中韓バブルの行方?(外貨準備の急減)1

昨年来アメリカが低金利政策の出口を探る展開になると、経済体力の弱い中韓ともにつられて金利を上げるしかない結果、国内過剰融資のトガメが出て来ます。
1昨年頃にFRBイエレン議長が金利上げ決断を先送りしたときに中国への影響を明言していたのは、中国破綻による世界混乱を心配していたからですが、これが世界の共通認識です。
FRBが今回(3月15日)中国破綻を気にせずに利上げに踏み切ったのは、1昨年の株価暴落時よりも中国の体力がついたとする見方は皆無でしょう。
この後で紹介するように中国の外貨準備がこの数年で激減している状態です。
今回の利上げは、中国破綻を世界が織り込んで来た(この数年リスク承知で中国投資した企業の面倒まで見る必要がない)ので仮に破綻に向かってもそれほどの心配がないと言う意味と、他方で米国の対中姿勢の変化でしょう。
大き過ぎて潰せないと言っていると良い気になって軍事進出など幾らでも威張る・許容範囲を超えたのでこの辺でお灸を据える必要があると言う政治的要素が大きいように見えます。
中央銀行の政治からの独立性と言っても、中国に対する断固たる米国新政権の決断を明らかにしたことになります。
中韓の場合、アメリカが金利を上げ流にの追随上げすると国内バブルの急収縮のリスクがあるので、低金利を放置していると金利差→人民元やウオンの下落は貿易上有利ですがその代わり資本流出加速→デフォルトの危機になります。
自国通貨安が国際貿易競争上有利な筈なのに、中国が(デフォルト危機になるのを恐れて?)必死に買い支えざる得ないのは、構造上の弱点を抱えているからです。
元安になると外貨建て債務の返済額がその分アップし、対外債務の多い企業は参ってしまいますし、傾向的人民元安が見込まれると外資の対中投資意欲が減退するので新規投資・流入資金が細るばかりか、既存投資・・収支見通しの悪い限界進出企業の場合人民元が下がる前に早めに見切りを撤退に入る・ドルなどに換金して回収しておこうとする動きを誘発します。
憶測が憶測を生み一種の取り付け騒ぎ・パニック的外資逃走になるリスクが怖いのです。
中国の外貨準備が巨大と言っても外資導入によるもの・・外国資本を預かっているだけ・ビルオーナーがテナントからの保証金を自分のお金のように使っているのと同じでテナントが出始めると保証金を返す必要がありますが、中国は今この恐怖におののいているのです。
この後で紹介するアサヒホールデングスの現地子会社売却金が日本へ送金出来ていない事例がまさにこれです。
頼みの外資が回収に向かいドルへの換金・引き上げを始めると中国経済はひとたまりもありません。
いくら威張っていても実質負債の大きさまたは外資依存の脆弱さがモロに出て来た・・ここに来て逆回転始めたのです。
ちなみに日本の場合円安になると貿易上有利なばかりか、外貨建て債権・対外投資残が多いので、債権や投資済み資産の評価が上がるメリットがあります。
東日本大震災でイキナリ円が上がったのは、大被害の復興資金がいるので国外から資金回収・国内還流するとの思惑があったことを紹介したことがあります。
日本とは逆に債務国の場合、アジア通貨危機同様に何かあると資金を引き上げられる下落予想になるのが普通です。
韓国の場合、中国と違ってウオン安に向けて何の心配もなく為替介入を続けて来たのは、日本による巨額スワップ協定・・日本の保障によって、いくらウオンが下がっても安心だったからに過ぎません。
コバンザメのように日本企業類似品を造り続ける韓国が、安心して長年ウオン安に向けて介入出来た結果、対日競争上うまい汁を吸い続けて来ました。
韓国は日本の信用保障を利用して日本に恩返しをするどころか逆に日本企業打倒の材料に使って来たのです。
慰安婦騒動・反日態度明白化の結果、日本がスワップ協定継続・保障してやる意味がないどころか日本にとって害がある協定となっていたので、1昨年協定期限後日本が新協定に応じなくなった以降、韓国はウオン安を放置出来なくなった点では中国同様です。
中韓共に反日行動をした結果、ウオンや人民元暴落リスクについて日本の保障がなくなりました・・政治的にも天安門事件で世界から孤立したときに日本の助け舟で中国が世界復帰出来たのですが、今回は日本が中国の政治孤立を助ける立場どころではありません。
反日暴動・慰安婦騒動の結果、日本からの高度部品供給・・企業進出・協力体制が急激に細って困った中国からレアアース禁輸後約1年で投資を求めて大訪日団が来たことを16日に紹介しましたが、そこまでしないと日本からの対中投資が冷え込んでしまった(資金と技術が入らなくなった)実態があります。
中国が人件費上昇によって国際競争力が急激低下し、産業構造をワンランク上に移行する必要が生じた大事なときに反日行動してしまったので、従来のように日本側が喜んで協力する姿勢から仕方なし・・嫌々の姿勢に変わって来たのです。
ドイツに日本の代わりを期待したのでしょうが、ドイツの方が経済規模が小さい上にジーゼル不正でも分るように各種部品等の技術レベルが違います。
そのうえ、西欧系は日本人のようにコマメに教えて相手を育てようとする姿勢よりも、差異化を求める傾向があります。
中国の低賃金大量生産工場が行き詰まって、ベトナム等で作れないような中高度部品製造に構造変化するには、日本の協力が欠かせません。
日本はアメリカと違って、新興国へ製造移転後の今でも輸出しているような高度部品メーカー(・・3月17日紹介したような世界シェアー何位と言う部品メーカーが日本にはゴマンとあります)が各分野ごとに今なお存在しています。
これを誘致しないと中韓はベトナムと等との差異化を図れなくて生き残れないのですが、反日運動の結果これが思うように行かない・・次の産業が育たないままになっています。
この後中韓の造船業の苦境その他惨憺たる状況を紹介しますが、今更困っても日本に正面から応援を頼み難くなくなってしまい、苦境を先送りしてきた限界が近づいて来ました・・。
両国とも自前で産業を興したことがない・・日本企業の指導どおりやった経験しかないので日本企業がいなくなると、この先自発的に何かを起こすにはまだまだ無理がある・・何をして良いか分らない状態に陥っていると見るべきでしょう。
コンピューター利用のIT化に関しての技術開発では、スタートラインが一緒なのでまだ何とかなっていますが、巨大人口を抱えている以上大量雇用してくれる従来型製造業をなくすわけに行きません。
台湾はシャープを買収出来ましたが、これは長年の親日姿勢の結果であり、中国が反日を国是にしている限り名乗りを上げることすら出来ません。
ベトナム等の新興国の挑戦よりも中国の追い上げ・・金城湯池の中国市場でサード配備に体する嫌がらせを防ぐには、より一層高度化するしかない点では、中国よりも韓国の方がもっと切羽詰まっています。
韓国が感情に任せて反日運動を世界で展開している陰で実業界は日本企業誘致しか生き残れないので困っていた・・背に腹を代えられないほど経済的に追いつめられた反映が朴政権の反日運動停止・・今度こそ蒸し返さないと言う大人の交渉では非常識な「不可逆的」と言う明文をつけた日韓合意の理由でした。
ところが日韓合意を実行するには国民理解が必要・国民がソモソモ約束を守るべき近代教育を受けていない・・ダダをこねれば何とかなると言う赤ちゃんレベルです。
・・感情で行動するしか知らないし合意は守るべきと言う意味が理解出来ない・・民度が低過ぎるので行き詰まっている状態です。
日本は慰安婦騒動以来韓国には愛想を尽かしていますので、約束を守らない韓国に協力する気持ちがなくなっていること・これを明らかにするために大使引き揚げまでしているのにまだ気が付かない様子で感情8割で騒いでいます。
内政混乱している間にも経済困難化の進行が待ってくれません・・ついにその結果が出るトキが近づいて来ました・・。
この危機に際してヒステリ−状態になっているのが韓国の現状です。

中国購買力持続性6(外貨準備減少)

中国の外貨準備と言っても日本等からの外資の投資が多いから膨らんでいるのであって、真水の外貨準備金は少ないとMay 5, 2015「中韓の外貨準備1(真水)」その他で繰り返し書いてきました。
孫正義氏が世界的大富豪と言ってもこれに匹敵する巨額負債を抱えてM&Aを繰り返していることも知られています。
日本の財政赤字報道はプラス財産を見ない不思議なものですが、孫氏の富豪度報道になると逆に巨額債務を見ないで買収した相手の株式評価額だけを計算して世界何位と言うのですが、中国関連報道も中国に都合の良い面ばかり報道している傾向があります。
(本当の事実を知らないと中国も方向性を誤るので虚偽報道が中国自身にとって良いかどうかは別問題です・・政権中枢だけが本当のことを知っていても、国民がねつ造の歴史を信じていたり強国になったと誤解して強気になってしまうと、政権がこれまでの教育は全て噓でしたとは言えず引きずられてしまうので、結果的に国民全体が誤解しているかどうかが重要です・・個人で言えば、本当の健康状態を知っている方が良いのと同じです)
中国は見かけだけの外貨準備で威張っていたのですが、外資の引き上げが始まり先行き人民元下落のリスクが高まって来た昨年末に掛けて月に千億ドル規模の外貨準備減少が続いていました。 
以下は、日経新聞ネット配信記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H1R_X00C16A2FF8000
北京=大越匡洋】中国の外貨準備高が過去最大規模の減少を続けている。中国人民銀行(中央銀行)は7日、1月末の外貨準備高が3兆2309億ドル(約 378兆円)で、前月に比べ995億ドル減ったと発表した。
減少幅は過去最大だった2015年12月の1079億ドルに次ぐ大きさだ。中国の通貨人民元への下落圧力が強まり、人民銀がドルを売って元を買う為替介入を繰り返していることが大きな要因だ。」
上記は政府発表の外貨準備ですから本当の流出はもっと大きいかも知れませんが、中国政府は人民元防衛に必死で、実際の輸入決済以外には両替を認めないとか個人の年間の外貨持ち出し限度額を規制強化するなどあの手この手の為替規制をしていることが報じられています。
それでも減少を食い止めることが出来ず2月にも300億ドル近い外貨準備減少です。
以下はhttp://jp.reuters.com/article/china-reserve-feb-idJPKCN0W90QH
Business | 2016年 03月 7日 18:48 JSTの引用です。

[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した2月末時点の外貨準備高は前月比285億7000万ドル減の3兆2000億ドルで、2011年12月以来の低水準だった。
減少幅はロイターがまとめたエコノミスト予想の300億ドルをやや下回った。1月は995億ドル減だった。
12月は1079億ドル減少し、過去最大の減少を記録した。
外貨準備は、2015年通年では5130億ドル減少し、年間の減少としては過去最大となった。」

この間貿易収支が黒字発表(政府発表自体が当てにならないことは周知のとおり)ですが、それでも減少を続けている状態です。
言わば、張り子の虎の「紙」が破れ始めた状態で輸入・自己消費だけ増やすことになる内需拡大が出来るかの疑問です。
充分な年金積み立て金+個人預貯金等蓄積がないのに高齢化が先に進む・・支出だけする人が増えると(未富先老)個人も国家も借金地獄になって大変ですが、これを国際的に拡大して行こうとする・・外貨準備を越えて内需拡大出来るかのテーマです。
国家的モラルハザード期待論・・債務を国外に付け替え(て踏み倒す)運動でないかの危惧で書いています。
健全社会日本では、高度成長期にも爆買いせずに環境保護や子育てを含めて将来のために投資してきましたし、現在金利を下げても更にはマイナス金利にしても合理的な投資予定がないかぎり「タダだから借りよう」と言う人(モラルハザード)がそれほど増えません。
中国の場合金利を下げると人民元がさらに下がるのでこれが出来ませんので、預金準備率を下げて紙幣供給量を増やす政策になったのですが、そうするとゾンビ企業や消費金融利用者の延命を助けるだけ・・負債が増える一方になっていると言われています。
この結果、中国が決めた6、5%成長論を実行するための金融緩和をすれば、過剰投資の整理どころか逆に投資再開されて破綻を先送りし、破綻時の規模を大きくする政策だと言う批判が普通です。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12135478183.html
勝又壽良の経済時評
2016-03-10 04:03:52
中国、「預金準備率引下げ」人民元相場より経済成長を優先
③「長期的には、債務拡大という形での刺激策導入で状況がさらに悪化する恐れもある。ゴールドマン・サックス・グループの投資管理部門は、中国債務の国内総生産(GDP)比の増加が近年で目立つと警告してきた。2月に公表されたブルームバーグ調査のエコノミスト8人の予想中央値によると、今後数年以内に同国債務はGDP比283%でピークとなる見通しだ」。
以下は韓国の場合です
http://biz.searchina.net/id/1598022
まずい!韓国企業の債務比率が主要新興国で最悪の水準に、債務拡大が加速 2015-12-24 13:58
韓国メディアの亜洲経済の中国語電子版は18日、米財務省はこのほど国際通貨基金(IMF)の統計データに基づいた報告書を発表し、2014年第4四半期までの国内総生産(GDP)に対する韓国企業の債務比率は主要新興国のなかで最悪の水準となったことを伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

実際にこの3〜4月頃に1線都市での不動産バブルが再燃し、今春G20で公約していた過剰生産力整理どころか、休止設備再開の動きすら出て来ている様子が報道されています。

中国のバブル崩壊15(他産業への転嫁1)

この後で先送りになっているコラムで貿易黒字と出血輸出の関係(国民を餓死させてまで行なったスターリンの穀物輸出など)を書きますが、採算価格の半値=赤字で売っても、輸入原材料・鉄鉱石価格等をうわ回ってさえいれば貿易収支としては黒字になります。
500億円で輸入した原料に付加価値をつけて1000億円で売った場合500億円の貿易黒字ですが、この付加価値をつけるのに国内で700億円のコストを投入していると200億円分実質赤字です。
この200億円は製造に従事した人件費や納入業者に払えないだけですから、国威発揚には響きません・・倒産・夜逃げされて踏み倒される国民が泣きを見る仕組みです。
表向きGDPを押し上げる・・国威発揚のために需要を無視した行け行けドンドンのやり方は、就職先のない大卒の大量化政策も同根です。
現在年間大卒が700万人位とも言われていて、その35%が就職先がなくて「アリ族」と割れる悲惨な状態になっていることをMay 3, 2014「日中の制裁合戦4(バブル崩壊1)」に書きました。
不動産バブル崩壊を先延ばしするために、次々と新たな業種を選別して?需要無視の大増産を繰り返して来た(これは独裁政権・国有企業中心だからこそ出来ることです)結果が、自動車産業に行き着いたようです。
今朝の日経新聞朝刊第一面には、4月の乗用車を含むクルマ販売が0.何%マイナスになっていて、景気の先行指標である商用車(トラック等は産業界全般的景気・・実需動向に左右されます)は実に17、6%減となっている・・この部分は目立たないように記事の中でこっそりと書いていますが、これが重要です・・と報道されています。
産業界では17.6%の比率で半年〜1年前からマイナス成長になっていることが明らかですが、中国政府発表どおりに日本マスコミは7%弱の経済成長しているとはやし立て続けています。
建設等需要が減って製鉄量が減ると運送需要減→トラック等販売減少となるので、実は商用車需要減は実体経済に1年くらい遅れますが、消費者・従業員は製鉄量等が減っても製鉄会社従業員給与が(非正規は減るでしょうが・・・)正規社員はイキナリ下がらないし、(以下に書く株相場のようにもうすぐアメリカを追い越すなどと言う)政府・マスコミの煽りに乗せられ易い傾向があるので、乗用車販売減少率等消費支出減少になるのはかなり遅れるのが普通です。
上記のようにクルマの増産を煽るのも限界になって来たので、不景気打開のための金融緩和をするしかない→株式相場が上がると人民日報が積極的に奨励し煽っている様子が勝又壽良氏の「経済時評」2015-05-06「中国、人民日報推奨の株式投機「株未亡人登場」する爛熟相場」のテーマで報じられています。
文章の一部を引用します
「中国では明らかに、ちぐはぐなことが起こっている。住宅投機が失敗した後、投機マネーは株式市場へ向かっているからだ。肝心の企業収益は悪化しており、格付けが相次いで引き下げられるほどである。折角の金融緩和でも、金利引き下げの恩典と無縁である。それが、中国企業の実態である。
政府系メディアは、こともあろうに株式投資推奨記事を掲載している。満足に小学校も卒業していない人々が、一攫千金を夢見て株式市場へ群がっているのだ。この情景は、「爛熟相場」と言っておかしくない。中国経済は株式投機に失敗すれば、もはや「その後」がない崖っぷちに立つ。その認識もない政府系メディアは、いったい何を考えているのか。」
「しかも悪いことには、政府系メディアが株式投資を煽っていることだ。「個人投資家の間では、『勝ちたければ人民日報を読め』が合言葉。政府系メディアが論じる通りに株式を売買すれば、外れはないと信じられている。昨年9月、新華社は連日で株高の必要性を訴える記事を掲載。中国本土市場はその約2カ月後に、本格的な上昇相場に入った。『構造改革が進むなか、政府は株式相場による景気の下支え効果を重視している』という見方があるほどだ」(『日本経済新聞』4月22日付け)。」
「住宅バブル崩壊をカムフラージュするべく、中国政府は株価を煽っている。私には、そうとしか読めないのだ。肝心要の企業業績は下降に向かっている。株価上昇の背景には唯一、金融緩和期待しかない。だが、バブル経済崩壊という歴史的な事件のなかで、金融緩和が企業業績の回復に資するのか。そう考えるのは、余りにも無謀である。」

実際5月11日紹介したように産業界の期待・悲鳴に応えて金利引き下げが続いています。
バブル崩壊が近いから、政府が放置出来ずに金融緩和するから、株が上がると言う政府系宣伝もおかしなものですが、(金利引き下げによる外資流出を阻止する目的でしょうが・・)最後の大相場を期待して貧困農民までが殺到していると言うのですから驚きです。

中韓の外貨準備2

中韓共に目先の金儲け主義ですから、リスクが高い分・高金利の新興国債券への投資・保有比率が高いと噂されていました。
ところが、原油安が象徴しているように資源国・新興国経済が悪化しているここ数年の国際経済情勢が、中韓の保有外貨の評価減=モロにマイナスに響いている様子です。
中韓の国内景気減速と資源国経済減速が同時進行している点が、マイナスのダブル・トリプル効果を生んでいる様子です。
日本の上得意は北米ですが、韓国は中国比率が高く、中国は欧州比率が高いのですが、それぞれ経済危機状態ですから大変です。
中国による爆買いを前提に資源国が潤っていたし、オーストラリア等が中国寄り変化が生じていたのですが、中国の経済減速が資源下落の引き金になってきました。
米国向け輸出比重がもの凄く高い富士重工の業績と資源国や中国向け輸出比重の高いコマツの業績変化を比較すれば見れば明らかです。
この経済関連構図から見ても、AIIB設立を巡る日米対中韓+欧州+資源国オーストラリアと言うグループ分けが必然だったのかも知れません。
韓国が日本の円安によって経済苦境に陥っていますし、アジア危機当時と比べて今は外貨準備が3000億ドルもあるので日韓スワップ終了しても大丈夫と主張しているのですが、これが本当ならば、思い切った金利引き下げ→ウオン安にして円安に対抗すれば良い筈ですが、これが出来ずそろりそろりしか金利引き下げしか出来ないのは真水の外貨準備が少ないからと言われていますが、中国も同じ体質・・外貨準備の実質的内容が悪いのではないかと推定されます。
韓国は為替操作国として有名で、製品共通性の多い日本はこの為替操作のために長年苦しめられて来ましたが、中国も為替操作のために人民元を売ってドルを買い集めていたのと同じ構図が推定されます。
ドル買い支え=元やウオンの低め誘導・為替操作による大量のドル取得=同額の人民元やウオン紙幣が国外に流出していますので、これがこれからボデーに効いてきます。
外貨準備の内、ドル買い支え資金分はこれと同額の借金証書=人民元やウオン紙幣を発行してしまっているのですから、同額の実質借金をしているのと同じです。
買い支えで取得したドルをアメリカ国債購入資金にしている場合、人民元やウオンが値下がりする局面が来れば、誰でも損したい人はいないので、国外に流出している=国外で誰かが保有している人民元やウオンを売ってドルを買い求める動きが始まります。
中国では東南アジア諸国への生産基地の移転が始まって、国内生産が縮小過程に入っていて、他方で不動産バブル崩壊が始まっていることは明白です。
これを防ぐために思い切って金利を下げると不良企業の延命リスクがあるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
バブル崩壊・・国内製造業不振による景気悪化防止のために、思い切って金利を下げると不良企業の延命リスク・・バブル退治より更なる拡大策・・になるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
金利を下げる代わりに紙幣発行量を増やすと紙幣価値が下がる→人民元下落圧力が高まる→人民元防衛のために外貨準備の取り崩しが多くなるので、結果的に人民元が下がる点は同じです。
新興国では金利引き下げはすぐに通貨下落に繋がりますが、紙幣大量供給でも効果が出るまでの時間差がある程度でしょう・・先送りでしかありません。
日本財務官僚が頻りに財政赤字→暴落=金利上昇を強調しますが、日本の場合世界最大の純債権国ですから、ゼロ金利にしてもマイナス金利にしても円や国債暴落の心配をする必要が全くありません。
日本の金利が安ければ、信用のある円を日本で借りて金利の高い外国へ持って行って利ざやを稼ぐ円キャリー取引を誘発して円が逆に上がる傾向になります。
世界の金利水準は国力・世界の信用に反比例するのが経済原則です。
アメリカ経済が好調を維持しているので、低金利政策が近い内に修正されそうというのが・・当初は昨年9月の予想でした。
アメリカの金利が少し・・精々0、何%上がると言う噂・・新興国からアメリカへ資金が流出する予想だけで、新興国・見かけの統計・発表は健全でも実質的にはおかしいと市場が見ている国が通貨下落に見舞われるのが普通です。
今朝の日経新聞朝刊5ページにはインドネシアの通貨下落とインフレによってジョコ大統領支持率が急落している状況が紹介されています。
現在の主要国金利と弱小国の代表としてブラジルの金利変化を明日のコラムで比較しておきましょう。

中韓の外貨準備1(真水)

中国の巨額外貨準備と言っても、日本のように長期に及ぶ経常収支黒字の積み上げとは違い、銀行が預かった預金でお金を貸したり他国の国債を買っているような状態で本来の自己資金比率が低い状態と推測されます。
一種の預かり金や借金の運用がアメリカ国債の保有であるとすれば、逆回転・・人民元の買い戻し圧力・・預金取り付け騒ぎが起きるとたちまち行き詰まります。
これが1997年ころに起きたアジア通貨危機のカラクリでした。
ところで、中国のGDP統計発表自体およそ7〜8%水増しを繰り返していたのではないかと言う憶測が普通(少なくとも私はこのコラムでそう憶測して書いてきました)です。
中国では、(実質マイナスになったら大変ですから)7〜8%の経済成長率が生命線と従来強調されていたのと平仄が合います。
(この上乗せ発表を何十年もやって来たので、累積すれば大変な誤差で実質GDPは公表の3分の1くらいしかないとアメリカのどこかのシンクタンクが研究発表しています・そのGDPも無駄なマンション鬼城等を一杯作った不動産投資が中心ですから、将来発展の基礎にも殆どなっていません。)
最近は公式発表でも6〜7%になったようですから、実質マイナス成長に陥っている筈です・・何故か最近業種別統計が出るようになって、いろんな業種でマイナス数%の統計が出始めています。
主要業種・・例えば、鉄道輸送実績では前年比14年で7%減)でマイナス6〜7%(この統計も何%かの誤摩化しがあり得ますのでそのとおりの信用性がありませんが・・)と言うのに、トータルでなお7%弱のプラス成長をしていると言う発表をし続ける神経が不思議です・・以前のGDP数字はいい加減なものだと、徐々に慣れてもらうための訓練かも知れません。 
過去の貿易黒字発表も相手国の輸入数字と大幅に違うことが、以前から指摘されてきました。
国内経済統計自体が水増しですし、外貨準備は国内に保有する金塊等も含まれるのですが、どこの国でも内訳発表しませんし、したとしても言いたい放題でも相手国発表との整合性がないと指摘される心配がありません。
IMFだったかで中国の外貨準備増減を発表していますが、中国のいい加減な発表を基に推計しているのでしょか?
外貨準備発表自体何(金塊その他を金庫に満杯に持っていると言うのか?)をどこに持っているのか、外部からは窺い知れないことから実態は見えませんが、ある国の外貨準備総額の動きはアメリカ国債保有額の増減が大きな目安になるでしょう。
一般的経済原理では、小国の通貨保有していると、変動リスクが大き過ぎるので、その国との貿易決済に必要な程度の一定比率の資金しか保有しないのが普通です・・個人や企業で言えば日常的に不要な大口資金は定期にして、普通預金には日常決済用小口資金しか入れておかないのと同じです。
大口資金は金塊のままでは金利が付かないので、これも一定比率を国内保有するだけで、一応金利の付く・・・信用性のある国際通貨・・・米ドルや円、ユーロなど国際通貨にしておくのが普通です。
(0.0何%でも兆ドル単位の額面になると受け取る金利は半端ではありませんから・・)
中国のGDPや国内暴動数等の発表は、絶対数字では当てになりませんが、一定比率で水増したり減らしたりして発表しているとすれば、経年変化を読むことが推定出来るのと同様で、アメリカ財務省証券は世界で一番信用性が高い・・この保有額が減る場合、同率で国力・経済力低下が進んでいると推定されます。
中国は、従来のドルを買って人民元を安くする政策から人民元の買い支え作戦に変化していることが、昨日紹介したNHKの報道にあるように知られています。
これは反日暴動以来の外資流出(中国へ投資した工場等を売却して得た人民元をドルに替えて出て行く動き)+貿易黒字減少(実際は赤字?)でドル資金不足(流出超)になっていることが、背景にあると見るべきでしょう。
中国が大きなこと(大言壮語)を言っていても対外債務(ドル建て債務)国ですから、一旦人民元が下がり始めると返済額がその比率で膨らみますので大変なことになります。
これが97年ころのアジア通貨危機でした・・・昨日紹介したNHK報道のように人民元下落防止に必死の様子ですから、外貨準備は実際に(借金を引いた真水で)は大したことがなかったのではないでしょうか?

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