韓国のミニバブル3(家計負債の増加1)

企業の場合、儲かると更に儲けるため・・成長のための再投資・借入があり得ます・・企業規模が大きくなると負債も大きくなるのが普通ですが、家計負債は投資用の借金ではありません・・。
日々の買い物や電話水道料金も翌月払うまでは負債には違いないですがこうした1〜2ヶ月で回転して行く決済用負債は別として、サラ金やカードローンの多くは、生活費不足に原因があります。
個人金融資産の増加率と成長率を比べても意味がない・経済成長している場合、国・社会が豊かになっている筈なのに個人・家計負債が何故増え続けているのかと言う疑問です。
オーナーが経営で成功し勤労者が勤務先で出世し給与や手取り収入が2倍〜3倍になれば家計が潤沢になり・苦しいときに借りていた借金を返すことはあっても、成功している人が家計補助のためにサラ金から借りる額を増やすのは希有の事例でしょう。
GDPが仮に2倍になればこれに比例して家計負債が増えるのではなく家計負債が減って行くのが正常な姿です・・この辺が企業規模に比例して負債が増えるのとは次元が違います・・昨日紹介した韓国銀行による「経済規模が大きくなっているから家計負債が増えても心配がない」と言う主張は、仮に借金の伸び率が成長率と同率で増えているに過ぎないとしてもすり替え論理になります。
国単位で見れば、日本でも高度成長の結果・・それまでの外貨不足国から対外純債権国になって行きましたし、(個人金融資産も増加の一途です)韓国も今では外貨準備が潤沢になっている(借金や外資流入で増えているに過ぎない・・真水の外貨準備は少ないのかも知れませんが)と言われています。
これが個人単位になるとGDP伸び率以上に家計負債が伸びているのは異常と言うか、GDP統計に無理(噓?)があるのかあるいは、経済成長の果実が均等に行き渡っていない・・偏っている結果を表しています。
新興国では不均等には目をつぶってでも先ず儲ける企業や人を増やすしかないと言うのが一般的ですから、(アメリカも元は新興国でしたから、アメリカンドリームを宣伝してきました)これが長引くと不均等のひずみが大きくなります。
経済成長すると新製品・サービスが町中に溢れる→成長の果実を得られない人も似たような消費に走るしかない・・裸足だったのがみんな靴を履くようになると成長に関係しない人もクツを履くしかない・・みんな高校に行くようになると自分の子供も高校にやりたいので結果的に家計赤字が増える・・需要に応じて消費者金融業者が増えます。
社会全体の成長による平均的生活水準アップに着いて行けない人が増えると消費者金融・・サラ金系が発達するのはこうした関係です。
日本も成長のひずみの結果サラ金系が一時大盛況でしたが、この弊害除去のために貸金業法の大改正で総額規制等が出来たときに「需要がある以上はかえってヤミ金がはびこるのではないか?」と言う心配が大きかったのですが、そちらに行かずに現在収束しているのは、格差是正・・富みの再分配が静かに!成功している・・借りなくとも一応の生活が出来る社会になっているからでしょう。
別の視点か見て、家計の負債残高が、GDPに迫る(92、9%)のは容易ならざる事態です。
GDPが全部家計に入る訳ではない・・家計収入=個人収入はGDPの一部でしかないのです(労働分配率が100%では企業が成り立ちません)から、国民全員が平均年収の何倍も借金している事態です。
実際には全員が借金している訳ではないので、借りている人はその又何倍も借りている計算になります。
韓国の家計負債の実質(再分配が貧弱)は家計負債の統計以上にもっと深刻らしいです。
韓国では事業負債は実質個人負債であることが多い(隠れ個人負債?)と言う意見が紹介されています。
http://www.data-max.co.jp/280218_ry02/では以下のとおりです。
日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
「 ・・・もう1つは、韓国の自営業者の負債である。参考までに述べておくと、韓国の自営業者の比率は、他の国に比べて非常に高い。というのは韓国では会社を辞めると、日本のように嘱託社員として働くとか、今までの経験を活かす場がとても限られている。そのため、韓国ではリタイア後の収益が急激に減少する特徴が統計にも表れているし、他に選択肢がなくて自営業を始めるケースが多い。
money2 ところが、個人でお金を借りると家計負債になるが、自営業者がお金を借りると、事業資金扱いになり、それも家計負債には含まれず、企業負債になっていることも多い。自分がこれまでやって来た経験を活かしてやる事業ならいいが、まったく違う分野に入って事業をしながら習得していく方法では、なかなか成功は難しい。会社の退職金などでスタートした事業がうまく行かず、廃業しようにも周囲の目があるから、借金しながら頑張っているケースが多い。
その結果、事業に失敗し、中産階層から下流階層に転落することになる。とくに自営業は競争が激しく、今の時代のようにモバイル時代になってくると、自営業が成功する確立は低くなる。
 その自営業の現実が、家計負債にはそのまま反映されていないという指摘である。」
上記によると韓国では個人事業による個人負債が多いので、これが実際には個人家計負債と同視すべき場合が多い・・ラーメン屋など個人経営の負債の場合家計負債以上に額が大きく(個人事業の借金方が、非合法系からの借り入れ率も高く深刻なのが普通です・・これが海外売春に繋がっているように見えます)・・統計上の家計負債よりも実際にもっと大きいと言う指摘です。
韓国では起業が多く活発な社会と言う報道の仕方もありますが、合理的見通しもないのに追い込まれ起業が圧倒的に多いのでは悲惨です。
日本では中小企業が減るばかりで困ったものだとマスコミが言いますが、韓国のように破れかぶれの起業(イキナリキリスト教会をアパートの1室で開設するなども知られています)が多くなるのでは考えものです。

日本の経済状態が悪いのか?(生活保護増加)

社会保障と言うものは、本質的にみんなの助け合い精神・・国民合意によって成立しているものであって、何でも「憲法に書いてある」「法律に家族の資力要件を書いていない」今の制度がこうだと濫用するようになると国民は納得出来ません。
遡っての議論・・子供や兄妹はどの程度まで親・兄妹の面倒を見るべきか・・逆から言えば年収に応じて月何万まで出せばそれ以上は他人のお金(税金)で面倒見るベキと言うような議論こそ(不正受給や在日けしからん論では、解決にならないでしょう)が必要です。
受給支援運動が激しくなると、これに比例して国民不信を前提の制度に変更するしかない・・申し込んで来る以上は余程苦しいのだろうと言う性善説・・国民の自主判断に任せられなくなります。
「法が要求していない質問するな、調査するな」子供に資力あっても「拒否するな」と言う運動が進むと・・性悪説による厳しい検査制度を法で整備する必要が出て来ます。
国民世論が子供の資力に関係ない「一旦支払っても求償する必要がない」と言うならば必要がありませんが・・そのためにも国民世論に従った国会審議・・法改正手続が必要です。
生活保護受給権擁護運動がイキナリ高まって来た政治背景・・特定政治勢力の意図とどう言う関係があるのかを含めて私には全く分っていません。
門外漢の私にとっては生活保護援助運動がイキナリ出て来たかのように見えますが、・・それなりの背景・準備があって出て来たのでしょう。
日弁連や単位会で生活保護援助・・援助システムがいつの間にか動き出しているのですが、これの仕掛人がどこの誰か分りませんが、かなり前から準備して来た結果でしょう。
関係者は生活に困っている人が増えて来たから、人権擁護を職責とする弁護士会が救済しているだけだと言うのかも知れません。
マスコミが宣伝・誘導するように、本当に日本の国民生活の窮乏化・・生活水準下落が起きているのか疑問です。
安倍政権前の過去20年間を「失われた20年」とマスコミによって宣伝されていますが、この間の技術革新等によって実質生活水準が感覚的に約2倍に上がっていることをこのコラムで繰り返し書いてきました。
私の感覚でしかないので本当のところは分りませんが、従来経済危機が起きると「有事のドル買い」と言ってドルが上がって日本円が下がったのですが、この20年ほどの間にこの基準が変わっています。
リーマンショック直後の円高や今年の年初来の新興国や中国危機による経済大変動に際しても、「危機時の対ドル円高」と言う国際的認知・市場の動きです。
特に今回はアメリカの利上げによってドル高になったことが、人民元暴落含み=経済破綻が現実化して来たことが世界経済波乱原因になっているのですが、対ドルでは、アメリカの金利上げに対しても日本円だけが下がらずに上がっています。
アメリカはリーマンショックの傷が癒えたとして、金利引き上げ時期を狙っていましたが、引き上げると弱小国(とりわけ中国)の経済が持たない・・・判断から、1回延期しました。
言わば経済強国の金利政策が、世界経済をストレートに支配出来る構図を前提にしています。
金利は、お金を貸したり預ける相手の信用力で微妙に上下するものですから、信用のないモノ(組織)はより信用力のある人よりも高い金利でないと貸して貰えませんし投資もしてくれません。
国の信用力によって格付けと言うか必要な金利があるので、金利の高い順に信用のない国と言うピラミッド型の順位が出来上がっています。
これを人為的にある国の中央銀行が金利を上げ下げすると、実際の順位と合わなくなるのでこの実態に合わせるために国際的資金移動が始まります。
100カ国中の80番の順位の国が金利を上げ下げしてもその前後の順位国しか影響がありませんが、世界トップ(実は2位)のアメリカが上げると3位以下の国にとっては大変です。
それまでのアメリカとの金利差が1〜2%高で均衡を維持していた国にとって0、98%差になると資金流出が始ります。
これがイヤなら自分も金利を上げれば良いのですが、そうすると国内景気が持たなくなるリスクです。
ブラジルは大分前から不景気のために金利を上げるに上げられずに、ずるずると通貨が下がって(最近まで3割も下がったと言われています)参っていますし、弱小国とは(国土面積や人口のことではなく)こう言うジレンマのある国のことです。
運転資金に窮した企業が高利貸しに手を出すと余計苦しくなってつぶれるしかないのですが、弱小国はこうして高金利に追い込まれることになります。

マスコミの情報操作3(非正規雇用の増加と格差拡大論2)

株式相場と実体経済の関係について考えてみますと、ある事業についての新製品開発成功・・数年先の展望が明るいとなれば、まだ儲かっていなくとも、将来を見越して、その段階で株価が上がります。
株価は言わば景気・企業業績の先行指標ですから、円安や新製品発表と同時に株は上がっても、企業はその時点で即時に残業や雇用を増やすところまで行きません。
円相場の高下によって即時に株価が上下するのは、半年〜一年先の売上が伸びたり減ったりする期待からであって、その日のうちに輸出品の現地売上が増えたり減ったりするものではありません。
(輸入ブランド品の店頭価格等が、その日の円相場で上下しないのを見ても分るでしょう・・ブランド品の輸入業者の事件では、・・春夏もの仕入れ交渉は前年度中に手当てしていると言うことですから、春先に円が上がってもそのトシの輸入品は安くなりません。)
実体経済に影響を与えるのは、新製品開発発表してもそれが顧客に浸透して売れるようになってからですし、円相場で言えば現地販売相場に影響するのは、半年〜1年単位先の平均値でしかありませんから、時間差があるのは当然です。
円安や画期的新製品発表がその日の国民経済に直接影響がなくとも先に明るい見通しがあることによって、納入関連企業も明るい見通しを持てるし、そのまた先の企業〜そのまた先の企業へと次々と連鎖して行き、最後は雇用増(非正規増の後で新卒採用増)に結びつくことが重要です。
ですから、株式相場が上がることが前向きの始まりであって、国民には影響がないかのようなイメージを振りまき、非正規雇用→格差拡大が進んでいると言うイメージを振りまくのはまちがいです。
景気上昇期には、年収1000万〜600万円前後の正規雇用者の給与はすぐにアップしませんし、このクラスの新規雇用は増えません。
(新卒雇用を増やしても新卒の給与は、中堅社員よりも低いのが普通です)
さしあたり一日数時間や週2〜3日勤務だった人の勤務時間・日数増加や残業が始まり、それでも不足すると無職だった主婦や若者が求人増によって15〜20万円前後の仕事に就けるようになります。
平成27年1月2日に書いたように、庶民の家計収入アップ率でみれば、一日数時間勤務が5〜6時間勤務になり、週に数日勤務が毎日勤務になる方がアップ率では大幅な恩恵があることが明らかです。
それでも人手不足気味になると、時間給が上がりますので庶民にはダブルの恩恵があります。(正規雇用の賃金単価は年一回しか変わりません)
まして新規就業者の増加まで行けば、庶民層の家計収入アップ率は半端ではありません。
(ただし夫婦2人で既に働いている人にとっては労働時間増と単価アップになるまで恩恵がありません・・このように経済はマダラに変化して行くものですから、恩恵の届かない人ばかり特集しても社会全体の動向が見えません。)
1月2日紹介した平成26年12月27日付け日経記事によれば46万人増加=新たに職についていることになりますから、46万所帯の家計収入が大幅増になったことになります・・収入ゼロだった場合、生活保護から脱却出来た人もいるでしょう。
・・この面でも増税よりは景気上昇政策の方が税収が上がり社会保障費も少なくて済むと言う意見が正しいことになります。
非正規雇用が増えて「格差拡大」と約半年くらい前から頻りにイメージ宣伝されていましたが、家計収入単位では急激に格差が収縮していることになります。
年収1000万単位の階層では景気が良くなっても主婦がパート等で働きに出ることが少ないので、庶民層と家計収入格差が縮まったことになります。
景気が良くなると臨時雇用関係から時給単価が上がるのが経済の原理であって、正規雇用の給与は日々変動していません。
ですから正規給与の上昇率が低いと言う批判も、現実的ではありません。
(管理職の勤務時間が増えても残業手当はありません)
上記のとおり景気上昇初期には、底辺層ほど恩恵が先に行き渡るし恩恵比率も高くなるのが普通ですが、非正規雇用が増えたと言う大見出しで・・格差拡大が進んでいるかのような印象を振りまき、大分前の別の記事では非正規雇用が増えたことを言わないで、平均給与を出して景気がいいと言うけれども「平均給与が上がっていない」と主張するなど、マスコミは恣意的なデータのキリ貼り報道している疑いがあります。
(年収1000万円単位の人材の新規採用は滅多にないでしょうが、新卒給与はその何分の一でしかも数量が多い・・当面非正規・アルバイターから増えれば、一人当たり平均給与が下がるのは当然です・・重要なのは就労率の変動です)

証拠収集制限論とえん罪の増加1

共謀法が折角あるのにサリン事件のようなテロ行為や暴力団の集団犯罪計画を事前に阻止出来ない事件が頻発すると、「警察は何をしているのだ!」と言う批判・・証拠がある程度緩くとも早めに検挙すべきだと言う社会意識が強まってしまいます。
共謀罪が出来るまでは「計画が分っていても犯人が動き出すまで手を出せなかったから・・」と言い訳が出来ましたが、共謀で処罰出来る法律が出来た以上は、共謀段階で何故検挙しなかったか?と言う批判になります。
こうなると捜査機関も焦るので、十分な証拠もないのに「逮捕すれば何とかなるだろう」式の・・自白に頼る誤逮捕・ぬれぎぬ事件がいくつか発生するリスクが高まります。
すなわち人権侵害のリスクが高まりますので、これを人権派?弁護士や学者が心配している・・言わば、不幸な事態が起きるのを期待して「それ見ろ人権侵害が起きただろう」と活躍の場を求めているかのような変な状況です。
マイナンバー法や防犯カメラその他証拠の客観化に資するデータ化の動きがあるとその収集に何かと反対する勢力は、無理な逮捕が発生して人権侵害が多発する事態を待ち望んでいるのでしょうか?
共謀段階で犯罪化して、これを処罰するとえん罪多発するのが心配だと言いながら、客観証拠収集技術発展に反対するのは、どこか変です。
えん罪多発の不幸な事態にならないようにするためにも、共謀罪を作る以上は証拠の客観化を着実に(プライバシー保護等と勘案しながら十分な議論をして)押し進めるべきですし、科学技術進歩と応用に反対するのはおかしい動きです。
反対ばかりしていて議論の詰めに参画しないままですと、却って日弁連のチェック能力を発揮出来ないまま証拠法則の整備が進んでしまい、証拠収集が安易に進むのは国民の不幸です。
暴力団やテロ集団ではない、一般的な犯罪者までが「共謀した」だけで検挙されるのでは人権侵害にならないかと言う心配が普通の議論でしょう。
暴力団ではなくとも、一般人(日常的には善良な人に見える?)でも、ある日(本人はその前から内心悶々としていても外部には分らないだけですが・・)ストーカーに変身することがあり、しかもそれがイキナリ殺人等凶悪犯罪にまで発展してしまうのが現在社会です。
個人が内心悶々としている段階でも、近づいて来て何となくおかしいと思えば避けて通るようにしたり、個人的な付き合いであれば「何かあいつ最近おかしいから・・」と注意したり近づかないようにすることは出来ますが、検挙処罰までするのは無理があるのは明らかです。
ですから、個人がある日(外見上は)突然秋葉原事件みたいなものを起こすのを、予め公権力で制禦することが出来ないのはいまの科学技術では仕方がないことです。
何十年かすると個人行動が数十分前から、かなり予測出来るようになる時代が来るかも知れませんが、それだけで、刑事処分や拘束まで出来るかは別問題です。
しかし近代と違って現在では、科学技術進展の結果、例えば殺人行為実行の前々段階である共謀までするようになれば、場合によっては客観的に証拠把握出来て間違いのない段階まで来たのです。
共謀罪が出来ても、全ての共謀について証拠が把握出来る訳ではなく、一定の証拠がそろう事件だけですから、当面100%の共謀を検挙してくれるのかと国民が期待すると間違いの基です。
国民の期待が大き過ぎると不満が起きて警察が焦って不当逮捕になり兼ねません。
これを心配して日弁連が危険だと騒いでいるのでしょうが、そう言う方向ではなく、共謀罪が出来てもきちんとした証拠のある分だけに厳選して立件するように運動し・・客観証拠収集を妨害しない方が、人権擁護に結びつくのではないでしょうか?
科学技術の発展が殺人等の行動に出る前でも、共謀・自分で一人で考えているのではなく第三者と相談するようになると、客観証拠が集積出来る時代が目の前に来ています。
とは言え、期待は禁物です。

個人金融資産の重要性2(韓国個人負債増加)

ネット情報では韓国の個人金融負債が年々増え続けている状況が報じられています。
金融負債がドンドン増えている状況については「一般人の生活水準1(韓国」)Published July 27, 2014で紹介しました。
現役世代にとっては、大手企業従業員が高度成長期待・・マンション値上がり期待に乗って高額ローンを組んで転売目的でソウル近郊の高層マンションを次々と買っていた場合値下がりが始まると売るに売れなくなります。
資金力のある人はこの先もっと値下がりすると思えば損切りしてでも処分できますが、資金力のない・・目一杯ローンで買った人は、1割値下がりしただけでも損切りして処分することが出来ません。
困って仕方なしに給与全部使い切るような高額ローンを払っているうちにもっと下がってしまい、どうにもならなくなってしまいます。
売ることも出来ず、ローンを給与等では支払い切れずに銀行以外からの借金が増え続けると言うお先真っ暗の状態になってから5〜6年経過していますから、年老いた両親の面倒を見るどころの余裕がない状態です。
韓国におけるここ数年の個人負債の増加傾向は、マンション下落が続く中で、5〜6年家計を切り詰めて払って来たが遂に負債を払えなくなって来て借り増しが始まっている状況が見て取れます。
転売が出来ず借金だけ残っていて無理して払って来たが、資金力の弱い順に年数経過で支払に困るようになって(銀行が貸してくれなくなって)町金・ヤミ金に頼ったり借り換えによる負債増加が始まります。
ヤミ金に頼るようになると→金がないでは済まないので返済が出来なくなった家庭(世代的に50台)の娘の売春婦世界進出や高齢者自殺が増え始めたと見るべきでしょう。
企業の場合業績不振になるとすぐに経営危機→金融危機の連鎖で社会が大騒ぎしますが、その分解決・効果が早くなります。
個人にバブル後遺症を押し付けた場合、(お腹の調子が悪いのに荒療治しないで先送りしているようなもので)個々人は普通(一家の主が病気しても)5〜6年持ちこたえられるようになっています。
韓国でこの5〜6年個人金融負債が増加し続けているのは、バブルの後始末を個人に押し付けて来た咎めがじんわりと出て来たからではないしょうか?
韓国では実物資産中心で、金融資産が少ない特徴が言われていますが、要は少しでもお金が入ると投機(金儲けに走る)につぎ込んでしまう社会性・・民族性を表しています。
明後日のコラムで韓国の金融資産を紹介しますが、その割に多いじゃないかと思う方が多いでしょうが、韓国の場合財閥社会ですので、金融資産の多くが財閥系オーナーに属していて庶民比率がめちゃに少ない内実が重要です。
先ずは韓国の個人負債増加率を紹介しておきましょう。
韓国の大手中央日報の発行しているハンギョレ新聞日本向け電子版である以下の記事からの引用です。

http://japan.hani.co.kr/arti/economy/12917.html
「李明博政権で家計資産格差5.7倍に拡大」の題名です
原文入力:2012/09/27 20:54 修正:2012/09/27 20:55(688字)

「2006年から2011年の間、所得下位20%(第1分位) 家計の純資産は1億1571万ウォンから9401万ウォンへと2170万ウォン(18.8%)に減少した一方で、上位20%(第5分位) 家計の純資産は5億1913万ウォンから5億3258万ウォンへと1345万ウォン(2.6%)増加した。第5分位純資産増加率は全家計の増加率(1.6%)を上回った。
また、全家計の負債増加率は資産増加率よりはるかに高かった。5年間の家計の資産総額は5.9%の増加に留まったが、負債総額は31.8%も急増した。」

上記は11年までの統計ですが、更に負債が増加して最近の報道では13年末には日本円で100兆円に迫るとか、越えたとか大きく(増加率アップ)報道されています。
韓国の個人債務が大変な状況と言うあちこちのネット報道に触発されて、私もこのシリーズを書いているのですが、客観データ(朝日新聞の慰安婦報道と同じで、30年ほどしたら誤報でしたと言うことになるかもしれないですが、一応韓国大手の中央日報の報道ですから信用して引用しておきます)は上記のとおり11年までの分しか私には分りませんでした。
これによると債務増加がココ1〜2年のことではなく、5〜6年間ずっと債務が増え続けて来たことが却って分りました。

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