話題がそれましたので、過大投資調整のテーマに戻ります。
・・中国がバブル退治を早めにやれなかったのは、資本流出が怖くて出来なかった気の毒な面もあるでしょう何事もメンツにこだわって経済原理を無視して強権で押さえつけて来た程度に応じて、その咎め・・反作用が大きくなるのは仕方のないことです。
日本でも、大手企業の粉飾決算の先送り・拡大も株価下落が怖くて先送りすることが多いのですし、東芝の粉飾決算露見も先送りが長かった分に比例して傷が深くなっています。
中国の場合、過大投資が特定産業のバブルとは言えない程全ての分野に蔓延してしまったので、身体で言えば毒素が全体に回っているようなもので、引き締めて見たり緩めたり、どうして良いか分らないで右往左往していると見るのが正解のような気がします。
日本マスコミは中国は何かやると「したたかだ」と高評価するのが常ですが、何でも中国は偉大だと有り難がる報道には飽き飽きしている人から客観的に見れば(もしかして悪意で見ればかな?)ただ、訳が分らずに右往左往しているように見えます。
リーマンショック後4兆元だったかの大判振る舞いで何とかショックを持ちこたえたものの、その先が続かずここ3〜4年はさしあたり目先の消失した輸出需要の穴埋めに国内需要を作り出すしかないということで、・・オリンピックや万博を誘致しては無駄なインフラを作ってみたり、物流用の国内インフラ(港湾造成など一段落して)需要が落ち込んで来たので、需要無視の鉄道線施設に邁進したりしてきました。
アジア大会/オリンピック・万博施設など次々と誘致してきましたが、これら施設はその後無用になっても、元々そのようなものと言う暗黙の合意があるので大した問題になりませんし、売れないマンションは放置していれば良いのですが、鉄道など過剰投資を始めると、作った後が問題で客のいない列車を運行していると大赤字が累積してその内参ってしまいます。
鉄鋼や石化製品生産工場の場合には、やたらと作っては出血輸出をして世界に迷惑をかけていますが、(9月1日日経新聞朝刊9pに「中国発鉄冷え加速」の大見出しです)鉄道等の内需インフラ投資の場合、出血競争するにも客がいません。
AIIB投資の目玉である中央アジア貫徹の大動脈構想(一帯一路)がありますが、作る資金は何とかなるとしても完成後砂漠の真ん中を採算が取れる物流があり得るかの議論が前からあります。
IMFやAIDの資金援助は要件が厳し過ぎると言う中国から批判があって、新興国にとってもっと使い勝手の良い国際機関を作ると言うのがAIIBの宣伝です。
しかし、中国のように成金による資金バラマキのようにコネ・・親疎だけが基準で事業採算審査なしでお金を湯水のように使うやり方では、焦げ付き頻発で早晩行き詰まるのが必然です。
日本では資金がないのではなく、国立競技場建設計画の見直しでも分るように採算性・合理性のない投資をしないと言うだけですが、中国の場合、始めて大金を持ったので嬉しくて仕方なかった・・必要性を無視した無駄遣いしている貧乏人のニワカ贅沢みたいな印象です。
ニワカにお金を持つと、店のこの棚の端から端まで全部クレと注文したり、食べ切れない料理を注文して見せびらかすことがありますが、これを中国は国を挙げてやって来た・・田舎者と言うことです。
クルマであれ、鉄道延長であれ、日本を追い越すかどうかばかりが気になり、最近ではクルマの販売台数がアメリカを追い越すかどうかが基準であって、需要と関係なく投資してきました。
これが個人で言えばいわゆる「爆買い」ですし、企業も採算度外視で資源類も無茶に仕入れるし、と国内インフラ投資も出店競争もビル建設も見通し無視で無茶苦茶やるのが中国流でした。
無茶苦茶やっていても、中国ブームを煽った結果ひっきりなしに投資がはいって来たので、無茶な投資が成功に繋がっていたのですが、ねずみ講みたいでいつかは投資が減って来ると終わりが来ます。
中国の場合、一旦計画が出来れば、コストに見合う需要がない・・採算が取れないことが分っても国策である以上・・国有企業その他もメンツがあるので、修正したり中止することが出来ないしくみです。
・・何でも計画どおりに作ってしまうしかない硬直性・・強引さが土木・建設業者にとっては魅力ですが、その分無駄な投資が増えて長期的に見れば、経済が立ち行かなくなる宿命を持っています。
(資材納入・建設業者はその場で儲ければ良いのですから・・どんなバカな計画でも注文があれば仕事をすれば良いので、その先の責任はありません。