなくなってしまうので無理でしたが、平成2年・90年と平成19年の該当箇所だけコピーしました。
アンダーラインの部分が経常収支で、その右側の一つ置いた下線を引いた数字が貿易黒字額です。

この表の完全コピーは上記05/26/07・・2「キャピタルゲインの時代17( 国際収支表2)」を見て戴くと出ているので、(その表は18年までですので)その表に以下の文字や数字を順次当てはめていただくと分りやすいです。
財務省 国際収支状況

平成2年990C.Y.,”64,736,”38,628″,”100,529“,”406,879″,”306,350″,”-61,899″,”32,874″,”-6,768″,”-48,679″,”-47,149″,”-1,532″,”13,703″,”-29,761″

平成192007C.Y.,”247,938,”98,253″,”123,223“,”797,253″,”674,030″,”-24,971″,”163,267″,”-13,581″,”-225,383″,”-220,653″,”-4,731″,”-42,974″,”20,419″

国内総生産のようにドル表示がついていないのですが、1990年当時のドル相場と平成19年のドル相場を比べると分る筈です。
1990年の為替相場表が見当たりませんでしたが、ウイキペデイア「プラザ合意」の添付参考文献として^ 為替の日次データ(1970年~1989年)、連邦準備制度理事会。2009年1月25日閲覧。」があり、それには1971年1月4日から89年12月29日までの、日々のレート表になっています。
この最後のデータによると「29-Dec-89 143.8000」・・1ドル143円80銭でした。
これに対して、平成19年の相場表はどこでも掲載されていますが日本銀行の公表している基準外国為替相場及び裁定外国為替相場によると

基準外国為替相場及び裁定外国為替相場
(平成19年7月1日から平成19年12月31日までの間において適用)
基準外国為替相場  アメリカ合衆国通貨1米ドルにつき本邦通貨119円

とされております。
143、8÷119=1,2084ですので、円表示で約4倍になっただけではなく、ドル表示では更にこれにⅠ、2倍した倍率になっていることになります。
前回紹介した国内総生産の推移や国際収支の立派な成果をきっちり国民に報告・・マスコミが繰り返し報道すれば、国全体の経済力では全く失われていないことが国民に明らかとなるでしょう。
にもかかわらずマスコミは自虐趣味によるのか、あるいはアメリカに遠慮しているのか(これが本音でしょう)失われた20年などと実態に反した宣伝をしているのが問題です。
(統計を発表しているのだからこれを見れば分ると言えばそれまでですが、国民一般はナマの統計を見ないでマスコミのムード的宣伝に洗脳されてしまう傾向があるのでマスコミの責任は重大です。)
マスコミ論調は戦前の大本営発表の逆ばりで、事実に基づかないムードで国民に悲観論を煽っているのですが、うまく行ってないのは人口政策です。
我が国の経済の実態は上記の通りバブル期よりも大きく儲けているのに、ムードに弱い若者達がマスコミの誤導宣伝にマトモに反応してやる気をなくしているのが問題です。
昨日紹介したように、世の中のことを何も分らない・・大人の意見の受け売りでしかない子供まで将来を悲観的に見ているのでは、子供に「元気出せ」と言っても始まりません。
何も知らない子供世代が元気ないのは、大人が誤った暗すぎるムードを宣伝しているからに外なりません。
具体的事実として劣っている点があるならば、これを是正しようとする人材も出て来ますが、マスコミのように根拠もなく悲観論ばかりムードで宣伝すると実態を知らない若者は、これまたムードに弱い・・と言うよりは事実を知る能力が低いのでムードに頼るしかないのでマトモに元気をなくしてしまうのです。
ましてや、実際に就職難・・労働条件悪化に直面しているのは、主に若者ですから彼らが元気をなくしているのは仕方がない面があるでしょう・・・。

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